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8の扉 デヴァイ

星の祭祀 全てに 届け

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     「  お願い 全ての  存在に


              届いて  」


真ん中にあるのは 「それだけ」。

その想いだけで、いい。

とりあえず思い切り袋を振りながら、空を見上げて、いた。


やりたいことは、沢山ある。

繋ぎたい想いも、治したい畑も、満たしたい、一つ、一つのコップも。

沢山、沢山、あるんだ。


 私の世界
 ティレニア
 その 前の謎の扉たち
 ラピス
 グロッシュラー
 デヴァイ
 
 何処に繋がっているのかも わからない
 その 次の扉さえも。


巻き込んで、「すべて」を繋いで。


  なに で 繋ぐ?

   多分  きっと  「光」だ。


何故だかを「知っている」私は、躊躇いなく自分の「なかみ」を探り「光の縁」に問い掛けていく。

 どう すればいい?

 でも だよね?
 
 が。

       もの って。

       よね??



そう 私が 繋ぎたかった ものは。

あの 美しい景色から
みんなの 何気ない笑顔まで

大きなものから 小さなもの まで

 そう 「ぜんぶ」まるっと  「ひとつ」で。


それも あれも どれも  これも。

 どれが 一番 とか

 なにが どう とか なんにも なくて。

 みんながみんな 一番大事な もので。


そう  世界は 

 全てが完璧な 

     美しい光 の  ピースの 

           集まりで  できていて。

だから こそ。

   一つが  欠ければ。


   全部が  歪に  見えるんだ

    全てが  どこか 足りなく なるんだ



 綺麗事かも 知れない

 平和な世界で育ってきた 私だけの 夢かも
 
               しれないけど。



 「でもさ、これ、私の。道だし。私が、決めていいし。」


 「だから。に、に。光を、撒くよ。星を、降らすよ。それが何にも。ならないと、しても。」


 「それだけは私の。自由、だから。」


そう、分かんないこと考えたって、しょうがないんだ。

私の脳みそなんて、たかが知れてる。
だから。

今、分かることだけでいいんだよ。


そう、だって世界は、こんなに。


       美しいん、だから。




ぶち撒けたガラスのカケラが空に舞い散り、方々へ流れて行くのが見える。

その、幾つかが反応して光るのが、ここからでも見えて。

きっと、チカラの強さや光の色なんかも関係あるんだろう。
でも、きっと。

空を、見上げて。

感動、してくれた分だけ、光は降りるし星も流れる。

そして、その一つ一つの、「小さな光」が。

また、私が繋ぐ「光の縁」のチカラにも、なって。


「うん、いい感じ。かなり、予想、以上。」

目を瞑って島全体を感じてみても、あらゆる所に鮮やかな「色」が、発現しているのが分かる。

そのうちの、どの位が手元に「ガラス」として残るのか、それは分からないけど。

「願った」、分だけ。

「想った」、分だけ。

残って、この後も光を、力に。
変える、手伝いができればいいとは思う。



さて、この島にかなり星は降った。
みんなのお陰で、光も充分、蓄えられたし。

きっと畑は、甦るだろう。

でも、他の世界はどうだろうか。


そのまま意識を拡大する様、意図して更に自分を薄く延ばして行く。


 浮き上がった様な 感覚

 あの時 見えた  黒い地図 光の色


あれは。デヴァイ?かな?

しかしなんだか何処かで見覚えのある、配置だ。
他に何処かで?
見た事が、あった??


 「えっ。」

つらつらと浚ってゆくは自分の「なか」、しかしその、「なか」で。

その図形と、似た形のものが一つだけあった。

それは。

この旅の、始まり。
あの、白い部屋の扉の位置だ。

「えっ、嘘でしょ?繋がってるの?ん?…………まあ、は、いるんだよね………どういう事?」

しかし、意味は無いのかも知れない。

とりあえず今、考えても分からないだろうと自分の「なか」から出ようとした時、ピカリと光るものが見えた。


 えっ、あれ

  デヴァイの   「あの場所」かも


青銀に薄ら光る、その場所は銀の区画の、奥。

あの極彩色の地図には載っていなかった、「長がいるであろう」空間だ。

 なんで?
 光が?繋がったから??

 大丈夫なの?
 まさか、シンとあの人になにか
 あったんじゃ………


自分の「なかみ」がブワリと迫り上がるのが解り、とりあえず落ち着く様、胸に手を当てる。

 駄目だ

 まだ 私は  祈りの 謳の  途中


深呼吸して、「後で 行くから」そう自分の中に言い聞かせ、目を開け辺りを見回した。


「へっ?」

「お前、何処まで行っていた?まずい。とりあえず気焔を呼べ。」

本部長の指し示す方向に目を向けると、向こう側の空がなんだか明るい。

しかも、「赤く」。


 嫌な 予感


蘇る雨の祭祀の記憶、各所から上がる炎と人々の叫び声。
あの、時も。

空は暗く暗雲が立ち込めて、赤が沢山見えたんだ。

「えっ、いつからですか?なんで?今回は大丈夫なんじゃないの、、、」

「判らん。しかし変化してそう、経ってはいない。だが気焔が飛んで来ない所を見ると、そう危険は無いかもしれん。が………。」
「いえ、分かりました。「気焔?」」

腕組みをして考え込む本部長、しかし私に「呼ばない」という選択肢は無かった。


そうして名を呼んだ瞬間、待っていたかの様に。

目の前に現れた彼の、その焔を、見て。

 私は「何が 現れたのか」を 悟ったのだ。



きっと直前まで迷っていたのだろう、しかし私に「行かない」という選択肢が無い事を瞬時に理解した金色は、そのまま私を抱えて跳んだ。


「大丈夫?いつ?出た…の?」

「いや、徐々にだが。はっきりとしたのは、先刻。しかしまだ大抵の者は気付いていまい。」

「そう…………」

確かに、向こうの神殿が近づくに連れ。

空は赤く染まれど、地表はそう変わりない様にも見える。
舐める様な視線を灰色の大地に下ろしながら、貴石、造船所、館と異常が無いことを確かめながら進んで、行く。


そうしてやっと目に入る、夜の気配が未だ濃く降りる、前庭の池。
そう、時間は経っていない筈だ。

しかし、気だけが逸るのと、黒い想像が浮かんでは打ち消す自分の中では、かなり時間が経った気がしていた。


近づくに連れ、人々がまだガラスを手に興奮しているのが見える。
少し安堵し、見知った顔を探そうと空から探り始めるけれど、遠くに色が固まり集まっている為見えにくいのが難だ。

でも。

とりあえず、みんなは大丈夫。

一呼吸おいて、赤く染まる空を真っ直ぐに見た。


これで、終わる訳がない、私の「なかみ」もそう言っていて。

とりあえず、速度を緩めた金色の光に包まれながらも「それ」を確認し始めたのだ。













 
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