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エルバの健診 2
しおりを挟む「ラエティアから聞いてないかい?力の強い男は、性欲も強いって。」
「はぁ、ええ、はい。」
間抜けな返事を返す私、気にしていないエルバはなにやら考えながら、真剣に話して、いる。
その様子を見ていると、まだピンクが残っていた私の全身も段々と落ち着いてきた。
「あのね、回数を重ねると。液体は出なくなるんだ。多分「貯蔵量」?なんか、限界があるんだろう。しかしそれだけやっても「出る」、という事は彼はそれをコントロールしている可能性が高いね。「どう」やっているのかは知らないが、話を聞くに「お前さんに与える為に作り出している」んだろう。」
「なんだか、不思議だねぇ。」
しみじみとそう言う、エルバを見て。
「そんなこと って あるの?」
「限界? 貯蔵量??」
「確かに 人間の体 には 限界が 」
「創り出す」
「森に 水を 」
「チカラの 転換」
「なるほど…………???」
なんだか自分の中でも、意外としっくり、きて。
深く頷いていると、再びしみじみ語り出すエルバ。
その言葉は、とても深みがあって。
私にも、馴染みがある ものだったんだ。
「それはね、凄い事なんだ。所謂「性欲」をコントロールしている、という事は余りある力を爆発させる事もないし、周囲を傷付けない。それに、自分もね。あれはどっちにも働く、なくてはならない、厄介なものなんだ。」
「はい。」
「ここではうちという、捌け口が用意されているが、だから「いい」と言うものではない。本来、「彼の様な使い方」が正しいのだろうよ。男の力は、「子を成す」だけではない筈なんだ。その証拠にウイントフークなんかは、「全然」だろう?」
「えっ、うん、はい、そうなんですかね??」
いきなり本部長の話に飛んで、なんだか私が気まずい。
しかし、確かに。
あの人の浮いた話の一つも聞いた事がないし、女の人に興味がないのかとも、思っていたけれど。
「あれはね。「そっち」に力を使っているからなんだ。レシフェなんかも、そうだろう?力は強いが女に、向けない。まああいつはウイントフークよりはアレだけどね。上手いんだ、自分で自分をコントロールできてる。「性欲」に支配される事が無いんだよ。」
「………確かにそれは、よく、解ります。」
「向こうはうちが、与えられている。そう、刷り込まれてるんだよ。初めから。沢山の選択肢があれば、違うんだろうけど「まず女」それは癖になる。もっと、世の中には打ち込める事があると思うんだけどね。」
確かに。
しみじみと頷いている私の元に、話の矛先が戻ってくる。
「だから、お前さんの相手は彼でピッタリなんだろう。やっと腑に落ちたよ。畑の変化も、空の変化も。まあ、やっと出会えた二人なんだ。末長く、仲良くやりな。」
「 え、あ、そう、か。はい。ありがとうございます。」
いきなりくるくると回り戻ってきたカケラ、エルバの言葉から放たれたそれは、私の胸の奥にプツリと刺さって。
あ そう か そうなんだ
だから 。
そう、エルバは。
私達二人を見た時 「金と銀」と。
言っていたんだ。
あの白い三角屋根の部屋で、じっと私達を見つめていた、あの青い瞳。
それがブワリと懐かしく思い出されて、その「意味」を知る。
成る程 確かに。
じゃあ いいんだ
私は 求めたいだけ 求めて
「 いいんだ 」
ずっと ずっと 待っていた
会いたかった 呼んで いた 「あの色」
「私のなか の みんな」が
欲して いるんだ。
くるくる キラキラと まわる カケラの中
タイミングよく エルバの声も 降ってくる。
「でもね。そこでまた、「みんなの想い」を、持たなくともいいんだよ。お前さんの、いい様に。お前さんが、満たされ、悦ぶ事で、みんなが「そうなる」んだから。いつも、いつでも「誰かの為」に働いたなら、それは逆に満たされないんだよ。みんなの為なら、自分が、満たされる事だ。」
「だから。濡れるなら濡れた方がいいんだし、満足すれば溢れるのも止まるだろう。なにしろ「それ」を、満たしておやり?いいんだよ、それで。」
くるくるの キラキラが なんだか派手になったところで。
「溺れるのも、いいんだけどね」という
エルバの怪しい声が聴こえる。
私はとりあえず、目の前の光をボーっと受け
沁み込ませて、いて。
すぐに忘れる「受け取ること」 だとか。
「やらなきゃ」とか 「こうでなきゃ」とか。
そんなものを、この優しい青が齎してくれた
光によって。
ただ 流して 沁み込ませようと
暫くボーっとして いたのだった。
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