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2章

◆1章の後半を含む2章のあらすじ(約940字バージョン)

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 主人公・紗季音さきねは、とある事情(※くわしくは1章にて)から、あやかし(オキツネサマと呼ばれる、興常おきつねという名の妖狐とリンという名の燐火)といっしょに暮らすことになった女子大学生。
 興常とリンは、紗季音は「過去の記憶を失い、自分があやかしであることすら忘れてしまったタヌキのあやかし」なのだと告げる。

 このタヌキのあやかしの娘は興常の恋人。
 だが、キツネとタヌキという種族の違いから仲を反対され、駆け落ち。1年間、人の世で暮らしたが、娘はタヌキの里に連れもどされてしまったという。

 離れ離れとなった恋人たち。
 タヌキのあやかしの娘は、興常に再び会うため、強大な神通力で里を抜けだしたものの、その際、記憶も神通力も失ってしまった可能性があるらしい。

 興常は恋人であるタヌキのあやかしをずっと探していたが、その記憶喪失のあやかしこそ、紗季音なのだと言う。
(いやいや、まさかそんなわけないよ)と思う紗季音は「自分はただの人間であり、タヌキが変身してるわけじゃない」と説明するが、興常もリンも、ちっとも信じようとしない。

 そんなとき紗季音は、興常の恋人のあやかしは、料理がとても下手だったと聞く。1年間、懸命に料理の腕をあげようと頑張ったものの、さっぱり上達しなかったというタヌキのあやかし――。
 今の紗季音も料理は得意ではない。しかし多分それは経験が不足しているから。

 遅くとも1年以内においしい料理をつくれるようになれば……興常やリンは、紗季音とタヌキのあやかしは、別の存在であると気がつくのではないか。
 そう考えた紗季音は、料理の腕をあげようと決意する。

 こうして、興常たちと同居しつつ、料理力をアップさせようと誓った紗季音だが、家での食事は、料理上手の興常が毎日つくってくれる。
 というか、興常は紗季音が料理するのは危険だと警戒してるようだ。

 自宅が料理のしづらい環境ならば……と、紗季音は大学で「料理研究部」に入る。
 料理そのものにも、紗季音は興味を持ちはじめる。一方、当初の予定より食費がオーバーしてることもあり、紗季音は大学図書館の学生アルバイトも始めることに。

 料理研究部の活動もアルバイトもがんばる紗季音。
 そして紗季音は、興常とともに暮らすうちに、段々と彼に心をひらいていく。
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