10 / 72
1章
第8話 煙の中から、コンにちは!
しおりを挟む
昼下がりの神社の境内。
わたしに話しかけてきた青年は、わたしを誰かと人まちがいしているようだった。
「あのっ、知りあいのどなたかと、人ちがいされてますよ! わたしはあなたと、今、初めてお会いしたので……」
わたしの言葉を聞いた青年(和服イケメン)は、信じられないというような表情をした。
数秒間の沈黙ののち、彼はぽつりとつぶやく。
「……そなた、おぼえていないのか、この私を」
それきり、また黙る。
肩を落としてるし、みるからに、しゅんとした雰囲気。
落ちこんでしまった人に言いづらい内容だけど、私は話を続けることにした。
しゃべってる間中、胸がチクチクした(なにせ相手は、あからさまにガッカリしてるから、こっちの胸だって痛む)けど、告げた。
しっかり説明しておかないと、誤解が長引きそうだったから。
シンとした境内では――。声をなるべくおさえたわたしの言葉も、めだってしまったかもしれない。
「えっと、だから、おぼえている、いないではなく、『初対面』なんです」
わたしが言い終えると、青年は低い声でたった一言つぶやいた。
「わかった」
(よかったー! わかってくれたんだ)
ホッと安心するわたし。
誤解も解けたことだし、この場から立ち去ろう。そう思った矢先。
青年は、ついさっきまでと一転、とてもおだやかな笑みをたたえて言った。
「今の私の姿ではなく、そなたと初めて桜をみたときの姿になれば……きっと、そなたも私のことを思いだすだろう」
――ええっ!? この人、何を言いだすの!
さっき、「わかった」って言ってくれたのは何だったんだ?
まさかあれは、わたしがあなたのことを「忘れているということがわかった」の、「わかった」だったの……?
というかなんで、「自分が人まちがいをしている」ではなくて、「相手が忘れちゃってる」ことが前提なの?
自分は間違いなんてしないっていう確固たる自信があるとか?
……くやしいけど、はっきりいって、こんな美形なお兄さんに一度でも会ってたら、そこまで記憶力が高いわけじゃないわたしだって、絶対忘れていないと思う。
(これ以上、この人と話をつづけても、きっとわかってもらえない――)
そう感じたわたしは、今日はもうアパートに帰ることにした。
この神社の本殿に行こうという予定も変更。取りやめだ。
(……だって、今いる桜の樹のそばから離れても、境内にいるかぎり、この人はわたしを追ってくるかもしれない。自分の知りあい、しかも夜までいっしょにいるつもりの知りあいとカンちがいしたまま「忘れたなら、思いだしてくれ」って)
もしも神社を去ってもついてくるようなら、もう一度「本当に人ちがいだ」と、はっきり告げる。
それでも離れなかったら、そのときは――最終手段として交番に駆け込むことも想定しておいたほうがいい? 交番の場所なら神社に着く前に通ったから、おぼえてる。
この人は悪い人じゃなくて、真実、知人とわたしを間違えてるだけなんだろうけど、何度言っても聞いてもらえないなら、第三者に入ってもらうしかないのかも。
わたしとしても、なるべく大事には、したくない。だけど、悪い人でなくとも、この人、なんだか思いこみ激しそうだし。
(――というわけで、今日はもう帰ろう!)
決意したわたしは、神社を後にするため、体の向きを変えようとした。――そのとき。
和服イケメンの声が周囲に響いた。大きな声をだしたわけじゃないのに、なんというか……神々しさのある、独特の響き――だった。
わたしには理解できない、呪文のような言葉を彼が唱えると……。青年の周囲に突然、白い煙がモクモクとあらわれる。なぜか全然煙たくなくて、むせたり、目がしょぼしょぼして痛くなったりもしない。
(煙? なんで、いきなり煙が『あらわれる』の!? どこからともなく煙が出現するなんて、そんなバカな……)
あわてふためきながら、わたしは目撃する。
青年のまわりをおおいつくした煙の中から――1匹のキツネがピョーンと飛びだしてきたのを!
真っ白なキツネだったから、最初、キツネが煙からニュッと顔だけ出してきたときは、煙に動物の目と鼻と口があらわれたのかと早合点しそうになったくらい。
(キツネ!? 煙の中からキツネが出てきた!)
いったいこのキツネと煙は何なの? と、思ったのも、つかのま。
煙は、キツネが飛びでるとすぐに消えてしまった。
キツネのほうは空中で1回、大きく弧を描いてから、地面にきれいに着地する。動物って、運動神経いいなぁ。
煙が跡形もなく消えてしまった今、わたしの視界にうつるのは、このキツネ1匹だけ。
……うん? 『キツネだけ』って、和服をきた男の人は、いったい、どこに行っちゃったの? この短時間で。
煙で周囲が見えづらくなってたのは、ほんの数秒だけだったはず。
疑問だらけのわたしに向かって、目の前のキツネが口を開け、しゃべった。
「さあ、これで『そなた』も思いだしたであろう」
な、何も思いださないよっ。わたしにキツネの知りあいは、いないもの!
……あ、『そなた』って、このキツネも、ついさっきまでここにいた和装イケメンと同じ二人称で、わたしのこと呼びかけてくるのね。
――それと、この声。
同じだ。わたしのことを自分の知りあいと間違えてる、思いこみの激しそうな青年と、いっしょの声してる。
まさか、まさか――。
さっきの人と、このキツネは同一人物ならぬ同一人狐!? (そんな言葉があるかは知らないけど)
おどろきのあまり呆然しているわたしに、キツネは語りかける。
やさしい声で、そして、慈しみに満ちた目でみつめながら。
「これからは、私がそなたを守るぞ」
これから?
「……だ、大丈夫です! わたしなら平気です。それと――」
キツネはわたしの言葉を不思議に思ったかのように、きょとんと首をかしげる。
わたしが「大丈夫」と言い切ったのを疑問に思ったのか。もしくは……「それと――」の後に続く言葉が何なのかが謎で、首をかしげた、とか?
どっちなのかは、わからないけど、わたしは続けた。
「それと、わたし、本当にあなたの知りあいじゃないんです。わたしにはキツネの知りあいは、いないので……それじゃあ」
はっきり言い切ると、わたしはキツネに完全に背を向け、神社を去った。
アパートまでの帰り道――。
わたしは途中何度か、うしろを振り返った。
(神社で出会った摩訶不思議な存在が、今も背後から ついてきてたら、どうしよう……)
と、ビクつきながら。
だけど。
たくさんの人が出歩いている商店街でも。まばらに人が歩いている住宅街でも。
真っ白なキツネの姿も。和服を着た青年の姿も。
そこにはなかった。
誰も、わたしの後をついてきてはいない。
それでも、わたしの心はホッとなんてできなかった。
とても信じられないようなことだけど。わたしは、とんでもない場面に遭遇してしまったんだ。
不思議な青年が呪文を唱えると煙があらわれ、そしてその煙から飛びだしたキツネは――人の言葉でしゃべりかけてきた。
状況から考えて、青年とキツネは同じ存在。
たとえ、別々の存在同士がわたしをからかうために手を組んでイタズラをしかけたのだとしても……あのキツネは言葉を話すことができていた。
間近でキツネと会話したわたしは、あのキツネが精巧に出来た『おしゃべりぬいぐるみ』なんかじゃない、たしかに生きている、そして言葉を話す生物なんだって認めざるを得ない。
以前、音声認識機能つきのぬいぐるみを持ってる友達がいたけど、話す機能があるぬいぐるみってレベルじゃなかったもの……、今日、神社で会った、あの白狐は――。
アパートは、すぐそこだというのに、わたしの心の中はザワザワ、ザワザワし続けている。
わたしに話しかけてきた青年は、わたしを誰かと人まちがいしているようだった。
「あのっ、知りあいのどなたかと、人ちがいされてますよ! わたしはあなたと、今、初めてお会いしたので……」
わたしの言葉を聞いた青年(和服イケメン)は、信じられないというような表情をした。
数秒間の沈黙ののち、彼はぽつりとつぶやく。
「……そなた、おぼえていないのか、この私を」
それきり、また黙る。
肩を落としてるし、みるからに、しゅんとした雰囲気。
落ちこんでしまった人に言いづらい内容だけど、私は話を続けることにした。
しゃべってる間中、胸がチクチクした(なにせ相手は、あからさまにガッカリしてるから、こっちの胸だって痛む)けど、告げた。
しっかり説明しておかないと、誤解が長引きそうだったから。
シンとした境内では――。声をなるべくおさえたわたしの言葉も、めだってしまったかもしれない。
「えっと、だから、おぼえている、いないではなく、『初対面』なんです」
わたしが言い終えると、青年は低い声でたった一言つぶやいた。
「わかった」
(よかったー! わかってくれたんだ)
ホッと安心するわたし。
誤解も解けたことだし、この場から立ち去ろう。そう思った矢先。
青年は、ついさっきまでと一転、とてもおだやかな笑みをたたえて言った。
「今の私の姿ではなく、そなたと初めて桜をみたときの姿になれば……きっと、そなたも私のことを思いだすだろう」
――ええっ!? この人、何を言いだすの!
さっき、「わかった」って言ってくれたのは何だったんだ?
まさかあれは、わたしがあなたのことを「忘れているということがわかった」の、「わかった」だったの……?
というかなんで、「自分が人まちがいをしている」ではなくて、「相手が忘れちゃってる」ことが前提なの?
自分は間違いなんてしないっていう確固たる自信があるとか?
……くやしいけど、はっきりいって、こんな美形なお兄さんに一度でも会ってたら、そこまで記憶力が高いわけじゃないわたしだって、絶対忘れていないと思う。
(これ以上、この人と話をつづけても、きっとわかってもらえない――)
そう感じたわたしは、今日はもうアパートに帰ることにした。
この神社の本殿に行こうという予定も変更。取りやめだ。
(……だって、今いる桜の樹のそばから離れても、境内にいるかぎり、この人はわたしを追ってくるかもしれない。自分の知りあい、しかも夜までいっしょにいるつもりの知りあいとカンちがいしたまま「忘れたなら、思いだしてくれ」って)
もしも神社を去ってもついてくるようなら、もう一度「本当に人ちがいだ」と、はっきり告げる。
それでも離れなかったら、そのときは――最終手段として交番に駆け込むことも想定しておいたほうがいい? 交番の場所なら神社に着く前に通ったから、おぼえてる。
この人は悪い人じゃなくて、真実、知人とわたしを間違えてるだけなんだろうけど、何度言っても聞いてもらえないなら、第三者に入ってもらうしかないのかも。
わたしとしても、なるべく大事には、したくない。だけど、悪い人でなくとも、この人、なんだか思いこみ激しそうだし。
(――というわけで、今日はもう帰ろう!)
決意したわたしは、神社を後にするため、体の向きを変えようとした。――そのとき。
和服イケメンの声が周囲に響いた。大きな声をだしたわけじゃないのに、なんというか……神々しさのある、独特の響き――だった。
わたしには理解できない、呪文のような言葉を彼が唱えると……。青年の周囲に突然、白い煙がモクモクとあらわれる。なぜか全然煙たくなくて、むせたり、目がしょぼしょぼして痛くなったりもしない。
(煙? なんで、いきなり煙が『あらわれる』の!? どこからともなく煙が出現するなんて、そんなバカな……)
あわてふためきながら、わたしは目撃する。
青年のまわりをおおいつくした煙の中から――1匹のキツネがピョーンと飛びだしてきたのを!
真っ白なキツネだったから、最初、キツネが煙からニュッと顔だけ出してきたときは、煙に動物の目と鼻と口があらわれたのかと早合点しそうになったくらい。
(キツネ!? 煙の中からキツネが出てきた!)
いったいこのキツネと煙は何なの? と、思ったのも、つかのま。
煙は、キツネが飛びでるとすぐに消えてしまった。
キツネのほうは空中で1回、大きく弧を描いてから、地面にきれいに着地する。動物って、運動神経いいなぁ。
煙が跡形もなく消えてしまった今、わたしの視界にうつるのは、このキツネ1匹だけ。
……うん? 『キツネだけ』って、和服をきた男の人は、いったい、どこに行っちゃったの? この短時間で。
煙で周囲が見えづらくなってたのは、ほんの数秒だけだったはず。
疑問だらけのわたしに向かって、目の前のキツネが口を開け、しゃべった。
「さあ、これで『そなた』も思いだしたであろう」
な、何も思いださないよっ。わたしにキツネの知りあいは、いないもの!
……あ、『そなた』って、このキツネも、ついさっきまでここにいた和装イケメンと同じ二人称で、わたしのこと呼びかけてくるのね。
――それと、この声。
同じだ。わたしのことを自分の知りあいと間違えてる、思いこみの激しそうな青年と、いっしょの声してる。
まさか、まさか――。
さっきの人と、このキツネは同一人物ならぬ同一人狐!? (そんな言葉があるかは知らないけど)
おどろきのあまり呆然しているわたしに、キツネは語りかける。
やさしい声で、そして、慈しみに満ちた目でみつめながら。
「これからは、私がそなたを守るぞ」
これから?
「……だ、大丈夫です! わたしなら平気です。それと――」
キツネはわたしの言葉を不思議に思ったかのように、きょとんと首をかしげる。
わたしが「大丈夫」と言い切ったのを疑問に思ったのか。もしくは……「それと――」の後に続く言葉が何なのかが謎で、首をかしげた、とか?
どっちなのかは、わからないけど、わたしは続けた。
「それと、わたし、本当にあなたの知りあいじゃないんです。わたしにはキツネの知りあいは、いないので……それじゃあ」
はっきり言い切ると、わたしはキツネに完全に背を向け、神社を去った。
アパートまでの帰り道――。
わたしは途中何度か、うしろを振り返った。
(神社で出会った摩訶不思議な存在が、今も背後から ついてきてたら、どうしよう……)
と、ビクつきながら。
だけど。
たくさんの人が出歩いている商店街でも。まばらに人が歩いている住宅街でも。
真っ白なキツネの姿も。和服を着た青年の姿も。
そこにはなかった。
誰も、わたしの後をついてきてはいない。
それでも、わたしの心はホッとなんてできなかった。
とても信じられないようなことだけど。わたしは、とんでもない場面に遭遇してしまったんだ。
不思議な青年が呪文を唱えると煙があらわれ、そしてその煙から飛びだしたキツネは――人の言葉でしゃべりかけてきた。
状況から考えて、青年とキツネは同じ存在。
たとえ、別々の存在同士がわたしをからかうために手を組んでイタズラをしかけたのだとしても……あのキツネは言葉を話すことができていた。
間近でキツネと会話したわたしは、あのキツネが精巧に出来た『おしゃべりぬいぐるみ』なんかじゃない、たしかに生きている、そして言葉を話す生物なんだって認めざるを得ない。
以前、音声認識機能つきのぬいぐるみを持ってる友達がいたけど、話す機能があるぬいぐるみってレベルじゃなかったもの……、今日、神社で会った、あの白狐は――。
アパートは、すぐそこだというのに、わたしの心の中はザワザワ、ザワザワし続けている。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
イケメン政治家・山下泉はコメントを控えたい
どっぐす
キャラ文芸
「コメントは控えさせていただきます」を言ってみたいがために政治家になった男・山下泉。
記者に追われ満を持してコメントを控えるも、事態は収拾がつかなくなっていく。
◆登場人物
・山下泉 若手イケメン政治家。コメントを控えるために政治家になった。
・佐藤亀男 山下の部活の後輩。無職だし暇でしょ?と山下に言われ第一秘書に任命される。
・女性記者 地元紙の若い記者。先頭に立って山下にコメントを求める。
化想操術師の日常
茶野森かのこ
キャラ文芸
たった一つの線で、世界が変わる。
化想操術師という仕事がある。
一般的には知られていないが、化想は誰にでも起きる可能性のある現象で、悲しみや苦しみが心に抱えきれなくなった時、人は無意識の内に化想と呼ばれるものを体の外に生み出してしまう。それは、空間や物や生き物と、その人の心を占めるものである為、様々だ。
化想操術師とは、頭の中に思い描いたものを、その指先を通して、現実に生み出す事が出来る力を持つ人達の事。本来なら無意識でしか出せない化想を、意識的に操る事が出来た。
クズミ化想社は、そんな化想に苦しむ人々に寄り添い、救う仕事をしている。
社長である九頭見志乃歩は、自身も化想を扱いながら、化想患者限定でカウンセラーをしている。
社員は自身を含めて四名。
九頭見野雪という少年は、化想を生み出す能力に長けていた。志乃歩の養子に入っている。
常に無表情であるが、それは感情を失わせるような過去があったからだ。それでも、志乃歩との出会いによって、その心はいつも誰かに寄り添おうとしている、優しい少年だ。
他に、志乃歩の秘書でもある黒兎、口は悪いが料理の腕前はピカイチの姫子、野雪が生み出した巨大な犬の化想のシロ。彼らは、山の中にある洋館で、賑やかに共同生活を送っていた。
その洋館に、新たな住人が加わった。
記憶を失った少女、たま子。化想が扱える彼女は、記憶が戻るまでの間、野雪達と共に過ごす事となった。
だが、記憶を失くしたたま子には、ある目的があった。
たま子はクズミ化想社の一人として、志乃歩や野雪と共に、化想を出してしまった人々の様々な思いに触れていく。
壊れた友情で海に閉じこもる少年、自分への後悔に復讐に走る女性、絵を描く度に化想を出してしまう少年。
化想操術の古い歴史を持つ、阿木之亥という家の人々、重ねた野雪の過去、初めて出来た好きなもの、焦がれた自由、犠牲にしても守らなきゃいけないもの。
野雪とたま子、化想を取り巻く彼らのお話です。
百合系サキュバス達に一目惚れされた
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ブラック企業を辞めたら悪の組織の癒やし係になりました~命の危機も感じるけど私は元気にやっています!!~
琴葉悠
キャラ文芸
ブラック企業で働いてた美咲という女性はついにブラック企業で働き続けることに限界を感じキレて辞職届けをだす。
辞職し、やけ酒をあおっているところにたまに見かける美丈夫が声をかけ、自分の働いている会社にこないかと言われる。
提示された待遇が良かった為、了承し、そのまま眠ってしまう。
そして目覚めて発覚する、その会社は会社ではなく、悪の組織だったことに──
恵麗奈お嬢様のあやかし退治
刻芦葉
キャラ文芸
一般的な生活を送る美憂と、世界でも有名な鳳凰院グループのお嬢様である恵麗奈。
普通なら交わることのなかった二人は、人ならざる者から人を守る『退魔衆』で、命を預け合うパートナーとなった。
二人にある共通点は一つだけ。その身に大きな呪いを受けていること。
黒を煮詰めたような闇に呪われた美憂と、真夜中に浮かぶ太陽に呪われた恵麗奈は、命がけで妖怪との戦いを繰り広げていく。
第6回キャラ文芸大賞に参加してます。よろしくお願いします。
ようこそ猫カフェ『ネコまっしぐランド』〜我々はネコ娘である〜
根上真気
キャラ文芸
日常系ドタバタ☆ネコ娘コメディ!!猫好きの大学二年生=猫実好和は、ひょんなことから猫カフェでバイトすることに。しかしそこは...ネコ娘達が働く猫カフェだった!猫カフェを舞台に可愛いネコ娘達が大活躍する?プロットなし!一体物語はどうなるのか?作者もわからない!!
鬼と私の約束~あやかしバーでバーメイド、はじめました~
さっぱろこ
キャラ文芸
本文の修正が終わりましたので、執筆を再開します。
第6回キャラ文芸大賞 奨励賞頂きました。
* * *
家族に疎まれ、友達もいない甘祢(あまね)は、明日から無職になる。
そんな夜に足を踏み入れた京都の路地で謎の男に襲われかけたところを不思議な少年、伊吹(いぶき)に助けられた。
人間とは少し違う不思議な匂いがすると言われ連れて行かれた先は、あやかしなどが住まう時空の京都租界を統べるアジトとなるバー「OROCHI」。伊吹は京都租界のボスだった。
OROCHIで女性バーテン、つまりバーメイドとして働くことになった甘祢は、人間界でモデルとしても働くバーテンの夜都賀(やつが)に仕事を教わることになる。
そうするうちになぜか徐々に敵対勢力との抗争に巻き込まれていき――
初めての投稿です。色々と手探りですが楽しく書いていこうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる