透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

新しい私達

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うん あの青はいいよね
 うん
あの 石も可愛いし うん
 ああ あの癒し石も やっぱり なかなか

いや やっぱり アレも いいわ、うん
……………

て、言うか。
なんで「無言」なの ???


静かなウエッジウッドブルーの部屋。
案の定ぐるぐると部屋を動き回り、無駄にお気に入り棚を弄り倒し、緑の扉を開けて閉め、絨毯の厚みを確かめながら再び歩いて、暫く。

あの色は。

私の「心境」を知ってか、知らずか。

じっと無言でベッドへ腰掛け、私の事を目で追っているのが、分かる。


 いやいや そんな 見られても さあ?
 なんか ほら

ねえ? あるじゃない ちょっと なんか 
気遣い? 
 いや
違うか

なんだ こう    ねぇ?

話し易さ とか  とりあえず あっち向いて くれるとか
なんか

 ねえ  ほら    ね?????????


「チラリ」と。

気付かれないのは無理だとしても、目が合わない様に視線を投げ、少しずつその「新しい色」を観察してみる。

て、言うか。

なにが。

そんなに? 「違う」んだ ろうか。


顔を見ると 目が 合う

 それは それだけは まずい

何故だかそれは解っていた私は、とりあえず足元からその「変化」を確かめるべく、スルスルと視線を滑らせて行く。


 うーーん
 脚 足  足は まあ いつも通り?
 あの 私のパンツはラインがよく 分かる
 うん 光って…………?いやいや
 元から 光って


               るっけ???

混乱してきた頭を切り替える為、お気に入り棚のフェザーワンドを手に取りパタパタと扇ぐ。

顔が、熱い。

なんにも
してないのに。

 まだ、腰くらいまでしか 見て ない  のに


「…………ちょっと、待てよ………???」

これ。
私、顔まで見たら。

しまうのだろうか。





 いやいやいやいやいや ちょ まって
 まあまあ 落ち着くのよ  大丈夫 多分
 大丈夫よ

 きっと 悪い様には なら ない
 いや流石に それ は  わかる 

くるりと背後を向いて。
ひたすら扇ぎながら、深呼吸した。

「うっ」

しかし、胸に這入ってきたのは「慣れ親しんだ あの匂い」。

あの、金色の胸の中にいる時の、匂いである。

「ゔっ  ぇ   ぁあ 」

「どうした?大丈夫か?」




 まず


しかし、こうなってしまえば仕方が無い。

痺れを切らし心配した金色に抱えられた私は、そのままベッドへ運ばれて。

とりあえず、腕の中へ包まれた。



 真っ白  あたま  真っ白

   どう する   いや これ

 もう   どうしようも。

     ない    な ??????



とりあえず。

暫く、この空間に慣れることを優先する事にした。
如何せんこのままでは、会話もままならない。

 きっとこの人も 不安だろう

ふと、その考えが自分に降りて来た時
グンと「真ん中」に引き戻された私の頭は酷く冷静になって。

くるりと振り返り、こう言った。

「ごめん…大丈夫、ちょっと、待って?  ぅっ」

毅然とした態度でそう言って、しかしパッチリと合った瞳の「いろ」を受け再びくるりと翻る私の「なかみ」。

なんだか、忙しいのだ。

そう、私の「なか」が。



なんで  いや なんで も なにも ないよ
そりゃそう だよ
だって  「あの色」。

 「あれ」は まずくない???


なんと言って、いいのか。

よく、分からないけれど。

兎に角「濃くなった」金色は、この間私に「グッとくる」色を突きつけたばかりなのに再びバージョンアップしているのだ。

「…………そんなの無理だよ…いや、しかし。」

何故か弱気になって、しかし「新しい私」を自負しているのにこんな所で立ち止まっている訳には、いかないのも分かる。


いやさ、でもさ…………。
「こんなところ」って 言う 割に
その「こんなところ」が  凄いんだ よ
なんか ヤバい とりあえず  凄い


自分の「なか」が、自分でも混乱してきたと感じた所で「ポン」と違う作戦が降りて来た。

 ああ 先に 「色」を確認してみよう
 そうだ そうだ

そう、顔を見なければ。
まだ、大丈夫な筈である。

 そうよ ちょっとずつ
 うん

   とりあえず は 馴染ませ
  「馴染ませ」??

「あばばばば  」


混乱して、観念して、とりあえず胸に顔を埋め、深呼吸した。
先ずは、この「匂い」から、攻略するのだ。


 ……………………………えーーー

 なんか。 「いい匂い」って 言うか
 なんだ?  「懐かしい」「あったかい」
 「心地 良すぎ」

 ああ   近づいた 還って きた
  この  求めて いた

     あの    場所 

  きんいろ の    あかり ひかり

    あ


その、「匂い」が。

自分の「真ん中」まで到達した事が知れると そのまま全身へ巡り「なか」が満ち満ちてゆくのが わかる。

 なんだ  これ  
   気持ち  いい  あったかい

    おひさま か   温泉 か ベッド か

を感じて 少し思う。

「なんか違う」、その「なかみ」は。


多分、これまで私が感じていた金色の「匂い」というのは「雰囲気」や「温もり」に、近いものだと思う。
所謂「匂い」そのもの、ではなく彼から発している「なにか」。

しかし、今は。
少しだけ「実体」を伴う様なその「匂い」、しかし慣れ親しんだ「雰囲気」は変わらないものの「なんかちがう」、その「なかみ」はなんなのか。


 「人間ひと」に 近づいた?
 いや それも少し 違う

 「実体」に 近い けれど
 もっと 本質的な 真ん中 の なにか
 ぐっと 「くる」なにか

 
なんだ、ろうか。

でも。
あの、全体に降り注いだ黄金の「ひかり」、それを目一杯受けた私達は。

きっと「変容」した 筈なのだ。

この人金の石も。
形はどうあれ、きっと「なかみ」は変わったに違いない。


…………ふーーーーーむ。


暫く。
その 濃くなった「充足感」を味わっていた。
多分、私にチャージされる「質」も変わっている筈だ。

それを  じっと  確かめながら  

いや 漂って いた のか  浸って いたのか。


しかしなにしろ。
まだ「匂い」、である。

なに これ 大丈夫か  いや とりあえず。

 「いろ」なら  きっと

  いける   うん

とりあえず、確認してみよう、うん。


「………ちょっと、待ってね?」

心配させない様、顔は見れないが一言そう言っておく。

深呼吸して、その心地の良い匂いが再び自分に入った瞬間「あ」と気付き、しかし頭を切り替え「いろ」に集中する。

しかし。

それは、やはり危険な 行為だった。


「え 」

 あ  あれ  ヤバ


既に。
全身の毛穴が開き切ったよりも微細に「全開」だった私の「なかみ」、「すべて」をこの匂いに満たされていた私の「なか」に、更に沁み込んできたこの、「いろ」。

 あ  まず

その、「いろ」は。


 これ は    あれ

   あの   あれ よ

 いつも    どこ  でも
   そう        ずっとずっと

   あった   あの 


      「きん いろ」


金は金でも、金色気焔の金とも違う、その「いろ」。

しかし何故だかその金色の中に「あの色長の金」があるのは、分かる。

「匂い」が身体全体に沁み込むのと比較して、その「いろ」は。

「なかみ」「真ん中」へ 真っ直ぐに 
    「ぐん」と   侵ってくる感覚

だからか 酷く「いろそれ」が 

     詳細に 直接 に   感じられて。

 
 ああ  でも  なんだ

  そう か

 私に。
 「あの子ディディエライト」が 沁み込んだ様に

 この人にも  あの色 が

   そう     か


くるくると回るカケラ、光のピースを感じながら、自分の「奥」が迫り上がってくるのを同時に感じる。

 え

なんだ ろう

その、「いろ」が沁み込んでくると同時に上がってくる「それ」は何かは解らないがとても「ムズムズ」、して。

同時に自分の身体を動かすと、心地良いあの手が触れそれを「もっと」と思う自分に気が付く。


 そうして 見れなかった金の瞳を
  見つめている自分に 気が付くと共に
   伸ばした手を その頬に当て

     「手を 伸ばして」

 そう「瞳で」言った   その時


  あ   ちがう


そう、多分私の「なかみ」は何故かディディエライトが強くなり、この酷く印象的な言葉を思い出した事で、この後の展開も知れる。

 
 え  まだ ちょっと 待って
  ちょ 

 わかる   わかる けど  


 え           どう   しよう


混乱する頭
湧き上がる衝動
心地の良い体温と 馴染んだ「いろ」

その金色の身体から漏れ出す「ひかり」が
あの色長の色」だと 気付いたけれど。

為す術が無かった私は、ただ
その美し過ぎる瞳を、見つめていた。




 「御免。」

すると、一瞬苦い顔をした金色が「ブワリ」と私にチカラを注ぎ込み始めたのが、わかる。

半分無意識の私、流れ込むその「焔の色」の勢いに押され、半分程度、侵食されると。


 あ もう  大丈夫 だ

それが 解って。


とりあえず、そのまま身を任せると同時に

 侵ってくる「新しくなったチカラ」

その「いろ」に、違う方向へ誘われて。

再び、ぐるぐるの沼へ嵌まり込んだのである。

















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