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みどりの祝福
しおりを挟むそうして私は。
暫く。
ズブズブの しとしとの
すっぽり すっかり べったり
ぴったり
「あのいろ」に
浸されて いたのだけれど。
「そろそろ、いいか。」
そんな色を発し 私を確かめ始めた 彼。
マシュマロの周りをぐるりと周り
私の頭の天辺から 足の指まで
なんでか 舐めて。
そうして 「うむ」とか 言って
羽衣をくるくると巻かれた。
なんなんだ これは。
「一度、連れて来いと言われている。」
「 ああ」
なんとなく、あの時レナが言っていた
「エルバのところ」だと いうのが 分かる。
「 うん」
しかし。
びとびと に 彼の色に染まりきっている私
そと 出られるのかな
私 「かたち」 保ってる?
大丈夫かな 真っピンク じゃ ないかな
そんなことを ボーッと 考えて いた。
そのくらいは。
融かされて ゆるゆるの どろどろ
ヒョロヒョロ なのか ヘロヘロ なのか
それとも。
ピッカピカ 過ぎて 「見えない」のか。
なにしろ 「チカラ」だけは。
「満タン」に 違いない。
多分 「形を保てていない」だけで。
「うん、ちょっと 待ってね。」
「大丈夫だ。ゆっくりで。」
うん まあ ええ
なんでも いいんだけど。
とりあえず 「出る」なら
もう 「ストップ」だからね?????
「ふぅん?」という 「いけない色」を
出した 彼
「くっ 駄目だよ、それも。」
際限なく溢れる わたし
とりあえずまだ 「閉まり切らない」のは
間違いない
「閉める」のか 「締める」のか?
「いや、とりあえず「閉め」よう。うん。」
そうして。
なにしろ、私は 「体裁」「かたち」「見た目」を
整えることに したのである。
それから 暫くして。
とりあえず、「体裁」は整えた わたし
なにしろ一度健診に来いと、エルバが心配していたらしい。
度々、外へ出ている彼がそう言っていたから
とりあえずは短時間でも、出てみる事にした。
正直、「外へ出る」事は私にとって一つのハードルでも、あったけれど。
だって しっぽり ずっぷり
ひたひたの ぐるぐるに
「浸されてた」って。
バレてる って こと だよね ???
だからか どうなのか。
なんか 「怖い」。 「なにが」怖いのかは
解らないんだけど。
でも 多分 私は「そと」が 怖いのだろう。
ずっとずっと 「満ちている」「満たされている空間」に いたから。
だから なんか いやいや でも ずっと
ここにいる 訳にも?
うーーん。 でも なあ
なん か。 「恥ずかしい 」 かも ???
「こら。」
「あっ 」
「お前の「周り」に。そんな者が、いると思うか?」
「…………ううん、いない、けど 」
「仕方が無いな。」
そう言って 美しい瞳で私を再び 拓く 彼
その、瞳の「いろ」で。
「お前は 大丈夫だ」と
伝えてきては くれるけど。
未だ 溶けきっていない 澱
それを 辛抱強く 流してくれる この色
「有り難い」という 気持ち と
「私も」「いいのかな」「貰いっぱなし」
その 湧き出た澱に 、また。
注がれる 金色
容赦なく流れ込む 濁流
「受け取れ。我は「無限」である、故。」
うん ああ そう ね
また すぐ 忘れるな
「駄目な 私」
しかしその チラリと覗いた微かないろ すらも。
唇から 注がれる 勢いと
下から 伝わる 快感
濁流
せせらぎ からの
激流 に。
キラキラと 舞う 澱 光
その 渦の中で
混じり合って 煌めく カケラ達。
あぁ もう
なんも ない な
そうして また、何度か。
また 融かされたり
流されたり
埋もれたり 昇ったり
降りたり して。
結局、暫くしてから
なんとか、やっとこさ「体裁」は
整ったので、あった。
そうして、ある日のこと。
きっと、「何しに行くのか」は
知ってると思うんだけど。
「行ってこい。」
それだけ言って、私をイストリアの所へ送り出したあの眼鏡は、やはり聞き辛くはあるのだろう。
あれから、この人から「具体的に」なにが、どうだ、とか。
流石に訊かれることは無いし。
真っ白になった私を見ても「ほう、ふぅん?」とか言って。
「楽しそうに」(いや、目が怖かったけど)チラリと見た後、一応は遠慮しているのか。
詳しく観察されることなく、向こうへの通路へ出された。
「でも 本部長だから」と警戒していた私の心配も、杞憂だった様である。
今日はあれから初めて。
あの、レナの言っていた「エルバの健診」に行く為とりあえずイストリアの所へ向かっているのである。
しかし。
そう、私には。
デデンと鎮座している大きな「疑問」が あったのだ。
「なんか…………?「思ってた」のと、違ったんです、けど…………。」
出されたティーカップを、まじまじと見詰めながらぶつぶつと小声で呟く私にクスクスと優しい声が降りて来る。
「それは。まあ、「人それぞれ」なんだ、ろうけど。君が「なにを」「どう」想像していたか、にもよるけどね?まあ、でも。「違った」のだ、ろうね。周りを見れば、それは解るよ。」
そう言って、ぐるりと店内を見渡すイストリア
確かに店の中には。
いつもより多い「新鮮なハーブ」、そう、まだドライになっていないものが圧倒的に多いのだ。
いつもならば、ドライの方が多い店内は瑞々しい香りで溢れ、なんならこの「生命力」の中で。
泳げそうで、ある。
「で?何がそんなに気になってるんだい?言える範囲でいいから教えてくれるのかな?」
「はい。あのですね…………」
もっと、抵抗があるかと思っていたけれど。
イストリアの優しく包み込む様な雰囲気
この部屋の瑞々しいハーブ達。
通って来たまじないの畑はみんながみんな、私を祝福してくれて
なんだか「お祭り」の 様だったし。
ここの湖も、「見事なピンク」。
上も、水も、とてつもなく美しいピンクに染められていて
「あれからずっとこうだ」というイストリアの言葉に、少しだけ頬が熱くなった。
うん、私 成長してる。
多分。
「あのですね、「みどり」になったんですよ。」
その、「謎の説明」を一生懸命する私をニコニコしながら見る薄茶の瞳が、優しい。
多分「半分意味不明」の、その説明を一通り聞き終わったイストリアはなんだかとても嬉しそうにこう言った。
「君の「祈り」が。「そちらの方向」へも、向くならばそれは願ってもない、事だよ。」
「 祈り?」
私の ある意味 「真ん中」「軸」「基盤」にある
「ことば」 「祈り」。
それが 何故か。
ここで 出てきたのだ。
「そう。君が「喜び」「幸せ」「気持ちいい」とか。沢山の「美しい色」を感じれば感じる程、それは世界に「還元」される。世界と君は繋がっている、それはもう解っているだろう?」
「 はい。」
ああ そう か そうなんだ。
「だからね。沢山、「感じる」と、いい。「受け取って」いいんだ。君は彼から「与えられる」と思っているのだろうけど、それは「恵み」でも、ある。「全て」への、ね。」
「 」
「そうなんだよ?だって「これ」は。そう、あることじゃない。「本当に繋がりあった 二人」が、「喜び合って」「世界に祝福を齎す」んだ。世界中が、そうなれば、何も争いなど。起こらないし、「世界が廻る」。それも、解るよね?」
「 はい。」
確かに。 そうだ。
「君はね、「受け取り下手」だ。なんとなく分かってはいると思うけど、「与えるだけ」じゃ駄目なんだ。「バランス」を崩す。それは「与えられると返したい」君なら重々承知かと思うが、どうしても自分の事になると。疎かになるよね。まあ、解るよ。」
そこで一旦、話を切って。
お茶を淹れに行ったイストリア、私が勢いよく来て質問したものだから、そのままずっと座って話していたのだ。
それにきっと、一人で考えさせてくれるつもりなのだろう。
それをまた、有難く思って 店内のけぶるハーブの香りを眺めて、いた。
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