この気持ちに気づくまで

猫谷 一禾

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すべてのはじまり

《8》 ♡

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「うわぁっ…やだぁ~止まってぇ~!」
「サキ、サキ、可愛いっんっ」

コウは緋縁をかき抱き腰を動かし始めた。パツパツと肌と肌との音がしてベットはギッシギッシと軋む。

「うっうっうぅ…んっんっん~」

下から押し上げられるようで何かに捕まっていないと怖くて堪らないのに手が縛られたままで掌を閉じたり開いたりするしかない。

「やぁっ…やぁっ…怖いっんっ…痛い…」
「サキ、サキお前も」

緋縁の前を扱かれる、いっそうコウの動きが激しくなり緋縁の身体は木の葉のように揺すられる。暴力的で嵐みたいだ。
衝撃に次ぐ衝撃で訳が分からない緋縁。

「うぇっ…たすっ…あぁっ…んっ」

意味のなさない言葉ばかりだ、激しく揺すられ舌を噛みそうになる。前の刺激で緋縁が熱い物をはき出す。きゅうっと後ろの蕾に力が入ってしまう。

「くっ…イクッ」

ずっと抜かれまた腹にタップリと出される。

「はぁはぁはぁ…んっサキ…チュクッ」

愛おしそうにキスをしてくる

「んっんっはぁ…はぁ…んぅ…はぁ…さ、さいてぇ…はな…れろよ…うぅ」

ぐったりと身体の力を抜いて苦しそうに息をし横たわる緋縁。コウは無言で緋縁の手首を拘束しているシャツを外す。そしてぎゅっと抱きしめる、華奢な身体がコウの腕の中にスッポリと収まる。

「サキ…抑えが聞かなかった事は謝る、悪かった。でもどうしようも無いんだ…お前を離したくない、この腕から出したくない」
「……痛い……ふざけんなよ…これはただの…」

レイプだ、しかも拉致と傷害も付いてる。
ショックだ…ただただ嵐に飲まれて衝撃に面食らっているうちに犯された。緋縁はもう手を上げる気力も無くなっていた、頭に霞がかかってくる。

「最低だ…許せない…コ…ウ…」
「サキ…」

緋縁は気を失うかように眠りについた。

「サキ…俺は…お前が頷いてくれるまで…」

離さない


  次に目を覚ました時はまた同じ天井だった。違うのは酷くダルい事で、目を開けるのがやっとだ。ダルいけれど、身体の何処も気持ち悪くない、サッパリとしている。まさか、アイツが処理してくれたのだろうか。ボウっとした頭で考える、今は何時でアイツはどこだ?と…とにかくダルい。

「起きたか?」

部屋のドアが開いたと思ったらコウが入ってきた。爽やかな顔をしている、先程とは大違いだ。

「…かえる…」

ガバッと起き上がってこんな部屋から飛び出てやりたいが、身体を動かすことが億劫で億劫で、睨みつけるだけになってしまう。

「無理だろ、熱が出てきた。それにキツくて起き上がれないんじゃないか?」

どこか嬉しそうに言いながら近づいてくる、おでこに手を当てられ熱いな…と呟いている。

「誰のっせいで…触んな…ダルい…」
「ゆっくり寝てろ、まだ朝にならない」

髪を優しく撫でて、布団をめくり当たり前かのように自分もベットに入って来る。緋縁を抱き寄せてそのまま一緒に寝ようとしている。

「なんでっ一緒に寝るんだよ、やだよ」
「サキ、俺は既にお前と付き合っている気だ、だから一緒に寝るのは当たり前だろ?このベット俺のだし」

(本当、とんでもない男だ!誰だよイケメンで覇者みたいにカッコイイなんて言ってたヤツは!あの時の俺を殴ってやりたい…くそっ!)

小さな子みたいにそっと抱きしめられ、後頭部を撫でられる、まさか自分がされる側になるとは想像すらしたこと無かった。

「ダルい…痛い…手首も痛い…本当に最悪…」
「ふっ大人しいかと思ったら口は悪いんだな、そういえば文句を聞く約束だったな、やった後の甘い睦言じゃなくて文句か…面白いな」

(何気に入られてるんだよ俺…何もかも信じらんない…何なんだよこの状況…本当…どうなるんだよこの後…どうしよう…どうしよう)

「起きたら帰る」
「まぁ寝ろよ」

(くそっ悔しいな…)

ギャーギャー言ってやりたいが、やっぱりちょっと怖い、そんな気力もない、でも言いなりというのは悔しくて腹の虫が収まらない…一泡吹かせたい、せめて文句をネチネチ言ってやりたい…グルグルと考える緋縁。

「くっつき過ぎると寝れない、暑い…鬱陶しい」
「慣れろ」

(ぐぅっ!一言…)

「喉乾いた、トイレも行きたい、すぐ寝れない」

単なるワガママになっている。緋縁は普段良い子なので酷く口汚く言えない。

「…ふっ…お姫様、トイレにお連れしましょうか?なんならお姫様抱っこですね?あぁお飲み物は口移しですか…可愛いワガママですねぇ?」
「な、な、な、…バカにすんなっ!…いてて…」

ドカーンと怒りが爆発した緋縁だか、腰とおしりの奥に響く、悲しいかなトイレには本当に行きたいので連れて行ってもらいたい、普通の方法で。

「はははっあんまり可愛いから…ふふっ……ずっと…このままここにいろよ…」
「朝に帰るっ…トイレ…本当に行きたいんだけど…普通にして、肩貸して…」
「よいしょ、ほら、」

起こしてもらい、床に足をつけ歩きだそうと立ち上がる…

カクン…

「おっと危なっ…な?お姫様抱っこだろ?」
「うそだろ…」

足に力を入れようとした緋縁だが、見事に膝から崩れ落ちそうになった。まったく力が入らないのだ。茫然自失…信じられないことの連続だ。

「俺…歩けない…なん…」

ひょいと抱き上げられる、正真正銘お姫様抱っこだ。コウはえらく満足気に緋縁をトイレに連れていった。
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