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第46話 石は何色? ピンク色!
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≪約90字あらすじ・異世界トリップした主人公・唯花が不思議なうさぎティコティスからもらったチョーカーは、持ち主に副作用がでる場合があると判明。チョーカーの通信機能を使ってティコティスがフローチャートで診断中!》
『 ――《チョーカーについている石は、現在オレンジとピンクの中間のような色ですか?》…… 』
うっ……。ついに、ついに、私にあてはまる質問がきてしまった!
「……い、『イエス』……」
ティコティスからの質問を肯定した瞬間。
体がものすごく熱くなった。
まるで、ショウガ入りの紅茶を飲んだあとみたいに、体がポカポカしている。
お風呂に長く入りすぎちゃったときのように体がフラーっとしてきた。
今日の私は、ちょうどいいころあいの入浴時間だったのに。いまごろになって、のぼせちゃうの?
――ううん、きっと湯あがりだからじゃない。
お風呂とは、関係なく、私の体に変化が起こっているんだ、きっと。
……だって、私の首元の、チョーカーの魔石がくっついているあたりを中心にして、体全体が燃えるみたいに熱くなっちゃってるから。
水、飲みたいな……。
そう思ったとき、グラリ……と私の上半身がバランスをくずした。
(――えっ……!)
いまの私はイスに腰かけてるのにもかかわらず、前方へ倒れるような姿勢になってしまった。
ちゃんとイスに座りなおそうと、背すじをのばそうとした瞬間。
めまいがひどくなり、くずれるように上半身が前へ倒れそうになる。
手でテーブルの端を持ち、それをささえにして倒れるのを阻止しようと思ったのも、つかのま――。
テーブルの端をつかむよりまえに、私は背もたれのないイスから、転げ落ちていた。
「……ひゃっ!」
床に体を打ちつけてしまう。
ガッターン……と、大きな音を部屋中に響かせてしまったのは、私が倒れるときにイスも同時に倒してしまったからだ。
夜中の騒音は、昼間以上にまわりの迷惑になってしまう。
館のみんなには明日の朝、あやまろう。
いまはまず、床に転がったイスを元通りにしようと、自分の脚は床にペタンとつけたまま、腕の力で上半身だけ体を起こした。
『……おーい! 唯花? だ、大丈夫!?』
チョーカーからティコティスの声がした。
これ以上彼を心配させたくなくて、私は わざと明るく言った。
「平気、平気。ちょとめまいがしてイスから転げ落ちちゃったけど、べつにケガはしてないはず。少し待っててもらえると、うれしいかも」
私は、あわてて今度こそ、倒れたイスを起すために手を動かそうとした。
――でも、手どころか、体に力が入ってくれない。
つい数秒まえまでなら、腕の力だけで体を起こせたのに、いまは全身からどんどん力が抜けていく感じ。
『……唯花? 唯花っ!?』
ティコティスが私をくりかえし呼ぶ声が聞こえる。
「……っ――」
だけど、いまの私には、上手く声をだすことさえ、むずかしくなっていた。
それでも、どうにか声をふりしぼってティコティスに返事をしようとした。そのとき――。
バンッ! と大きな音をたてて、部屋の扉が開け放たれた。
(だ、誰?)
『 ――《チョーカーについている石は、現在オレンジとピンクの中間のような色ですか?》…… 』
うっ……。ついに、ついに、私にあてはまる質問がきてしまった!
「……い、『イエス』……」
ティコティスからの質問を肯定した瞬間。
体がものすごく熱くなった。
まるで、ショウガ入りの紅茶を飲んだあとみたいに、体がポカポカしている。
お風呂に長く入りすぎちゃったときのように体がフラーっとしてきた。
今日の私は、ちょうどいいころあいの入浴時間だったのに。いまごろになって、のぼせちゃうの?
――ううん、きっと湯あがりだからじゃない。
お風呂とは、関係なく、私の体に変化が起こっているんだ、きっと。
……だって、私の首元の、チョーカーの魔石がくっついているあたりを中心にして、体全体が燃えるみたいに熱くなっちゃってるから。
水、飲みたいな……。
そう思ったとき、グラリ……と私の上半身がバランスをくずした。
(――えっ……!)
いまの私はイスに腰かけてるのにもかかわらず、前方へ倒れるような姿勢になってしまった。
ちゃんとイスに座りなおそうと、背すじをのばそうとした瞬間。
めまいがひどくなり、くずれるように上半身が前へ倒れそうになる。
手でテーブルの端を持ち、それをささえにして倒れるのを阻止しようと思ったのも、つかのま――。
テーブルの端をつかむよりまえに、私は背もたれのないイスから、転げ落ちていた。
「……ひゃっ!」
床に体を打ちつけてしまう。
ガッターン……と、大きな音を部屋中に響かせてしまったのは、私が倒れるときにイスも同時に倒してしまったからだ。
夜中の騒音は、昼間以上にまわりの迷惑になってしまう。
館のみんなには明日の朝、あやまろう。
いまはまず、床に転がったイスを元通りにしようと、自分の脚は床にペタンとつけたまま、腕の力で上半身だけ体を起こした。
『……おーい! 唯花? だ、大丈夫!?』
チョーカーからティコティスの声がした。
これ以上彼を心配させたくなくて、私は わざと明るく言った。
「平気、平気。ちょとめまいがしてイスから転げ落ちちゃったけど、べつにケガはしてないはず。少し待っててもらえると、うれしいかも」
私は、あわてて今度こそ、倒れたイスを起すために手を動かそうとした。
――でも、手どころか、体に力が入ってくれない。
つい数秒まえまでなら、腕の力だけで体を起こせたのに、いまは全身からどんどん力が抜けていく感じ。
『……唯花? 唯花っ!?』
ティコティスが私をくりかえし呼ぶ声が聞こえる。
「……っ――」
だけど、いまの私には、上手く声をだすことさえ、むずかしくなっていた。
それでも、どうにか声をふりしぼってティコティスに返事をしようとした。そのとき――。
バンッ! と大きな音をたてて、部屋の扉が開け放たれた。
(だ、誰?)
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