45 / 72
2章
第6話 えっと……え!? いい匂いって?
しおりを挟む
興恒さんが再びわたしの名を呼んだ。あいかわらず、わたしの目をじっとみつめながら。
「サキ……」
(今度は一体どうしたの?)
空が薄暗いといっても、まだ夜中というほどの時間ではない大通り。
立ちつくしたままの、わたしの心臓がドキリと跳ねた。
だって、街灯に照らされた興恒さんが、あまりにも魅惑的で。
(わー、わー! 今の興恒さんの見た目は、人間の若者。しかも美形の和装男子。いくら興恒さんがキツネのあやかしで、キツネの姿にも人間の姿にもなれるからって、何度もみつめられたり名前をささやかれると……さすがにわたしもドキドキしてくるから!!)
大学から自宅であるアパートへ帰宅中のわたしは、必死に心を落ちつかせようとした。
(普段のわたしなら、ひとりでアパートに戻るのに、今日は興恒さんといっしょに帰ることになるなんて、はっきりいって予想外!)
あやかしである興恒さんと、とある事情で同居するようになって、もう数週間たつというのに、今日のわたしは、やたらと興恒さんにドキッとさせられてしまう。
(……でもっ! アパートでの共同生活では、燐火のリンちゃんもいっしょだし、和室が2部屋あるおかげで、わたしと興恒さんは別の部屋で寝起きしてるし。あらためて思い返してみると……興恒さんとふたりきりって状況は、けっこうめずらしいかも)
そう気がつくと、興恒さんをますます意識してしまう。
高鳴る鼓動を彼に気づかれたくない。
わたしは平静をよそおい、口をひらく。(本当に平静状態ならば、名前を呼ばれて返事をするまで、こんなにかからないはずだけど、それは置いておくとして)
「興恒さん、どうしたの?」
「いや、なに……今宵のそなたは、ずいぶんといい香りをただよわせていると思ってな」
「……いい、香り?」
わたしが反芻すると、「ああ」とつぶやく興恒さん。
彼の発した言葉が、人間の青年が口にしたセリフなら
(……もしかしてわたし、今、口説かれてる!?)
って、あたふたしているかもしれない。
でも、キツネのあやかしである興恒さんは、人の姿になっているときだって、すぐれた嗅覚を保持したままだ。
さっきまで興恒さんとふたりきりだってシチュエーションに、どきまぎしてたはずなのに――。わたしは、彼が何を「いい香り」だと言っているのか……そっちのほうが気になりはじめる。
(今日、料理研究部でつくったシュークリームは残さず食べ切っちゃったし……あっ!)
「わたし、この大通りのお店で、興恒さんとリンちゃんにおみやげのお菓子を買ったんだった」
「みやげ? 菓子の甘い匂いだけでなく、天然の果実が持つ、みずみずしく、甘酸っぱい芳香もするが……」
さすが興恒さん。鼻が敏感だなぁ。
わたしは肩にかけていたバッグから、苺大福の入った紙袋をとりだし、向かいにいる興恒さんにみせた。
「それって、たぶんこの紙袋からする匂いじゃないかな」
興恒さんは、ゆっくりとうなずく。
わたしが今日購入した苺大福は、3つとも個包装なうえに、紙袋の上部は店名が入ったテープで閉じてある。
正直わたしには、大福や苺の匂いがかぎわけられない。
あらためて興恒さんの嗅覚のよさに おどろく。
「先週、興恒さんもリンちゃんも苺大福、おいしいって言ってたでしょ。だから今日のおみやげは苺大福!」
「たしかに私もリンも苺の入った大福を美味なるものだと賞賛したが……1週間ほど前、サキが我らに ふるまった大福とは香りが若干、異なる気がするぞ」
「……ああ、それはね。先週わたしが持って帰った苺大福は、餡が白餡。今日のは黒餡。つくっているお店が違うから、もしかして大福の皮の匂いも違う……のかも」
そう、今日ふたりへのおみやげに苺大福を選んだのは――。
ただ単に、わたしが料理研究部でつくったシュークリームはちょっと失敗しちゃったから、とか、興恒さんもリンちゃんも甘いものすきだから、とにかく甘いものを、とか、そんな理由ではなく。
ふたりが苺大福をとてもよろこんでくれたから。……それと。
「先週の苺大福は、『ふるまった』っていうか、友達の女の子からのおすそわけで……。それをまた興恒さんとリンちゃんに、おすそわけしただけだから――」
友達の女の子とは、今日は午後の講義でも、そのあとの料理研究部でもいっしょだった恵。大学の友達の中で一番仲がいい子だ。
彼女は1週間前、わたしに某有名店で売られている、白餡の苺大福をくれた。
恵自身は親戚から、この苺大福を(くわしい理由はおぼえてないけど)たくさんもらったらしい。「長期保存には向かないけど……よかったら受けとってね」と言って1箱くれた。(太っ腹!)
ちなみに1箱6個入り。消費期限は2日。
(わたし、興恒さん、リンちゃんでひとつずつ、もらった日とその次の日に食べようとも計画したものの、あまりのおいしさに当日中に1人ふたつずつペロリと いただいてしまいました。燐火と呼ばれる、人の言葉を話す青い火の玉のリンちゃんの食事のしかたは何度みても変わっているけど、リンちゃんからしたら、人間がものを食べる姿のほうが奇妙奇天烈なのかも……)
先週、アパートで白餡の苺大福を興恒さんとリンちゃんの3人で食べたときのことを思いだしたわたしは、向かいにいる興恒さんに、そのときの話をしてみようかな、という気になった。チラリと彼をみる。
街灯の光に照らされた今の興恒さんは、口元にやさしい笑みをうかべていた。
彼もまた苺大福に想いをはせて、しあわせな気持ちになっているのかもしれないと思いつつ、わたしは口をひらいた。
「ほら、この前、白餡の苺大福を3人で食べたとき、『やはり白餡は果実とも、よく合う』って言った興恒さんに、わたしは『たしかに白餡と くだものは相性いいけど、黒餡を使った苺大福だって、とっても美味しいよ』って答えたじゃない?」
興恒さんは、クスリと笑い、ささやく。
「そういえば、そうであったな」
「……で、そしたらリンちゃんが『じゃあ次は、黒餡の苺大福を食べてみたいものっす! 食べたうえで、サキっちの言ってることが正しいか判断するゆえ、それまでこの件は保留っす!』って、あきらかに、また苺大福を……今度は黒餡に包まれた苺をいただきたい!! ってムードをただよわせてたでしょ。だから、今日は黒餡の苺大福がおみやげなの」
本当は、もっと早く買いに行きたかったんだけど――。
この大通りにある、さっきわたしが苺大福を買ったお店は、数日間、臨時休業が続いてた。
でも今日の帰り道に通ったら、「営業中」の貼り紙がしてあったからラッキーだったのかも。
「じゃあ、そろそろアパートに戻ろっか。あ、興恒さん。リンちゃんは、今アパートでひとりでお留守番してくれてるんだよね? 退屈してるかも……」
興恒さんに話しかける。彼は、あたたかなまなざしをわたしに向けながら、しみじみとした口調で告げた。
「サキは、私のこともリンのことも、大切に思ってくれているのだな」
……へっ?
「サキ……」
(今度は一体どうしたの?)
空が薄暗いといっても、まだ夜中というほどの時間ではない大通り。
立ちつくしたままの、わたしの心臓がドキリと跳ねた。
だって、街灯に照らされた興恒さんが、あまりにも魅惑的で。
(わー、わー! 今の興恒さんの見た目は、人間の若者。しかも美形の和装男子。いくら興恒さんがキツネのあやかしで、キツネの姿にも人間の姿にもなれるからって、何度もみつめられたり名前をささやかれると……さすがにわたしもドキドキしてくるから!!)
大学から自宅であるアパートへ帰宅中のわたしは、必死に心を落ちつかせようとした。
(普段のわたしなら、ひとりでアパートに戻るのに、今日は興恒さんといっしょに帰ることになるなんて、はっきりいって予想外!)
あやかしである興恒さんと、とある事情で同居するようになって、もう数週間たつというのに、今日のわたしは、やたらと興恒さんにドキッとさせられてしまう。
(……でもっ! アパートでの共同生活では、燐火のリンちゃんもいっしょだし、和室が2部屋あるおかげで、わたしと興恒さんは別の部屋で寝起きしてるし。あらためて思い返してみると……興恒さんとふたりきりって状況は、けっこうめずらしいかも)
そう気がつくと、興恒さんをますます意識してしまう。
高鳴る鼓動を彼に気づかれたくない。
わたしは平静をよそおい、口をひらく。(本当に平静状態ならば、名前を呼ばれて返事をするまで、こんなにかからないはずだけど、それは置いておくとして)
「興恒さん、どうしたの?」
「いや、なに……今宵のそなたは、ずいぶんといい香りをただよわせていると思ってな」
「……いい、香り?」
わたしが反芻すると、「ああ」とつぶやく興恒さん。
彼の発した言葉が、人間の青年が口にしたセリフなら
(……もしかしてわたし、今、口説かれてる!?)
って、あたふたしているかもしれない。
でも、キツネのあやかしである興恒さんは、人の姿になっているときだって、すぐれた嗅覚を保持したままだ。
さっきまで興恒さんとふたりきりだってシチュエーションに、どきまぎしてたはずなのに――。わたしは、彼が何を「いい香り」だと言っているのか……そっちのほうが気になりはじめる。
(今日、料理研究部でつくったシュークリームは残さず食べ切っちゃったし……あっ!)
「わたし、この大通りのお店で、興恒さんとリンちゃんにおみやげのお菓子を買ったんだった」
「みやげ? 菓子の甘い匂いだけでなく、天然の果実が持つ、みずみずしく、甘酸っぱい芳香もするが……」
さすが興恒さん。鼻が敏感だなぁ。
わたしは肩にかけていたバッグから、苺大福の入った紙袋をとりだし、向かいにいる興恒さんにみせた。
「それって、たぶんこの紙袋からする匂いじゃないかな」
興恒さんは、ゆっくりとうなずく。
わたしが今日購入した苺大福は、3つとも個包装なうえに、紙袋の上部は店名が入ったテープで閉じてある。
正直わたしには、大福や苺の匂いがかぎわけられない。
あらためて興恒さんの嗅覚のよさに おどろく。
「先週、興恒さんもリンちゃんも苺大福、おいしいって言ってたでしょ。だから今日のおみやげは苺大福!」
「たしかに私もリンも苺の入った大福を美味なるものだと賞賛したが……1週間ほど前、サキが我らに ふるまった大福とは香りが若干、異なる気がするぞ」
「……ああ、それはね。先週わたしが持って帰った苺大福は、餡が白餡。今日のは黒餡。つくっているお店が違うから、もしかして大福の皮の匂いも違う……のかも」
そう、今日ふたりへのおみやげに苺大福を選んだのは――。
ただ単に、わたしが料理研究部でつくったシュークリームはちょっと失敗しちゃったから、とか、興恒さんもリンちゃんも甘いものすきだから、とにかく甘いものを、とか、そんな理由ではなく。
ふたりが苺大福をとてもよろこんでくれたから。……それと。
「先週の苺大福は、『ふるまった』っていうか、友達の女の子からのおすそわけで……。それをまた興恒さんとリンちゃんに、おすそわけしただけだから――」
友達の女の子とは、今日は午後の講義でも、そのあとの料理研究部でもいっしょだった恵。大学の友達の中で一番仲がいい子だ。
彼女は1週間前、わたしに某有名店で売られている、白餡の苺大福をくれた。
恵自身は親戚から、この苺大福を(くわしい理由はおぼえてないけど)たくさんもらったらしい。「長期保存には向かないけど……よかったら受けとってね」と言って1箱くれた。(太っ腹!)
ちなみに1箱6個入り。消費期限は2日。
(わたし、興恒さん、リンちゃんでひとつずつ、もらった日とその次の日に食べようとも計画したものの、あまりのおいしさに当日中に1人ふたつずつペロリと いただいてしまいました。燐火と呼ばれる、人の言葉を話す青い火の玉のリンちゃんの食事のしかたは何度みても変わっているけど、リンちゃんからしたら、人間がものを食べる姿のほうが奇妙奇天烈なのかも……)
先週、アパートで白餡の苺大福を興恒さんとリンちゃんの3人で食べたときのことを思いだしたわたしは、向かいにいる興恒さんに、そのときの話をしてみようかな、という気になった。チラリと彼をみる。
街灯の光に照らされた今の興恒さんは、口元にやさしい笑みをうかべていた。
彼もまた苺大福に想いをはせて、しあわせな気持ちになっているのかもしれないと思いつつ、わたしは口をひらいた。
「ほら、この前、白餡の苺大福を3人で食べたとき、『やはり白餡は果実とも、よく合う』って言った興恒さんに、わたしは『たしかに白餡と くだものは相性いいけど、黒餡を使った苺大福だって、とっても美味しいよ』って答えたじゃない?」
興恒さんは、クスリと笑い、ささやく。
「そういえば、そうであったな」
「……で、そしたらリンちゃんが『じゃあ次は、黒餡の苺大福を食べてみたいものっす! 食べたうえで、サキっちの言ってることが正しいか判断するゆえ、それまでこの件は保留っす!』って、あきらかに、また苺大福を……今度は黒餡に包まれた苺をいただきたい!! ってムードをただよわせてたでしょ。だから、今日は黒餡の苺大福がおみやげなの」
本当は、もっと早く買いに行きたかったんだけど――。
この大通りにある、さっきわたしが苺大福を買ったお店は、数日間、臨時休業が続いてた。
でも今日の帰り道に通ったら、「営業中」の貼り紙がしてあったからラッキーだったのかも。
「じゃあ、そろそろアパートに戻ろっか。あ、興恒さん。リンちゃんは、今アパートでひとりでお留守番してくれてるんだよね? 退屈してるかも……」
興恒さんに話しかける。彼は、あたたかなまなざしをわたしに向けながら、しみじみとした口調で告げた。
「サキは、私のこともリンのことも、大切に思ってくれているのだな」
……へっ?
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ひきこもり瑞祥妃は黒龍帝の寵愛を受ける
緋村燐
キャラ文芸
天に御座す黄龍帝が創りし中つ国には、白、黒、赤、青の四龍が治める国がある。
中でも特に広く豊かな大地を持つ龍湖国は、白黒対の龍が治める国だ。
龍帝と婚姻し地上に恵みをもたらす瑞祥の娘として生まれた李紅玉は、その力を抑えるためまじないを掛けた状態で入宮する。
だが事情を知らぬ白龍帝は呪われていると言い紅玉を下級妃とした。
それから二年が経ちまじないが消えたが、すっかり白龍帝の皇后になる気を無くしてしまった紅玉は他の方法で使命を果たそうと行動を起こす。
そう、この国には白龍帝の対となる黒龍帝もいるのだ。
黒龍帝の皇后となるため、位を上げるよう奮闘する中で紅玉は自身にまじないを掛けた道士の名を聞く。
道士と龍帝、瑞祥の娘の因果が絡み合う!
あやかし嫁取り婚~龍神の契約妻になりました~
椿蛍
キャラ文芸
出会って間もない相手と結婚した――人ではないと知りながら。
あやかしたちは、それぞれの一族の血を残すため、人により近づくため。
特異な力を持った人間の娘を必要としていた。
彼らは、私が持つ『文様を盗み、身に宿す』能力に目をつけた。
『これは、あやかしの嫁取り戦』
身を守るため、私は形だけの結婚を選ぶ――
※二章までで、いったん完結します。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる