透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

暗闇の檻

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ふと、目が覚めて。
目に映るは暗い天井、ポッと浮かんだ「想い」。

黒の中にフワリと掛かる、金の空気にホッとして天蓋のビロードを目に映す。

私を包む暖かさの中、「想いそれ」は小さな星の様にキラリと光って。

私の「なか」にまた、新しい色を齎したんだ。




きっと今し方、見ていた夢なのかも知れない。

 四角い黒  闇の中にあるは

 いつかの「私」

ずっとずっと、我慢してきた、押し込めてきた、見えないフリをしてきた「自分」が。
その、黒い檻の中に入っていた。


連綿と続いてきた  

 その 時々の「社会的条件」「文化」「慣習」
 「他人ひとの目」からの、「抑圧」

 
 「普通」で 「当たり前」で、ある為に。

 我慢してきた 沢山の事 

 やりたかった事 夢 行きたかった場所
 ものを選ぶこと
 意見を言うこと
 嫌なものを 嫌と言うこと
 何を着るのか 見るのか  食べるのか
 いつ寝て いつ起きるのか

 日々積み重なる 細かな  我慢

 日常に 殺されてゆく 「自分」という

 見えない 「なかみ」


 「どうして」「なんで」

 そう 思いながらも

 顧みられる事がなかった これまでの すべて
 

小さな 小さな それらを

 放り込み 閉じ込め続け

 限界 まで  押し込んだ 「私の中の 黒い檻」

 それは。

 小さなものだったけど。

 塵のように 埃のように 

     段々と 降り積もって いったんだ。




そうして 時は下り。

  積み上がった   無数の 「黒い檻」達

  その「抑圧積み重ね」が   

  とうとう  天まで

          届いて しまった


 いくら 手を 伸ばしても

 届く筈もない と 思っていた  天 まで。



いつ何時 手を伸ばしても 
届かなかった  あの月 いつでも空にあった ひかり

 いつもどこかの 暗く寒い 隅で
 見上げていた  あの あかり に。

小さな塵の様に 積もった「想い」が 

         とうとう 触れたのだ。



 きっと「私」以外の「想い」も加わり
 沢山の「抑圧された想い」が積み上がった
 「黒い檻それ

   「声なき者の 声  想い」


 死体の様に積み上がる「想い」達は
 その都度 私達が
 押さえつけられてきた 「なにか」で
 「想い」で 「チカラ」で

 還元されなかった「エネルギー」でも ある。

 この「世界」からはみ出た 「チカラ」は
 何処へ行って。
 何を する為に  あそこまで
 届いたのだ ろうか。




そうして

 暗い檻に放り込み続けていた 「抑圧それ」を
 一手に 背負った 最後の「私」

 重過ぎる その 荷物を背負い

 しかし 置いて行くことが できなかった

 いつもの 私   そう在った 自分


そして

その 積み上がった 天への黒い檻階段を上り

 「辿り着いた私」 が。

 究極のあの、私 だった。


 しかし
 その 月の光と共に 天辺にあったのは。


     「希望ひかり」では なく

  極め切った 「諦め」と「絶望」 だったけれど。

 


そう そして  でも   

んだ。


 あの おびただしい 数の

 並んでいた    「死んだ私」

  あの 積み上がった 泣いている

  立ち上がれない「想い達」の

  行き着く先 は

  闇夜に浮かぶ  「繋がり」 だったんだ って。


ずっとずっと 長い間。

暗闇の中、檻の中の隙間からでも。

見えていた ただ一つの繋がり


 何故だか ポツンと浮かぶ それ

 それ     だけ が。

 あの時  あの 暗闇の檻の中

 ただ 一つの 「ひかり」として 

 ずっと そこに   在った  から。


 見て いたんだ   ずっと

 もう 届かない 「希望ひかり」として

 何度も 何度も 抱いた それ

しかし

 その度に打ち砕かれ 諦め

 もう 見れない

 見えないと  思っていた その 繋がりは。

 しかし どんな 暗い時代ときでも

  燦然と 暗い空の中に

       輝いて いたから。


 ああ やっと  あそこひかりに 届いたんだ


「良かった」って。
なんだ」って。

すんなりと 思えたんだ。





黒い闇の中

「押し込められた 私」が未だ自分の「なか」に、くすぶるのが分かる。

自分の中で煙を吐くその色を眺めながら、現実を確認するビロードの黒、ほんのりと纏う金色の光。

それを見る事で私の真ん中を確認し、「なかみ」の「辿り着いた私」をもう一度、しっかりと見る。


そう、その「新しい目」で見た、変化した階段、「辿り着いた私究極の私」の隣に燦然と輝く、月。


 ああ やっぱり   なんだ


       「繋がり


そう、「最後の私」が、天まで 届いたことで。

それがきっと「今の私」に繋がり、「パチリ」と嵌ったピースが私をここまで連れて来たのだろう。


 頭の中に 差し込むは  あの 薄黄色の

        美しい  ひかり


そうして齎された「気付き」は、私にまた新しい月の光繋がりを連れて来て。

再びパチパチと嵌まってゆく、小さな黒いピース達。
私の中で組み上げられる、私の新しい、側面。


そう  そうなの。

でも。  だから。 わかる。


  沢山の そんな暗い「私」

  「私達」が いたからこそ

     できる  ことが ある

  積み上がったから こそ

  届いた 「なにか」

  消えなかった  「想い」達


その最後でもある 

  「究極の 私」を 取り込んだ から

               聴こえた こと


その 「月明かり」は 言うんだ。


    『 私達は 転換 できる 』


確かに。  

      そう  なんだ 。


「ブワリ」と、積み上がっていた塵が風に舞い上がり、キラキラと美しく舞う、夜の中。

これまでの「抑圧」「暗色」「闇」「檻」

 その 暗い色達が。

巻き上げられ、宙に舞い、キラリキラリとその「可能性」を煌めかせているのが、わかる。


そうしてそれは、静かに地面に向かって降り、また美しく積み上がって。
経験それ」が、無駄ではなかったのだと。

経験それ」は私の「財産」なのだと、知らせてくれるのだ。


 どんな いろ でも 転換 できる


「やっぱり、そう、だよね………。」


改めて見る自分の「なかみ」。

そうして見ると、沢山の私、その一人一人が経験してきたその財産才能が、に集約されて。

素晴らしい素材が集まっているのも、解る。

私の「なか」に含まれた、様々な新しい色、それは今蝶に変換して「なかみ」に彩りを齎していて。

けれどもまだ、馴染んでいない部分も多く。
それは上手く「生かせていない」という事でも、あるのだろう。

だから
「解きほぐし」「洗い直して」「紡ぎ」「染め直し」「織り上げる」

そう、私が今取り組んでいる工程である。

それを地道に続け、そうしてその、荒さ異色を取り除いていけば。

きちんと「織り上げて」いけば。

きっともっと、美しい「最終的な私」に、なれるんだ。


ボーッとする頭の中、暗い天蓋の下でも鮮やかな色が舞うのが見える。

くるくる、くるくると回り落ちるは美しい羽、沢山の色が降ってくる私の「なか」は、それぞれの色が「その場所」へピタリと嵌る。

未だ精査されていない、暗い色は纏まりを持ってきちんと階段状に収まり、出番を待っていて。

その暗色にキラキラと光る魅力的な色を見て、なんとも言えない気持ちに、なる。


 私の中に 積もる 「想い」

  集まってくる  「なにか」


 新しく 齎された  「繋がり」という

   重要な  匂いのする カケラピース


 組み上げられてゆく  全体像


   わたし は  「なに」で

 「どこから来て」 「どうして」


  「何をして」  「どこへ 行くのか」



目の前を過ぎる景色、見る夢、沢山の色とそれを取り囲む、世界。

  その 大きな「世界」の中での 関係性

 
 大きな 「なにか」の なか で

  漂い  遊ぶ    わたしたち


  「ひかり」  「繋がり」


大きな視点、全体像、フワリと離れてゆく自分

しかし。
そこから見ると、よく、分かる。

その、離れた全体から見る「暗色」は、やはり輝きを放っていて全体の中での大きなポイントになっているのが、わかるのだ。


 そう、その「積み上げられた抑圧想い」すら。

 そのカケラ 一つ一つが 価値ある 

 全体の 一部の 側面で あって。


それが あるからこそ

様々な事象を 多角的に 見 分析して

想像し  選択することができる こと

どの面からも 物事を見て 

「わかる」「寄り添う」ことが できること


そうして。

 集めた 闇からで さえも  

 また

 「新しい光を  創り出す ことが できること」。


キラキラと光り反転する暗色、明暗があるからこそ光る「それ」は物事には「裏と表」がある事実を示している。

その輝きを、じっと見ていると。

その「織り上げる」為に必要なことを今、経験しているのがよく、分かる。


この頃、沢山の所謂「悪いこと」と、言われる物事を見ていく中で。

「起こってはいけないこと」

「そうでなければならないもの」

「そうあるべきでないもの」

そんなものは、なんにも、無くて。


所謂「ルール」「道徳」「常識」「固定観念」
その、全ては。

私達の創り上げた「幻想」である、ということ。
私達人間ひとする為の、詭弁であるということ。

寧ろ その

  「道徳」の反対側
  自分にとって 「見たくないもの」、

 「闇」「影」「裏側」「失敗」
  色んな事が、あるけれど。

  それを しっかりと 見つめることが。

自分の 全体を把握する「鍵」に なること。


どんな 場所でも
どんな 時 でも。


    全てのものが 役に立つこと。



 「駄目なことなんて ない」「悪も ない」

 「全ては あるべきように 起こっている」

 「自分自身が選んだものの 小さな積み重ね」

 「大きな 川の中で ジタバタしている 私」

 「全ての カケラピース

     集める為に  やっているのだ」

 「どんな 色も  欲しいから」

 「が  求める 色は すべて」


 ああ  やはり。


を認めないと  受け入れないと

次へは 進めない


    「なにが 起こっても いい」


 「全ては 起こること が 自然」

 それは 「自分」にとっても
     「他人ひと」にとっても
      なにに とっても。

     すべて。

     同じだと いうこと


その 立ち位置で、いないと。

次の扉は 開かないんだ。

 


 それが。  

    「今」

    しっかりと   わかった んだ。



自分の「なか」に積み上がっている「黒い檻それ」をしっかりと見つめ、「究極の私あれ」を見つけた時の事を思い出す。

そう、あの時も。
究極の私あれが、くるりと魅力的な色に転換したんだ。

   だから これで いい んだ


どっしりと構える「なかみの暗色」をしみじみと感じながら、改めてイストリアに言われた言葉が頭に浮かぶ。


 「君は「赦す」事を、「赦して」行く」

確かに。

 そう なんだ

  「起こる こと を 赦す」 って

     そういうことなんだ


 でも 私は まだ あの時。

     いた が

 解って いなかった

 知っては いたけど

 まだ自分の「なか」に、落ちてなかったんだ。


漠然と広がる、黒の中。

静かに自分を開いて、ただそこに「事実」をあらしめる。

 ただ それを 見ること
 見つめること  

 「事実」が  在ることを 赦すこと

 それは 誰にとっても 何にとっても

    同じである と いうこと

 そうして 

 それぞれが 自分の道 を 進むということ



暫く。

その改めて齎された「気付き」を浸み込ませる様に、自分の全てを拡げながら、ただ。


 「赦す」「ひらく」「受け入れる」

  「時間」 「流れる」  「落ちる」


 ホロホロと 流れゆく  沢山の カケラ

緩々と、自分の「なか」に落ちてゆく色を感じながら。

じっとビロードの中の星を、眺めていた。




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