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8の扉 デヴァイ
世界を保つもの
しおりを挟むっ、て??
ちょっと、待って??
いや、いや。
待とうか、うん、大丈夫大丈夫
ここには 私 しか
そう 私しか?
いない し????
うんんん????
ゆっくりする筈だった揺り籠の中で、齎された思いもかけぬが納得の、情報。
「全ては 愛」
「世界のバランスも」
「全ての繋がりも」
「あの世界 この世界」
「石」 「人」 「動植物」
「生きとし生けるもの」
「全て」 「全部」
「チカラ」 「エネルギー」 「まじない」も?
きっと? そう だよ ね???
ぐるぐる ぐるぐる と廻る なか。
落ちているのか 漂って いるのか
くるくると 回って?
いる のか
うーーーーーーーーーーーーーーーーん????
「えっ、でも。待って?」
なにしろ。
全部は、愛で。
その、愛が、足りなくて。
どこの世界も、バランスを崩して、いて。
え?私の世界も??
でも。
そう
かも。
だって。
起きた事柄は、違っても。
「なかみ」は、殆ど。
同じ だよ ね????
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん?????
「「なにを そう 唸る」」
あっ
久しぶり だね??
聴こえてきたのは あの 音
頭の中に響くは 心地良い 鈴の音か
それとも。
いやいや、揺り籠の 声よ、声
「うん…………。なんか、びっくり。しちゃった。」
頭の中を、そのまま洩らす。
多分、口に出さなくとも。
聴こえる んだ、ろうけど。
「「 なにを 驚く 」」
「「 それ は 万物の 理 」」
「いや、まあ、そう、なんだけどさ…………。」
「なんっか…………」
「そもそも論、過ぎて…………」
「解決策、が ?」
「わから、ない?見えない?………いや、ある、よね???」
思わず尋ねる。
きっとなんでも知っていそうなこの、揺り籠に。
しかし暫くの、沈黙。
その間にも、心地良い音、揺らぎ、流れは絶え間なく続いて、いて。
もう、なんなら全部、放り出して。
ゆったりと、この空間に。
解け込んでしまいたい、気分なのである。
そう思って、長い息を吐き、ふわふわとただ、揺られていた。
「「 それで 善いよ 」」
ん?
なに?
えっ?
「いい、の???」
勢いよく起き上がったつもりだが、ふんわりと立ち上がった自分に蹌踉めく。
傍らの透明な石に手をついて、再び顔を、上げた。
「「 見た だろう 」」
「「 言われた ろう? 」」
「「 知った だろうに 」」
え?
なに を??
「「 かえる ことは できない 」」
「「 できるのは かわる こと だけ」」
「「 わかる こと だけ 」」
「「 知る こと だけ 」」
「「 自ら 経験 すること だけだ」」
それを、聴いて。
私は、口を開けなかった。
頭の中も 止まるしか、ない
何度 何度も 繰り返して
知って 解って 解った つもり で。
でも やっぱり。
「変えたい」「変えなきゃ」と。
思って、しまうこと。
ぐるぐる、ぐるぐると回る思考、しかしこの子は
優しい音を、奏でてくれる。
「「 そういう ものだ 」」
「「 人間は 」」
「「 だから 」」
「「 美しい と 知った ろう? 」」
うん。
確かに。
そう
だけど。
自分の馬鹿さ加減に、力が抜けて再びフワリと横になる。
「あーーーーーーーーーあ。」
声も出して、みるけれど。
「なんだか、なぁ。」
「なんなんだか、なあ?」
「ねえ?」
「もう……………」
「嫌になっちゃう……………」
愚痴くらい、言ってもいい。
転がってもいいし
泣いても いいんだ。
そうやって。
前に。
少しずつ でも。
進むの だから。
「なんだか、なぁ……………。」
相変わらずの自分に、少々嫌気がささなくもないが、放り出す訳にもいかない。
それに。
これが、私 だし。
こうやって、もがいて、足掻いて、ジタバタしている私だからこそ。
あの、金色だって「いい」と言ってくれたんだ。
急に燈った、その焔にポッと顔が熱くなりあの色の凄さを再認識、する。
両手で頬をピタピタと冷ましながら、揺ら揺らと漂っていると再び音が降ってきた。
「「 何事も あるが ままで 」」
「「 それで 善いのだ 」」
「うん?」
そのまま、で?
いい?
まあ、よく言われるけど………。
私は。
何処へ 行っても
結局の ところは。
「そう、言われるんだよねぇ………。」
変わりたい
変わらなきゃ と。
思わなかった、訳じゃないけれど。
「…………うーーーん。結局。どっちが?…………いい、んだろ………???」
プワプワと揺られながら、ウンウンと唸っている私に、ご立腹だったあのピンクが。
答えて、くれた。
そう、「確かにそれだ」という、答えを。
「あのね、人間は。すぐに「良い」「悪い」にするから、駄目なのよ。どっちかとか、分けるんじゃ、なくて。「愛があるかないか」、でしょ。」
「はっ?!」
確かに??
「無ければ依るが、撒けばいい。」
「えっ。」
なんだか、水を撒くくらいの勢いで言ってますけど………?
そう言ったのはクルシファーで、そのまましれっと光っている。
「えっ、まあ、そう、だね??みんな、じゃあ手伝って、ね??」
「まあ、それはね。」
「お安い御用。」
「任せて!私に。」
「姫様、補給を忘れてはいけませんぞ?」
「 」
「それが私達の本来の仕事ね。」
一人無言のハキ、「補給」と言っている宙はきっと「あのこと」を言ってるのだと、思うけど。
「う、うん。じゃあ、とりあえずは次の祭祀で、頑張ろうか…………。」
そう、返事をしてまたふわりと、この空間に寝転んだ。
大分消耗したと思ってここへ来たのに。
また、新たな情報が齎されたからだ。
でも。
それはこれからの私にとって、とても重要なことでは、あったのだけど。
何処からかコポコポと上がる泡、時折過ぎる光は橙から白金まで、お日様に似た色が透明な壁を通る。
もっともっと、光が降って空が沢山現れたなら。
ここもまた、変化するのだろう。
ずっと前の「豊かだった」という頃は。
どんな景色だったの、だろうか。
そんな事につらつらと想いを馳せながら。
いつもの様に、ウトウトとこの揺り籠に揺られていたので、ある。
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