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8の扉 デヴァイ
黒い夢
しおりを挟む「見ましたか。其方も。」
「ええ。あの………」
「あの、あれがね。迫ってくる… 」
「真っ黒な、………そうです。」
「赤も?黄も?茶はどうだ?」
「………黒い夢ですね。はい。」
「銀は確かめようが無い。しかし、見ていると思って間違いないだろう。」
「何故?祈りは、送られている筈でしょう。」
「ああ。」
「しかしこの頃、付き合いが悪いのだ。」
「何か?」
「いやまさか。筆頭が………止まればどうなるのかは、解っている筈だ。」
「もしかして………」
「ああ、あの 」
「そう、少なくなっている気は、する。」
「あの子の所為で?」
「変わったことと言えば、それしか無いからな。」
「しかし、どうします?」
「手は………いや、大分目は逸らされている。」
「しかしブラッドフォードも、あれで中々 」
「まあそうですな。」
「………他に誰か、心当たりは?」
「筆頭では?」
「しかしこの頃、ブラッドフォードとよく…」
「それではあまり‥ 」
「他には?いないのか?」
「………一人。」
「誰だ?」
「あの、銀の、先日戻った………」
「ああ、それなら。丁度いいかも知れん。しかし?」
「忍び込ませて、何か置いてきましょうか?」
「いいや、「あの空間」は不味い。それよりグロッシュラーに聴き込みが良いだろう。何か手がかりがあるやも知れん。」
「成る程、流石ですね!」
「それなら。」
「ええ 」
「そうだな、まあ申し分ないだろう。」
「なにしろ手は、打たないと。」
「そうじゃ。夜眠れんのはな………」
「光が降りなかったのも、気付かれてしまいます。」
「なにしろ。」
「ああ、それでまた、取り戻せれば。」
「連絡は?」
「私がやろう。適任だ。」
「…………確かに。皆、まさかと思うでしょうな!」
「そうだ 」
「成る程。」
「………お静かに。では、それで。」
「ああ。」
「ええ、 」
「また。」
「何かあれば。また。」
「…………本当に。それで、いい、のか…………。」
「いや、私に迷う時間は無い。」
そうして静かに閉じた、美しい仕事が表された大きな扉。
濃茶の空間、大きな木が彫られたそれは今も尚、職人の息吹を感じさせる立派な佇まいである。
ずっとずっと、長い、間。
ただそこに在り、この「デヴァイ」を見守る者。
ただそれは、在るだけで。
その日も、なにも示す事は無く。
また、時間が過ぎるのをただじっと見つめているのだ。
きっと、この世界が。
終わる、その時まで。
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