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第2
31話
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「何だよ……さっきから。マジでスッキリしねぇな…隠し事が隠せてねぇんだよ」
「隊長、副団長のお相手…娼婦とかじゃないですか?だから魔法士にホイホイみせられないとか…騎士団副団長の面子があって、とか?」
「相手……」
シュシュルは嘘でもナノの事を娼婦だと言いたくなかった。それに、無骨であるが正義の為に命を懸けている第4隊の二人に話すかどうか迷っているところがあった。この二人は王室に傾くとは考えにくい。しかし手放しに信じていいものかどうか判断がつかない。
「騎士団副団長が渋る相手……こいつの最近の行動…魔物の爪痕……魔物、魔物?……最近の大事件…………あぁそうか…」
顎に手を当てて親指の腹でトントンと唇を叩く独特の考える姿勢を見せたモンジは合点がいったとばかりにシュシュルを見た。
「ナノニス王子だ」
「っ!!」
焦っているシュシュルは咄嗟に反応してしまった。
「え……隊長……だってナノニス王子は」
キャスが驚いた顔で呆然と聞く。
「ずばり、生きている。そうだろ?王家がやりそうな事だ」
「確かに……ゲスいミリー城の奴らならやりかねないな…古城の一件の裏はまだあるんだな」
「そういう事だキャス。冴えてんじゃないか、なんの偶然かこの四人が集まっちまった意味はあったんだな。最大級の面倒事だよ、白状しな副団長。俺には隠し事は通用しねぇぜ」
「シュシュル……」
判断を任せたと視線で言うフワーム。
「…俺は、慢心で最悪の結果になりたくない。しかしあの方の苦しむ姿はもっと見たくない…このことを知っているの人物は極限られた人数だ…万が一あの方に危険が及ぶようなら…お前たちを真っ先に疑うからな」
「分かった分かった…本当に別人みたいだな。俺たちは王家に取り入りたくねぇよ。あんなクズ共の近くになんざ行きたくねぇし」
一番信用のおけるうたい文句でシュシュルを安心させてくれるモンジは、荒れくれ物が恐れ憧れる第4隊隊長なのだ。男前である。
「……そうだ、ナノニス様が生きておられる…。しかし、本人が認めていない。そして…………傷を負っておられる…酷く…」
「爆発に巻き込まれたんだったか?そりゃ怪我くらいしてんだろうな…そうか、古城の事件。魔物もいたって報告書読んだな。ついでに魔物を呼び込んでた奴も野放しか…。そんでもってシュシュル副団長は愛しのナノニス王子が魔物の毒にやられてて焦ってここまで来ちまったつーわけか…」
(ドンピシャだ~)
フワームは見事な推理をしたモンジにガックリ項垂れる。この男は人を見透かす所があるから嫌なのだ。いつでも危険と隣合わせの第4隊の隊長様である。頭が切れなくてはやっていけない。
「ナノニス様の存在を知られる訳にはいかない。秘密裏に魔法士に診せたい…」
苦しそうに言うシュシュルにモンジはアッケラカンと言い放つ。
「誰か脅せば良いじゃねぇか、のっぴきならねぇ状況なんだろ?」
「これだから第4隊は…一言目がそれなのか?まったく…恐怖で押さえつけたって長く続くとは確証がない。それにシュシュルはそんなこと、ナノニス王子のお耳に入れたくないだろうよ。王子のお心が少しでも陰る可能性のある事はしないだろう…」
フワームは呆れたと言わんばかりに首を振ってシュシュルの気持ちを代弁した。
「駄目なんだ、少しでもナノニス様の存在が感ずかれてしまうと…命を狙われる。王家にとってナノニス様は存在してはいけないんだ」
「そんなにか?誤報だったとか、危篤だっとか、色々言い様は有るじゃねぇか…まぁ人気出ちまったから、ウザがられてるかもだけど」
どうしても納得いかないモンジは、王子が生きていてそこまで王家に損は無いだろうと言う。元々ナノニス王子は王位継承権が低い。人気が有ろうと無かろうと、それとこれとは別問題だ。しかもナノニス王子はミリー城に住んでいない。母親も庶民だ、民衆が持ち上げたとしても王位継承権が上がることは無い。
「エイリカ王子が関わっていると言っただろ」
シュシュルはじっとモンジを見つめる。
「エイリカ王子だ、エイリカ王子。分かるか?」
「溺愛されてる甘ちゃんだろ?」
「……最初、エイリカ王子がお忍び中に攫われた。そしてティーヌ王子とビニモンド王子が…身代わりに連れていったのがナノニス様だ」
「は?」
「それが古城の事件だ。ナノニス様はそこで…おそらく、拷問を受けている。俺が魔法士を探しているのは魔物の爪痕だけでは無い…身体中の傷を治したいのだ。身を危険に晒すわけにいかないんだっ……それだけなのに、それだけのはずだったのに…毒だなんて…」
シュシュルは話していたが、耐えられなくなり俯いて瞳を掌に押し付ける。
「胸糞悪すぎる……ミリー城ぶっ壊すか」
本気でやりかねない雰囲気を醸し出すモンジに慌ててキャスが止めに入る。
「隊長、本気じゃないですよね?冗談でも、おっかないから辞めましょうね?」
「ティーヌとビニモンドか…」
(ぅお……呼び捨てだよ…)
今は自分は喋る時ではないと口を閉ざしているフワームは恐れ知らずのモンジの物言いに心の中でツッコム。
「お前の隊の、毒を治した隊員…誰に治してもらったんだ?」
「あ?アイツだよ。こんな王都の外れに来る魔法士なんて、そうそう居ねぇよ」
「アイツ……」
「問題児、スオ・テウリ」
「隊長、副団長のお相手…娼婦とかじゃないですか?だから魔法士にホイホイみせられないとか…騎士団副団長の面子があって、とか?」
「相手……」
シュシュルは嘘でもナノの事を娼婦だと言いたくなかった。それに、無骨であるが正義の為に命を懸けている第4隊の二人に話すかどうか迷っているところがあった。この二人は王室に傾くとは考えにくい。しかし手放しに信じていいものかどうか判断がつかない。
「騎士団副団長が渋る相手……こいつの最近の行動…魔物の爪痕……魔物、魔物?……最近の大事件…………あぁそうか…」
顎に手を当てて親指の腹でトントンと唇を叩く独特の考える姿勢を見せたモンジは合点がいったとばかりにシュシュルを見た。
「ナノニス王子だ」
「っ!!」
焦っているシュシュルは咄嗟に反応してしまった。
「え……隊長……だってナノニス王子は」
キャスが驚いた顔で呆然と聞く。
「ずばり、生きている。そうだろ?王家がやりそうな事だ」
「確かに……ゲスいミリー城の奴らならやりかねないな…古城の一件の裏はまだあるんだな」
「そういう事だキャス。冴えてんじゃないか、なんの偶然かこの四人が集まっちまった意味はあったんだな。最大級の面倒事だよ、白状しな副団長。俺には隠し事は通用しねぇぜ」
「シュシュル……」
判断を任せたと視線で言うフワーム。
「…俺は、慢心で最悪の結果になりたくない。しかしあの方の苦しむ姿はもっと見たくない…このことを知っているの人物は極限られた人数だ…万が一あの方に危険が及ぶようなら…お前たちを真っ先に疑うからな」
「分かった分かった…本当に別人みたいだな。俺たちは王家に取り入りたくねぇよ。あんなクズ共の近くになんざ行きたくねぇし」
一番信用のおけるうたい文句でシュシュルを安心させてくれるモンジは、荒れくれ物が恐れ憧れる第4隊隊長なのだ。男前である。
「……そうだ、ナノニス様が生きておられる…。しかし、本人が認めていない。そして…………傷を負っておられる…酷く…」
「爆発に巻き込まれたんだったか?そりゃ怪我くらいしてんだろうな…そうか、古城の事件。魔物もいたって報告書読んだな。ついでに魔物を呼び込んでた奴も野放しか…。そんでもってシュシュル副団長は愛しのナノニス王子が魔物の毒にやられてて焦ってここまで来ちまったつーわけか…」
(ドンピシャだ~)
フワームは見事な推理をしたモンジにガックリ項垂れる。この男は人を見透かす所があるから嫌なのだ。いつでも危険と隣合わせの第4隊の隊長様である。頭が切れなくてはやっていけない。
「ナノニス様の存在を知られる訳にはいかない。秘密裏に魔法士に診せたい…」
苦しそうに言うシュシュルにモンジはアッケラカンと言い放つ。
「誰か脅せば良いじゃねぇか、のっぴきならねぇ状況なんだろ?」
「これだから第4隊は…一言目がそれなのか?まったく…恐怖で押さえつけたって長く続くとは確証がない。それにシュシュルはそんなこと、ナノニス王子のお耳に入れたくないだろうよ。王子のお心が少しでも陰る可能性のある事はしないだろう…」
フワームは呆れたと言わんばかりに首を振ってシュシュルの気持ちを代弁した。
「駄目なんだ、少しでもナノニス様の存在が感ずかれてしまうと…命を狙われる。王家にとってナノニス様は存在してはいけないんだ」
「そんなにか?誤報だったとか、危篤だっとか、色々言い様は有るじゃねぇか…まぁ人気出ちまったから、ウザがられてるかもだけど」
どうしても納得いかないモンジは、王子が生きていてそこまで王家に損は無いだろうと言う。元々ナノニス王子は王位継承権が低い。人気が有ろうと無かろうと、それとこれとは別問題だ。しかもナノニス王子はミリー城に住んでいない。母親も庶民だ、民衆が持ち上げたとしても王位継承権が上がることは無い。
「エイリカ王子が関わっていると言っただろ」
シュシュルはじっとモンジを見つめる。
「エイリカ王子だ、エイリカ王子。分かるか?」
「溺愛されてる甘ちゃんだろ?」
「……最初、エイリカ王子がお忍び中に攫われた。そしてティーヌ王子とビニモンド王子が…身代わりに連れていったのがナノニス様だ」
「は?」
「それが古城の事件だ。ナノニス様はそこで…おそらく、拷問を受けている。俺が魔法士を探しているのは魔物の爪痕だけでは無い…身体中の傷を治したいのだ。身を危険に晒すわけにいかないんだっ……それだけなのに、それだけのはずだったのに…毒だなんて…」
シュシュルは話していたが、耐えられなくなり俯いて瞳を掌に押し付ける。
「胸糞悪すぎる……ミリー城ぶっ壊すか」
本気でやりかねない雰囲気を醸し出すモンジに慌ててキャスが止めに入る。
「隊長、本気じゃないですよね?冗談でも、おっかないから辞めましょうね?」
「ティーヌとビニモンドか…」
(ぅお……呼び捨てだよ…)
今は自分は喋る時ではないと口を閉ざしているフワームは恐れ知らずのモンジの物言いに心の中でツッコム。
「お前の隊の、毒を治した隊員…誰に治してもらったんだ?」
「あ?アイツだよ。こんな王都の外れに来る魔法士なんて、そうそう居ねぇよ」
「アイツ……」
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