透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

逢瀬

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「泣いているのかい?」

フワフワのあの子がそう、言って。

「いいえ。」

そう答えたのだけれど、その言葉に説得力は、無いだろう。


静かな夜、この子依るは寝ていて、私は起きている。

そんな夜が、たまにあって。

決まってそっと、寄り添ってくれる白い雲の様なフワフワは私をあの人の元へ連れて行ってくれる、大切な友達だ。


少し、前に。

いや、どのくらい前だろうか。
私に時間の経過はわからない。

ただ、なんとなくだけど。

が、少しずつ変化しているのが分かるだけだ。


前回、私があの人の元を訪ねた時はもう殆ど「かたち」を成していなかった、あの人。

それが、ただ、ただ悲しくて。

同時に「まだ残っていたこと」が、奇跡でも、あると。

そして。

逢えた、一目見れたことが、とてつもなく嬉しくもあった。


あの人の側には、何か黒いものが、いた。

でもは、あの人の石にも近いもので害にはならない様だったし、どちらかと、言えば。

きっとあの人を護ってくれているのだと、思った。


あの、空気。

侵し難いその領域に、私は近づく事はできず姿を確認するには至らなかったけれど。

が 側にいたならば。

きっと、あの人はまだ大丈夫だろう。


また、私が「行くこと」で。

少しは、回復すると良いのだけれど。



「今日は。どうする?」

この子が「下の子」と呼んでいる小さな羊は、そう私に問い掛ける。

答えなんて、決まっているのに。


「行くわ。」

「それなら、こっちだ。」

上の子がそう言って、私を乗せる。


そうして私達は、また。

ひっそりと彼処へ向かったのだ。



これ以上、綻びが 増えない よう

少しでもの、時間を永らえる

            手伝いを する 為に。


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