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すべてのはじまり
《5》 ♡(少しだけ)
しおりを挟む「ヤバい…止まんねぇかも…」
ちゅっ
「サキ…他の奴にやりたくねぇ…」
「……っは」
(あえ?え?…え?い、今…え?キ、キスされた…の…か?)
唇と唇がただくっ付いた、本当にただそれだけの事だった。キスという甘い響の物とは別物のような、手と手が触れるのと何ら変わらない身体の一部が触れた感触。
しかし、コウからはどんどん甘い雰囲気と熱い息、欲にまみれた眼差しを注がれる。
ギシシっ…ベットが軋みコウが緋縁の上に馬乗りになる。バサッとかけてあった布団を剥がされ首から下を舐めるように見られる。
緋縁は咄嗟に防御のように両手を顔の前でクロスする。背の高い男に真上から覆いかぶせられれば、恐怖を感じても不思議では無い。
コウはその手も顔から引き剥がし両手首をベットに押し付ける。手首から伝わるコウの手の熱が緋縁をこれは現実だとジワリジワリ実感させてくる。
(…こ、怖い……)
コウの顔がまた近づいてくる、頬をべロリ舐められそのままの流れで唇を塞がれる。
「…っん…や、やめっ…」
必死に顔を振ってコウの唇から逃れる。
サッと両手を頭の上に持っていかれ、左手で両手首を持たれる。右手で顎を固定されると唇と唇がぶつかるような本格的なキスをされる。
緋縁は唇を舐められながら、グッと目と歯を食いしばり唇も固く閉ざしていた。
(開けちゃ駄目だっ諦めるな…くっ苦しい…)
「…っはぁっ…そんな顔…ふっ…燃えるな」
コウは呟き、緋縁の初々しい反応に身体の底から熱が上がってきているようだと感じる。
キスの時は鼻で息をする、何となく聞いたことがある緋縁は実践してみるが、想像とは違ってお互いの熱い息が絡まるように顔中に掛かる。鼻で息をするたび、コウの吐息も吸い込むようで苦しい…まるで身体の中まで入り込まれるようだ。
(駄目だ…くる…しい…)
「はっ…はぁ…は…あは…んっ」
我慢できずに口を開けてしまう、すかさずコウの舌が緋縁の口内に入り込んでくる。躊躇もなく、舌を絡め取られる。
(わっ…わゎ…俺、俺…キスしてるっ)
緋縁は顔を真っ赤にして何とか抵抗しようと手に力を入れたり、足をバタつかせたり、腰を浮かせようとしたり、身をよじったりとジタバタしてみる。しかし、力の差がありすぎる。体格差もあるのでググッと体重を掛けられ押さえ込まれてしまうと、愕然とする程何も出来ない。そんな状況にドッドッと心臓から全身に伝わるほど鼓動の音が大きくなる、恐怖に侵食される。
(こわいっ!こわいっっ!!やだ…やだやだ)
「んんっ!ん~~!!」
このままでは非常に不味い事になると、猛抗議をする。
「んんん"っっんんっ!んん~~!!」
「うるさいな…はぁっ」
頬、目元、おでこ、耳と顔中にキスの嵐をしてくる。ちゅっちゅっ…とリップ音が濡れた音として耳に響く。恥ずかしくて堪らない。
「も、もぅやめてって…やだ…離して…」
首に舌を這わせて舐めあげられる。
「ひっひぅ…やだっやだやだ…やだぁ…かえる…かえるっかえる~…」
首筋を舐められ、ちゅくっとねっとりとしたキスを落とされながら下から見上げてくる。
「帰さねぇよ…文句は後でいくらでも聞いてやるから、ちょっと黙ってな…」
(と、とととんでもねぇ~~!なんだそれ!)
「いやだっ!離せっ!起きるっ家に帰るっ!
バカー!」
恥も外聞もなく喚いて暴れる、今しかチャンスは無いだろう。
「だから、後で聞いてやるから…取り敢えず今は大人しくヤラせろ」
(ハッキリ言ったーーー!)
コウは逃げられないように緋縁のお腹の上に座り、羽織っていたシャツを脱ぎコウをどかそうとしている緋縁の両手を取って一纏めに縛る。格子状になっているベットベッドに括り付け、満足そうにニヤリと笑った。
「し、信じらんない…」
囁くように緋縁は呟いた、正に呆然とした表情でコウを見上げる。
「これで、逃げられねぇなサキ」
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