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4章

◆4章あらすじ(約830字バージョン)

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 主人公・紗季音は、とある事情(※くわしくは1章にて)から、あやかし(興常おきつねという名の妖狐とリンという名の燐火)とアパート沢樫荘でいっしょに暮らすことになった女子大学生。

 紗季音は、興常の恋人だというタヌキのあやかしに関するあらたな手がかりをつかみたいと思っている。
 そんななか紗季音は、沢樫荘に越してきた初日に彼女の前に現れた黒い霊体と再び遭遇した。

 いつまでも興常をたよってばかりではダメだと思い、自分1人で黒い霊をなんとかしようとする紗季音。だが――意外なことが判明する。
 正体がよくわからずにいた黒い霊体は、人に害をなす悪霊ではなかった。

 以前紗季音をつかまえて『ゴハン、ゴハン』と連呼したのは紗季音を食料として食べようとしてたわけではなく……紗季音に食事をねだっていたのだ。

 紗季音の暮らす沢樫荘は、元々まかないつきの下宿だった。
 昭和のころ、下宿屋だったときの沢樫荘の大家は、お腹をすかした黒い霊にも料理をつくっていた。
 大家の女性は、だいぶ昔に亡くなっている。現在は彼女の孫にあたる男性が大家を引き継いでいるものの、彼は沢樫荘には住んでいない。

 この黒い霊にとって、人間をみわけるのは難しいこと。さらに、時間の感覚も人とは違う。
 紗季音をみた黒い霊体は、下宿屋の大家が帰ってきたのだと思い、紗季音に飛びついて ご飯をねだったのだった。

「料理初心者のわたしでもよかったら」と、紗季音は黒い霊に食事をあたえる。
 彼女の用意した料理に満足し、キラキラ光りながら消えていく黒い霊体。

 どうにか1人で問題を解決することができた紗季音。その日のうちに彼女は、黒い霊とのやりとりを興常とリンに話す。
 黒い霊体は、悪霊じゃないから襲われる心配はないこと。
 そして、実は料理研究部に入って料理を練習しているから、(まだ上手とはいえないけど)料理をつくれるようになったこと。

 おどろく興常とリンに紗季音は手料理をふるまう。
 興常とリンの反応が気になる紗季音。

 ――最終章に続く――
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