主人公は魔法が使えないのである。

海底牢獄チュリマー編

第６５話 魔空に迎えに来た一行

今ここにいるのはプラッセ、フィッシュの2人と見習い兵達20人、騎士団の兵10人の合計32人。
いくら騎士団であっても32人では成人男性50人分の魔力を集めるのはさすがに厳しいと言える。
それにプラッセは魔力がないから実質31人である。

「じゃあここにいる騎士団の者、手を出せ。」

それぞれが手を一点にかざして力を込める。
するとその一点から様々な色が現れて虹色のボールが出来上がった。

「くそっみんなもっと頑張れ！」

虹色のボールはどんどん膨れ上がっていった。
するとフィッシュが眉間にしわを寄せてさらに力を込める。
虹色のボールはさらに膨れ上がりとうとう破れた。

「うわっなんだこの光は！」
「何も見えない！！」

いきなり視界が真っ白になり、何も見えなくなった。
視界が戻ると周りのみんなは全員倒れていた。
しばらくして一人ずつ起き上がってきた。

「あれっこれが、魔空まくう？」
「さっきと変わってない気が......」

目の前に広がる世界はさっきまでいた世界となんら変わりなかった。
ただ、さっきまで逆さだった山がもとの姿を取り戻していた。

「ここが魔空まくうか。早速ジェノンさんとリアムさんを探すとするか。」

一行は歩き出した。
一方ジェノンとリアムは木々に囲まれたその空間で魔空まくうからの脱出の方法を話し合っていた。

「ジェノンさん、その方法は無理です。」
「なぜ？」
「俺とジェノンさん二人で魔空を切り開くことはできないできないですよ。」

ジェノンは再び悩み出す。

「無理かぁ。」
「ジェノンさん、とりあえずこの山を抜けてみましょう。いくら魔空まくうといっても山がいつまでも続くなんて話、聞いたことありませんから。」

ジェノンとリアムはまた歩き出した。
そしてプラッセとフィッシュも彼らと同じ世界にいた。

「魔空まくうってもとの世界とあんま変わんないんだな。少しがっかりしたよ。」
「俺も魔空まくうに来たのは初めてなんだ。もとの世界と外見はほぼ変わらないって聞いていたけどここまでそっくりとはな。」
「それならこの世界にも魔物はいるのか？」
「いや、いなかったはず。」
「そうか、面倒が入らなくてよかった。」

後ろから大きな影が付いてきていることにも気付かず彼らはのんびりと歩いて行った。