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6の扉 シャット
お別れパーティー 今後の予定
しおりを挟む「…………という事で、シュツットガルトさんもイスファも、一度ラピスに行きませんか?」
そう、話をぶっ込んだのはベランダ端のベンチだ。
ルシアの話をしようと思っていた私は、あまり人から聞かれないよう二人を端のベンチに案内したのだ。ここなら、安心して話ができる。
まぁシュツットガルトさんがいるから生徒は入って来ないだろうけどね。先生達には聞かれてもそう困らないだろう。
そんな事を思いつつ、私は「そんな事考えた事無かった」という顔の二人を見る。
なんだか二人とも、固まっているのでどうして私がそんな提案をしているのか、話す事にした。
まぁ、意味分かんないよね、急に行こうなんて言って。
「うーん。いくつか理由はあるんですけど、とりあえず私が一番気になってるのは…ルシアさんの事なんです。人様の家の事に口を出すのもどうかと思ってるんですけど…どうなんですか?このままでいい…ですか?もし、ルシアさん再婚とかしたら諦め切れます??」
最後熱が篭ってしまったが、私の言葉をじっと聞いているシュツットガルトは渋い表情だ。
「再婚?問題無い」とか言わない所からしても、やっぱりルシアの事を思ってはいるのだろう。
だけど、何がそんなに気になるんだろう…?
ふと、傍らのイスファを見る。
少し、不思議そうな顔をしてシュツットガルトを見ている彼は事情を知っているのだろうか?これ、言っちゃまずい話だった?でもな………内緒にしてて、いい話でも無いと思うんだけど。
ちょっと、考える。もし、私が養子だったら…絶対、内緒にして欲しく無いし、お父さんには幸せになって欲しい。しかし私と、イスファは違う人間だ。
でも、今まで一緒に過ごしてきて、話もしてきて多分、イスファなら応援してくれるのではないか。応援までいかないにしても、内緒にされるのは嫌だと思う。再婚するかどうかは別として。
チラリとシュツットガルトを見る。下を向いて考え込んでいたが、私の事を、見た。
目で、「イスファに言ってもいいですか?」と訊いた。
するとシュツットガルトは頷いて「わしから話そう。」と、言った。
「え。私、席外した方がいいですかね?」
何だか家族の話にガッツリ入るのもアレかな、と今更思って一応聞いてみたけどシュツットガルトは「何か不足があれば補ってくれ」と言うのでまた腰を落ち着ける。
確かに、職人で口下手っぽいシュツットガルト一人だと、何だか心配でもある。別に、変な話じゃないのにおかしな誤解があるといけない。私も話を聞く体勢を取った。
シュツットガルトはきちんとイスファに向き直り、話始める。
「わしがラピス出身なのは知っているな?ラピスにいた頃、結婚していた。妻と、息子がいる。」
……………………。
ちょっとぉぉぉぉぉーーー!
予想通り過ぎるんですけど?!シュツットガルトさんんんん???
「あのね、イスファ。私はここに来る前、その元奥さんと息子さんの隣の家に住んでたの。全くの偶然なんだけど。」
イスファは少し驚いてはいるが、大方予想していたのだろう、落ち着いて聞いてくれている。
「私がね、あっちで工房見学とか、ここに来るきっかけになる事をしてた時に案内してくれたの。ルシアさんが。あ、奥さんの名前ね。素晴らしい、青の像だった…。あのラピスの内包物が光を受けてキラキラする様と、滑らかに磨かれた肌、繊細な金彩…なによりもあの、少女の表情ね。やっぱり、少し笑ってるの。イスファが作った橙の像は少し、悲しそうというか憂いのある表情でしょう?やっぱり作った時の心情が表れると思うんだよね…ああいうものって…………。」
「ヨ、ヨル??」
「あ。………ごめん。えっと、それでその青の像を見せてくれた時にやっぱりルシアさんはまだシュツットガルトさんが好きなんだなぁと思ったわけ。………なんか、離れててもわざわざ別れなくてもよかったのに、って言ってたし。」
「…本当か?」
ん?ルシアさん、ちゃんと言ってなかったの??
シュツットガルトが急に食い付いてきたので、私は少々面食らったがこの食い付きを見せるという事は脈アリだな…。
「と、いう事でですね?まず、お二人は意思の疎通を図る事。イスファは青の像を見るといいと思う。あと、ラピスは凄いよ?青いよ?本物の泉も案内しちゃう!帰りたくなくなったら困るな…………。あと、リールが可愛い!」
「リールって?」
「弟だよ!イスファの。きっとお兄ちゃん出来たらめっちゃ喜ぶと思うんだよなぁ…。これってたまに会いに行ったり出来るんですよね?」
「………まあ…あまり頻繁で無ければ許可は出るだろう。」
うん?許可出すのってシュツットガルトさんだよね?
フフ。いいんですよ、しょっちゅう帰っても。
そして、私は気になっている事をきちんと確認しておかなくてはいけない。
そう、イスファの気持ち。それは大事だ。無理はさせたくないし、気持ちを偽って欲しくないから。
しっかり彼を見て、訊く。
「イスファ?いい?連れて行っても。」
しかし、心配は要らなかったようだ。
「勿論!父さんにそんな事情があったなんて知らなかったし、再婚も素敵だと思う。僕は父さんに引き取られるまで一人だった。弟ができるなら、嬉しいよ。青の像も見たいしね。それと…………」
ん?どうしたの?
「どうして君は………あれの表情が分かったんだい?」
「??」
「みんな、「素敵だ」「可愛い、微笑んでる」とか言うんだ。でも、確かに僕はあれを作っている時しんどかった。辛かったんだ。今思えばカンナビーの所為だったのは、分かる。でも…もっと、綺麗な気持ちで作りたかったんだ。」
…………分かる。
不本意なのだろう。あの、橙の像の出来が。
でもあれはもう、寮のシンボルみたいに入り口に馴染んでいる。
でも………みんなは笑顔に見えるなら、それはそれで…アリじゃない?
「イスファ。でも、あれはあれで素晴らしいと思うよ?私は何故だかそう見えるけど、みんなが笑顔に見えるならそれはアリだと思う。私にとって橙は夕暮れの色だから、憂いの表情でもアリかな…なんて。作った、その時の気持ちが出るのが顔があるものを作る時の面白さでもあるし。またラピスで沢山の物を見てさ、キラキラしたもの、作ってよ!」
テンションが上がっている私を、クシャッと笑顔になったイスファが仕方の無さそうに見ている。
「ハハッ!………君にかかるとホント………。やっぱり、うちに欲しかったですよね?父さん?」
何だか私達のやり取りを暖か~い目で見守っていたシュツットガルトは、急に話を振られて一瞬固まっていた。
「あ、ああ。しかし、わしはそこまで命知らずでは無い。」
「え?」
「ううん、何でもないよ?!イスファはそう言えば、ここ継ぐ決心したんだよね??」
シュツットガルトさーん!あんまり際どい事言わないでっ!
とりあえず話題を逸らす為に、気になっている事の一つを話題にする。
イスファは何だか教師陣が歓談している所に目をやって、頷いていたけれど何に納得したのだろうか。大丈夫かな…………。
しかしイスファはこれからの素敵な決意を聞かせてくれた。
そう、新しい、これからのシャットの話だ。
「僕はここをきちんと、職人の街として発展させたいと思ってる。出来ればラピスみたいな、他の都市とも交流したい。ただ、ここで鍛えた職人を排出するだけじゃなくてきちんと意思を持って教育できる所にしたいんだ。父さんはここをしっかり守ってくれていた。僕はそれを発展させたいんだ。ラピスの職人と交換して学んだり、ベオグラードのいる所にいい品物だけ取られるんじゃない。きちんと交渉したいんだ。」
シュツットガルトは濃い青の瞳を見開いて、驚いていた。多分、この話を初めて聞いたのだろう。
私もびっくりしたけどね……イスファのやる気、受け取ったよ…。
少し、髭に手をやり考えていたシュツットガルト。その、目には沢山の光が浮かんでは消える。
期待、憂い、喜び、心配、希望…………。
沢山のものが入り混じった瞳で、でもしっかりイスファを見詰めて言った。
「わしは、ただ守っていただけだが近年それも不甲斐ない形になってしまったと思っている。正直、解決しなければならない問題は大きいし、少なくもない。だが…………」
そう言って、静かに、私を見る。
うん。分かるよ。やっぱり、根本から変える必要があるって事。
多分、シュツットガルトはヘンリエッタやビリニスの事を言っているのだと思う。
デヴァイから、送られてきた、と言っていた。断れなかったのだろう。それは、容易に想像できる。
イスファは全てを知っている訳ではない。でも。
レシフェが言った通り、ここでの私の目標は叶ったのかもしれない。
姫様の服の修復を完成させる事。
まじないを学ぶ事。
仲間の、心からの笑顔が見れた事。
「みんなの笑顔」にはまだまだ程遠い。
でも、千里の道も一歩からは万国共通の筈だ。
まぁ、姫様の服は私が着ちゃってるし、まじないはやらかしたりして癒し石しか役立てなさそうだし………なんか色々ポンコツな部分はあるけど………でもみんなの笑顔は、単純にとても嬉しい。
うん。
「大丈夫ですよ。多分。フフッ。なんてったって、仲間がいますから!」
そう、自信満々に言った私を見てシュツットガルトも笑顔になる。
息子には、負けていられないとニヤリと笑って言った。
「それは何よりの財産だからな。」
そう言うと、イスファの肩をポンと叩いて教師達の方へ歩いていく。
長老を捕まえて話しているけど、何だか悪巧みっぽいね………。
さっきの不適な笑みはどういう意味だったんだろう。でも、シュツットガルトもシャットの長だ。
その背中からは転んでも只では起きない、決意が感じられる。
シュツットガルトさんの本気、凄そうだよね…………ま、とりあえずはルシアさんに使って欲しいけど。
私が一人クスクス笑っていると「俺にもヨルを貸してくれよ?」とふざけながらレシフェがやって来た。
そーゆー事、生徒の前で言うのどうかと思う。ま、今更だけど。
「じゃあ、また後で。」とイスファが苦笑しながらシャルムの所へ歩いて行った。
ううん?シャルムはちゃんとエローラに声掛けてるかな?手伝いに行った方が良くない??
「いいから余計な事に首を突っ込むなよ。お前は全く…………」
まあそうなんだけど………何だかレシフェに言われるとな…なんだかな…………。
顔に出ていたのだろう、伸びて来た手にデコピンをされる。
「痛いんだけど………でも。」
でも。
結構、レシフェの言葉はいろんな場面で私の事を助けてくれる。それも、事実だ。
いい事言うんだよね…ちょっとムカつくけど。
「ありがとう。色々。ホント、レシフェがいなかったらここまで出来て、ない。」
ちょっとびっくりした顔で、私の事を見つめている。ティラナに似た、茶色のくりっとした瞳で。フワフワの、赤茶色の少し長くてチャラい髪だって。
もう、レシフェだって大分私の大事な、人だ。
何だか、そうするのが当然のように私は一歩、レシフェに近づく。
何をするのか、驚きと興味が入り混じったレシフェの瞳を見ながら「ギュッ」とハグしておいた。
一瞬だけど。
「お前…………俺をどうする気なんだ。さては………いざという時の盾に使う気だな?」
「まぁ、それもいいね?」
ニヤッと笑った私に「コイツ、なんとかしろ。」と私の背後に声を掛けている。
んん?…………ん?ヤバい?
そういえば…………。
すっかり忘れていたけど、どっちも揃ってるんだった!!振り向けない!
背後からは冷たい空気がビシビシ伝わってくる。
ええ~~。自業自得だけど、今はパーティー中!お説教は後で聞くからぁーーー!
「何やってんだ、お前ら。」
!
困った時のウイントフーク!!
そう、やっぱりこの人達を抑えられるのは、ウイントフークさんしかいなかった。
私はそのまま背後を振り返らずに、ウイントフークの腕を取って、歩き出した。
逃げるが、勝ちだ。
「フゥ。」
「何をやってるんだお前は。見てたぞ?…あまりあいつらを刺激してやってくれるな…。」
「すいません……なんていうか、つい…。」
料理の乗っているテーブルまで来ると、ウイントフークはせっせと全種類乗せて、私にグイと差し出した。珍しく、面倒見がいい。
「お前何も食ってないだろう。……これからまた大変になる。楽しんでおけよ?」
「ええ~。本部長に言われると凄~く嫌な予感!」
「なんだ、本部長とは。」
「いや、それはいいんですけど……うーん、これも美味しいな…クマさん、料理ホント上手いですよね?いいなぁ。」
「お前な…。それよりラピスに帰ったら、一度うちに来い。話がある。」
「ええ…!更に嫌な予感!」
「まぁ当たらないといいな?じゃあ楽しんでこい。」
ポンと背中を押され、生徒達の方へ行くよう促される。
よし、これからはみんなの事観察しなきゃ!
ん?でも…………くるりと振り返って、フローレスを探す。
生徒の前に……どうなったかな?話せたかな?
視線を彷徨わせると、フローレスはちゃんとベンチで長老と話をしていた。
わ!話してる!キャ!邪魔しちゃダメだよね??
うんうん、話せたならいいのよ。
長老はしばらくウィールに居られるとシュツットガルトに聞いている。私があれこれするより、今回ばかりはフローレスが自分でなんとかしたいに違いない。
二人の無事を(?)確認したので、心おきなく次の目標に進む事にした。
次は…………ぐるりとベランダを見渡す。
生徒達は思い思いに楽しんでいるようだ。
さっきイスファと話していたシャルムは、まだイスファと話している。エローラは、と。
ほうほう。
エローラはリュディアとシェランと話している。
シェラン、めっちゃ見てるんだけど!
ちょっと面白いくらい見てる!!絶対気が付いてるよね?エローラ。
私はシェランが面白くて、ちょっとそのまま見ていたけどきっとエローラが抜け出すタイミングを失っているのだろう、呼び出す事にした。
だって、あの状況でエローラが二人を二人きりにしたくない筈が、無い。
そうして私はすぐにエローラを呼びに行った。
「エローラ、ちょっと来て?聞きたい事が……」
「あ、ヨル!探してた!」
食い気味のエローラは案の定抜け出したかったに違いない。「ナイス、ヨル!」と顔で言い、ウインクしてすぐに私の所に来た。
「はっあ~、長かった!シェラン、二人きりになりたいくせに、中々決心付かないみたいで。も~焦ったくて死ぬかと思ったわ…。」
うん、なんとなくエローラなら焦ったくて死ぬまでいかなくても具合が悪くはなるかもしれない事は想像出来る。
二人でジュースのお代わりをしながら、シェランの様子を伺う。うん、ちゃんと話してるね…大丈夫かな…素直に、素直にね…?
当初、斜に構えた感じだったシェラン。様子を見ていると緊張して、変な方向に行ってるみたいだけど…?何だか最初に逆戻りしたみたいになってる!どうする?
エローラも同じ事を考えたのだろう、顔を見合わせた私達がグラスを置いたのは同時だった。
「エローラ?」
「…シャルム。今ちょっと………」
「いや、エローラ!私一人で大丈夫だから。きっと人数は少ない方がいい。また、用事思い出して離れやすいし?」
咄嗟に思い付いたにしてはナイスな言い訳をして、私はシャルムにチラッと視線を送る。
多分、大丈夫。なんか笑ってるから。
私の必死の思いを受け取ってくれたようで、シャルムはちゃんとエローラに話を始めた。
うんうん、聞きていたいけど私はあっち行かなきゃ!
ああ、忙しい!
また始めと同じ感じになったので何だか自分でおかしくなって笑いながらシェランの所に行く。
ん?でも大分いい感じになってるな………?
少し、離れて様子を見る。
おお………?うん、うん、大丈夫そうだね?楽しそうじゃん!まぁ告白とかはしなくても、あの二人は結構一緒の事多いしね。
安心して見ていられるようになって、逆に私が入らない方がいい事になった。じゃあ………。
…………見渡しているうちに、ベオ様と目が合う。ベオ様はいつの間にか来ていたエイヴォンと話していて「呼んだっけ?そういや忘れてたかも?」と私は思ったけど、忘れてただけだからいる事に問題はない。
んん?ベオ様の視線の意味…………ああ、あっちね。
レナがウイントフークと話している。
そういえば、レナもウイントフークに異常な関心を示していた。
今は…普通?よく見えないなぁ。
私は、無意識に近寄っていたらしい。ウイントフークが私を認めると、手招きされた。
そして、「頭の痛い事になった」と言った。
え?ウイントフークさんが頭が痛い事?聞きたくないよ!厄介な匂いしかしないじゃん!
多分、まるっと顔に出ていたのだろう。「まあ、聞け。」と捕まってしまった。
その代わり、レナは解放される。目敏くベオ様がそれを嗅ぎつけ、レナに声を掛けた。エイヴォンは楽しそうにニヤニヤして見てるから、置いて行っても大丈夫だろう。
よしよし、いい感じになって来たぞ?私以外は。
そうして、私だけ何だか様子がおかしいウイントフークに引っ張られて廊下に連れ出されたのだった。
いや、見てる。見てるから、あの人達がっ。
でも、とりあえずウイントフークにいちゃもんつける気は無いらしい。目は、普通だ。でも見てるけど。
そんな事は全くお構いなしのウイントフーク。
珍しいな………こんな事、無くない?初めて見たかも。
廊下に出た私達は、誰ともすれ違わないようにエレベーターさんとは逆側に少し、歩いた。そんなに聞かれたくない内容って何だろう?しかも何で私に言うの?大丈夫かな…。
立ち止まって振り返ったウイントフークの顔は、やっぱり初めて見る、苦虫を噛み潰したような、顔だった。
「お前に、頼みがある。」
そう、そのままの顔で言うウイントフーク。
言うまでもなく、ウイントフークには多大なる迷惑もかけているし、お世話にもなっている。
そりゃなんでも聞きますけど、そんな顔するお願い事、私に出来るお願いなのかな…不安しか無い。
「母親の事だ。」
ん?誰の?
「母、親。一応わたしも人の子だ。」
うん…。それは知ってる。
「え?ウイントフークさんのお母さんですか?」
「そうだ。」
「それが?………ていうか、何処にいるんです?お父さんは確か亡くなってますよね?」
「ああ。それで俺はラピスで店を継いでる。」
私はぐるぐる考える。
この感じだとラピスにはいないよね…。ていうか、今迄一度も聞いた事無いんだけど?何でだろう。いい思い出無いのかな?でも、生きてはいるって事だよね?
で、私にお願い…………レナ…………
って事はそういう事???
「そうだ。グロッシュラーに、いた。」
ウイントフークさんも、大分私の顔が読めるようになったね………そんな能天気な事を思いながら、んで?何でそんな顔なの??とまた疑問が頭を擡げる。
ウイントフークが話したくなさそうに、ポツリポツリと話し出した。
それは、初めて聞く彼の個人的な話だった。
「ハーシェルも、知らん。」
そう言って話し出した内容。それは意外と言っていいのか、やはりと言うべきか、ウイントフークもデヴァイの関係者だ、という内容の話だった。
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