11 / 27
3章 オトモダチからはじめよう!
3-02
しおりを挟む
次の日のわたしは、ユーリさんと友達になれた感激を一刻も早く京花達に知らせてあげたくて、いつもより早く家を出た。
「それでね。ユーリさん、フルネームは清原由利っていってね。……すごくキレイで優しくてね~」
ホームルーム前の1年E組――。
いつまでも話していたいのに、京花とみほは、
「あのさ、莉子……。テンション高すぎ……」
とか
「ほんと、ちょっと落ちつきなよって感じ?」
と言って、冷ややかな目でわたしを見ている。
唯菜はまだ来てなかったけど、この場にいたとしても、きっとこの2人と同じような反応を示すんだろうなぁ。
うーん。
ユーリさんみたいな人と友達になれたら、誰だって舞いあがっちゃうと思うんだけどな。
放課後――。
今日も建礼学院にむかって駆けていくわたしは、祈るようにつぶやいた。
「ユーリさんも今日、6限の日でありますように……」
* * *
建礼学院に着いたわたしは、ユーリさんを校門で待つこと15分。
『でも、時間なんて問題じゃないの!』と、ひたっていると前方から人影が――。
来たっ! ユーリさんが来たっ!
「ユーリさんっ!」
わたしが呼びかけると、彼女はくるりとこちら側を向いた。
「今日も校門で待ってたの?」
そう言って、ユーリさんのほうからわたしに近づいてきてくれた。
「うん! ユーリさんも電車通学なら、駅までいっしょに帰れるかなと思って訊きにきたの。……昨日はうれしくって、あわてて帰っちゃったから――」
彼女は、照れ笑いするわたしを不思議そうにみつめている。
――あ……。なんかわたし、調子に乗ってつっぱしりすぎちゃったのかなぁ……。
せっかく……、せーっかくユーリさんが友達になってもいいって、いってくれたのに――。
なんだか急に不安になってしまう。
「わたし、迷惑――かな……? だったら、もうやめるけど……」
「そんなことないよ――」
ユーリさんは、わたしの頭にポンと手を置き、やさしく笑ってくれた。
あれ? これって……。なんか『子供が大人にあやされてる図』って感じがする。
つまり、今のわたしは同い年の面目まるつぶれ、といった状態なんだけど――。
でも、ユーリさんがわたしに向けている笑顔は無理に作ったものには、どうしても見えなかった。
それってつまり――。わたしのこと、“迷惑”とは思っていない。そう思ってもいいんだよね……?
きっと、迷惑じゃない。
多分、迷惑じゃない。
ぜったい、迷惑じゃない……と、信じたい。
わたしは心の中で、そう繰り返していた。
「それでね。ユーリさん、フルネームは清原由利っていってね。……すごくキレイで優しくてね~」
ホームルーム前の1年E組――。
いつまでも話していたいのに、京花とみほは、
「あのさ、莉子……。テンション高すぎ……」
とか
「ほんと、ちょっと落ちつきなよって感じ?」
と言って、冷ややかな目でわたしを見ている。
唯菜はまだ来てなかったけど、この場にいたとしても、きっとこの2人と同じような反応を示すんだろうなぁ。
うーん。
ユーリさんみたいな人と友達になれたら、誰だって舞いあがっちゃうと思うんだけどな。
放課後――。
今日も建礼学院にむかって駆けていくわたしは、祈るようにつぶやいた。
「ユーリさんも今日、6限の日でありますように……」
* * *
建礼学院に着いたわたしは、ユーリさんを校門で待つこと15分。
『でも、時間なんて問題じゃないの!』と、ひたっていると前方から人影が――。
来たっ! ユーリさんが来たっ!
「ユーリさんっ!」
わたしが呼びかけると、彼女はくるりとこちら側を向いた。
「今日も校門で待ってたの?」
そう言って、ユーリさんのほうからわたしに近づいてきてくれた。
「うん! ユーリさんも電車通学なら、駅までいっしょに帰れるかなと思って訊きにきたの。……昨日はうれしくって、あわてて帰っちゃったから――」
彼女は、照れ笑いするわたしを不思議そうにみつめている。
――あ……。なんかわたし、調子に乗ってつっぱしりすぎちゃったのかなぁ……。
せっかく……、せーっかくユーリさんが友達になってもいいって、いってくれたのに――。
なんだか急に不安になってしまう。
「わたし、迷惑――かな……? だったら、もうやめるけど……」
「そんなことないよ――」
ユーリさんは、わたしの頭にポンと手を置き、やさしく笑ってくれた。
あれ? これって……。なんか『子供が大人にあやされてる図』って感じがする。
つまり、今のわたしは同い年の面目まるつぶれ、といった状態なんだけど――。
でも、ユーリさんがわたしに向けている笑顔は無理に作ったものには、どうしても見えなかった。
それってつまり――。わたしのこと、“迷惑”とは思っていない。そう思ってもいいんだよね……?
きっと、迷惑じゃない。
多分、迷惑じゃない。
ぜったい、迷惑じゃない……と、信じたい。
わたしは心の中で、そう繰り返していた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる