透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

今の祈り

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私達は みんな

知っている 筈なんだ


 何処からきて

 何処へ向かい

   
  何をして  なにを しないのか

 なにを 好むのか

    なにを 求めるのか



思い出して


 よく  心の声を  いや 魂の声を  聴いて


 大丈夫 知ってる  解ってるんだ

  誰もが 持ってる

 ひとり ひとり  本当の 望みを

  本当の  自分の 在り方 を


恐れることはない

 恥じることも  躊躇う ことも

きっと 先ずは 遠くに見える その 思いも

   願って みれば。


ずっと 近くにあったこと それが  わかる


ねえ  どうして?

何故  何が


 いや それは きくまい

大切なことは  そこに ある こと


それは確かに  存在している そのこと


ただ ただ  静かに 時を待ってる

私達 ひとり  ひとりが


 その 輝く  魂の望みを  見つける まで。





扉を開け 白い部屋へ入った私は

何処からか来た 自分の中の何かに誘われ

正面の扉を 真っ直ぐに見上げ  謳った。


誰のものだろうか

いいや 私の 声だ

しかし意識とは別のところから 聴こえてくる
何かに突き動かされるように

口は開き 顔を上げ  朗々と謳いあげる自分の声を

ただ 真っ直ぐに  聴いていた

まるで 自分じゃ ないみたいに。


そんな事って ある

時折頭に流れ込む 誰かの 記憶か なにか

 知らない筈の  映像 香り 感覚 温度

ただ それは

 恐ろしくは無く 驚きはあれど 嫌悪もなく


 「ああ そうか そうだった 」

そう 私に  何かを齎すもの


大切な なにか

その 時々で 私を助ける

大切な。



何処からの 声か

何が どう いや  それは。

大事なことではない


それを聴き  何を見て どう 感じ

思い 行動するのか


それとも何も しない のか


でも いつだって。


私の中は 言う。

 「それは  本当の こと 」


ああ そうなんだ

そうね  知ってる 「本当の こと」


 知ってるんだ 本当は  みんな。



知らないと  思い込んでいる だけ で。




どうして?
忘れてしまった?
持っていては  進めなかった?

何故 そんなこと

いや 嘆いていても 前には進まない

いつだって  時間ときは 動いている

立ち止まっていようと

寝転がっていようと

一歩も進めなくて ただ 蹲っていようとも


 それは 無常か

 いや  慈悲だ


だって 時間ときは 偉大だ

誰か が 勝手に決めた

「  しなければいけない」に 従うことなく

ただ  そこに


        在れば。



前に 進むのだ

進めるのだ


なにも しなくとも。


   そこに   在る  だけで。




そう  私達は ひとり ひとりが


ただ 在る だけて 大切な 偉大な

この 世界をつくる  一つ一つの カケラ

 必要な 一部  ピースの 一つだ


  
 無くともいい?

 そうかもしれない

 でもね  在れば。

   もっと 素敵なものが できるよ 絶対

 絶対 そう


だってそこに   あるんだから。



どんな  いろ も

 無いより 有れば   それは 美しく彩り

  この 世界を飾るだろう


全部 違う いろ だから。

代わりは  無いのだから。


思い出して? だから 本当の いろ

みんながある  それなら 思い出せる

 やりたいこと 食べたいもの 好きなこと

 なにも なくとも 好きないろ は。

あるよ  無いと思っていても ある


 瞼に浮かぶその いろ を

 ほら思い浮かべれば。


透明? それも素敵よ

ない フリは やめて
あるよ ある


さあて 全ての いろ を。

出そうかそれなら。

ザックザクと ある 何色でも 

無い ものは ない  

この 世界 宇宙 私達の 中に

無いものは 無いよ


 その 証拠に。

 開けてみようか ほら あの扉

 こっそり開けば

 眩しい光

 あれは  私の中の 光


あるだけ出して?

空に 撒くから。

知らせなきゃ 在るって

本当は  みんなが 持ってるって。


どんな人にも 分からずやにも

小さな子供も  大人も 年寄りも

みんな絶対 目を見張る

この 星屑の様な 美しい色たちを

撒き散らして  世界を。


 色付ける 照らす  顕す

  
    本当は こんなに

       美しいんだ
             って



みんな絶対 心の底では  知ってる筈だから。





今まで出したどんな石よりも小さくしかし、美しい石が山となって祭壇に乗っている。

これは。

「どうしたことか………」

いや、私の、所為。

それは、分かる。

分かるん、だけど?


「怒られるかな………いや、悪いことじゃない。うん。多分。」

ウキウキとやってきた礼拝室。
扉を開けた私は、きっと何処かに行っていたのだろう。

気持ちよく歌っていた所までは、覚えている様な、いない、様な…………???


何しろこれを。

うん?秘密裏に運んで願えば?
外くらい、すぐ出来そうじゃない?

ふむ。そう。

出来ちゃったものは、仕方ないしね?

そうそう。


そうして私は、礼拝室に備えてある袋を手に取りザックザクとその石たちを袋に仕舞い始めた。

ここには石ができる事を見越して、袋が完備されているのである。
しかし、流石に一つじゃ入り切らない。


「どんだけ出たのよ…………。」

自分でした事とは言え、あまり意識も無いのでブツブツ言いながら三つの袋に無事、収めた。

「さて。」

とりあえずは、ホールかな?


くるりと振り返り、白の道を通って扉を開けた。





「お前、それは………いや、丁度いい。寄越せ。」

「えっ?!駄目ですよ!それは外………ムググ」

「は?また何かやらかすつもりだったのか?」
「いや  」

「待て。とりあえず。これは向こうに使わせてもらう。緊急だ。」
「えっ?」

「力がもう少し足りないらしい。子供達の石に目を付けられる前にそれを寄越せ。」

「はい、どうぞ。」

「子供達」というワードが出たところで、スッと袋を差し出した。

多分、畑の事だろう。

先日食堂でラガシュとウイントフークはそんな話をしていた筈だ。


時折デヴァイからの視察が入る様になった向こうの畑は、イストリアと子供達で管理している。
実験として、ネイア管理のものと、セイア、デヴァイからの人が作っている畑もあるらしい。

その出来が違うのだろう。
なんとなくだけど、想像できる。

不都合な結果は、仕方のない事だけれども子供達に余計な目が向くのは避けたい。

その辺りはイストリアが上手くやってくれるだろう。


そうつらつらと考えていると、袋の中身をチェックしていたウイントフークは、なんとも言えない目で私を見た。

「?なんですか?」

「いいや。。撒くのに、丁度いいと思っただけだ。」

「ならいいですね♫」


「…………それにしても丁度良過ぎるしタイミングもな…。」

背後でブツブツ言っている人を置いて、食堂へ向かう事にする。

なんだかお腹が空いてきたし、多分私は無意識なりにも頑張って祈った筈だ。

あんなに綺麗な、石が。
沢山、出来たのだから。


「それなら、ご褒美に美味しいものでも食べましょ。」

ん?外計画?

チラリと過らないでも無かったが、きっとまた機会はある。

それならそれで、じゃないのだ。


「うむ。」

そうして一つ、頷くと。

チラリと振り返ると、まだ袋の中身を見ているウイントフーク。

確かにあれは。
星屑、そのものだから。

「フフッ」

さーて、シリーに何か作ってもらおうっと。


そうして足取りも軽く、食堂の扉へ向かったのだ。


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