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幼女は残念イケメンを案内する
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「そこのお嬢さん、人を探しているのだが美女を知らないかい?」
爽やかな朝に負けないような笑顔でそう尋ねてくるこの男は.....
「王様.....」
王様と呼ばれた男は私の言葉に頷きながら
「よく分かったね」
と爽やかな笑顔を崩さずに言う
「なんで王様がこんなところにいるの?」
「美女を探しに来たのさ」
何を言ってるのだろうこいつは。
キラキラと微笑む彼は噂の王様である。
即位してから3年しか経ってないにも関わらず素晴らしい手腕と頭脳で国を豊かにし、部下や国民からの尊敬を一心に受ける歴代の中でも頭1つ抜けた賢王であると。
そして、女癖が悪く99人の側室を持つ歴代最高記録の王である。
この王様になってから貧困区の暮らしも昔よりだいぶ良くなったって近所のおばさんが言っていた。女癖は悪いけど。
そんな賢王がなんでこんなところにいるのか。
私の身長に合わせるために屈んで話しかけてくるこの目の前の王様は悪いやつではないなと思った。
「美女を探してるの?こんなところで?」
「ああ、この地区だけまだ側室を持っていないからね」
「この地区?」
「そう、残る地区はここだけなんだ!ここで美女を側室に迎えれば、俺の全国の美女を側室にするという野望がついに叶うんだ!」
うわぁ......
王様はやばいやつだった。
私がドン引きしているのを知ってか知らないか王様は私の顔を見ながら
「お嬢さん、まだ小さいようだけど、君ぐらいの子の方が美女を引き当てる確率が高いんだ!どうか協力してくれないか?」
そう言いながら手を差し伸べられる。
「危ない人とは話しちゃダメっていわれてるからさようなら」
「そうか協力してくれるか!」
「ねえ、はなし聞いてた?」
「よし!まずはあそこに行こう!」
「............」
私の話は聞こえないらしい。
「あの彼女はダメだな、おしりが足りない」
「あー彼女は惜しいなーもう少しくびれがあれば!!」
「...........」
この賢王に片腕で抱っこされながら街の美女を見て回るが、こいつは面倒くさかった。
「今の側室には何かが足りないんだ....」とボソボソと独り言を話している。
大人しく抱っこされている私を見て
「もう美女はいないのかい?」
「いないよ」
「そうか....好みの美女はいなかったし、かといって野望を諦めるのは....」
本当になんでこんなのが王様なのか謎である。
「それよりこんなところに王様が1人でいていいの?」
「ああ、護衛はついてるからね」
「ほんと!?どこにいるの?全然わかんなかった!!」
護衛なんて見たことがない!
キョロキョロと辺りを見回すと建物の影から護衛らしき人がこちらを見て小さく手を振ってきた。
あれだ!と手を大きく振ると護衛の人はデレデレとした顔になっていた。きもちわるい。
「あれはロリコンというものだからむやみに手を振ってはダメだよ危ないからね」
「へー」
私は素直に頷くことにした。
「さて、君には協力してもらったし何かご飯でもご馳走しよう」
「ほんと!?」
「ああ、何か好きな物はある?」
「お肉!!」
「分かったよお肉食べに行こう。でも、その前に君のご両親に了承を取りにいかなきゃ」
そういう王様に
「ママは死んじゃった」
と言うと
「そうか.....お父さんは?」
「パパは最初っからいない」
「そうか」
王様は私の頭を撫でながら「美味しいお肉食べに行くか」と言った。王様の顔を見ようとしたけど王様の手が大きくて顔は見えなかった。
「おいしいーー!!」
感激の声を上げる私を見て王様はデレデレとした顔をしてる。さっきの護衛の人みたい。
「俺はさっきのロリコンとは違うからな?」
心の声も聞こえるなんてさすが賢王だね。
モキュモキュと口にいっぱいお肉を詰め込む。
「こらこら肉は逃げないからゆっくり食べなさい」
王様はデレデレ顔のまま私の口の周りに着いたソースを拭ってくれる。
そんな世話を焼く王様に冗談で
「ありがとーパパ」
と、言ってみると王様は目を見開いたまま固まった。
「王様?」
「もう1度パパと言ってみて?」
「パパ?」
首をこてんと傾げながら言うと
「ぐぅっ!!!」
謎の奇声を上げて机に突っ伏してしまった王様.....きもちわるい。
数秒経ってから復活したと思えばボソボソと「これか!これが足りなかったのか!!」と言ってる。
そしてこちらを向き直し
「お嬢さん、名前はなんだ?」
そう言えば名乗っていなかった。
「エリス」
「エリスか、いい名前だ。歳はいくつだ?」
「5歳」
「そうか.....ギリギリいけるか?」
また何かボソボソ言ってる。
そして、今日何度目になるか私の顔を見ながら、今日1番の蕩けた笑顔で
「エリー俺の側室にならないか?」
爽やかな朝に負けないような笑顔でそう尋ねてくるこの男は.....
「王様.....」
王様と呼ばれた男は私の言葉に頷きながら
「よく分かったね」
と爽やかな笑顔を崩さずに言う
「なんで王様がこんなところにいるの?」
「美女を探しに来たのさ」
何を言ってるのだろうこいつは。
キラキラと微笑む彼は噂の王様である。
即位してから3年しか経ってないにも関わらず素晴らしい手腕と頭脳で国を豊かにし、部下や国民からの尊敬を一心に受ける歴代の中でも頭1つ抜けた賢王であると。
そして、女癖が悪く99人の側室を持つ歴代最高記録の王である。
この王様になってから貧困区の暮らしも昔よりだいぶ良くなったって近所のおばさんが言っていた。女癖は悪いけど。
そんな賢王がなんでこんなところにいるのか。
私の身長に合わせるために屈んで話しかけてくるこの目の前の王様は悪いやつではないなと思った。
「美女を探してるの?こんなところで?」
「ああ、この地区だけまだ側室を持っていないからね」
「この地区?」
「そう、残る地区はここだけなんだ!ここで美女を側室に迎えれば、俺の全国の美女を側室にするという野望がついに叶うんだ!」
うわぁ......
王様はやばいやつだった。
私がドン引きしているのを知ってか知らないか王様は私の顔を見ながら
「お嬢さん、まだ小さいようだけど、君ぐらいの子の方が美女を引き当てる確率が高いんだ!どうか協力してくれないか?」
そう言いながら手を差し伸べられる。
「危ない人とは話しちゃダメっていわれてるからさようなら」
「そうか協力してくれるか!」
「ねえ、はなし聞いてた?」
「よし!まずはあそこに行こう!」
「............」
私の話は聞こえないらしい。
「あの彼女はダメだな、おしりが足りない」
「あー彼女は惜しいなーもう少しくびれがあれば!!」
「...........」
この賢王に片腕で抱っこされながら街の美女を見て回るが、こいつは面倒くさかった。
「今の側室には何かが足りないんだ....」とボソボソと独り言を話している。
大人しく抱っこされている私を見て
「もう美女はいないのかい?」
「いないよ」
「そうか....好みの美女はいなかったし、かといって野望を諦めるのは....」
本当になんでこんなのが王様なのか謎である。
「それよりこんなところに王様が1人でいていいの?」
「ああ、護衛はついてるからね」
「ほんと!?どこにいるの?全然わかんなかった!!」
護衛なんて見たことがない!
キョロキョロと辺りを見回すと建物の影から護衛らしき人がこちらを見て小さく手を振ってきた。
あれだ!と手を大きく振ると護衛の人はデレデレとした顔になっていた。きもちわるい。
「あれはロリコンというものだからむやみに手を振ってはダメだよ危ないからね」
「へー」
私は素直に頷くことにした。
「さて、君には協力してもらったし何かご飯でもご馳走しよう」
「ほんと!?」
「ああ、何か好きな物はある?」
「お肉!!」
「分かったよお肉食べに行こう。でも、その前に君のご両親に了承を取りにいかなきゃ」
そういう王様に
「ママは死んじゃった」
と言うと
「そうか.....お父さんは?」
「パパは最初っからいない」
「そうか」
王様は私の頭を撫でながら「美味しいお肉食べに行くか」と言った。王様の顔を見ようとしたけど王様の手が大きくて顔は見えなかった。
「おいしいーー!!」
感激の声を上げる私を見て王様はデレデレとした顔をしてる。さっきの護衛の人みたい。
「俺はさっきのロリコンとは違うからな?」
心の声も聞こえるなんてさすが賢王だね。
モキュモキュと口にいっぱいお肉を詰め込む。
「こらこら肉は逃げないからゆっくり食べなさい」
王様はデレデレ顔のまま私の口の周りに着いたソースを拭ってくれる。
そんな世話を焼く王様に冗談で
「ありがとーパパ」
と、言ってみると王様は目を見開いたまま固まった。
「王様?」
「もう1度パパと言ってみて?」
「パパ?」
首をこてんと傾げながら言うと
「ぐぅっ!!!」
謎の奇声を上げて机に突っ伏してしまった王様.....きもちわるい。
数秒経ってから復活したと思えばボソボソと「これか!これが足りなかったのか!!」と言ってる。
そしてこちらを向き直し
「お嬢さん、名前はなんだ?」
そう言えば名乗っていなかった。
「エリス」
「エリスか、いい名前だ。歳はいくつだ?」
「5歳」
「そうか.....ギリギリいけるか?」
また何かボソボソ言ってる。
そして、今日何度目になるか私の顔を見ながら、今日1番の蕩けた笑顔で
「エリー俺の側室にならないか?」
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