透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

魂の経験

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やっぱり、どう 見ても。

 「魂の経験値」は あるのだと思うのだけど。


ピタリと足を止めて、目を瞑り視界の青を消す。
青縞の賑やかな廊下は、私の「なか」を展開するのには少し、向いていないからだ。


ある日、ある午後の青の廊下。

目を閉じた私の「なか」に在るは、くるくると回る自分の「なか」の宇宙、煌めく星達は遠く薄く瞬いて。
その空間の「揺らぎ」を、私に伝えてきている。

今日も美しく「震える」、この「なかみ」で。

私は自分の中にある「カケラ」を散らばして、自然に集まる様を見ながら自分の中身を整理していた。
その、「自然に集まる」という所がポイントのこの方法は、中々面白いものである。


私の中にある「カケラ」「ピース」達を、とりあえず掴めるだけ掴んで、混沌が満ちる宇宙私の中にぶち撒けると。

それはパッと鮮やかに散り、自然に漂った末「自発的に」集まり始め、幾つかのグループを作り始める。
多分、私の中の「経験」から導き出されたその「引き合う」「集まる」「磁力」の様な、もの。

それはきっと自然に、その時必要な「こたえ」や「ヒント」を導き出すもので、無意識下での私の「智慧」を示していると思うのだ。


だから、この頃はこのやり方が気に入って、ふと思い付いた時に試す様にしている。
「やろう」と思って、できると言うよりは「降ってきた」時やる方が「ピタリ」と色も嵌る。

それはきっと「直感」で、「私の本当」で「役に立つ」情報で、あるからして。

今日も突然、思い付いた廊下で。
いきなり立ち止まり、パッと頭の中に「それ」を展開していたのである。


 
 「信じる」「信じない」

 「魂」「繰り返し」  「輪廻」「死後の世界」 

 「わかる」「飲み込める」「腑に落ちる」


その経験は、やはり「頭」では ない。


ずっとずっと、考えていたけれど。


「説得」とは、意味の無い行為で
もし一度「説得」されたとしても。

その人の腑に落ちていなければ、また同じ事が繰り返されるし、なんなら別の意見を聞いて翻る事だって、ある。

そんな場面を、幾つも見てきた、けれど。


「どう、しようもないんだよなぁ………でも、まあ。それが「自由意志」って、事なんだろうけど。」

「その時」が、来ないと。

わからない。

は、私も何度も経験してきたから、解る。

でも。

一度「分かった」と、思っていても「繰り返す」事は容易にあるし、その「わかる」程度がどの位なのか。

それは本当に難しい問題だと、思う。

それに「腑に落ちるそれ」に、「年齢」は
関係無くて。

逆に歳を取れば、頭が硬くなる人だっているし、その逆に経験を活かして理解が早い人だって、いる。

その「経験」「集めたピース」「部品」の、様なものを。

 
      どう 繋ぎ合わせるか

それに尽きると、思うのだけど。


って。やっぱり、「自分のカケラピース」とか、魂を回収?するのと、似てるんだよね………。」

そして「カケラそれ」を、どう繋いで「こたえ」を導き出すか。

その「こたえ」は。

誰の、「こたえ」なのか。

万人にとっての「こたえ」等、存在しないしそれがあるとすればそれは「こたえ」ではなく「ルール」なのだろう。


「でも、人間ひとはルールが無ければ生きていけない………いや、いけない、のか??でも無法地帯??いやいや、「それぞれの本当いろ」で、みんなが在れば、万事解決………???」


こんがらがった頭の中、やはり「思考」で解決しようとするとなかなか難しい問題である。

「状況」や「立場」「位置」「進度」

それぞれの「場所」によって、違うのだ。


「理解度」「進み具合」

それは「優劣」ではなく、ただ「場所」「位置」的な、事である。

しかし私達、「比較」を擦り込まれた人間達は。

どうしても「高低」「上下」を位置ではなく「優劣」に結び付けて、しまう。


「難しい、よなぁ……………特に、男性………長老達とか、無理そう………。」

チラリと白いローブの彼が浮かび、あの銀灰の瞳ならば「解る」のだろうと、思うけれど。

「言い聞かせる、とか。説得する、とか。無理だもんな………。」

彼もが難しいと知っているから、私にああ言ったのだろうし。

「むーーーん。なんだろう………プライド?見栄?まあ、あるよね………そうやって、生きてきたんだし。が、普通………。今更変えられないよね………。ってか、これ私が悩む問題じゃないんだった。いかん。」


パッチリと目を開け、美しい青を目に映し心に染み込ませる。

職人が、拘りを持って塗り、張られたクロス。
その息遣いを吸い込んでから、ほっと息を吐いた。




楽しそうな調度品達の横を通りながら、つらつらと考える「私達 全て」のこと。

きっと「繋がりを 知る」という事は
私達にとって有益だと、思うのだけど。

でも。


 殆ど 全ての  人間にとって。


  「真実本当のこと」を 見ることは

  不都合嫌なこと にあたる のだろう。


 「見たくないもの」「見なくていいもの」

 「気が付かない方が いいもの」

 
そうなんだ。

だって 「真実それ」は。

私達が 「

   「どう 生きてきたのか」

 「どのくらい 素晴らしくて

        どのくらい 残酷なのか」

  それを 克明に 表示してしまう

  明るみに出してしまう

  はっきりと 目に 映してしまうという 事なのだから。


ウエッジウッドブルーの扉を押し、部屋に足を踏み入れる。

今日も厚みある絨毯は、私が帰って来たことを喜んでいる様だ。
張り切って萎びた部分を立たせているのが分かって、とても可愛い。


そうして「もの」にも「なにか」が宿り、みんな「同じ」である、ということ。

それが解れば、全ては「同じ」で「等しく」て、「優劣」なんて無いのだと。

「わかる」の だけど。


 「気付く」ことの 難しさ

 「見る」こと の違い

 「生きる」ことへの 疑問 

 「生の未知」への 旅を 始めるのか

 それとも  「敷かれたレール」のまま なのか


私だって、まだ。

その旅を、始めたばかりなのだ。
「気付いた」、ばかりなのだ。

まだまだ、「納得」していない部分も多いし知りたい事も、ある。

でも。

始めたばかりの私が、今「大切だ」と思った一番の「こと」は。



 「外見そとがわ」は 全く 関係なく

 どのくらい 「魂が 磨かれたか」で

  全ては 決まる



 どれだけ 「経験」を 生かすか
  
 どう 生かすのか
 どれだけの「」が もてるのか
 どれだけ 思慮深く 行動できるのか


そう あの深海で見えてきた 「世界の深さ」の様な

  強大で 巨大な 「思いやり」だ



私は できているだろうか。
自分のことを省みて いるだろうか。


「いいや」「まだ」「だって」「狡い」

そんな言葉が 出てきたならば。

まだ。

魂は 成長途中で これから磨かれてゆくのだろう


道のりは 遠く

 しかし ゴールは 見えてきては いる


これまで 幻だった
     噂に 聞くしかなかった

     信じてなど いなかった 終わりゴールが。


朧げながらに 見えて  きたのだ。



これは 素晴らしい ことでは ない か。



やはり

もう 「その時」は 既に来ていて

私は
私達は 「本当の進化」を せねば ならぬのだろう


  は 世界を 見れば。

  解る筈なのだ

 誰が なんと 言おうとも。



然らば 己を見つめ  ただ 真っ直ぐに。

歩いて行くしか、ないんだ。

そう、いつも通りに。

ただ 真っ直ぐに。



星図の浮かぶ天蓋の下、ゴロリと寝転びながら思うは「みんな」の顔。

どの、世界の「みんな」も。

一緒に、行きたいと思うから。


「吹き飛ばされる者が 」

ずっとずっと前に、イストリアが言っていたあの言葉がふと頭に過る。

「時代の風に ついていけない者」

それを心配していた、あの薄茶の瞳。


そう 「生きてる人」も 「想い」も

  「彷徨う 者」も  


  みんな みんな 「同じ」だから。


静かに目を瞑り自分を世界に 溶け込ませて。

「思う」「祈る」「願う」んだ。



だから 共に 行こう

それぞれの  終わりゴールに 向かって。

 
 その為の 「ひかり」は 「みんな」の中に。

 先ずは。私の 自分の 「ひかり」を

 目印に

 道標に。


「見えるといいな」と 願いながら。



そう、ウツラウツラといつの間にか、眠りについたのである。


 
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