723 / 1,684
8の扉 デヴァイ
星の祭祀 ある意味 準備
しおりを挟む気になることは、沢山あった。
「長のこと」
「繋がった 光」
「ディディエライト 」
「女性の参加」
「ガラスの 範囲」
「 」
でも、それもどれも、みんな。
きっとこの「祈り」が届けば、満ちれば、行き届いたならば。
「変化」して、なにかが繋がり新しい扉が開かれる事が何故だか分かっていた。
そう、多分、祭祀が終われば「なにか」が「見える」事だけは。
知っていたのだ。
「なんか、この面子って珍しいですね。フフッ」
「フフッ、じゃないだろう。」
そんなやり取りをしながら、旧い神殿脇を歩くのは私とウイントフークだ。
今回、こちらには二人、のみ。
勿論、色々言われたし、散々心配もされたんだけど。
アリススプリングスはアラルの側にと、私が提案した。
勿論、今回も一緒に祈って貰い、なんならアラルが星を降らせた事にして貰おうと思っている。
知ってる人は、知ってるけれど「私が」こっちで祈っている事は、基本的には内緒である。
秘密の作戦ぽくて、いい。
ラガシュは本部長に却下されて、ハーゼルも同じく。
レシフェだけは迷ったけど、圧倒的に向こうにいてもらっ方が安心だ。
最後まで粘ったのが意外にもブラッドフォードだったけど。
「集中できない」という、私の一言で本部長に速攻却下されていた。
なんだか可哀想なくらいだったけど、仕方が無いとも、思う。
この頃あの人は意味深な瞳で、見つめてくる事が多いから。
あれを止めてくれれば、いいんだけど。
そうして本命の金色は、迷ったけれど向こうに居てもらう事にした。
今回、シンはいない。
でも、あの黒の廊下を走った時から私はなんだか「あそこ」と繋がった気がしていたし。
ぶっちゃけ、今回の祭祀について「気になること」はなくもないが「不安」は、全く無かったのだ。
なんでか、分かんないけど。
そうして私と離れる事が決まっている金色は、昨晩タップリと栄養を補充しに来ていた。
部屋に入るとすぐに私を懐に入れた、金色。
私は、と言えば。
この頃解った、ぐるぐるのなかみをその、腕の中で。
ポツリ、ポツリと漏らしていた。
「あの、ね?この頃ずっと、ぐるぐる、ぐるぐるしてたでしょう?それでね………」
「結局。なんか色んな事が複雑で、訳わかんなくなって、でも全部が全部、大事でも、あって。自分でもなにに悩んでるのか、悩んでいるのかどうかすら、分かんなくなってたんだけど。」
「でも。なんか、「生きる」って。「生きてる」って結局、そういうことなのかなっても、思って。複雑で、訳が分かんなくて、面倒くさくて、厚みがあって。でも、だから楽しい。」
「でもさ…………やっぱり、もう揉めるのが嫌で。人が傷付け合うのが嫌で。この、繰り返しを止めたいと、思ったら。「気付く」には。………結局もう、このぐるぐるを全部纏めて、ポイして、「祈れば」。いいんだろうなって。」
「そうすれば、きっと。「わかる」のかも、って思ったの。黒の廊下を、「そのまんまの私」で、走って。」
腕からの温もりが、熱くなってきて気持ちいい。
それが、返事な気もして、そのまま漏らし続ける。
「これまでずっと、やってきた色々なこと、重たいこと、悲しいこと、楽しいこと、どれもこれも、一枚一枚、全部。剥いて、剥がして、捲っていって。」
「結局、「真っ新な私」に、ならないとすっきり祈れないし、謳えないし、きっと次にも、進めないんだって。解った、の。面倒くさいけど、大変だけど。「必要なこと」なんだ、って。」
チラリと見上げる、金の瞳はただ優しい焔を湛え揺れている。
それを見て。
明日の為に、自分の為に、「言っておきたいこと」がないか、と再びなかみを浚う。
「真っ新な 私」に なること
「本当の こと」「本当の 私」
きっとそれって。
同じ、だよね?
無言で見つめて、みたけれど。
じっと無言で見つめ返す金の瞳が、やけに美しく見えるから、いけない。
…………あれ?
急に、青を纏い始めた彼の焔、「あの時」の溢れて止まらない様子が思い出されてワタワタと一人、焦る。
「どう、した?」
えっ
やめて 今 それ?
少し首を傾げ、節目がちに問い掛けてくるその様子は、わざとやっているのかと思う程私のツボにはまってくる。
「うっ 」
堪え切れずに「ブワリ」と漏れ出す星屑、勢いよく溢れ出すそれに何故だか楽し気な金色。
何故だ。
あなたの、所為なのにっ。
「ねえ 」
「補充しに来てくれたんじゃ、ないの?」そんな目を向けて、睨んでみるがそれもまた楽しそうに眺める金色。
その、色を見てまたボロボロと溢れ出す星屑、ウエッジウッドブルーの部屋は早くも金と青の光で埋まりそうで、ある。
えっ ねえ
これ もしかしなくても スピリット
くる よね?
え? そこ で?
チャージ?? 注ぎ込まれちゃう わけ???
それはちょっと、勘弁して欲しい…………。
そんな私の顔を読んだのか、抱き寄せる腕、口を塞がれる前に見えたのは瞳に揺れる強い、焔。
ああ そう だよね
彼だって心配してない、訳じゃない。
私だって、寂しくない訳じゃ、ないけど。
でも「繋がっている」からこそ頼める、自分の見えない範囲、きっと「望む様にしてくれる」事が分かる、有り難さ。
注ぎ込まれる強い金色に、全身が気持ち良く痺れたところで。
一度、身体を離された。
なんで、分かったんだ、ろうか。
「ありがとう。」
「なんの。」
私に言わせてくれたのだろう、再び近づいて来る金の瞳に抗いようはなくて、また目を閉じる。
少し笑った、その笑顔が目に焼き付いて。
自分の「なか」にポッと灯った炎は彼を刺激して、また熱い色が流れ込んでくる。
なんだ、ろうな この感覚………
もっと探ってみたい、気はしたけれど。
明日は祭祀だ。
なんか。
とりあえず、後にしよう。
もし疲れて?祈れないと困るし?
イチャイチャし過ぎて、離れたくなくなったら…………困る し
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
「五月蝿い。もう、寝ろ。明日がある。」
「…………分かってます、よ。」
この、勝手に乙女の思考を読むのは如何なものだろうか。
でも。
繋がってると、伝わっちゃうんだろうけど。
え 繋がって
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
「阿呆。」
失礼な。
しかし、金色が言うのも尤もである。
とりあえず、明日はゆっくりでいい筈だけど。
まあ、色々、準備…………って
なんか あったっけ な…
しかし、やはりなんだかんだ、疲れていたのか私の頭はそれ以降、働くことなく。
そうして、いつもの様にいつの間にか。
眠りこけて、いたのであった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる