透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
上 下
829 / 1,684
8の扉 デヴァイ 再

生命 とは 2

しおりを挟む


 くるくる      ぐるぐると

    まわる は   沢山の ピース

 様々な いろ の   カケラ 達


 「命」      「生まれる」
     「チカラ」
              「エネルギー」

 「合わさる」「それ」
              「あのこと」
  「それとこれは 別」

 「二人の エネルギー」

     「変換」    「産まれる のは」


   「愛は 」    

           「ある のか 」

  「なくとも  」



くるくると回るカケラが、怪し気な色を導きそうになった所で。

ハッと我に返り、二人の瞳を交互に、見た。


「でも。」

ぐるぐると渦巻くカケラ、それを慎重に見極めながら「今の私」に一番近い言葉を選んで、いく。

「もしかしたら。「二人のチカラ」が、合わさって子供が生まれる事に対して、「愛」がどこに行っちゃったのか。それが、気になるのかも知れません…………多分?」

きっと。

私の中では未だ、ブラッドのあの言葉がぐるぐると激しく渦巻いているに違いないのだ。

「少し前に。ブラッドフォードに、言われたんですけど。「それはそれ、別のこと」だって。「愛」が無くとも、「楽しめる」んだ、って。納得できる部分も、あるんですよ。確かに、あの「鮮やかな色」を見たくって。「やってみたい」のも、解るし。……………でもな…………だから。逆に、何が?気に、なるんだろうか…………??」


ぐるぐる沼にハマっている私の前で、二人はじっと考えている様だ。

静かな青空の見える魔女部屋、なんだか二人がいつもと違う、明るい部屋にいるのが急に気になってきて。
頭が疲れていた私は、自分のぐるぐるを「ポイ」と投げ捨て、正面に並んで座る師弟を眺め始めた。

そう、現実逃避だ。



この二人 やっぱり  似てる よね?
 雰囲気  だよね?

 うん  なんだろ この  いい感じ

  絶対 素敵な 「こたえ」が 
 やって来る その 「期待」「楽しみ」

 うんうん  必要よ それ

 今必要なのは そういう やつ  よ


そんな私のニヤついた視線に、最初に気が付いたのは薄茶の瞳。

少し驚いて、ニヤリと笑ったイストリアはしかし。
楽しそうな瞳で逆に、私に質問を繰り出したんだ。

「君は。どう、思う?どんな人にも。「魂」は、宿ると思うけれど。その、「解け合った二人」と「楽しんだだけの二人」から、生まれる「命」、それに宿る「魂」。に、違いはあると思うかい?」

「 え」

それは…………

 無茶苦茶、難しい質問ですよね??
 イストリアさん…………。


しかし、私の頭の中は大概分かっているのだろう、そのまま腕組みをして。
楽しそうに、返事を待つつもりらしい。

そして私が考え始めたのを見ると、キョロキョロと部屋を見回してヤカンを火にかけ始めるイストリア。
その、後ろ姿、濃い生成りのワンピース。

そこに掛かる、水色のサラリとした色を見つめながら。
案の定、頭の中はぐるぐると渦巻いて、いた。


 ポンポンと 何処かに飛んでいた カケラ達が

  くるくると 頭の中に 戻って くる
 次々と  回り キラキラと

   其々が  各々に  様々な いろ で。

 煌めき始めた 「それら」は。


「魂」「命」「エネルギー」

    「ひとり」「ふたり」  「いろ」

 「重なり合う」  「近い」「遠い」

   「チカラ」  「強さ」

         「大 小」    
  「カタチ」         
               「性質」


  色々な もの いろ かたち 大きさ

 でも。

「チカラ」は
        「エネルギー」それは

   変わら なくて  


 「魂」は   一人一人   違って

 でも。  「繋がって」も   いる


 「それ繋がり」は 「光」か「血」か

    はたまた 「魂」の 縁 か。


 しかし  「生まれた」「かたち」は

  どう あれ  


「発せられた」「チカラ」は   「チカラ」


 「エネルギー」は 「エネルギー」


 「等しく」   おなじ  「ひかり」


くるりと。

翻ってピタリと嵌った「ひかり」は、私に「その答え」を齎した。


「うん?…………よく、分かんないけど。、違いは無いと思います。結果は、やっぱりそれぞれが「魂」で、同じ「命」だ。」

その、返事を聞いて。

満足そうに細まる瞳、意見は概ね同じだったのだろう。
その顔を見て嬉しくなりながらも、口を開いた彼女の言葉にしっかりと焦点を合わせる。

「まあ、そうだろうね。だからある意味。「過程」は、あまり重要でないのかも、知れない。重要じゃないと言えば、聞こえは悪いがきっとそれこそ「それはそれ」、なのかも知れないな。」

「成る程、確かに?「繋がって」は、いるんだろうけど「その行為」自体は関係無い………無くもないんだろうけど………?ああ、ややこしいな。」

「そうさね?」

私達二人が、揃ってぐるぐるしていると。

考え込んでいたフリジアが、カップを持ってこう言った。

「結局ね。私達は、どこまで行っても「動物」なのさ。だからこそ、「貴石」というものも、成立し得る。ところでお前さん達、「魂」と「体」、混ぜこぜにしてしまったなら余計に解りにくくなろうよ。」

くるくると、カップを揺らしながらそう言って。
コクリと、お茶を飲んだ。


「確かに?」

薄茶の瞳と目を合わせ、頷いてみる。

そう、それに。

 なにか 重要な ヒント が。
 あった 気が   する  けど

  ああ  あたまが   


私が自分の脳みそを呪っているところで、再び口を開くフリジア。
しかし、その助け舟は。

再びの「今は まだ」的な、助け舟だったけれど。

「しかしね…………は、今考えて解る類いの話でもないかも知れないよ。お前さんが、また先へと進めば新しい光が見えるかも、知れないけどね。」

「…………先?」

「そうさね。だって丁度、いいじゃないか。そもそも「なにに」、悩んでるのかよく分からないけれど。「お前さんヨル」と「相手気焔」が、「そう」なれば。自ずと、答えは解ろう。「チカラ」は「命」、「生命」へ。「転換」するのか、という事だろう?」


 え         あ ?


      うん ????



 それ  って
          あの   その

  つま り


  はい    


   「そういうこと」  です か ね ????



「何を今更。」

「ヨルの世界へ戻ればまた結果が違う可能性も、あるだろうしね?」
「それはあるかも知れない。なにしろこの子のまじないは、応用が効くからね。力が命にだって、なるかも知れないよ。」

「確かに。この子はこちらの予測を付かない事を、する。「あり得る」と、思える所が怖いな。」
「なに、時が経てば。ここもこうして変化している様に。如何様にも変わろうよ。」

「まあ、そうですね。これは二人の結果を待った方が、早いかも知れないな………。」


そうして。

楽しそうに今後の話を始めた二人、私は「なに」が「どう」なのか、聞きたいけれども聞きたくない気持ちが自分の「なか」を激しく渦巻いて、いて。


「うーーーーーーーん。」

「あら。大丈夫なの、この子は。」

「おや、お邪魔しているよ。まあ、大丈夫だろう。彼を呼んでも…………いや、呼ばない方がいいか?」

「え?なに、楽しそうだから呼びましょうよ。」


そうして、魅惑のお茶会は。

何故だか途中で乱入してきた朝の、揶揄いによってぐるぐると幕を閉じたので、ある。

いや、私の目を閉じるしかなくなった、のか?
うーーーーむ?








しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

処理中です...