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9の扉 グレースクアッド

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 さあ どうする


そんな色を発しながら、揺らめく闇はカタチを成してはいない。

ある意味「揺らぎ」にも似た、その色を見つめながら私の頭はやや明後日の方向へ漕ぎ出していた。



これ」って。

なんなん だろう

 「いけすかないやつ」と  おんなじ だけど?

 あの 「出ようとしていた」やつ、だよね??

 で?

 あの 礼拝堂 の  靄 とも


    同じ ?   うん  同じかな


   靄 ?   黒い  うん?


ん?  あっ 私の蝶は?!

 ここに居るって ことだよね………?


 待てよ ? よく わかんなくなって きた な?


  「出ようとしていた もの」
 「いけすかないやつ」
  「礼拝堂の 靄」


自分の中で、それぞれの色を展開してみるが「色」は、違えど。

「質」は、同じなのが分かる。


 うん  じゃあ それはいいか。

 え? なら 蝶は? どこ??

いや でも   まだ出す気は無いみたいだね…

なにしろ  この 「こたえ」を

 出さねば。


 ならぬの だろう な??

 
じっと、見つめている間にもその「揺らぎ」が変化しているのが、分かる。


「神か なにか」だと、思っていた、もの。

圧倒的な、存在。

あの、どれもが「強大な なにか」に見えていた以前と違って、不思議と恐怖は感じていない。


「青い私」に、なっているからか。

それとも「ここ」だからなのか。

それは、分からないけれど。


なにしろ多分  「あれ」は。

 に 近い な?


私の中で一番それに近く思えるのは、以前夢の中で、ぐっと迫って来た、あの「純粋な想い」だ。

「寂しさ」だったか「興味」か。
その二つが混じり合っていた「あれ」は、人の感情そのもの、純粋な「想い」の一種だったと思う。

「あれ」は、「想い」で人間ひとでもないし、物でもない。

 しかし、そのゆえに。

ある意味「今の私」にも、近しいものだと、解るのだ。


 ああ 


そこまで考えると、また堕ちてくる「納得感」、自分の「なか」が変化するのが解る。


 「揺らぎの様な 闇」

 「海の観音今の私

 「純粋な 想い」


その、種類、存在のカタチは違うけれど。




  「 同じ 純度 」を 持つ のは わかる


   
    「 神 」

    「 真ん中の 私  」

    「 人でも 物でもない 

     人間の 純粋な「感情」 」


が  意味  する  こと とは。


「こたえ」が出そうな気がして、深い青を目に映す。

深海の仄暗さ、満ちている「すべて」、どの存在とも隙間の無いこの空間には、必要なヒントも全て「この中」に在ると教えてくれている様だ。


そう この 「存在」が充満する 空間 で。

青い水の動き、暗い靄、「揺らぎ」はどちらも「等しく」。

そこに、ある、ものだ。


    溶け込め   探せ

         「こたえ」 は。


   きっと  この  「場」に

      存在する 筈だ




頭にあった全神経を身体、周りに集中させ、再び「ブワリ」と触手を伸ばす。

そうして拡大すると。
「ポン」と降りて来た「約束」。

約束それ」が、自分の中にカチリと嵌った。


    「必ず ここへ 戻る」


約束それ」は。

姫様と闇の神が、過去に結んだ、約束。


 「闇の神」
        「海の観音」   「小さな私」

   「純度」  「想い」

  「混じり気の 無い」   「それ そのもの」


    「同等」    「神 とは」


  「光」   「わたしたち」


     「存在」


  「在りよう」   「在り 方」


            「賭け 」




ゆらり、ぬらり、ひらひら、きらりと。

深い青、紺と深緑が混じり合う、揺らぎの中。

小さな光と共に、思考のカケラが水中に浮かび、堕ちてくる。


「うーーーーーーーん?」

くるくると堕ちてきた「本当事実」のカケラ、並んだピース。

は。

私 に。

  なに を?

  示し たい?

  言いたい?  選ばせ たい?



「いや、待てよ?そもそも不老不死は?無いの?石は?姫様の代わりに私がそこに座ったら、姫様持って帰れないじゃん。え?まさか………?」

二人が、持って帰る………訳じゃ、ないですよね、はい。


一瞬だけ色が変わった紫を見て、ぐるぐるを止める。

じゃ、ない。
流石に。

じゃあ、闇は。

一体、私に何をさせたいの??


 私に何を  選ばせ たい の?




  「解放」


その時、ポンと浮かんだ言葉。

確かに。

私は「解放」も、するんだ。

 えっ

姫様解放、するの??

てか、ホントにこの下、なにかあるのかな………。


「揺らぎ」が動かないのを確認しながら、ゆっくりと背後へ回ってみる。

「うーーん?」

なんも、見えない。

でも、多分。
ある。

「なにか」は。


「解放」するのは、なんなんだろうか。

「姫様」?それとも下にある「なにか」?

ていうかこの人が「選べ」って、言ってるのは。

「私」か「姫様」、どっちかが。

「ここ」に、座れって、ことだよね………。


私が、ここへ代わりに座る事はできない。

それなら?
姫様を、置いて行く?
何処に?

そもそも不老不死、どこ?
何?


ぐるりと辺りを見渡してみるも、同じ景色が続くばかりだ。

遠くの方は、暗くて見えない。

手前の闇は「揺らぎ」を揶揄う様に、ゆらゆらと揺らしているし。

なんだかやっぱり「いけすかない」。

それに、最後に降ってきたカケラに気になるものがあった。

「賭け」だ。


 なにを 賭け て  いるのか

 そもそも 私たちは 

 賭け られる 様なものでは ない よな?


始めに「まやかし」だった青、悪戯な雰囲気、「神」と言われている存在、と私達の関係性とは。


ここは。

   「わたし」の 大切な局面だ



沢山のピース、いつもならばこんがらがる筈の思考。

しかし「大事な局面ここ」で選択を間違える訳には、いかない。

とりあえず握っていた手を離し、腕を組んだ。
本気でしっかり、考えるんだ。


「今の私」が、、私で。

選ぶ、「最高のこたえ」は、なんだ??


降ってきた一筋の光に目を閉じ、瞼にそれを感じながら真っ直ぐに考える。


そう、ごちゃごちゃしなくていいんだ。

「正しい」でも 「間違い」でも なく


 「ありのまま」 「単純な」私で。

 パッと、浮かんだ「こたえ」で  いいんだ。


それなら?

なんだ??



頭の中に充満する深海の水を、一気に「浄化」し「純化」し、「私の水」にして。

凪いだ空間を創り、パッカリと自分を拡げる。

 「なんにもない けど ぜんぶ ある」、

私の場で。

 「こたえ」を 見るんだ。





 でも、さ。


単純な私の「場」には、ひとつしか「こたえそれ」は転がっていなかった。


 「解放」する、なら。

 やっぱり 退けちゃえば よくない?

 姫様も 座らない

 私も座らない

 それ 即ち。


「はい。どちらも、ここへは残りません。」


パッチリと開いた目で、真っ直ぐ、その正面にある「揺らぎの様な闇」を、見つめて。

はっきりと、言ってやった。



 「  本当に  いいの か  」


少し、変化した音。
何処かで聞いた、このセリフ。

その言葉を聞いて、ピンときた。


「これ」は。

私にとって「他の色の私」を取り込む時に、聞く言葉だからだ。


 「いいよ。どんと、来いだよ。」


そう、答えた瞬間。


「ブワリ」と拡がった闇、それに吹き飛ばされた姫様と、開いた「穴」。

その、中に。

私は、すっぽりと放り投げられたのか、吸い込まれたのか。

なにしろ突然、真っ暗な闇の穴の中に、飛び込むことに、なったのだ。










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