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2章 思いあまって告白しちゃえ!
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「あ……あのっ――」
蚊の鳴くような小さな声で彼に呼びかけてしまった。
校門のそばにいた4人(ユーリくん&その他3人)の視線が一斉にわたしに向けられる。
(うっ……。今、思い出したけど、わたしって男の子と話すの、あんまり得意じゃなかったんだ。中学のときから、ずっと女子校だったし、男の子の友達っていないし……。それなのに、勢いだけで男子校に来ちゃって……)
――あーもー、本当にどーしよう……。
わたしがアセりまくっていると、わたしの動揺を知ってか知らずか、ユーリくんの友達(と、おぼしき人達)は、
「……なんだ。ユーリの知り合い? じゃーな」
とか
「またな」
とかいって、その場から立ち去っていった。
下校ラッシュは過ぎていたみたいで、柔らかな銀色をした校門の前には、わたしと彼の2人しかいなくなってしまった。
(……ふ、2人きりになっちゃったよ~)
ユーリくんは、この状況にますますパニクっているわたしの顔をひょいとのぞきこみ、やさしく問いかけてきた。
「昨日の子だよね。……どうしたの?」
彼のきれいな瞳にわたしがうつる。……わたしのこと、おぼえていてくれてたんだ。でも――。
(こんなときは、一体どうすればっ……!!)
頭に血がのぼっていくのが自分でもよくわかる。
心臓の、ドクン、ドクンって音が脳ミソの中にまで響いているみたい。
こういう状況のこと、小説とかには「心臓が早鐘のように」なんて書いてあるけど、どちらかといえばこの音、お祭りの“和太鼓”に近い気がする……。
でも、早鐘ってたしか、昔、火事になったときに鳴らしていた鐘のことなんだっけ。
それなら、『心が大火事』ってことで、ぴったりの表現な気もするし……。
アレ? わたし、何いってるんだろう……。今、重要なのは、鐘か太鼓か、なんてことじゃなくって。
えーと……そのぉ……。
ぷちっ!
極度の緊張で、わたしの中の何かが切れてしまった。
(あー、もうこうなったら、あたって砕けろだっ!)
「わたしと……つきあってください!」
(言った……。言っちゃった……! 出会ったのは昨日の今日。しかも、あんな出会いだったから、やっぱりわたし、変なヤツと思われてるかもしれないのに――)
そんなわたしに、彼はあっさりと――。
「無理なんだ、そういうの」
そんなっ……。
ことわるにしたって、ここまでキッパリ、ハッキリと……。
(あーあ、わたし、あたって砕け散ったのね)
わたしがガックリ肩を落として落ち込んでいると、彼はイタズラっぽくほほえんだ。
「女の子は好きじゃない……っていうか――女性恐怖症なんだ」
「……え? ……なんか……とてもそうは見えないんだけど――」
ものの見事に玉砕したばかりだというのに、わたしは彼の発言にツッコミをいれてしまった。
だって、ホントにそんなふうには見えないんだもの。
「あ、バレた? 冗談だよ、冗談!」
あっけらかんと笑うユーリくん。
うーん……。どーゆーキャラなの? この子って……。
わたしがすっかり困惑していると、彼はフッと真顔になった。
蚊の鳴くような小さな声で彼に呼びかけてしまった。
校門のそばにいた4人(ユーリくん&その他3人)の視線が一斉にわたしに向けられる。
(うっ……。今、思い出したけど、わたしって男の子と話すの、あんまり得意じゃなかったんだ。中学のときから、ずっと女子校だったし、男の子の友達っていないし……。それなのに、勢いだけで男子校に来ちゃって……)
――あーもー、本当にどーしよう……。
わたしがアセりまくっていると、わたしの動揺を知ってか知らずか、ユーリくんの友達(と、おぼしき人達)は、
「……なんだ。ユーリの知り合い? じゃーな」
とか
「またな」
とかいって、その場から立ち去っていった。
下校ラッシュは過ぎていたみたいで、柔らかな銀色をした校門の前には、わたしと彼の2人しかいなくなってしまった。
(……ふ、2人きりになっちゃったよ~)
ユーリくんは、この状況にますますパニクっているわたしの顔をひょいとのぞきこみ、やさしく問いかけてきた。
「昨日の子だよね。……どうしたの?」
彼のきれいな瞳にわたしがうつる。……わたしのこと、おぼえていてくれてたんだ。でも――。
(こんなときは、一体どうすればっ……!!)
頭に血がのぼっていくのが自分でもよくわかる。
心臓の、ドクン、ドクンって音が脳ミソの中にまで響いているみたい。
こういう状況のこと、小説とかには「心臓が早鐘のように」なんて書いてあるけど、どちらかといえばこの音、お祭りの“和太鼓”に近い気がする……。
でも、早鐘ってたしか、昔、火事になったときに鳴らしていた鐘のことなんだっけ。
それなら、『心が大火事』ってことで、ぴったりの表現な気もするし……。
アレ? わたし、何いってるんだろう……。今、重要なのは、鐘か太鼓か、なんてことじゃなくって。
えーと……そのぉ……。
ぷちっ!
極度の緊張で、わたしの中の何かが切れてしまった。
(あー、もうこうなったら、あたって砕けろだっ!)
「わたしと……つきあってください!」
(言った……。言っちゃった……! 出会ったのは昨日の今日。しかも、あんな出会いだったから、やっぱりわたし、変なヤツと思われてるかもしれないのに――)
そんなわたしに、彼はあっさりと――。
「無理なんだ、そういうの」
そんなっ……。
ことわるにしたって、ここまでキッパリ、ハッキリと……。
(あーあ、わたし、あたって砕け散ったのね)
わたしがガックリ肩を落として落ち込んでいると、彼はイタズラっぽくほほえんだ。
「女の子は好きじゃない……っていうか――女性恐怖症なんだ」
「……え? ……なんか……とてもそうは見えないんだけど――」
ものの見事に玉砕したばかりだというのに、わたしは彼の発言にツッコミをいれてしまった。
だって、ホントにそんなふうには見えないんだもの。
「あ、バレた? 冗談だよ、冗談!」
あっけらかんと笑うユーリくん。
うーん……。どーゆーキャラなの? この子って……。
わたしがすっかり困惑していると、彼はフッと真顔になった。
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