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8の扉 デヴァイ 再
地獄の釜
しおりを挟む地獄の釜の蓋が開いて
「これまでの澱」が どんどん浮いてくるのが わかる
「黒い檻」
「行き場のない 想い」
「積み上がった 澱」 は
そう 実際。
まだまだ あって。
正直。
私には 「終わり」が 見える 気がしなかったんだ。
名も無い 私
暗い小屋 何も無い
そこに 「在るだけ」の自分
「与えられた」辺りは全て 暗く冷たく粗末で
ただ 「与える」為だけにあった 自分
「見た目」の奇異さで
寄り集められ 弾かれていた 私達
「人間」としては 扱われず
社会の片隅で ひっそりと 生き
ひっそりと 死に 殺されていく
そして 「歴史」からも 殺され
「無かったこと」に される 自分
「気に入らない」からと
なぶられ 打たれ
「間違って」「死に」「棄てられた」
幾つもの 私
林に 棄てられたもの
あの屋敷の池に 沈んだもの
同じ様な ものと 一緒に 焼かれたもの
「死ね」と 「命令」されて
従い そのまま 「死んだ」自分
ゴミか 虫ケラの様に 纏められ
頭数の為だけに 突っ込み そのまま弾けた自分
「私達」の歴史とは
そんな 「無数の屍」の上に 成り立っている
誰しもが 持つ 「生の歴史」
歴史上「残っていない」 軌跡
しかし。
「道」が 無かった ならば。
今 ここで こう在ることは 無かったのである
きっと 重い空気を
なんとか 塵ほど 押し上げ
「無かった」のではない
どんなに小さくとも 「在った」のだと
ここまで積み上がってきた 私達の 「想い」
ずっとずっと 重く のしかかっていた
「時代」の 中で。
積み上がっていたのは
「暗色」「檻」「澱」「塵」「闇」「血」だけではなく
「ひかり」も。
きっとあった。
だから 「蓋が 開いた」んだ。
「天の意思」「星の位置」「流れ」
それもあるのだろう
しかし
例え そう あったとしても「ひかり」が
途切れていたならば。
そのまま 蓋は開かず 自重により
消滅していただろう
良かった 「ひかり」は 繋がっていた
沸沸とまだ湧く 地獄からの「想い」を
受け
「正に」「そう」「思う」
だから 今は。
その 澱を受け止め ただひたすら
「その時」を 待つとしよう
私達の 「本当の 目醒めの時」
それは もう 迫っている
もう 始まっている
そう
「闇で 自分が満ちた」なら。
止め処なく 「過去」「消えた自分」「消された私」
これまでの 「黒い歴史」が溢れ出したなら。
それは 始まりの合図
さあ 「すべて」を 持って。
出掛けようか。
あの 深い 深い 海の底へ。
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