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8の扉 デヴァイ

ラピス 光、チカラ、見える化するもの

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キラキラ、綺麗な、もの。

 チカラ  光

   まじない  それぞれの いろ

   
みんなが 持ってる  自分の?

      「いろ」


 でも。

 「見えない」から?


 「ある」って。

信じられない、のかな?

まあ、確かに。

「見える」と、いいし。
おまじないみたいに、手元に何か石とかあると、いいよね………。
きっと「それ」があれば、見る度に嬉しくなる、みたいな。

でも「石」を配るのは多分、駄目なんだよな…。
流石にそれはちょっと………早い??

もっとみんなが………なんだ、認識が変わってからだよね…。


だから。

あんな  綺麗な  美しくて 

心 弾む  よう な?

キラキラしたもの  うーーん


絶対、「出てる」んだよ。
みんな。

きっと、何かに夢中になってる時とか。

好きなことをしている時、熱中している時。
真剣に、料理をしている時かも知れない。

それはきっと、人それぞれ違う筈だ。

を。

「見える化」?

見せ たい のか。


「うーーーーーん。でも。「光を見せる」に、近いよね………。で、それぞれのチカラはちゃんとそれぞれの「なか」に、あって。それを実感してもらう為………いや、「為」じゃ駄目なのか?うん?もう、いいんじゃないとりあえず。えっと………」

「だから?そう、「それ」を降らせて、「それ」を受け取って「それ」が、手元にあることで。「スイッチ」みたいになれば、いいんじゃ、ない?それで何かに熱中してる時とかに「カチッ」とスイッチがキラキラを漏らす、みたいな??………うん?ダメか??」

でも。

「自分にも できる」って。

思って欲しいんだよね………。

だって。

それが 「本当」だから。


「だから証明したいからとかじゃなくて良い方にみんなが顔を上げる為にやっぱりキラキラを降らせる、いや星を見せる、うん?星は………「見える」なのか、流れるからそれで自然に………うーーーん。」


「………終わった?」

「はっ!ごめん!」

ブツブツ言いながら、くるくると。

歩き回っていた私を、じっと見つめている瞳が六つ。

しかしなんだか紫は笑いを堪えているし。

ヨークの灰色の瞳は、ただただ、優しい。

そんな中、ロランの青はとても澄んだ色で私に問い掛けて、いて。

「君の中身を聞かせてよ」そう、言われている様な、気がした。


その色を見て、とりあえず二人を手招きして手近な場所へ座る。
何かの箱が椅子代わりになっている、作業場の一角だ。

「………あ、の。」

この際、極彩色は放っておく事にした。
多分、向こうで聞いているだろうから。

二人の楽しそうな瞳を見て、なんだか私も笑顔になる。
基本的に、職人は好奇心旺盛だと、思う。

きっと、私がまた「おかしなこと」を言うと思っているからだろうけど。


「お二人だから、言いますけど。あの、………自分達が作業中、「なにか」が出てる、って。気付いてますか?」

顔を見合わせる、二人。

しかしヨークは首を振って、再び私を見た。
ロランも心当たりは無い様子。
やはり自覚は無い様である。

でも、私だって。
自分の瞳が変化している事に気付いたのは、今だ。

そう、「世界」の「見え方」は、いつだって、如何様にも。

変わってゆくのだろう。

例え今は、見えなかったと、しても。


チラリとロランの花器を見て、染み込んだであろう、色を見つめる。

あのキラキラは赤が多く、舞っている色は黄色味が強かった。
しかしその色付いた花器は鮮やかな夕焼け色で、青味が多いロランの作品には珍しい色合いだ。

私がいない間に、彼にも変化があって。
きっと、彼自身の幅が拡がったのだろう。

そうやって。

みんなみんな、少しずつ、変化して。

「変わってゆく」のが、自然なんだ。

それに。

自分の手の平を見て、ギュッと握り、また開く。
意識すると小さな星屑がホロホロと、微かに空気に溶け込むのが、分かる。

そう、いつだって、ワクワクしている時。

楽しみが私を待ち受けていると知っている時、自分の「真ん中」が、全力で走っている時は。

小さな子供の様に、「なにか」を撒き散らしている自信が、あるのだ。


を。

「見える化」、する?

どう、すれば。

一番、いいだろうか。

目に………細工………は無理そうだな?
それに人数が多いと、キツい。

でもこの二人に見えれば、多分みんな見えるかも知れないよね?
この二人はまじない、強そうだけど…。

キラキラを。

「具現化」、する。


「うーーーーーーーん??????」

無意義に、工房をぐるりと見渡して、いた。

其々の作業場、極彩色の髪、まだ紅く燃える炎と、キラキラ光る、ガラス。

…………うん?

あれ………は………ウイントフークさんの所の、クズ石みたいな、ものかな??


ヨークの作業場の端に、無造作に積まれた箱。

その天辺からは、キラキラと光るガラスの破片が顔を覗かせていた。

「あの、あれって………?」

私の視線を追って、ヨークが振り向くと「ああ」と答えてくれる。

「あれをどうしたいんだ?あれはもう、商品には使えないものだ。」

「あれって、貰っていいものです?ちょっと試してみたいんですけど…。」

怪訝な顔をしながらも頷く灰色の瞳を確認する。

そうして座っていてくれる様、手で示し一人でガラスの箱へ向かった。


「ふむ。なかなか………。」

とりあえず一掴み、そうっと持ってチカラを通す。
そのままだと、切ったりすると危ない。

丁度小指の先程度の、小さなガラスの破片。
それにチカラを薄く、通して丸い粒にし用意が出来たと二人の元へ戻った。


「さて。」

何が始まるのかと、興味津々の二人。

だが、私は二人の作業を中断させているのだ。
あまりゆっくり試すのは気が引ける。
本当ならば、作業をしている時に試したかったのだけど。

でも、お互いが見える方が成功した時によく分かるだろうと、思ったのだ。
そう、私の企みが成功したならば。

二人は、お互いが「キラキラしている所」が見られる筈だ。


私の手の中に、視線が集中している二人。

まだ、それは握られたまま。
とりあえずは考えながらも、口を開いた。

「あの、お二人は。作品を作る時、何を参考にしますか?イメージするものは?絵とか、景色とか、ですかね?」

私のその質問に対して、少し考え始めたロラン。
しかしヨークはすぐに、こう答えた。

「俺は大体があの辺りだな?中央屋敷のタイルや、あの道。森への景色なんかも、いい。」

「成る程。確かに青が多いですもんね………私もあの白と緑、空の青の組み合わせは最高だと思います。」

「僕は冬の祭りかな。」

「えっ。そうなの?」

「他の作品を見るとやっぱり刺激になるよ。ほら、一般の人も作るだろう?思いもよらないデザインとか、材料とか。やっぱり、人柄が出るのも面白いし。」

「成る程、成る程………」

そんな相槌を、打ちながら。

話に盛り上がる二人を見つつ、自分の手の平に意識を集中させる。

そして、ヨークの話にロランが手振りで答え始めた時、グッとチカラを込めてパッと手を、広げたのだ。


「えっ」「おぉ?」


う  わぁ…………

何これ 思ったより、綺麗………。

二人に見えない様、手を背後に回してパッと、広げたから。

いきなりキラキラと自分達の周りを舞い始めた「なにか」に、驚きながらも喜ぶ二人。

そのキラキラを捕まえようとして、二人ともくうを掴んでいる。
そのうちロランが一つ、捕まえた様でそれを私に見せてくれる。

「ほら。なんだろう、これ。でも………。」

そう言って言葉を切り、じっと私を見つめるロラン。

流石に。
私も、この場で誤魔化そうとは思っていない。

それに。

この、キラキラは。

「………これは多分、二人の漏れたまじないに反応して、光るんだと思うんですよね…。」

「「まじない??」」

驚いた様に目を見開くヨーク、ロランは私のチカラか何かだと思ったのだろう。
意外そうな顔をして、手の平を見ている。

まだ空中を舞う幾つかのキラキラ、床に落ちた分は既に光を失い、ただのガラスに見える。

多分「光るだろう」と、思って飛ばしたけれど。

これって、なってるんだろうか。


チラリと確認した、紫の瞳はそっぽを向いている。

自分で考えろという事だろう。
それに。
多分、私が既にか。

私の思い付いた「こたえ」で、合っていると、いう事だ。
あの反応を、する時は。


えーーー。
化学反応?
いやいやいや まじない だし??

そもそも化学反応なんて言われても、原理が分からない。
そうじゃ、なくて。

世界は。

もっときっと、単純な、筈よ。

そう、それこそ子供でも、分かる様な。


世界の、しくみ。

チカラの、しくみ、とは。


ふと、視界を灰色の髪が横切りロランが床に落ちたガラスを拾っている事に気付く。

ヨークも舞っているキラキラを目で追いながら、床に落ちたガラスを手に持っていた。


あ、そっか。
二人に訊けば、いいんだ。

そう、すっかり「見せる」事だけを果たしてスッキリとしていた私は、それを思い出して可笑しくなる。

そうして二種類のガラスを確かめている二人を、前に。

腕組みをして、質問する事にしたのだ。







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