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王都エルメニスト編
第28話 報告組のウェルス一行
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一方ウェルス達は国王陛下ヘルメス・ヴィルツにエルメニスト学園であったことの報告に行っていた。
「陛下、クリストファー=グランツェには逃げられてしまいました。どうも違法魔法の闇道を使われてしまいまして...」
「そうか。取り逃がしたか。闇道で帰った場所は分からないのか?」
ウェルスは少し考えてから言う。
「ウェルムならできるかもしれませんがおそらく難しいと思います。」
「わかった。ところでだな、お前達のことだから信用して話すが口外はしないでくれよ。私にはヘルメス・レースともう一人ヘルメス・ルースという隠し子がいるんじゃよ。」
ウェルス達は驚きの表情を浮かべて聞く。
「それは本当ですか?」
「ああ。実は妻とは別のいわゆる愛人との子供でな、その隠し子には普通に生活すれば生きられるほどの金を渡して出ていってもらったのだよ。だが身体の弱いレースの病状が最近急激に悪化して王位を継げないかもしれない。そこで君たちにルースを探してもらおうと思ってな。」
ヴィルツの話を聞いた一行は頷く。
「話は分かりましたが今どの辺りに住んでいるかも分からないのですか?」
「ああ。全くだ。」
「では年齢は。」
「そうだなあ。今は19ぐらいだな。魔術が苦手なくせに熱心に魔術の勉強をしておったよ。」
ヴィルツは微笑みながら昔を思い出すように語る。
「ではなんとか探して見せます。」
「ああ。もちろんなかなかの報酬を用意するつもりだ。」
「ありがとうございます。では我々はこの辺で。」
ウェルス達が王城を出ると先ほどまでグランツェの影響で暗くなっていた辺りがすっかり元通りになり、綺麗な雪が降っていた。
「さてと、隠し子の件の前にとりあえずエルメニスト学園に戻ろうか。」
「ああ。ウェルム達もそろそろ建て直せたんじゃないかな。」
エルメニスト学園までは急ぐこともないので一行は歩き出した。
「そういえばあのプラッセってやつ、オリバーは知ってるんだろ?」
「まあな。一度大釜山で戦っただけだが。」
「強かったのか?」
オリバーは首を傾げる。
「強くないわけではなかったんだけどなあ。まだ戦いに馴れてない感じだったな。身体能力は化け物クラスだがやはり魔法が使えないとなると結局厳しいんだよな。」
「魔法が使えないってそれは、」
「そのまんまさ。グリム=クランキスの言ってたやつ。そういやグリム=クランキスの息子もあの学校に居るんだってな。」
「ああ。オリバー気付かなかったのか。グリム=クランキスの息子のグリム・フィッシュはプラッセの隣にいたやつだよ。」
オリバーが驚く顔をした後笑う。
「やっぱそうか。魔力的にはゼネセストともう一人すごいのが居ると思ってたんだよな。あれがグリム・フィッシュか。」
「陛下、クリストファー=グランツェには逃げられてしまいました。どうも違法魔法の闇道を使われてしまいまして...」
「そうか。取り逃がしたか。闇道で帰った場所は分からないのか?」
ウェルスは少し考えてから言う。
「ウェルムならできるかもしれませんがおそらく難しいと思います。」
「わかった。ところでだな、お前達のことだから信用して話すが口外はしないでくれよ。私にはヘルメス・レースともう一人ヘルメス・ルースという隠し子がいるんじゃよ。」
ウェルス達は驚きの表情を浮かべて聞く。
「それは本当ですか?」
「ああ。実は妻とは別のいわゆる愛人との子供でな、その隠し子には普通に生活すれば生きられるほどの金を渡して出ていってもらったのだよ。だが身体の弱いレースの病状が最近急激に悪化して王位を継げないかもしれない。そこで君たちにルースを探してもらおうと思ってな。」
ヴィルツの話を聞いた一行は頷く。
「話は分かりましたが今どの辺りに住んでいるかも分からないのですか?」
「ああ。全くだ。」
「では年齢は。」
「そうだなあ。今は19ぐらいだな。魔術が苦手なくせに熱心に魔術の勉強をしておったよ。」
ヴィルツは微笑みながら昔を思い出すように語る。
「ではなんとか探して見せます。」
「ああ。もちろんなかなかの報酬を用意するつもりだ。」
「ありがとうございます。では我々はこの辺で。」
ウェルス達が王城を出ると先ほどまでグランツェの影響で暗くなっていた辺りがすっかり元通りになり、綺麗な雪が降っていた。
「さてと、隠し子の件の前にとりあえずエルメニスト学園に戻ろうか。」
「ああ。ウェルム達もそろそろ建て直せたんじゃないかな。」
エルメニスト学園までは急ぐこともないので一行は歩き出した。
「そういえばあのプラッセってやつ、オリバーは知ってるんだろ?」
「まあな。一度大釜山で戦っただけだが。」
「強かったのか?」
オリバーは首を傾げる。
「強くないわけではなかったんだけどなあ。まだ戦いに馴れてない感じだったな。身体能力は化け物クラスだがやはり魔法が使えないとなると結局厳しいんだよな。」
「魔法が使えないってそれは、」
「そのまんまさ。グリム=クランキスの言ってたやつ。そういやグリム=クランキスの息子もあの学校に居るんだってな。」
「ああ。オリバー気付かなかったのか。グリム=クランキスの息子のグリム・フィッシュはプラッセの隣にいたやつだよ。」
オリバーが驚く顔をした後笑う。
「やっぱそうか。魔力的にはゼネセストともう一人すごいのが居ると思ってたんだよな。あれがグリム・フィッシュか。」
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