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17日目 お母さんとレッスンを受けるシャイなフィリピン少女
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曇りの日の午前11時半
クリステルさん 15歳 フィリピン出身 高校生
クリステルさんの第一印象
シャイで可愛らしい女の子
※全編英語
「クリステルさん~、こんにちは」
「...」
「クリステルさん?」
「...」
「あれ、聞こえますか?」
「...」
「クリステルさん?聞こえますか?」
「はい。聞こえます」
「あっ、良かった。ビデオもオンに出来ますか?」
微かに声は聞こえるものの映像が見えない。もちろん音声だけで授業をやる事もできるがまずは確認する事になっている。
「はい」
そう言いクリステルさんの画面がオンになり、クリステルさんの顔が見える。小柄な少女の横に人影の様なものがあるのが気になる。
「クリステルは今誰かと一緒にいますか?」
「はい、横に母親が居ます」
え、母親??なんだその授業参観みたいな変に緊張する感じ。
「そうなんですね笑 まあいいや。とりあえず今回はレッスンのご予約ありがとうございました」
「はい、ありがとうございました」
シャイなのかクリステルさんはあまり話さない。緊張している様だ。横に母親がいるなら尚更だろう。
「私は日本語講師のエリと申します。27歳で、現在北海道に住んでいます」
「はい」
「クリステルさんも自己紹介出来ますか?」
「はい。クリステルです。15歳の高校生です。フィリピン人です」
「あ、まだ15歳なんですね~。それにフィリピン出身なんですね。フィリピンのどこに住んでいるんですか?」
「マニラです」
「首都に住んでるんですね」
「はい」
「よしっ、じゃあ今日はどんな風に日本語を勉強していきたいですか?」
少し強引だがこのままフリートークを続けるという雰囲気でもなかった。
「ひらがなの読み方を復習したい」
「ひらがなですね。わかりました」
それから私はひらがなの表をクリステルさんとのチャットボックスに添付した。
それを元にひらがなの読み方を丁寧に確認していく。すると、時々横に座る母親がクリステルさんに耳で何かを囁いているのが見えた。
(何をしているんだろう...)
でも母親は画面からは殆ど見えない存在だし、あんまり触れたくたいと思いクリステルさんには何も聞かなかった。
「クリステルさんは日本語を勉強してから長いんですか?」
「いえ、まだ1ヶ月です」
「1ヶ月なんですね。ちなみにクリステルさんは英語が話せますが、なんで日本語を勉強しようと思いましたか?」
「旅行で使いたい」
「旅行か~。日本に旅行した時に日本語で会話したいんですね」
「はい」
「日本に来た事はあるんですか?」
「はい、5年前に一度東京に行きました。とても楽しかった」
「東京ですか。私もたまに遊びに行きますよ。人は多いけどなんでもありますもんね」
「はい、ディズニーランドが好きです」
「私もです。私はディズニーランドでアトラクションに乗るのも好きだし、パレードを見たりお店で買い物するのも好きです。クリステルさんはどんなところが好きですか?」
「私も全部好きです。キャラクターはチップとデールが好き」
そう言いクリステルさんの頬が緩む。少し緊張がほぐれてきた様子が伺えてホッとする。
「私はピクサーが好きだからマイクとサリーが好きです。あの独特な色彩の世界観が良いんですよね~」
私がそう言うとクリステルさんが笑う。それから奥の方に消えてしまう。しかしすぐに戻ってくる。手には何やら緑の物を持っていた。
あっ!!マイクだ。
「私も持っています」
クリステルさんが持ってきたのはマイクのぬいぐるみだった。クリステルさんの顔よりも大きくて、青色のヘルメットのような物を被っている。
「クリステルさんは本当にディズニーが好きなんですね」
「はい」
「以前日本に来た時は家族と一緒に来たんですか?」
「そうです」
クリステルさんが答えるのと同時に横にいる母親の体が機敏に揺れた。それから母親が急に画面に映り込む。
「日本はいい国ね」
それから歌う様にそう言い残し再び画面外に消えてしまう。
突然の出来事に私はフリーズしてしまった。
(え、褒められたの?日本のこと?)
クリステルさんは顔を真っ赤にして横の母親に母語で何かを捲し立てていた。
「なんだかお母さんに日本のこと褒めてもらったみたいだね笑」
私がそう言うとクリステルさんも困ったように笑った。
うわー、やり辛い...笑 触れていいのか触れちゃダメなのかわかんない母親の存在。でも間違いなく母親は日本や私に対しても好意的だったしノリが良さそうに見えたんだけどなあ...。
「いつもこうなの」
「え?」
「私の事が心配でどこまでもついてくるの」
クリステルさんの母親の事だろう。
「そうなんですね笑 お母さんも日本語の勉強をしたいのかな?」
「多分そうです」
そうなのか...まあいいけど笑 どうせなら画面に映ってくれた方が気が楽なんだけどなあ...。
「お母さんは画面には映りたくないのかな?」
「はい、絶対に嫌がります」
「なるほど笑 じゃあ、話を続けましょうか」
「はい」
「クリステルが次に日本に来たらまた東京に行きたいですか?」
「はい、ディズニーランドに行きたいです」
「大阪のユニバーサルスタジオジャパンとかはどう?」
「いえ、ディズニーランドがいいです」
「おお、ほんとにディズニーラバーなんですね」
「はい、だけど大阪とか北海道とか、東京じゃ無い場所にも行ってみたいです。ご飯を食べたい」
「どちらも違う食文化ですからね。是非あちこち旅行してみてください」
「はい、そうしたいです」
レッスンの終わりの時間
「クリステルさん、今日は初めてのレッスンありがとうございました」
「はい、こちらこそありがとうございました。またお願いします」
すると、画面の中に急に母親の顔が映り込む。
「日本はいい国よ。またね」
歌う様にそれだけ言い残しまたしても画面外に消えてしまう。
なんなんだこれ...。
クリステルさんと話した感想
クリステルさん以前に母親の存在が気になったし、そのせいで常に緊張感があった。クリステルさん同様、日本が好きでいてくれるなら嬉しいが、いきなり画面に映り込まれた時にはビックリしすぎてフリーズしてしまうからこれは少しトラウマになりそうだな、と思った。
クリステルさん 15歳 フィリピン出身 高校生
クリステルさんの第一印象
シャイで可愛らしい女の子
※全編英語
「クリステルさん~、こんにちは」
「...」
「クリステルさん?」
「...」
「あれ、聞こえますか?」
「...」
「クリステルさん?聞こえますか?」
「はい。聞こえます」
「あっ、良かった。ビデオもオンに出来ますか?」
微かに声は聞こえるものの映像が見えない。もちろん音声だけで授業をやる事もできるがまずは確認する事になっている。
「はい」
そう言いクリステルさんの画面がオンになり、クリステルさんの顔が見える。小柄な少女の横に人影の様なものがあるのが気になる。
「クリステルは今誰かと一緒にいますか?」
「はい、横に母親が居ます」
え、母親??なんだその授業参観みたいな変に緊張する感じ。
「そうなんですね笑 まあいいや。とりあえず今回はレッスンのご予約ありがとうございました」
「はい、ありがとうございました」
シャイなのかクリステルさんはあまり話さない。緊張している様だ。横に母親がいるなら尚更だろう。
「私は日本語講師のエリと申します。27歳で、現在北海道に住んでいます」
「はい」
「クリステルさんも自己紹介出来ますか?」
「はい。クリステルです。15歳の高校生です。フィリピン人です」
「あ、まだ15歳なんですね~。それにフィリピン出身なんですね。フィリピンのどこに住んでいるんですか?」
「マニラです」
「首都に住んでるんですね」
「はい」
「よしっ、じゃあ今日はどんな風に日本語を勉強していきたいですか?」
少し強引だがこのままフリートークを続けるという雰囲気でもなかった。
「ひらがなの読み方を復習したい」
「ひらがなですね。わかりました」
それから私はひらがなの表をクリステルさんとのチャットボックスに添付した。
それを元にひらがなの読み方を丁寧に確認していく。すると、時々横に座る母親がクリステルさんに耳で何かを囁いているのが見えた。
(何をしているんだろう...)
でも母親は画面からは殆ど見えない存在だし、あんまり触れたくたいと思いクリステルさんには何も聞かなかった。
「クリステルさんは日本語を勉強してから長いんですか?」
「いえ、まだ1ヶ月です」
「1ヶ月なんですね。ちなみにクリステルさんは英語が話せますが、なんで日本語を勉強しようと思いましたか?」
「旅行で使いたい」
「旅行か~。日本に旅行した時に日本語で会話したいんですね」
「はい」
「日本に来た事はあるんですか?」
「はい、5年前に一度東京に行きました。とても楽しかった」
「東京ですか。私もたまに遊びに行きますよ。人は多いけどなんでもありますもんね」
「はい、ディズニーランドが好きです」
「私もです。私はディズニーランドでアトラクションに乗るのも好きだし、パレードを見たりお店で買い物するのも好きです。クリステルさんはどんなところが好きですか?」
「私も全部好きです。キャラクターはチップとデールが好き」
そう言いクリステルさんの頬が緩む。少し緊張がほぐれてきた様子が伺えてホッとする。
「私はピクサーが好きだからマイクとサリーが好きです。あの独特な色彩の世界観が良いんですよね~」
私がそう言うとクリステルさんが笑う。それから奥の方に消えてしまう。しかしすぐに戻ってくる。手には何やら緑の物を持っていた。
あっ!!マイクだ。
「私も持っています」
クリステルさんが持ってきたのはマイクのぬいぐるみだった。クリステルさんの顔よりも大きくて、青色のヘルメットのような物を被っている。
「クリステルさんは本当にディズニーが好きなんですね」
「はい」
「以前日本に来た時は家族と一緒に来たんですか?」
「そうです」
クリステルさんが答えるのと同時に横にいる母親の体が機敏に揺れた。それから母親が急に画面に映り込む。
「日本はいい国ね」
それから歌う様にそう言い残し再び画面外に消えてしまう。
突然の出来事に私はフリーズしてしまった。
(え、褒められたの?日本のこと?)
クリステルさんは顔を真っ赤にして横の母親に母語で何かを捲し立てていた。
「なんだかお母さんに日本のこと褒めてもらったみたいだね笑」
私がそう言うとクリステルさんも困ったように笑った。
うわー、やり辛い...笑 触れていいのか触れちゃダメなのかわかんない母親の存在。でも間違いなく母親は日本や私に対しても好意的だったしノリが良さそうに見えたんだけどなあ...。
「いつもこうなの」
「え?」
「私の事が心配でどこまでもついてくるの」
クリステルさんの母親の事だろう。
「そうなんですね笑 お母さんも日本語の勉強をしたいのかな?」
「多分そうです」
そうなのか...まあいいけど笑 どうせなら画面に映ってくれた方が気が楽なんだけどなあ...。
「お母さんは画面には映りたくないのかな?」
「はい、絶対に嫌がります」
「なるほど笑 じゃあ、話を続けましょうか」
「はい」
「クリステルが次に日本に来たらまた東京に行きたいですか?」
「はい、ディズニーランドに行きたいです」
「大阪のユニバーサルスタジオジャパンとかはどう?」
「いえ、ディズニーランドがいいです」
「おお、ほんとにディズニーラバーなんですね」
「はい、だけど大阪とか北海道とか、東京じゃ無い場所にも行ってみたいです。ご飯を食べたい」
「どちらも違う食文化ですからね。是非あちこち旅行してみてください」
「はい、そうしたいです」
レッスンの終わりの時間
「クリステルさん、今日は初めてのレッスンありがとうございました」
「はい、こちらこそありがとうございました。またお願いします」
すると、画面の中に急に母親の顔が映り込む。
「日本はいい国よ。またね」
歌う様にそれだけ言い残しまたしても画面外に消えてしまう。
なんなんだこれ...。
クリステルさんと話した感想
クリステルさん以前に母親の存在が気になったし、そのせいで常に緊張感があった。クリステルさん同様、日本が好きでいてくれるなら嬉しいが、いきなり画面に映り込まれた時にはビックリしすぎてフリーズしてしまうからこれは少しトラウマになりそうだな、と思った。
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