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4章 もっといっしょにいたいから!
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ユーリは、わたしの耳たぶをやさしくつまむ。
彼女のほそい指先は少しだけ冷えていて、そのひんやりとした感覚がわたしの耳に直接に伝わってくる。
……ドキ……。胸の鼓動が自分の耳にも聞こえてきた。
「だ、大丈夫! ……じゃ、行こっか……」
なんだか無性に恥ずかしい。
ユーリの手を振りほどいて、駅に続く並木道を歩きはじめた。
(胸がまだドキドキしてる……。それもこれも、ユーリが素敵すぎるせいなんだから)
軽くため息をついてから、横目でちらりとユーリをみつめた。
サラサラした黒髪。スッと通った鼻すじ。
……肌だって、とってもきれいで……。
つまり、一言でいえば、顔のすべての部分が整っているのだけど……。
なかでも、わたしが一番、心を惹きつけられるのは、彼女の“瞳”――。
長いまつげに囲まれた、黒く、大きな瞳は、ほんの少しだけ憂いを含んでいて、わたしはときどき、吸い込まれそうになってしまう。
「何? 莉子」
「……な、なんでもない!」
わたしはあわてて首を振った。
(……やだ。わたしってば、ちらっと見るだけのつもりで、ユーリのこと、ずっとみつめていたんだ。しかも、それがユーリにバレてるし)
実はこういうこと、1度や2度じゃなかったりする。
それほどの美貌を持つユーリに対して、わたしといえば、ホントにつまらない『普通の子』。
あーあ、ちょっと自己嫌悪……。
* * *
明が丘駅を通りすぎ、それでもまっすぐ並木道を進んでいく。
すると、ようやく『マリィエ』という看板のかかった店が姿をあらわしてくれた。
(ここだよね……)
トールペイントのプレートがかかった可愛らしい扉を開けると、絵本の挿絵に出てきそうな、心休まる空間が広がっていた。
こういう、どこか懐かしい感じって、すごく好き。来てよかった!
窓際の席に案内されたわたしたちがメニューをみていると、お店の人が注文を取りにきた。
わたしは、ここのイチオシは中にラズベリーのたっぷりつまったガトーショコラだって聞いてたから、
「ケーキセットを、飲み物はホットミルクティー、ケーキはラズベリーのガトーショコラで」
と即答。
だけど、メニューに載っている他のケーキもすごく美味しそう。
「ユーリは何にする?」
「ん……。コーヒーでいいや。ホットコーヒーひとつ」
「かしこまりました。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「え? コーヒーだけでいいの?」
わたしは、おもわず大声で聞いてしまった。
「うん」
ユーリは静かに答えた。
ケーキの美味しいカフェで、ケーキを頼まずにコーヒーだけ頼む。
そんな女の子が自分と同い年だなんて、ちょっとした衝撃だった。
(でも、ケーキ頼まないんなら、なんか悪い事しちゃったかな……)
彼女のほそい指先は少しだけ冷えていて、そのひんやりとした感覚がわたしの耳に直接に伝わってくる。
……ドキ……。胸の鼓動が自分の耳にも聞こえてきた。
「だ、大丈夫! ……じゃ、行こっか……」
なんだか無性に恥ずかしい。
ユーリの手を振りほどいて、駅に続く並木道を歩きはじめた。
(胸がまだドキドキしてる……。それもこれも、ユーリが素敵すぎるせいなんだから)
軽くため息をついてから、横目でちらりとユーリをみつめた。
サラサラした黒髪。スッと通った鼻すじ。
……肌だって、とってもきれいで……。
つまり、一言でいえば、顔のすべての部分が整っているのだけど……。
なかでも、わたしが一番、心を惹きつけられるのは、彼女の“瞳”――。
長いまつげに囲まれた、黒く、大きな瞳は、ほんの少しだけ憂いを含んでいて、わたしはときどき、吸い込まれそうになってしまう。
「何? 莉子」
「……な、なんでもない!」
わたしはあわてて首を振った。
(……やだ。わたしってば、ちらっと見るだけのつもりで、ユーリのこと、ずっとみつめていたんだ。しかも、それがユーリにバレてるし)
実はこういうこと、1度や2度じゃなかったりする。
それほどの美貌を持つユーリに対して、わたしといえば、ホントにつまらない『普通の子』。
あーあ、ちょっと自己嫌悪……。
* * *
明が丘駅を通りすぎ、それでもまっすぐ並木道を進んでいく。
すると、ようやく『マリィエ』という看板のかかった店が姿をあらわしてくれた。
(ここだよね……)
トールペイントのプレートがかかった可愛らしい扉を開けると、絵本の挿絵に出てきそうな、心休まる空間が広がっていた。
こういう、どこか懐かしい感じって、すごく好き。来てよかった!
窓際の席に案内されたわたしたちがメニューをみていると、お店の人が注文を取りにきた。
わたしは、ここのイチオシは中にラズベリーのたっぷりつまったガトーショコラだって聞いてたから、
「ケーキセットを、飲み物はホットミルクティー、ケーキはラズベリーのガトーショコラで」
と即答。
だけど、メニューに載っている他のケーキもすごく美味しそう。
「ユーリは何にする?」
「ん……。コーヒーでいいや。ホットコーヒーひとつ」
「かしこまりました。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「え? コーヒーだけでいいの?」
わたしは、おもわず大声で聞いてしまった。
「うん」
ユーリは静かに答えた。
ケーキの美味しいカフェで、ケーキを頼まずにコーヒーだけ頼む。
そんな女の子が自分と同い年だなんて、ちょっとした衝撃だった。
(でも、ケーキ頼まないんなら、なんか悪い事しちゃったかな……)
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