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1章 出会いは突然に!
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(……うーん)
わたしは店内に平積みされているCDアルバムに手をのばした。
これを買ってしまったら、今月分のわたしのおこづかいは、ほとんどなくなってしまう。
――それでも、やっぱり欲しい。
だけど、来月まで節約生活になるのも、いやだし……。
本当に迷っちゃうなぁ。
「あ、そうだ!」
手に取ったアルバムをもとの場所に戻したわたしは、あることを思いついた。
「な、何よ。急に……」
わたしがいきなり叫んだものだから、京花達は少し怪訝な顔をしている。
(失礼ね……)
わたしが思い出したのは、あるジンクス。
たしか、小学生の時に読んでいた雑誌のおまじないコーナーに書いてあったんだけど、昔から、何かに迷うとした方法。
一体どんな方法かというと――。
1・決めたいことを心の中でつぶやき、目を閉じる。
2・三秒たってから目をあけて、最初に映《うつ》った人が……
異性だったら NO
同性だったら YES
さいわい、いま立っている場所は洋楽コーナーの端っこ。
隣の邦楽コーナーの通り道だから、いろんな人が行き来している。
わたしは他の人の通行の邪魔になっていないことを確かめ、心の中で、
『アルバムを買うことにする……』
と、つぶやいた。
そして、ゆっくりと目を閉じる――。
……“1”
“2”
“3”………
期待と不安を胸に恐る恐る目を開けてみる。
――男?
――女?
――どっち……?
ぱっと目を見開いたわたしの前には、華奢な男の子が1人、立っていた。
年は高校生くらい。
わたしより頭半分ほど背が高いから、身長は170センチくらいかなぁ。
とってもきれいな瞳をしている――。
……って、おもわず見惚れてしまったけど!
目を開けて最初にみたのが『異性』だったということは、『アルバムは買わない』って、結果が出たんだよね。
でも――。
(いざ買わないって決めると、なおさら欲しくなってしまう)
そう痛感したわたしは、おもわず、本当におもわず――。
「あーあ、男か……」
って、声に出して、つぶやいてしまった。
(やばっ……。今の声、絶対聞かれた!)
案の定、男の子の瞳が不思議そうにわたしをみつめている。
うわぁ……。恥ずかしいー!
わたしは彼から目をそらし、横にいた京花達に助けを求める視線を送った。
友情に厚い彼女達は
『何やってるのよ、アンタはっ!はやいとこ、謝っちゃいなさいよ』
と言いたげな恐ろしい形相でわたしをにらんでいる。
(……そうだよね。ここはやっぱり、きちんと謝らなくちゃいけないよね)
「あ……あのっ、ごめんなさいっ! 今の言葉は、なんでもなくて……」
わたしは店内に平積みされているCDアルバムに手をのばした。
これを買ってしまったら、今月分のわたしのおこづかいは、ほとんどなくなってしまう。
――それでも、やっぱり欲しい。
だけど、来月まで節約生活になるのも、いやだし……。
本当に迷っちゃうなぁ。
「あ、そうだ!」
手に取ったアルバムをもとの場所に戻したわたしは、あることを思いついた。
「な、何よ。急に……」
わたしがいきなり叫んだものだから、京花達は少し怪訝な顔をしている。
(失礼ね……)
わたしが思い出したのは、あるジンクス。
たしか、小学生の時に読んでいた雑誌のおまじないコーナーに書いてあったんだけど、昔から、何かに迷うとした方法。
一体どんな方法かというと――。
1・決めたいことを心の中でつぶやき、目を閉じる。
2・三秒たってから目をあけて、最初に映《うつ》った人が……
異性だったら NO
同性だったら YES
さいわい、いま立っている場所は洋楽コーナーの端っこ。
隣の邦楽コーナーの通り道だから、いろんな人が行き来している。
わたしは他の人の通行の邪魔になっていないことを確かめ、心の中で、
『アルバムを買うことにする……』
と、つぶやいた。
そして、ゆっくりと目を閉じる――。
……“1”
“2”
“3”………
期待と不安を胸に恐る恐る目を開けてみる。
――男?
――女?
――どっち……?
ぱっと目を見開いたわたしの前には、華奢な男の子が1人、立っていた。
年は高校生くらい。
わたしより頭半分ほど背が高いから、身長は170センチくらいかなぁ。
とってもきれいな瞳をしている――。
……って、おもわず見惚れてしまったけど!
目を開けて最初にみたのが『異性』だったということは、『アルバムは買わない』って、結果が出たんだよね。
でも――。
(いざ買わないって決めると、なおさら欲しくなってしまう)
そう痛感したわたしは、おもわず、本当におもわず――。
「あーあ、男か……」
って、声に出して、つぶやいてしまった。
(やばっ……。今の声、絶対聞かれた!)
案の定、男の子の瞳が不思議そうにわたしをみつめている。
うわぁ……。恥ずかしいー!
わたしは彼から目をそらし、横にいた京花達に助けを求める視線を送った。
友情に厚い彼女達は
『何やってるのよ、アンタはっ!はやいとこ、謝っちゃいなさいよ』
と言いたげな恐ろしい形相でわたしをにらんでいる。
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