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9の扉 グレースクアッド
生贄 祭祀 祈りあること
しおりを挟む懐かしい香りを 身体いっぱいに吸い込みながら
じっと座り 考えていた
いや。
考える まで いかないかも知れない。
なにしろ頭の中に「ある」は
あの 「犠牲」になった 「私」
しかし 「犠牲の私」は 沢山あって
女の子 男の子
女の人 男の人
それぞれ 年齢も違えば
性別だって 違う
けれども「どれも」
「なにか」「みんなの」「大きな」「大義の」為に。
死んだ ことだけは わかる。
死んだ 時もあれば
殺された 時も
死ぬだろう という状況で 放置される
死なぬまでも 「利用」され
吸い尽くされ 搾り取られた末 に。
失われた 沢山の 「私」
その どれもに。
在った 「愛」「思いやり」「共存」
「誰かの 為に」「みんなの 」
その 末に 迎える結末
始めは きっと。
「絶望」や「諦め」じゃ なかったんだと 思う
私が見た 夢の中には
辛かったけれど 「今は 解らないだけ」
そんな 「期待」「希望」を抱く 「私」も
在った から。
始めから そうでは
なかったんだろう
しかし。
何度も 何度も 繰り返される「それ」に。
とうとう 「折れる私」が 現れたんだ
どのくらい 続いたのか
続いたのか 途切れ 途切れだったのかも
知れないけれど
なにしろ 私の「容量」を
遥かに 上回りそうな 「死に続けている私」に。
圧倒され 飲み込まれそうに なったけれど
しかし 「今の私」には。
きちんと あった
「希望」「光」「勇気のカケラ」
「………有り難い、な。」
徐々に戻ってくる、濃淡ある「死に続けている私」
それを「心臓の奥」へ染み込ませながら ずっと
考えて いた。
「私達は」 「なんの ために」
「いつでも どこでも」
「そう 在る 」 のか。
夢の中には、「道」を逸れ、「いろんな色」を楽しんでいた私も、沢山いた。
しかし、それを加味しても余りある、この「死に続けている私」の、数。
数える気には、なれないけれど。
きっと 殆ど そうだった
それは わかる のだ。
仄暗い空間に、ポワリと灯った桃色の大きな灯り。
それをただ、目に映しながら。
飛んで来る「ひかり」を沁み込ませることを、淡々と繰り返す。
そんな中ゆっくりと滑ってゆく、私の思考。
「これまでの私」のピースが埋まってきて、パチパチと自分の中で音がする。
「そのカタチ」が見えてくる事によって、知っていることが増えるのだ。
でも ?
「神殿の私」が、始まりの私ならば辻褄は合う気がする。
全てがストンと、落ちるのだ。
きっと私の「真ん中」が。
「そういうもの」「そんな 存在」なのだろう。
なんとなくだけど、そんな気がする。
じっと、自分の手を見ながらそう思う。
「青い私」だって。
「神」に近い、いや、それと同等の純度を持つ「海の観音」の私。
自分の感覚を拡げ、可能な限り「今の私」を拡大して感じた、周囲の情報、それに応じた私の「真ん中」はこうだった。
きっと、その時々により私の「真ん中」も変わるに違いない。
ずっとデヴァイでは「真っ白な光」だと、思っていて。
でも「何色をも含む 透明な私」に、なりたくてその方向へ歩いていた筈だ。
だから。
「海の私」もその中にあった、光の色の一つなのだろう。
「私、って…………。なんなん、だろう………。」
ポツリと呟き、手の中にあるガラスを掲げ、光に翳す。
目の前にある大きな桃色の蓮は、ほんのりと発光していて、とんでもなく幻想的だ。
これが、在るだけで。
この空間が「海底墓地」から「涅槃」へ移行したかの様な、雰囲気さえ醸し出している。
「涅槃ね………行ったことないけど。行ってみたい、所ではあるな………。」
死んだ、後。
行くところ、だよね………?
いや、「場所」じゃ、ないんだけっけな?
「状態」なんだっけ…………?
何やら曖昧な頭の中、ホワホワした気分になってきたからか、余計に頭は散らかっている。
「でも、創るなら。「極楽浄土」、かな?」
「それなら青のホールも、そんな感じになってたな…………?」
あの、出発前に見た色とりどりのスピリット達が舞う空間を、思い浮かべていた。
私 私 と いえば?
謳 祈り 光
色 美しい もの が好き
想い 蝶 石
込もる もの たち
「うーーん。どれも、素敵………。」
自分の想像に、満足して良い香りのする空気を胸いっぱいに、吸い込む。
美しい 景色
最高の香り あの 「全部を含んだ 匂い」
心なしか。
あったかく なってきた し?
座り心地も 快適
岩肌 は どこ?
まあ いいか
「 わたし は
ちいさな ほし 」
そうしているうちに、想像のスピリットや花達が私の「なか」で謳い始める。
「みんなで 瞬き 合う 」
一緒に口を開け、謳い始めた私の耳に、同時に届いた声。
いや「音」か。
兎に角「それ」は、特別な、音色だったから。
いつの間にか閉じていた目を、ゆっくりと開いていった。
夢見心地の、まんま。
えーー。
不満は、無い。
この目の前の、美しい、景色に。
でも。
うん まあ うん
頭の中は、思考停止状態だ。
しかし、なにしろ桃源郷か極楽浄土かという、その変化した景色に、私の開いた口は暫く、塞がらなかった。
えっ さっきまで。
「海底墓地」の「地獄絵図」……いやそれは
言い過ぎか?
でも そんな感じ だった よね???
暫くその、空気に酔っていたけれど。
少しずつ動き始めた頭は、ゆっくりと首を動かすことを、まず始めた。
そう、この幻想的な景色を端から端まで、しっかりと目に映そうと。
ぐるりと首を回して、眺め回していたのである。
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