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3章 オトモダチからはじめよう!

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 次の日のわたしは、ユーリさんと友達になれた感激を一刻も早く京花達に知らせてあげたくて、いつもより早く家を出た。

「それでね。ユーリさん、フルネームは清原由利っていってね。……すごくキレイで優しくてね~」

 ホームルーム前の1年E組――。
 いつまでも話していたいのに、京花とみほは、

「あのさ、莉子……。テンション高すぎ……」
 とか
「ほんと、ちょっと落ちつきなよって感じ?」
 と言って、冷ややかな目でわたしを見ている。

 唯菜はまだ来てなかったけど、この場にいたとしても、きっとこの2人と同じような反応を示すんだろうなぁ。
 うーん。
 ユーリさんみたいな人と友達になれたら、誰だって舞いあがっちゃうと思うんだけどな。
 
 放課後――。
 今日も建礼学院にむかって駆けていくわたしは、祈るようにつぶやいた。

「ユーリさんも今日、6限の日でありますように……」

   * * *

 建礼学院に着いたわたしは、ユーリさんを校門で待つこと15分。
『でも、時間なんて問題じゃないの!』と、ひたっていると前方から人影が――。
 
 来たっ! ユーリさんが来たっ!

「ユーリさんっ!」

 わたしが呼びかけると、彼女はくるりとこちら側を向いた。

「今日も校門そこで待ってたの?」

 そう言って、ユーリさんのほうからわたしに近づいてきてくれた。

「うん! ユーリさんも電車通学なら、駅までいっしょに帰れるかなと思って訊きにきたの。……昨日はうれしくって、あわてて帰っちゃったから――」

 彼女は、照れ笑いするわたしを不思議そうにみつめている。
 ――あ……。なんかわたし、調子に乗ってつっぱしりすぎちゃったのかなぁ……。
 せっかく……、せーっかくユーリさんが友達になってもいいって、いってくれたのに――。
 なんだか急に不安になってしまう。

「わたし、迷惑――かな……? だったら、もうやめるけど……」
「そんなことないよ――」

 ユーリさんは、わたしの頭にポンと手を置き、やさしく笑ってくれた。

 あれ? これって……。なんか『子供が大人にあやされてる図』って感じがする。

 つまり、今のわたしは同い年の面目めんぼくまるつぶれ、といった状態なんだけど――。
 でも、ユーリさんがわたしに向けている笑顔は無理に作ったものには、どうしても見えなかった。
 それってつまり――。わたしのこと、“迷惑”とは思っていない。そう思ってもいいんだよね……?
 
 きっと、迷惑じゃない。
 多分、迷惑じゃない。
 ぜったい、迷惑じゃない……と、信じたい。

 わたしは心の中で、そう繰り返していた。
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