透明の「扉」を開けて

美黎

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6の扉 シャット

おまじないの授業

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それから次の裁縫の授業まで、私は生地の色を何色にしようかずっと考えていた。


自分の物は、すぐ決まった。

バッグは綺麗なグリーンにしたい。
とにかくシャットには緑がない。
綺麗なグリーンにして癒しを図ると共に、橙にも合うだろうと思う。
なんか緑は元気が出るしね。

ワンピースは、青。
他の色も考えたがやっぱり青だと思った。
変に捻らない方がいい。それに髪留めを付けていれば髪はグレーだし、青が合うだろうと思う。
どんな青にするかは、やりながら決めよう。
楽しみだ。


気焔は色々考えたけど、濃い橙以外思いつかなかった。
黄色もいいかなぁと思うのだけど、髪や目と対比がある方がいいし、何より作るアイテムがパンツ。ボトムスの色は濃い方が合わせやすい。

まぁこの世界だとトップスの殆どが白かベーシックカラーなのでそうそう合わないという事も無いのだけど。
この前、お風呂で見た位の橙。

お風呂…………あれから、お風呂は思い出しただけで顔が熱くなってくるので行っていない。
部屋のシャワーだけだ。

そろそろ行きたいな…行けるかな?


問題は、シンだ。
どうしてもイメージカラーが何故か白しか思い浮かばない。
正直白でもいいかと思ったが、汚れやすいし私は「染めて」作りたいのだ。

白じゃ染めなくていいもんね…。

瞳と同じ、赤もいいかとは思ったがいかんせん生地の分量が多い為、真っ赤な人になってしまう。

私的には赤い人でもいいのだが、この世界でそんなに赤い男性を見た事がないので目立ちすぎるだろう。

ちょっと無しだよなぁ…………。
どうしようか。

あ。
閃いたかも。うーん。
でもあれかな…いや、いけるかな?
ま、考えとこう。
でも余計に生地が要るな?


「うん、とりあえず行こう。」

一旦区切りをつけて私は中庭に向かう。

フローレスから、宿題を出されているのだ。

「次回までに色を決めて、具体的にイメージして来てね。決まってないと色が着かないわよ?」



そんな、恐ろしい事を言っていた。

まじないで色を付ける為、イメージがハッキリしていないと失敗になるという。
それだけは避けたい。

私が染めたい色が大体中庭にしか存在しないので、癒されついでにイメージを固めようとウキウキで、出かけて行った。




ポン

「中庭の青と滝」

ん?何これ。

開いた扉から見える貼り紙が変わっている。

「ウソ?まさか?ホントに?」

エレベーターさんの中で一人、大きな声を出していた。

まさか、滝、作ってくれたの??

「ねえ?やってくれたの?」

私はすぐさま駆け出しながら館くんに訊ねる。

勿論、館くんは返事をしないけれどエレベーターさんから出ると小さく水音が聞こえてきた。
 
ガラス面を見ながら、廊下をずっと、走る。


「うわ!ある!凄い!!」

期待通りの滝が、壁の穴から出ているのが見えてきた。

凄い!凄い!やったね!


まさか、館くんがやってくれるなんて夢にも思っていなかったので私のテンションはMAXだった。
なによりも、その心遣いが嬉しい。


走ってぐるっと周り、ベランダへ出る。
すると小さく聞こえていた水音が轟轟と大きく聞こえてきて、本当に滝ができた事を実感する。


「う、わぁ~~~~。」

丁度、いい高さ。

滝、と言っても壁の穴から出ているので放水に近い。
それでもやっぱり、水がドウドウと流れ落ちる様は圧倒される。

私のいるベランダから少し高く、丁度飛沫でも飛んできそうな迫力。
横長に開いた穴から白く青く、水が溢れている。
下を見ると、丁度泉の端に落ちるようになっていて魚たちも大丈夫そうだ。

「うんうん、凄い。綺麗。爽やか。マイナスイオン出てる。」

一人、滝の出来を褒めていると、何だか館くんが嬉しそうな気がする。

うん、そういう事にしておこう。


「ハァー。」

ゴロンとその場に横になった。

空も、綺麗だ。
どこまでも青い、その空がまじないだなんて、造られた場面に居なければ信じられないだろう。

横を見る。
滝も、いい迫力。

飛沫、水音、流れによってできる風。

水が流れるという、その様。

水が動いているところを見るのが、好きだ。
私の中のモヤモヤも一緒に流れる気がする。

ちょっと向きを変えて下を見る。

透明な床にしてもらって良かった。
このまま泉が見れるなんて、最高だ。

滝が出来たことによって活性化されたのか、水草が増えて壁から伸びている種類も増えた気がする。
草が増えると魚も住みやすそうで、小さい魚が増えている。
可愛いなぁ。

チラッとあれは食べられないのかな?なんて思ったりして…………。

ここシャットでは食べ物が殆ど採れないので一部を除いてラピスから仕入れているらしい。
イスファが教えてくれた。
よく食堂で会うからだ。

食べ慣れた食材が多い事に気が付いていた私は何の気無しに「ラピスと似てる」と呟いていたら、「クマさんがラピスに注文してるんだ」と教えてくれたのだ。

どうやって注文しているのか、ちょっと気になる。
電話?手紙?今度、聞いてみようかな。


滝もあるし、緑も増えた。
これは綺麗な色が作れるだろう。

緑はあの水草のような瑞々しい色がいい。
青は…空の色かな?水の色かな?
悩むなぁ。

橙は、もう決まっている。炎の色だ。

脳裏に残る、濃い、橙の炎。

あっ。また顔が熱くなってきたっ。

ささ、赤、赤。
赤は結構簡単かも。
でも、赤ってそういえば無いな?

うーん。

「依る?」
「ひょっ!」

あ。
また変な声出ちゃった……。

完全に一人の空間で油断していたので、声を掛けてきたのが気焔だという事は分かっていたが飛び上がってしまった。
ちょっとさっき橙の炎を想像していたからかも、しれない。

くるりと振り返ると、気焔がいつもの様に立って待っている。

どうしたんだろう?


「授業?まだだよね?」

「ああ。ちょっとな…………。」

え?なに?気になるじゃん。

「最近、いや今日、吾輩の事を考えたか?」
「え?!なに?何で??」
「いや、…………どうなんだ?」

「何でそんな事言わなきゃいけないの?!やだよ。」
「いや、依る…そうでなくてな…………。」

なになに?
私が気焔のこと考えてるか、なんで知りたいの??

無理無理、言えるわけないじゃん!


多分、顔が赤い。
私を見て仕方がない顔をしたが、その後すぐ笑った気焔を見てそう思った。

ダメダメ、もう戻ろう!

「もう、行くよ!」

そう言って、さっさとベランダから出て行く私が後ろを歩く気焔の本題が何だったのか気が付くのは、大分後の事になるのだった。






その日の午後から、まじないの授業だった。

シンが先生のおまじないの方だ。
まじない棟に来る様言われていたので、気焔に送ってもらう。

今日はシンが先生なので、別行動だ。
また薬学に行くらしい。

「危なくないの?大丈夫?エイヴォンさんはもう居ないの?」

矢継ぎ早に繰り出される私の質問に、少し面食らいながらも答えてくれる。

「ああ。あの後、すぐ戻ったようだ。今は大体普通に授業を受けているだけだ。心配無い。」

大体ってなに…………?

まぁやらなきゃいけない事なんだろうけど。
どうやら時々、ウイントフークとも連絡を取っているらしい気焔。
私には教えてくれないけど、何となく会話の端からやっぱり分かるのだ。

伊達にずっと一緒に居るわけじゃないからね!


「あ、ヨル。」

まじない棟との橋の前でヤイヤイやっている私達を見つけたのはレナだ。

気焔はレナに「じゃあよろしく。」と言うと、サラッと立ち去って行く。

「ヨルのお守り交代ってわけね。」

「む。子供じゃないもん。」
「いや、子供でしょ。聞いたわよ?何もなかったんでしょ?」

「え?何が?」

「ほら。…とりあえず行きましょう。始まるわよ。」

そう言ってフイと歩き出すレナに、私は慌ててついて行った。




「→」にまた案内され、まじない棟の多分真ん中ら辺の教室に着く。

多分、レシフェの部屋の近くじゃないかと思うんだけど。
イマイチこの辺のビルの構造はよく分からない。

教室の扉は、開いていた。


その教室は、広い講堂の様になっていて少し前の方が低くなっている段差のある造りだ。
入り口扉の両脇には本棚と薬品の瓶やハーブを保存している瓶などの収納がある。

あの辺も、めっちゃ楽しそうだなぁ…。

裁縫の教室が白とブルーの優しい色合いだったのに比べると、ここは机や椅子の深い木の色と壁や床の濃い灰色からちょっと妖しい雰囲気だ。

おまじないの教室にピッタリだと感じた私は、ウキウキするのを抑えられない。
ソワソワウロウロしようとするのを、レナに止められる。

「もう先生が来るわよ!」

「これじゃお守りが必要だと思われてもしょうがないわね。」なんて呟かれた。
確かに。


私達の他に数人の生徒が既に座っていて、長細い机には何も書かれていない。
席は自由の様だ。

レナが一番前に座ったので、私も隣に座る。
とりあえず、前に座る性格はレナも同じのようだ。
あと何人か後ろの扉から入ってきた気配がした後で、「カラーンカラーン」と鐘が鳴る。

「え?なになに?」

鐘が鳴るのを初めて聞いた私は、なかなかの勢いでキョロキョロしていたが誰も驚いていないので、慌てて前を向いた。

「もう!」

隣のレナはちょっと恥ずかしそうだ。
次から隣に座らない、と言われても困るので大人しくしようと今、決めた。



扉が閉じる音がして、何となく先生が来た事が分かる。

シンは真ん中の通路をスタスタ歩いて、教壇に立った。
何だか彼を見るのは、久しぶりな気がする。

そんなに会ってない訳じゃないんだけどな?



「では、おまじないの授業を始める。」

そう言ってシンはパチンと指を弾いた。


その音と同時に、部屋が闇に包まれた。

真っ暗までいかない、隣の人が見えるくらい。
だが、少し離れるとほぼ見えず、驚いた生徒たちが騒めいていた。

「まず、お前達が何の為におまじないをするのか。」

シンがよく通る声でそう話し出すと、スッと騒めきが収まる。
闇の中で不思議に響く声にみんな耳を澄ましているようだ。

「誰かの為か。自分の為か。何故、「おまじない」なのか。」

「「どうなりたい」のか。…………今まで人の願いを、沢山聞いてきた。人の願いには様々なものがあり、時としてそれが幾重にも重なれば世を動かす力をも、持った。」

「ただ、個々の人々の願いは自身の本質からくる欲求である事が望ましい。本来、人はそれ以上のものは望めない生き物だ。世の平和が真の願いならそれも良し。しかし大層な事を願う必要はない。きちんと、「それ」が本質の願いであるならば「願い」は「祈り」になり、畝り、重なり、創られて、いく。」


「自分にとっての「おまじない」とは何か。決まった者から伝えに来い。それによってどのまじないが良いか、決めるとしよう。」

しばらく静寂が続き、シンの話が終わった事が分かる。

まだ、私達は闇の中だ。


「ああ、この閉じられた空間の中でしっかり考えろ」という事か、と腑に落ちた私は自分自身の事を考え始めた。



うーん。

「私にとってのおまじない」でしょ。
何だっけ?
何の為にやるのか、と誰の為か、自分の為か?
そうね………。

誰の為かって言われると…………どっちもかな。

勿論、自分が落ち着きたい時もやるし、相手に合わせて調合する時もある。うん、これはどっちもだな…。 

何の為に…………。

多分、私にとっての「おまじない」はサポート役というのが一番相応しい呼び方かもしれない。

自分を、人を、助けてくれるもの。

それ以上でも、以下でも、ない。
頼りすぎてもダメだし、悪い事なら信じない、というのも違う。
「仲良く」するものなのだ。

そういう点ではおまじないと占いは似ている。
ラピスでも相性占いは少しかじったが、占いでも、おまじないでも、それに囚われ過ぎたり頼るを超えてすがるになってしまう人も、たまに居るのだ。

そうなると、結局最後に占いやおまじないの所為にしてしまう。
何かの所為にする事はとても楽だから。

大人でも、そんな人はいる。
同じ年頃の悩む乙女なんて、とても危ない。
それを上手く、導くのが難しいところだと思う。相談室で、いつも感じていた事だ。

私はおまじないを紹介していたので、やっぱり「効かない」と言ってくる人は、いなくは無い。

そういう人にうまくおまじないの取り扱いを説明するのは結構難しい。
そのタイプの人はおまじないを「願いを叶える魔法」だと思っているから。
そうでは、ないのだ。

おまじないは、あくまでもサポート役。
それ以上でも、以下でもない。

でも、「助け」として使えるのなら、こんなにいい相棒はいないのだ。

私にとってのおまじないとは…………
「みんなを助けてくれるもの」かな?

よし、決まったよ?


辺りを見回すが、闇の中、いつの間にか隣のレナは見えなくなっている。

先に、シンのところへ行ったのだろうか?

これ、教壇まで行けるかな?
シン?どこ?


すると側にぼんやり白っぽいものが浮き上がってきて、段々とシンの形になる。

それは私に手を差し出したので、その手を取ると教壇まで連れて行かれる。
手を離してシンが教卓へ納まると、いつもの紫のシンになった。

「どれ。」

ん?シンがまた手を出したので「?」になりつつも、私も手を出す。
その手を握ると少し考えて、何やらメモしている。

ん?読めないな??

何語かわからないメモを見ながら、いくつかの紙を出してきた。

「依るはこれがいい。」

そう言って差し出された紙は二枚ある。
今度はちゃんと読める字で書いてある様だ。

なになに、ハーブ…………うん、ハーブティーとかポプリとかだね…ラピスでやってた事と変わらないかな?

もう一つは…癒し石?
なに?これ?

パチクリしながらシンを見る。

予想していたのか、シンと目が合いその紙を指しながら教えてくれた。

「依るは癒す力が強い。と言うか、癒し以外は別にいい。」

「別にいいって…………どういう事…。」

「まじない石でも色々なものがあるが、この前のシェランの石程度の物、あれを癒し石に変えてそれを持つ者が癒されるようにする事ができる。」

私の疑問をスルーしながらも、素晴らしい提案をしたシン。
疑問はすぐに何処かに飛んで行って、私は前のめりで話を聞く。

「どうやって?」
「まぁこれに書いてある。分からない所だけ、聞け。」

あら。

意外にも突き放された返答だが、シンは今先生なので私にばかり感けている訳にもいかないだろう。
素直に頷いて席に戻ろうと振り向くと、そこはもう、普通の明るさの教室だった。


あれ?まじないだったから?

少し驚きながらも、レナの隣へ戻る。


「レナはもう行った?」
「まだ。」

珍しい。
私がさっきレナが見えなかったのも、まじないのせいだろう。
なにを悩んでるんだろう。

女子会の時は、キッパリ何をしたいのかレナは言っていた。

「悩んでるのよね。あんたがこの前、言ってたじゃない?マッサージの話。」 

「うん。いいと思うよ?何を悩んでるの?」
「貴石が、何をする所か、…………知ってる?」

レナは私の目をじっと見ている。

明るい茶色のくりっとした瞳、ふわふわの青い髪。
そのレナの真剣な瞳に私はなんとなく、考えていた事を口に出す。

その問いには、真剣に答えなければいけないから。


「レナはその美しさを生かして、お金を稼ぐ所って事だよね…?なんとなくしか分からないけど、あの…その。」

「そう。私自身を、売り物にするって事よ。」

ズバリと言うレナ。

その、潔さがすごく格好いいと思ってしまった。

レナはあっけらかんとしていて、まるでそうするのが当然、その方が賢いくらいの言い方を初めからしていた。
でも、そんなレナが私はとても、綺麗で、何者にも侵し難く見えた。

私には無い、この強さ。

でも。

「でもね。私だって、色を売りたい訳じゃ無い。それしか無いとはいえ、やっぱり、多分、何かが擦り減っていくだろう事は分かるのよ。姉さん達には、誇りを持ってやっている人もいる。尊敬してるわ。顧客が出来て、ほぼ夫婦みたいな姉さんもいる。でも貴石に入っていて、結婚とかは出来ないのよ。まぁ全ては相手次第なんでしょうけど。」

「何が正しいのか分からなくなる事なんて、毎日よ。ここでのし上がってやる、という気持ちと、すぐにでも逃げ出したくなる気持ち。その繰り返し。…………でもこの前あんたに言われて、私の可能性を奪ってるのは、私の考え自体かもしれないと、思った。何とか出来るのか、分からないけど。」

レナの言葉に私は詰まる。

普通に生活して、学校も行って、宿題に文句を言って、夏休みもある私。

そんな私と全く違う生き方をしてきたレナ。
年は少し上だろうが、ほぼ変わらない。

私が言ったことは、実現できるかは正直分からない。
レナがいたグロッシュラーは知らない世界だ。
私の常識で測れない部分も多いだろう。

でも。

ここで諦めたら、依るが廃るよね?


やらずに後悔するなら、やって後悔する方がいい。

できないかどうかなんて、分からない。

できるかもしれないのに、やらないなんて。
目の前のレナに対して、無責任な事は言いたくない。

でもさ、一緒に頑張る事は出来るよね?

「レシフェがさ、詳しい筈なんだ。多分。協力させる。絶対。やろうよ。マッサージ。」

それで生活が出来るなら、願ったり叶ったりだ。

レナも考え込んでいたが「どういう風にすればいいかな…。」とブツブツ言っている。
頭の中ではもう、やる気になっているようだ。

「レナがその人にしてあげたい事すれば良いんじゃないかな?その人に合わせて。それが一番いいと思うけど。」

そう言った私の顔をまじまじと見つめるレナ。

ため息を吐くと、

「あんた、すごい事サラッと言うわね。まぁ、そうなんだけど。深い意味は、無いのよね。」

「あんたの事だから………。」とレナは言って、また真剣に考え始めた。


私はそれを見てもう大丈夫だな、と頷く。
そうして何だか私もスッキリした気持ちになって、シンにもらった紙を読み始めた。


うん?なになに。

「ある一定以上のグレードの石を浄化して、力を込めれば出来る。」

ん?終わり?それだけ???

なんか、拍子抜けしたな。

でもそれがお守りになるって書いてあるから、パワーストーンみたいなものだよね?
あ、じゃあデザインしてネックレスにしたり、ブレスレットにしたりすればいいじゃん!
エローラにもデザイン聞こうっと。


気が付いたら、レナもシンの所から帰って来ている。
半分くらいの生徒がもう終わった様で、みんな同じ様な紙を持っている。

レナのは、なんて書いてあるんだろ?

「レナのは?なんて書いてある?何言われたの??」

「ああ、シン先生やっぱりイイわよね。私の「手」がいいって言ってたわ。向いてるって。なんか、あんたの石を使えって言ってたわよ?」

「いいね!それ!ピッタリだよ。一緒に出来るね!」

レナは私がキャッキャと喜んでいる様子を少し呆れた目で見ていたが、何だか急に笑い出した。

何事?


「あんたにかかると、みんなこうね!」

え?私のせい?

清々しく笑うレナはやっぱり綺麗だ。

女の子はこうじゃなくちゃね?
みんな、笑って欲しい。ホント。



「終わった者から、今日は終了。まだの奴はゆっくりでいい。」

そう、シンがみんなに伝えると、私達も立ち上がって「帰ろうか。」と顔を見合わせた。

「休憩室行かない?」

「もうすぐ夕飯じゃない?」
「そうか。じゃあご飯一緒に食べようか。相談しよう、そうしよう♫」

私がルンルンしていると、またレナが笑う。

「しょうがないなぁ。食べてあげるけど、女子会にしてよ?気焔は置いて来て。」

「ん?なんで?」

「色々教えてあげるからよ。」
「?分かった。」

気焔の渋る顔が目に浮かんだけど、食堂で別の席に座ればいいと思う。うん。

私は「また女子会!楽しみ!」と浮かれていて、エローラは何の授業だったかな?とみんなを誘おうと、既に頭は女子会モードになっていた。


やっぱり必要だよね!女子会。

そして二人でリュディアの予定をアレコレ考えていたら、帰り道に迷って結局気焔に迎えに来てもらった。


何だか締まらなかったけど、とりあえず、よかったのだ。

うん。



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感想 3

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