透明の「扉」を開けて R18

美黎

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エルバの健診 ☆6

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とりあえず「何も考えずに」、レナの店へ
歩いて行った。

色々、考えない訳じゃなかったけれど
「全部入っているけれど 空っぽ」のかたちを把握した私は、が一番いいことを
知っていたから。

とりあえずなんにも「構えずに」、店の扉をノックした。


そうして 「待ってたよ」と。

真っ直ぐな青い瞳で私を見た時のエルバは
「何かを全身で受け止めている様な かたち」で。

ただ 静かに私を見て、いたから。

私も黙って、見られて いた。

この人に見られるのは、嫌じゃない。

彼女が「なにを 見ているのか」、それが解るからだ。


「なんだか、不思議な感覚だよ。こうしていると、私が子供に戻ったんだか、なんだか。」

ベッドに寝かせられた私の身体を触りながら、しみじみとそう言うエルバ。
とりあえず私は。

その手がとても、気持ち良くてじっと黙って「確かめられて」いた。
マッサージとも違うその「確認」は、身体の「痛み」や「傷」が無いか、「あそこ」は大丈夫か。

それを確認して、一通りチェックを終える。


「ふん、「身体的には」問題無い様だけどね?ただ少し「柔らか過ぎる」から、乾燥しない様にしておきな。」

「はい。 」

多分 それは  心配 ない です………


初めてパッカリと人様の前で脚を広げた私は
恥ずかしかったけれど。

「何を今更」と言う、エルバの勢いに押され
検診を終え服を整えて、いた。


 でも 「柔らか過ぎる」って なんだろうか

ふわふわとそんな疑問を浮かべながら、再びの視線に気が付きくるりと向き直る。

すると「懐かしいものを見る瞳」は、すっかり「女達の母」の顔に変わっていて。

「しかし、あんた達大丈夫なのかい。」と私の心配をしている様だった。


「えっ、何がですか?」

「いや、しているだろう?子ができやしないか、心配だね。お前さん達に子が出来たら、またなにか………。」

モニャモニャと言葉を濁したエルバ、しかしその心配は最もだ。
彼女はそれで、以前心を痛めたのだから。

「いや、多分。大丈夫です。なんか、まだ早い。」

「…………そうかね。まあ、そうだが。しかしあんたが言うなら、なんだろうね。それならいいが、しかし彼は手加減してくれないのかい。」

「えっ?…あっ。いや、  」

 違うんです、と。

いきなり真っピンクになった私に驚きながらも話を聞いてくれるエルバに、「私の心配事」を相談する。

そう、あの
「スイッチが簡単に入り過ぎて すぐ漏れる」事件である。

恥ずかしくない訳ではないが、これは私にとって真剣な「悩み」でもある。
沢山の女性達を見てきたエルバならば、何かいい解決法があるかと とりあえず口を開いた。


「 いや あの。 なんか。」

「なんだい。」

「いや その。私、人より、その。あの アレが ええ。」

「ふぅん、成る程。「欲しがっている」のは、お前さんの方かい。」

「ぅっ、はい、そうなんです。」

なんだかとてつもなく居た堪れない気がするが、事実なのだからしょうがない。
とりあえず腹を括って。
静かに頷く 青い瞳を見た。


「まあ、別にそれはどっちがどうでも、いいが。何に悩んでるんだい?別に「おかしな事」じゃ、ないだろう。」

「そう、言ってもらえると。でも、なんか、すぐ濡れちゃうんです。ホントに、すぐ。ブワッて。彼の顔を見ただけで出る時もあるし、落ち着いたら大丈夫なんですけど、また暫くして「かっこいいな」とか、「綺麗だな」とか思うと。出ちゃう。」

「なんなんだろうな、これ」と言っている私の横で「ふぅん?」と興味深そうな、青。

「で?はそこまでおかしな事じゃないよ。まあ「頻度」の問題はあるんだろうけど、お前さんは、なんというか………。」

「えっ」  

 なんです か ね ??

そこまで言うと、私をまじまじと観察し始めた青、さっきとは違うその「検分」に暫し大人しくピシリと座る。

 見た目で なんか

 判るのか な ………


ブツブツ言いながら一頻り何かを確かめていたエルバは。
再び私の隣に座ると、ズバリこう言った。

「なにか。まあ、お前さんは「人ではない」のだろうね?だからじゃないのか。」

「 へっ?」

「なんだか「普通じゃない」とは、感じていたけど。あの人達の、血縁だ。だけどね、それとも少し、違う。ディディは確かにまじないは強かったんだろう。「色」の所為もあったと思うが、とても儚かったんだ、あの人は。しかしお前さんはなんと言うか………同じ様な色ではあるが、もっとしっかりしていて盤石。しかし不思議な深さ。」

「なんていうか。「森」を、見ている気分だよ。ま、私ゃ森を見たことは無いけどね。きっと「こんな感じ」なのだろうね。」

その、エルバの言葉を聞いて。

 え なんか でも

 「当たってる」

本能的に そう 思う。


 確かに私は 「みどり」になった んだ。
 そうか あれは。

 「森」だったんだ。

 いや 「森でもある」のか。


「私はまじないに、そう詳しくは無いが。あんた達はきっと力が強くて、だから「見えないもの」との、繋がりが強いのだと思う。私達が視認できないところまで、見えると言うか。これまでずっと、力の強い女や男も見てきたが、なんだか「方向」が違うんだよね………。」

「方向?」

「そう。これまでは、「力を使って権力を保つ」そんな感じだった。人を抑える事に、それを使っていたんだ。あそこは特に、この世界を支配する為にあるからね。まあ、そうなんだろうけどお前さんの場合は逆で「みんなの為にある」のだろうね。」

「みんなの、ため………。」

「ああ、誤解しなさんな。「何かしろ」という事では、ない。まあ、だから「森」なんだろうね。私ゃ本でしか見た事がないが、沢山の動物が住み豊かで、そこで生死が廻る。それを「抱える」もの。そんな感じじゃないのかね、「森」とは。」

「 たし かに。そう思います。」

「だから別に、「なにを」しなくともいいんだ、きっと。ただ「そのままであれば 豊か」そんな感じだろう?お前さんの場合は交わったから、それが余計に開いたのだろう。」

ふん?

いきなりスイッチが切り替わって、思わずくるりと向き直った。

しかし、そこにあったのは。
思いの外真剣な、深い青の瞳だった。


「「あの時」から。お前さんは沢山の想いを持って、行った。そうしてきっと、色々なものやことの為に走り回っていた筈だ。「人のために動く」、それはお前さんの性分なんだろうけれど、やはり一方的では駄目なんだ。「お前さんの、癒し手」が必要なのだよ。」

「  はい。」

「ずっとずっと、擦り切れて行く女達を見ていた私にとって、それはとても幸運な事だ。お前さんピッタリの相手に出会える事。それは私達が縛られていないとしても、容易でないのは解る。なにしろ「相性」もいい様だしね?どんなに好きあって結ばれても「体」が合わなければ終わるからねぇ。」

「えっ。」

なんだか話がいきなり逸れた。
いや、逸れては いないのか。

「多分、今のお前さんは「乾いた森」で、それを潤すのがあの男なんだろう。森を豊かに保つには、きっと沢山の雨が必要だろう?今は畑が出来たから、よく解るよ。」

「うん、まあ、そうですね?」

「だから「満足」したら、きっとそう「漏れない」だろう。まあ「どこまでいったら満足」なのかは、私ゃ知らんが。」

「 ぅっ」

「しかしね?あの男も、凄いね。まあ「あれ」も普通じゃないのだろうけど、それだけずっとやっていて、毎度「出して」いるのかい?それともお前さんを満足させるだけ?」

「 ふぉっ。」

「いや、これは大事な話だよ。」

「…………はい  あの ぇぇ、多分、出てます。量に、程度はあれど。」

「成る程、凄いね。」

 はい なんか   違う意味で 凄い です。

 わたしの 顔が。

エルバが何に対して「凄い」と言っているのか、イマイチ分からないけれど。
私の顔はきっと、とても赤い。

案の定、下を見ると全身トマト状態である。
いかん。


そうしてら「なにが どう凄いのか」を 聞く前に
とりあえず立ち上がってパタパタと。
自分を少し、冷ます事にしたのであった。




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