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8の扉 デヴァイ
メディナとラガシュ
しおりを挟む「私も大分耄碌したかいね。言いたい事の半分も言えた気がしないよ。」
「えっ。あれで、ですか???」
「なんだい、「あれで」って。」
「まあ…………はい。しかし、ヨルの事は。やはり、貴石は早くないですか?」
「お前さんは。ちょいと。「女」というものに、幻想を抱き過ぎじゃないかい?まあ、そんなものなのかも知れんが…兄妹は男だけだったか………?」
「幻想、とは。そんな事ないと思いますけどね………。」
「ふふっ、気が付かないものさ。自分では、ね。まあ、あの子は特別だ。それは間違いないからある意味仕方が無いのかも知れないがね?「女」というものは。いつだって、年齢よりは大人なものさ。」
「そうですか?あの子はもう少し落ち着いてもいいかも知れませんよね。」
「その点はあるか。ありゃお転婆だからね。」
「そうですね。間違いない。」
「なにしろ。どう、なるにせよあの子の出す「こたえ」を、お前さんはようく、見ておく必要があるよ。分かるだろう、ここで得られる、普通の「答え」じゃ、ない事は。」
「まあ。…………そうでしょうね。」
「否定をしてはいけないよ?それはあの子の答えだ。」
「努力、します。」
「まぁね。頑張りな。だが、きっと。違う、未来は見える。」
「そうですね。それだけは間違いない。」
「そんならもう、辛気臭い顔は止めて。何か、あの子の役に立つ事でも考えたらどうだい!嫌だね、若いもんが!」
「イテッ!…………解ってますよ。」
「どうだか。」
「いや、見てて下さいよ。凄いですから。」
「はいはい。」
「全く………みんな結局、姫頼みなのか。何か考えないとな………。」
「なにしろしかし、お前さんは。あの子の為に、何かすると言うよりはここの為に動く方があの子は喜ぶと思うけどね?目的を間違えるんじゃないよ。しっかり、考えな。」
「はーい。解りました。」
「じゃあ、また。」
「ええ。」
「今誰か居ましたよね?」
「ああ。」
「気を付けないと。うちは、大丈夫だと思いますが、何があるか分からない。」
「まあ、そうだね。お互い気を付けよう。」
「ええ。じゃ。」
「またね。」
少しだけ開いた隙間、奥の屋敷の廊下。
その、奥に誰か居たのか、どうかは。
分かって、いない。
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