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王都エルメニスト編
第56話 旅の始まり
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►エルメニール王国の王宮◀︎
王宮では国王陛下ヘルメス・ヴィルツと十戒、時属性エスノ・トープスが話をしていた。
トープスが魔法でヴィルツの脳内にある画像を送る。
「こ、これは、」
「陛下、やはりこの方がヘルメス・ルースさんですね?」
「ああ。なんとエルメニスト学園に入っていたとは。なぜお前はこいつが分かった?」
トープスは一呼吸置いて言う。
「実はですね、この方とはエルメニスト学園にグランツェが侵入してきた時に出会ったのですよ。」
「ほう。そのときに出会ったか。元気にしとったか?」
「そのことなのですが、」
ヴィルツが不思議そうに見つめる。
「ん?どうかしたか?」
「大変申しにくいのですが、彼はもうお亡くなりになられたと思われます。」
ヴィルツが身を乗り出して聞く。
「な、なんだと!なぜ死んだ?」
「グランツェに殺されたと思われます。画像をお送りいたしましょうか?」
「いや、やめてくれ。」
トープスは頷いて言う。
「名前はレスタース=ルースと偽名を使っていたそうです。」
「そうか、しかしそんな話はゼネセストからは聞いておらんぞ。」
「ほんとですか、ではまたゼネセストに伺っておきます。」
ヴィルツは深く頷いた。
►エルメニール近海のチュリマー島の海底にある牢獄◀︎
そこにエルメニール王国騎士団長サイディック・リアムが入ってくる。
カカンカカンと独特な歩き方をするせいで捕まっている男たちは誰が来たのかすぐに分かって怯えだす。
「さぁさぁ俺の死刑囚たちよ!今日はこの中から一人、いや三人奴隷にしてやるよ!」
リアムがそう言ったとたん死刑囚たちが次々に叫び出す。
「俺を奴隷にしてくれ!」
「まだ死にたくない!」
「助けてくれリアム様!」
リアムが高く笑う。
「あははは!一番うるさいお前、おとなしくして俺の兵士にしてやろうか?」
「お、おとなしくするっ!?」
リアムが手を差し伸べる。
「さぁ来るんだ。」
その死刑囚がリアムの手を握ったとたん死刑囚の体が紫色に染められ苦しみだした。
他の死刑囚たちはその様子を見て固まっている。
中には失禁してしまっている者もいた。
「さて、こいつは俺の兵士にしようか。それとも黒いスーツでも着せて国に売ろうか。でももう3人目になるからバレちまうかもな。」
そういってリアムはその死刑囚を引きずって出て行った。
►エルメニスト学園◀︎
決闘祭からさらに2年半が経った。
プラッセは怪手を概ね極め、
フィッシュは炎属性の魔法や複合魔法、アレスを使った連携なども特訓した。
そして卒業の時がきた。
「プラッセ、ようやく卒業だ。これからの冒険が楽しみだよ!」
「冒険ってそんな大袈裟な。」
この2年半で起こった最も大きな事件、それはゼネセストが学校長をやめさせられたこと。
実力があるので十戒は脱退を免れたが国王の隠し子が殺されたことを隠蔽したことがバレて学校長をやめさせられたのだ。
そして今の学校長はグルム・ドルウェイという25歳の男だった。
初めこそクールだと言われていたがすぐに冷酷で感情のない男と言われ始めた。
嫌いな生徒がいると何を言われても完全無視。しつこすぎると体罰。
そんなだから批判が殺到しエルメニスト学園の生徒数はみるみる減っていった。
しかし実績が出てきた。
それはゼネセストの代に比べて桁違いの実績だった。
今までも名門校であったが今では世界一、二を争う超名門校となった。
もう一つ大きな事件があった。
ゼネセストの研究による物だ。
プラッセのデータから魔素とは逆に闘素というものが存在することを発見した。
その闘素がプラッセには人の何千倍も存在したのだ。
そして今プラッセはフィッシュとともに旅に出ようとしていた。
王宮では国王陛下ヘルメス・ヴィルツと十戒、時属性エスノ・トープスが話をしていた。
トープスが魔法でヴィルツの脳内にある画像を送る。
「こ、これは、」
「陛下、やはりこの方がヘルメス・ルースさんですね?」
「ああ。なんとエルメニスト学園に入っていたとは。なぜお前はこいつが分かった?」
トープスは一呼吸置いて言う。
「実はですね、この方とはエルメニスト学園にグランツェが侵入してきた時に出会ったのですよ。」
「ほう。そのときに出会ったか。元気にしとったか?」
「そのことなのですが、」
ヴィルツが不思議そうに見つめる。
「ん?どうかしたか?」
「大変申しにくいのですが、彼はもうお亡くなりになられたと思われます。」
ヴィルツが身を乗り出して聞く。
「な、なんだと!なぜ死んだ?」
「グランツェに殺されたと思われます。画像をお送りいたしましょうか?」
「いや、やめてくれ。」
トープスは頷いて言う。
「名前はレスタース=ルースと偽名を使っていたそうです。」
「そうか、しかしそんな話はゼネセストからは聞いておらんぞ。」
「ほんとですか、ではまたゼネセストに伺っておきます。」
ヴィルツは深く頷いた。
►エルメニール近海のチュリマー島の海底にある牢獄◀︎
そこにエルメニール王国騎士団長サイディック・リアムが入ってくる。
カカンカカンと独特な歩き方をするせいで捕まっている男たちは誰が来たのかすぐに分かって怯えだす。
「さぁさぁ俺の死刑囚たちよ!今日はこの中から一人、いや三人奴隷にしてやるよ!」
リアムがそう言ったとたん死刑囚たちが次々に叫び出す。
「俺を奴隷にしてくれ!」
「まだ死にたくない!」
「助けてくれリアム様!」
リアムが高く笑う。
「あははは!一番うるさいお前、おとなしくして俺の兵士にしてやろうか?」
「お、おとなしくするっ!?」
リアムが手を差し伸べる。
「さぁ来るんだ。」
その死刑囚がリアムの手を握ったとたん死刑囚の体が紫色に染められ苦しみだした。
他の死刑囚たちはその様子を見て固まっている。
中には失禁してしまっている者もいた。
「さて、こいつは俺の兵士にしようか。それとも黒いスーツでも着せて国に売ろうか。でももう3人目になるからバレちまうかもな。」
そういってリアムはその死刑囚を引きずって出て行った。
►エルメニスト学園◀︎
決闘祭からさらに2年半が経った。
プラッセは怪手を概ね極め、
フィッシュは炎属性の魔法や複合魔法、アレスを使った連携なども特訓した。
そして卒業の時がきた。
「プラッセ、ようやく卒業だ。これからの冒険が楽しみだよ!」
「冒険ってそんな大袈裟な。」
この2年半で起こった最も大きな事件、それはゼネセストが学校長をやめさせられたこと。
実力があるので十戒は脱退を免れたが国王の隠し子が殺されたことを隠蔽したことがバレて学校長をやめさせられたのだ。
そして今の学校長はグルム・ドルウェイという25歳の男だった。
初めこそクールだと言われていたがすぐに冷酷で感情のない男と言われ始めた。
嫌いな生徒がいると何を言われても完全無視。しつこすぎると体罰。
そんなだから批判が殺到しエルメニスト学園の生徒数はみるみる減っていった。
しかし実績が出てきた。
それはゼネセストの代に比べて桁違いの実績だった。
今までも名門校であったが今では世界一、二を争う超名門校となった。
もう一つ大きな事件があった。
ゼネセストの研究による物だ。
プラッセのデータから魔素とは逆に闘素というものが存在することを発見した。
その闘素がプラッセには人の何千倍も存在したのだ。
そして今プラッセはフィッシュとともに旅に出ようとしていた。
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