透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

裏と 表

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 その

 反応が 面白かった


俺の顔を見て  綻ぶ 表情

清純そうな顔をして

その裏で  夜になると変わる  妖艶な 顔


 あざとい 仕草で 俺を翻弄していると

      女




興味の無い ふりをして

ずっと じっと こちらを見ている あの子

 「私は そんな女とは 違う」

そんな顔をしてる


 だがな?

やはり

 夜になると 見せる顔は 同じ

 
やはり    みんな?


 同じ なのか?



しかし

 そんな 「表と裏」の

 隠しているものを 暴く

 自分だけが 

 俺だけに 見せる 顔


そんなものが  その時の俺には

堪らなく魅力的 だったんだ




 渇いた

 どこか

 なにか


 「自分の なか」に

 が。


 ジワリ と  沁み込む


 その 瞬間 だけ は。



その「なかみ」が 潤う様な

         満たされる様な

気がして いたからな。





だから。

俺に 心酔した女を ある日突然

 切るのも 楽しかった


あんなに 濃い赤と 臙脂を纏っていた

女 が

次の日俺の顔を見て

どす黒い色を 浮かべる


    その さまと いったら。




 「美し過ぎる」だろう

 その 一瞬の変化 が   見たくて

 見たくて 堪らなくて

 その所為おかげで。

 生を終えたことも あるというのに。


俺も懲りない奴だ


 その 甘く 濃い  「なにか」に

    満ち溢れた  「いろ」を


 一瞬でも味わいたいが為に。



何度も

何度も

繰り返してしまうのだから な。





そう  人間ひとは。


 「飽きるまで」やり続けるのだ

 「気付くまで」やり続けるのだ



 「それ」では   満たされない

 「これ」でも   満たされない


   
では  「どれ」なら?

満たされる?

満たされる ことって


         あるの?




     「永遠」とは



         存在 するのか?







それは

いつしか 誰しもが 辿り着いてしまう

疑問  疑惑  

疑念  

それが  いつからか 「恐怖」に転換して


  俺達を 縛る




 「もしかしたら 一生 満たされないのではないか」



 抱いてはいけない 疑問

 答えがあるのか判らない 問い

 

そうして その 「恐怖」に 蓋をする為

人々はせっせと

 「一時凌ぎ」の娯楽に手を伸ばす


 「一時凌ぎそれ」が なんなのかは

 そいつ次第


 「一時凌ぎそれ」は 沢山

 用意されているから

 なかなか飽きる事はないのも  難点だ



 金か 男か 女か 物か 情報か 

 それとも。



どれでも好きなものを たらふく 味わって

飽きたならば

やっと

よう やっと。


 「気が付く」  かも   しれない



俺は 気が付いてしまった

できれば。

気が付きたくなかった



だって きっと  その旅は

簡単なものではなさそうだし

一人で ずっと。

旅をできるのかも 分からなかったからだ。




でもな。

少し 思っていることが あるよ。



 「表と裏」と「裏と表」

 「それ」を 両方やった 俺は

 きっと少し 成長したんだろう


  そう

 俺が 「表と裏」で「裏と表」 ならば。



     結局。


     俺は。




     「ひとつ」だったんだ。




 だから きっと「おんなじ」で

 あの時

 あの女を見て笑っていたのも 俺で

 あそこで笑われていた女も。


そう、やった

やってみたかったから

やったことが ある

あれも 俺だ。



俺は 「知りたかった」んだ。

だって とんでもなく楽しいだろう あれは。


 俺の一挙手一投足で くるくると表情を変える女を 見ること

 最愛の人に 捨てられて打ちひしがれ

 ゴミの様になり 狂ってゆく 自分



その どれもが  強烈な「いろ」を 放って

目が  離せない


 キラキラではなく

 ギラギラと

 その 生を  輝かせる その  さま



 なによりの  「生きている」 と いう。


   証 じゃあ ないのか。




これだよ

これ が

       見たかったんだ

       やりたかったんだ


     味わって  みたかったんだ


    その 「いろ」「におい」「あじ」


   「おと」「かんしょく」




 しか  できない


   この 肉体からだを  もつ


  しか できない



    この  「経験」を な。





そうして また

 「次」へ 持っていく

 「自分の どこか」に 刻みつけられている

 この「経験」を 糧にして



「何をしようか」

「どこへ行こうか」

「次は あれをしてみようかな」

「あれは飽きたから 今度は逆にしてみようか」



そう


そう して


  やり尽くして   「飽きた」んだ。





それなら。

さあて?

何処へ  行こうか な。


そろそろ 回路ループは 繋がって


また。


 「戻るのか」「外れるのか」


 選択の時が くる。




もっと この煌めきを 楽しみたいのか

それとも

もう 次のステージへ 向かいたいのか。



 まあ 答えは

 決まっているけど。



さて。

目を 醒すとしますか



 
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