上 下
102 / 1,483
5の扉 ラピスグラウンド

ウイントフークの調査報告

しおりを挟む

その日の夜。
レナにお風呂の使い方を教えて入ってもらい、「何これ…………いい…。」というレナの感想を聞いてから、ウイントフークにお願いするメモに「お風呂を作る石」を書き加えておいた。
やっぱりいいよね?お風呂。どうして無いんだろう?
なんだかんだ、お願いやら整理する案件が多くて書き出しておかないと絶対何か忘れるか、話す相手を間違えるか………。やりそう。
おっちょこちょいの私はベイルートに教えてもらった、書き出していく事を癖にするようにしている。


森の帰り道はイスファも、レナも泉については思う所があったようで帰りは言葉少なめに帰ってきた。
何か、感じる事があったなら、それでいい。
私も特に聞かず、「で、どうだった?何味がいいかな?」と専らクッキーとお茶の話をしていた。イスファにも好みを聞きつつ男性の好みもリサーチしておく。気焔はその辺、当てにならないからな…。
レシフェの部屋でのシンの反応を思い出して、ちょっと切なくなった。

目の前の鏡をまた、見る。
髪留めは今日も私の髪で光っているし、こうしてアザも、まだ、ある。
自分もお風呂に入る為に脱ぎながら、もう一度確認する。
今日は泉に行ったからだろうか。
いつもなら、なんだか寂しくなるのが嫌で、あまりアザを見ない様にしているのに、久しぶりにきちんとアザを見た。自分では見づらいそのアザを鏡で映しながら「ねぇ、アキ…。」と話しかけて、止めた。
どんな返事が返ってきても、期待してしまいそうだから。

頭を切り替える為に、今日の泉で感じた青の広がりを思い出しながら、ゆっくり湯船に浸かっていた。







「おはようございます。」
「ああ、ヨルおはよう。今日も早いね?」
「ハーシェルさんこそ。」

次の日「寒っ?」と思って起きると、既に気焔は居なかった。支度をしているとハーシェルが起きている気配がしたので、一緒に朝のお茶をしようと階下に降りてきた。やっぱり、お父さんともゆっくり話したいしね?

そんな私の事を分かっているハーシェルはきっと自分も話を聞く気満々なのだろう、お茶の支度をさっさと始めている。その様子を見つつ、ウイントフークの話石をテーブルに持ってきた。
いや…………今起こしたら怒られるよな…。
今日行く事は約束していないけど、きっと近いうちに来ると思っている筈だ。昨日のうちにシュツットガルトとイスファはルシアの家に移動している。後はいつでもいい筈だ。

やらなきゃいけない事は沢山あるけど、とりあえずウイントフークの話を聞いてから動いた方が良さそうな案件ばかりだ。
ちょっとハーシェルさんに報告してから、話石すればいいか…………。

そう考えているうちに「どうぞ。」とハーシェルがお茶をテーブルに置いた。ハーシェルお気に入りのカップの中で、私の好きなやつだ。
うーん。今日も可愛い。可愛いカップ…………。

「ハーシェルさん。冬の祭りなんですけど…………。」

私の一言目で言いたい事が分かったのだろう、ハーシェルは顎に手を当て考え始めた。そして、私がいなくなった後のラピスの様子と共に話してくれたのはロランとテレクのその後の話だった。

「結局、ロランへの挨拶は僕が行く、と言って君をシャットに行かせただろう?あの後ちょっとね………多分、諦めてはいないと思う。戻って来ると思ってるだろうから。やっぱり「もう帰ってこない」とは言えないからね…。」

ハーシェルは私からの餞別と共に工房に訪ねて行った。ヨークやエーガーもかなり惜しんでくれていた様だがその後の私の動向については気を使ったのか尋ねてはこなかったそうだ。しかし、やっぱり工房を出てからロランが追いかけて来たらしい。

「君の事がね…………まあ端的に言うと「諦めきれない」って言うんだが…………。」

え?なんかめっちゃ言葉濁してません??
とっても不安になって、訊く。

「だが……?」
「うん、まぁそこは何とか………でもな…………うーん。」
「なんなんですか、ハーシェルさん。気になりますよ!」
「…………こうなったらいっそ、君に恋人が出来た設定の方がいいかもしれない。」
「は?」

え。恋人。誰?

ハテナ顔でいっぱいの私をおいて、ハーシェルは自分の世界に入っている。ここまでハーシェルが言い澱む内容がさっぱり思い付かない。
なんか…ハーシェルさんがエローラみたくなってる…………。

「そうだよな…これからも帰ってくる度に変装じゃヨルが可哀想だし…どうしたって…………免れない、ロランは諦めないよなぁ………だって…それは無い。うん。まだヨルには早い。結婚は。」


…………………………………………??????
け    っ  こん????


「結婚ですかぁ?」

物凄く、アホみたいな声が、出た。

結婚?え?ここだと普通なの?私、まだ14だけど??ん?15になったかな…?いやいや、そういう問題じゃない。え?結…婚…………??????



ん?

静かだな?

ハーシェルの独り言が聞こえなくなって、しばらく。まだ私はぐるぐるしていたと思う。でも、シン、とした居間の雰囲気に違和感を感じて顔を上げてハーシェルを見た。
え?どうしたの??

私の少し上を見て、物凄く気まずいというか苦いというか、ちょっと青くなっているハーシェルが、いる。
大丈夫…………?と思った瞬間、気が付いて振り返ると、私の背後に気焔が立っていたのだ。
そう、「あの瞳」で。


「気焔。駄目だよ。」

ハーシェルさんの所為じゃないじゃん!
そう思って、気焔の服を掴み隣に座る様に促した。もう…………すぐその瞳出すんだから!駄目だよ!
プンプンしている私を他所に、まだそれを解こうとしない気焔。帰ってきたばかりなのに、お父さんにプレッシャー与えるの止めてよ…。

「…………。」
「………解ってる。だから君がやればいい。」

なんだか男達はそれで解り合ったようで、もう一度気焔を見ると普通の金の瞳に戻っている。いや、茶にしといてよ。レナが起きてくるし。

「テレクに関して言えば、恋人が出来たみたいだよ。だから冬の祭りは出さないと思う。ロランには僕がそれとなく、「ヨルには恋人が出来た」と伝えておくよ。多分、祭りが始まる前に知らせた方がいいだろう。」
「そうですね…でもテレクさんは恋人出来たんだ…。良かったですね?」
「そうだね。想い人がかぶると色々と問題があるからね…………。」

結構そういう相談も多いらしくて、ハーシェルはため息を吐いていた。大変だよね、神父も。

「ヨルには恋人が出来た?!」

そう、声がして振り返ると、レナが驚きと何かが混ざった絶妙な表情をして、立っていた。
いや、ほぼ笑ってるよね…。




その後はティラナに呼ばれ朝食になったので、レナの視線を適当にかわしながらハーシェルに「今日ウイントフークさんの所に行ってもいいですか?」と訊く。
私の提案は予想内だったようで、「もう、話してある」と言って、後で行く前に連絡を入れればいいと言っていた。
そうして食後に、みんなでウイントフークの家に行く事になった。

みんなと言っても、ティラナはルシアの家に預かってもらう。行く前に顔を出したら、シュツットガルトが「助かる」と言っていた。ルシアは仕事なので、やはり慣れていない小さな子供の相手をするのは気を使うらしい。イスファもいるけど、やっぱり今迄と環境が違いすぎるからね…。
レナも、ルシアの家で留守番だ。ウイントフークが「色々まずい話もするからな」と言っていたらしいが、私としては少し休んで欲しかったのもある。移動から、慣れない環境で毎日連れ出すのもな………しかも、あそこだし。
全く、気が休まらないだろう。イスファとレナがいれば、ティラナとリールは元々二人でもお留守番は出来るし、楽勝な筈だ。

そんなこんなでいつものハーシェル、気焔、私と朝でウイントフークの家に向かったのだった。




なんだか懐かしいな…………。
相変わらずガラクタ屋敷にしか見えない外観を見て安心する事を可笑しく思いつつ、脇の通路に入る。やっぱりこの小さな庭は何かに活用するべきではなかろうか。でもラピスはまたしばらく空ける予定だしな………。

「久しぶりね…………。」

そう言いつつ、朝はハーシェルが開けた扉から躊躇無くスタスタと先に入って行った。
相変わらずだな……と思いつつ、ハーシェルがそれを見て苦笑しているのを、私が見て笑う。なんとなく日常が戻ってきた感じがして、嬉しいのだ。

いつもの狭い通路を通って、少し屈みつつ、辺りに触れないよう進む。なんだか前よりも狭くなっている様な気がしなくも、ないな?…………うん。いつも通りで安心した。


相変わらずごちゃごちゃしている奥の部屋は何だかウィールを見慣れたせいか、むしろ片付いてる方に見えるから怖い。ウイントフークの部屋は何が何処にあるのかは規則性があるのだ。一番ヤバイのは実はシュツットガルトさんだよね…。いや、おじいちゃん先生かな…いい勝負だな、あの二人は。
そう思いつつ、ソファーでウイントフークを待つ。ハーシェルは既に座っていて朝がいないので、呼びに行っているのだろう。相変わらず仲が良いよね?

「新しい石が増えてる…………。」

薄暗い部屋に相変わらず明かり取りの窓だけの室内。少し見づらいけど、灯をつけるよりもやっぱり自然の光の方が石は綺麗に見える。上の方にあるいい石達が少し増えているのが見たくて「あれもいい…。」と呟きながら、部屋をぐるりと見渡していた。
しかし、いつもの私に付き合っていると事が始まらないのを知っているハーシェルがこれからの予定を話し始めた。

「ヨル、いつでも構わないが中央屋敷に一度顔を出しておいで。心配していたし、何か話が聞けるかもしれない。僕はここの所行ってないからな…。」
「そうなんですね。確かに、戻ったらおいでって言ってました。」
「だろう?それに、次はグロッシュラーに………行くんだろう?」
「………そうなんです。すみません、私勝手に…。」
「いや。そこは謝る所じゃないよ。勿論、うちに帰ってきてくれるのが嬉しいが君は…やる事があるんだろう?」

ハーシェルの言葉に、チラリと気焔を見る。いつもの、金の瞳だ。あの怖い目にはなってないけど、多分、言ったら駄目なんだよね…。


私達にとってグロッシュラーは通過点のうちの一つだ。その次だって、ある。扉は10もあるのだ。
まだ、6の扉から戻ってきたばかり。あと4つも、ある。あーあ。もうラピスでいいんじゃない…………??
この懐かしい雰囲気でまったりしていると、本当にそう思ってしまう。ていうか、結局最終的に何しに行くんだっけ…………?えーと、姫様が………

私が最近忘れていた疑問にさらっとぶち当たった所で、奥の扉が開く音がした。

「待たせたな。」と言いながら、ウイントフークの後ろに朝がついて来ている。そうだよ、姫様ついでに魔法のランプを探さなきゃね…。ていうか、まじないで出来ないのかな…?でもなんか無理っぽい、かなぁ?

「森はどうだった?」

そう訊ねる、ウイントフークの声で我に返った。



いかんいかん、またどっかに行ってたよ……。
私が森の様子を報告すると、ウイントフークはメモを取っているがハーシェルは腕組みをして何やら真剣な様子だ。一通り、話終わるとウイントフークは小部屋へ一度戻り、ハーシェルが口を開いた。

「ヨル、白い森の事はフェアバンクスに報告しておくといい。向こうももしかしたら把握しているかもしれないが、どう対応してるのかは教えてくれるだろう。本家にどう報告してるのかは、僕も聞いてないからな。…………あれから、森には届け出を出せば行けるようになったんだ。」
「ホントですか?森の木達が、「人は増えた」って言ってたのはその件ですかね…?」
「そうだと思う。とは言っても、希望者だからそう数はいないけどね。気分の不調を訴える者とか、癒しが必要だと思う者は僕が紹介してる。実は案内はザフラに頼んでいるんだ。何しろ一人で行かせる訳にもいかないし、泉を荒らされても困るからね。」
「それは良いですね!」

ザフラに任せておけば安心だろう。どうしてもみんなが個人個人で行くようになれば、多少荒れないとも限らない。ガイド無しだと行けないようにするのは、賛成だ。そのうち、誰もが知っていて自由に見れて、みんなが大切にしてくれる、泉になればいい。それが理想だ。

「その「白」なんだがな…………。」

そう言いつつ、ウイントフークが何やら資料を持って戻ってきた。

「予言が、違う解釈の可能性もある話をしただろう?俺の隠し部屋に置いていた資料には探している記述が無かったから、やはりデヴァイで見たのだと思う。だが、「覚書の中に「石が話す」という記述があった」とメモがある。お前が持っている石と共通するものがあったのかもしれん。」

ん?覚書?メモが?隠し部屋って、どこの?ウィール??
何やら一人で私がこんがらがっていると、ウイントフークが説明してくれた。


「その、予言の新説とはデヴァイの広大な図書室の中の一角にある、予言の研究資料の事だ。今の主流の滅びの予言資料が大半の中で、少しだけ存在していた新説は目を惹いて、読んだ記憶がある。何だか主張しているように見えてな…。装丁の所為か…。その時の、メモだ。資料の中にはきちんと纏められたものと、覚書があってな…。覚書の方がいい事が書いてある事が多くて俺はそっちの方が…いや、まあそれはいい。その新説の資料が俺がいた当時より大分減ってるらしい、エイヴォンに言わせると。誰が何の目的で処分、もしくは何処かに移してるのか…分からんが元々少ないのに処分されると、完全に調べられなくなる可能性すら、ある。」
「…………で、その新説の覚書の中に、「石が話す」というメモがあったと…?」

「そうだ。確か石が話す、というよりは石はこう言ってるから…的な感じだったな…。正直、その時の感覚でメモしているからな。正確ではない部分もあるだろう。だが、やはり石は話すという事なんだろうな?」

うん。話すね。
私はあの事なら言ってもいいだろう、と思い一応気焔を手招きする。そしてコソコソと耳打ちすると、頷いてくれたのでモンセラットの所の石の話をした。シェランの石が喋った話と、キラキラの鉱石達の話だ。


「は?あの石が?…………成る程。だからか…催眠状態のようになる奴がいるが…。成る程。ふぅむ。そうか…シェランの石…」

案の定、そのまま自分の世界に入るのはいいが何だか調べる為にシャットに戻りそうな気配すら、する。
まだ全然話聞いてないんですけど?
とりあえず朝がウイントフークの肩に飛び乗ったので、そっちは任せて私は糞ブレンドがしまってある棚を漁り始めた。丁度、帰る前に切れて少しの間飲んでいないのだ。
ここに来たら、入れなきゃね?

そうしてお茶の支度を、ウイントフークがやっていた茶器の場所を思い出しつつ、準備する。

あ。そういえば。

「ウイントフークさん!あのカンカンするヤカンが欲しいんですけど。あと、お風呂。」
「は?急に何を言い出すんだ、お前は。」
「グロッシュラーに行く準備ですよ。糞ブレンドもまた欲しいし…。ウイントフークさん、ハーブティーのブレンドも上手いですか?」

全く関係ない私の申し出に、呆れた顔のウイントフーク。だが、彼がこっちに戻って来るには都合が良かったようだ。
メモを出して、とりあえず書き留めてくれている。よしよし。
一頻り湯船について説明したり、ヤカンのサイズは小さくていいとか注文を付けると、私はお茶を入れる為に、座った。


「とりあえず、その話す石とお前の石の関連は分からなかった。何かあるかと思ったが、話す石が他にもあるという事なら違うものの可能性が高いな。だがデヴァイの連中がそのような石ばかりを集めているとなると危険度は上がる。レシフェの例もあるしな。………力のある石が、話す、という事なんだろう。」

ウイントフークは私が何も言わなくても、シンが言っていた「まじない力が強い石は話す」という結論に辿り着いたようだ。
でも多分、問題なのは「石が話す事」では無い。
話すだけの石なら、数はそれなりにいる筈だから。問題なのは「意識」を持つ事ではなく、「知恵」を持つ事なのだ。

一つの石が、「何かの目的の為に存在する」事。

自分の腕輪をじっと見ながら、考える。
何かをするにもこの子達はどうすればいいのか、私に教えてくれる。呪文を教え、力を貸し、時には道標を示してくれるのだ。
他には存在しない、この子達の様な、石。
だが、それは私からしてみれば「問題」では無い。だって、この子達がここにこうして存在するのは「自然」だ。
何となくだけど、多分この腕輪は私の世界のものじゃないかと思う。この、石達も。長い年月の中、地球で少しずついろんなものが合わさって生成た「自然」のもの。それが、問題の訳が、ない。問題なのはそれを奪い合う、という事なのだ。
この世界にも力の強い石は存在する。レシフェの石のような。でもきっと私の世界よりも少ないのだろう。では、多ければ奪い合わないのか?それはきっと、否だ。
…………何故、狙われるのだろう。
貴重な、稀少な、事は分かる。しかしそれが何故、奪って、モノにしようという思考になるのか。全てが奪って済む事ならばこの世界は奪った者勝ちなのか。

ウイントフークはモンセラットから何か聞いただろうか。この子達の、事を。



「あと、お前の石の事だが。」

物凄くタイミングよく、ウイントフークがその話を始めたので、暗い波間でぐるぐるしていた私はビクッとしてしまった。なんだか怪しく見えたかも、しれない。しかしウイントフークは構わず話を進める。

「あの「癒し石」とかいうやつだが、少し見させてもらった。この前、魚に使った事からして、もしかしたらだが薬に加工できるかも知れん。それはまぁファルスターと色々相談してだけどな…。」

ん?ファルスター?…………ああ、長老だ!
すぐ忘れるよね?ファルスターで慣れないとな…。良かった、この子達の事じゃなかった…。癒し石の方ね、ハイハイ。…………ん?薬?

「薬ですか?!え?癒しの、って事?」
「遅いな。…多分、出来ればそうなるだろうな。しかし少しずつ実験しないといかんが、誰に試すかだよな…。」

なんか怖い事言ってるな…。なんなら自分で試したいけど、正直癒されてるからな…。藍に。
まあ、その辺はウイントフークに任せるしかない。「もし実用化したら原料代で私にも卸してくださいね?」とだけちゃっかり言っておいた。
何かに使えそうだしな?
ウイントフークの言っている「石」が腕輪の事では無いと知ってホッとした私。しかしよくよく考えると、モンセラットは知っている訳で、「問題」の何かが解決した訳でもなんでもないんだけど。
でもまたウイントフークが話し始めたので、私のモヤモヤは一旦何処かへ、消えた。


「あとはお前…………レシフェの石。」

そこまで言うと、ウイントフークは腕組みをしてじっと私を見ている。
レシフェの石?あの、ちょっと綺麗になったやつだよね?何か、不味い事でも………?
そういえば、石以外にもレシフェは黒かったのが元に戻っている。誰かに何か聞かれた時、どう答えたんだろう?その辺、全然聞いてないな??

「あれは故意では無い。結果として、そうなったのだ。」

何故か、私の代わりに気焔が答えた。
あの時…………気焔いたっけ?いなかったよね?あれ?起きたらいたんだっけ?

私がまた「??」となっているうちに、二人は何やらボソボソと話し始め、そして二人で話を終わらせた。ちょっと…本人にも教えてよ…。
チロリと気焔を見たけど、涼しい顔をして多分、言う気が無いようだ。でも、ウイントフークに「お前、気を付けろよ?」ってまた、言われたけど。何に気をつけたらいいか分からないじゃない?教えてくれないと。

そのままジットリ気焔を見ていると、ウイントフークがまた、徐ろに話し始めた。


「ところでお前、この新説の研究者、知っているな?」

その物凄く、答えづらい、本題を。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

甘灯の思いつき短編集

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:191pt お気に入り:4

evil tale

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:22

レナルテで逢いましょう

SF / 連載中 24h.ポイント:498pt お気に入り:1

黄色いレシート

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:200pt お気に入り:0

無表情な私と無愛想な君とが繰り返すとある一日の記録

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:255pt お気に入り:0

如月さん、拾いましたっ!

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:569pt お気に入り:1

処理中です...