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8の扉 デヴァイ 再

現れ 出たもの 2

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   紅梅          漆黒


  優しさと柔らかさの 極み

     突き詰めた からこその 艶やかな黒



「へっ?なに??誰?!なんで???」

 
 ああ    か

  ペア なんだ   

   二人で  ひとつ  相方 的 な
 


多分「それ」は。

「えっ、ちょっと待って???あなた、窮だよね???????」

黒髪に黒っぽい肌、金に黄土の飾りが豪華な、その観音は。

どう見ても、「観音」なのだけれど
なんでか さっきまで「龍」だった 窮なのが
わかる。

多分、「私の観音」だからだと、思うのだけど。


「えっ、、、、てか。なんで???」

仲が良さそうに、ピッタリと寄り添うその姿はまるで始めから「そう」だったかの様な、出立である。


 うん?  ラーダ  窮


   「初恋」「芽吹き」

 「究極の 私」「最後の」「極まった」


 ああ  成る程?


   「始まり」 と  「終わり」って。

  こと なの?    かな???


くるくると回る「ピース」

 「黒」という色から連想する、
    「窮は 究極の私」の転換

               という着地。

 うん? おとこ?なの??
 窮? でも 龍だし?

 いや 性別とか 多分無いな………

それなら まあ あの二人は。

「ペア」「対」なんで しょう うん


 確かに 収まりが  いいな ?


ぐるぐるから顔を上げると、紅梅色の蝶が黒い龍と仲良く戯れている。

やっぱり なんだ


あの二人が「共に」ある事で、しっくりくる姿形の変化、色の共通点。

「成る程…………面白いな…どうなってるんだろ。」

多分、私が「そう思った」から「そうなっている」筈で。

無意識でも、私の「なか」にその「カケラ」があったという事なのだろう。


「ふーーん。」

とりあえず、納得して顔を上げる。

目の前には白兎、舞う慶は後でじっくり観察させてもらうとして。


「あれ」は もう  固定 なの かな??

少し離れて座る金色は、まだ見ない様にして上を見上げた。

そう、私の神域には。

あの「太陽」と「月」の様な 

  儚く美しい 円が  その くう

  現れた まま  なのである。


「…………いや。別に。あっても、いいんだけどって言うか、なんか。」

そう、「あの二人」に 見守られている様で。

なんだか、心強くも、ある。


 うん?
そういえ ば??

「えっ?あっ?」

ふと下ろした視線、私の左手、薬指。

そこには  
まだ。

  静かにひかる  乳白色 遊ぶ 光の粒

指輪は、あった。

そう、まだ。

そこに。



 えっ なん で  どう して

一瞬頭が真っ白になったが、困る事など何も、無い。

しかし「真っ白になった」と思ったのは、私の頭の中ではなくて。

実は 「目の前」だったんだ。



 ん? んん?
 白  白い  なんだ?ろう

ぼんやりと浮かぶ「白」、それはこの神域の白ではなくて
なんだか半分透けた、発光する「なにか」である。

 ん?靄? なんだ ろう

その全体像を捉えようと、焦点を合わせ「新しい目」で見る様、意識する。


 その 徐々に  はっきりと 見え始めた

 白い  姿 は。


「え 」


  そう それは 「あの姿」

  いつも  私の 「なか」に 「いた」「あった」それ


 そう  そこには。

    真っ白な 「観音」が。

    微笑みながら  立っていた んだ。



キラキラと 差す 後光
  眩いその姿は はっきりとは見え辛いがしかし
 明らかに 「私」の姿をしているのは 分かる


  「その姿」は「あの姿」で

 「あの子」で 「白い女の子」で

 そう 「私にそっくり」な  あの。


 「白い私」 「観音」「あの子ディディエライト」「同じ」


 白い 光   白い髪に真っ白な体
   白く流れる布に  垂れる ひかり
 羽衣か ひかり か  後光 なの か 。


包み込む真っ白な「ひかり」に
「ここ」が「私と白い観音あの子」の空間になった事が 知れ
私の「なか」も。

真っ白に 塗り替えられてゆく



 ああ あの子だ   あの子が こうして
 あの 「ひかり」 で。

 癒され 流れ 融かされて  また 結合して
 こうして よくわかんないけど こうなって


    。 赦したんだ。

    流せたんだ。  受け入れられたんだ。


        。  こう「転換」できた んだ


濁流の様に流れてくる白い光の渦、その勢いと光の美しさ、その、全てを飲み込む量に。

私の「なか」も攫われてゆくのが、わかる。


彼女が経験してきた、様々な想いが 色が。
「複雑だったそれ」を変え
私の頭の中を くるりくるりと渦巻き 通り過ぎてゆく

その 押し寄せる波の優しさと 様々に煌めく美しい「色」に。

涙は 止まらなかったし
止められる気も しなかったし
止める気も なかったけど

でも。

微笑む観音彼女の 前で
馬鹿みたいに流れる涙、それは。

「悪いこと」じゃ、ないし。


 確固たる自信 

「やりきった」「終わりにできた」「もう いいんだ」

  そう  沁み込んでくる「想い



だから。

私には泣く権利も 自由も 喜びだって

   ある  のよ   そう


 多分 これは。 「嬉し涙」


    その 筈。



兎に角 彼女がそこに立っていることだけは、分かっていたけれど。
何が何だか、分かっていないが「これでもか」と沁み込んでくる、白い光に圧倒されながら。

   「嫌という程 伝わる 想い」

 「伝えようと 流してくれる ひかり」

  「感謝」  「繋がり」   

            「満ち足りた 想い」


その 「想い」を じっくりと じんわりと
「わかり」ながら。

なにしろ私は ある意味「自分の中の あの子」を、こうして涙で流して。

「更新」して いたのだろう。


 「鮮やかで」「鮮明過ぎる」 あの色から

 「優しさ」と「慈悲」が満ち溢れる この

         美しい   ひかり へ



 ああ 良かった  確かに もう無い
   あの 鮮やかだった 「いろ」

 「どうして」「何故」「なにが」「私達は」
 「ひととは」「もの」「なかみ」「意味は」

ぐるぐると渦巻いていた感情が、全て。
あの河に流され、最後の「ひかり」で浄化されて。

こうして、「観音」へ 「転換」できたんだ。






……………?


  観音? 「私の」?  「観音」……………??


  「私」「曾祖母ディディエライト」  「光」「繋がり」


よく、わからない。

意味も、位置も、彼女が「どこからどうなって」「どう繋がる」のかも。


でも。

そう「時間」は 平行線ではないし

  私達は 「跳んで」「瞬間」「幾つもの」


「うん、「生」を……………「生きて」…………うん、ああ。……………もう、無理。」

一度頭が「休め」と。
言っているのだ。うん。


チラリと背後に視線を送ると、頷いて金色が側へ来たのが分かる。

まだ、「慣れて」いない「新しい色」を纏った金色、しかし私の脳みそはそれに反応できる程の状態では無い様だ。

これ幸いと、視線だけで強請った私に「仕方の無い目」をしてチカラを注ぐ、彼。


とりあえずは、その温もりを感じながら。
一旦、休息を取ることにした。

そう
なにしろ、まだまだ 「見るべきもの」は。

「さあ どうぞ」と
私を待ち構えて、いたからである。









   「私の 楽園」  「満たされる」

       「満たす」


 流れる 黄金の水流 豊かな 源

  私の真ん中  金色の 光  私の源


ぼんやりと浮かぶ  黄金
これは 私の 頭の中 か それとも 「なか」か。
ゆったりと動く思考、しかし「考える」と言うよりは「浮かんでいる」だけの、「ピース」。

しかしそれは暫く緩やかにくるくると回りながら、「あるべき場所」へピタリと嵌った。


 そうして  眺める

  その 「場所」

 嵌った「ピース」と  「色」   「カタチ」  

その「意味するところ」は。


  「金」 「黄金」

  「渦」  「河」   「真ん中」

 「満ち溢れる」
           「足りる」


それ 即ち

 「私の源」      「デヴァイここの源」


 その、二つ が

        「繋がった」と いうこと


ピッタリと嵌った「それ」が意味するところ、それは。
これからはいつでも「あそこ」へ行く事ができるし、「繋がる」「繋げる」ことが、できるし。

私の「真ん中」から、直接あそこへチャージすること、その逆も可能なことを示している。


 「ここ」  「デヴァイの源あそこ

   「真ん中」  「源」  「中心」


くるくると回るピース 

    既に しっくりと 馴染んだ色


いや、のだろう。

なってみると、それがよく、解るんだ。

だって その 「いろ」は。

 やっぱり  同じ 「金色」だった から。



 「私の 源」  「デヴァイここの 源」

      「すべての 源」


   「世界」「扉」

          「次元」「宇宙」


    黄金の広大な 深い 空間 場  


 揺蕩う その 背後に 。

 金を抱える様に 拡がる 「すべて」を含む 深紫が 見える

  なんとも言えない  深み 深淵


それは 宇宙か それとも ?



目の前なのか、頭の中か。

浮かぶ光景をただ 映し出すのは 「変化した瞳」か それとも 「なかみ」か 頭の中か。



そうして もう一つ 知覚するは まだ遠くを漂う あれ


その  広大な空間に

ぼんやりと 微かに残る 「澱」

  所々に 浮く   霞の様な 「異色」


 広く 美しい  空間だからか。

  遠く 遠くに 漂う 「それ」が

  チラチラと 目について

            歯痒い  けれど。


でも。

まだ、少し「残り」があるのも、解る。
なんだ、きっと。

「一掃しなければならない」

異色それ
きっと そんなものでは、なくて。

多分、無理矢理どうこうしなくて、いいんだ。


  私が 「開いて」 いれば。

   きっとこのまま 自然に癒される


それか 時が来れば きっと また 「掴める」

 「解ける」  「流すことが できる」


あの、「ひかり」を受けた私は
解っていたから。

とりあえず、「残りそれ」は そのまま。

そっと、置いておこうと思えた。


だってきっと 「ぜんぶ」「存在」「全て」が。


  今は  私を包み込み 

   「そこに 在る」のが解っていたから。


    "ただ 「流れ」に 任せる"


そう 今は 「そのままの方が いい」
それが、解って いたのだ。


 「自然 を 赦す」  「流れを 赦す」

     「癒されるのを 赦す」


そう、それも 赦して。
進んで いく

 そうなんだ。






自分の「なか」に。

 広大な 宇宙の様な拡がりが 出来たのが わかる


神域とは違った、その「広さ」、広がり方の「質」が違うそれは。

何を、意味しているのだろうか。


そしてその中には。

やはり きちんと 
  あの 「金と銀」 二つが 輝いて いて。


 「 ああ やっぱり ね 」


なんとも言えない。

なんにも、言えない。

 なんにも  わからないんだけど。

「感じる」しか、無いんだ。


 そして 「感じるそれ」で いいんだ。


それが、充分にわかった から。

とりあえずは。

自分の「なかみ」が 回復するまで。


安心する、いつもの匂いに そっと

そのまま顔を、埋めておいたんだ。






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