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解読ともう一つの甘い問題
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セルギウスは昼間は王宮の女たちと仕事をした。化粧や髪を整えるのを手伝ったり、服を繕ったりした。化粧の粉を調合することもあった。
セルギウスは立っていても座っていても自身の陰嚢を感じることはなかった。それは中身を失って縮み上がり、ほとんど平坦になって股に張り付いていたから、当然だった。残された陰茎も小指の先ほどしかないため、両脚を閉じても組んでも、その存在を感じることはできなかった。
そんな状態で女たちと同じ格好をし、同じ仕事をしていると、セルギウスは不安を覚えた。自分が男であることを忘れてしまうのではないか、と。
夜は保管庫から入手した書物の解読に取り組んだ。古い言葉で書かれており案の定苦労した。セルギウスは何日もかけて解読し、結局分からないままの部分もあったが、概ね要点は理解できた。
リベリオニスの魔術は王の血に受け継がれる。
王の血を引くものがリベリオニスの言葉を口にすることで始まる。
立場を巡って争うものが同じ方法で対決する。
勝負を決したとき、勝者は敗者から素質を得る。
師から聞いていた内容とは少し異なっていた。あまり厳密ではないというか、緩いというべきか。セルギウスの解読能力の問題もあるかもしれない。書物の後半は魔術の理論について詳細に記されており、本職の魔術師ではないセルギウスには理解できなかった。興味深いことに、この書物は思っていたよりはるかに古い物だった。どうやら初代の王に仕えた賢者本人か、その弟子が書いた物のようだ。原典と言えるかもしれない。貴重な書物だが、残念ながらあまり役に立ちそうになかった。また書物庫へ行って他の書も探すべきだろうか。
書物の解読には苦労したが、もう一つ困ったことがあった。それはたぶん「欲望」だった。昼間は気にならないが、夜一人になると欲望が湧きあがってくるのである。そのような欲望は枯れ果てたと思っていた。現にこの体になってから、自発的な欲望を感じたことはなかった。しかし、書物を手に入れてからそれを感じるようになった。何が引き金になったのか、一つ思い当たることがあったが、あまり考えたくはなかった。
数日は我慢して寝ることができた。しかし欲望が溜まると全身がむずむずして、どうにも身の置き所がなくなってしまった。徐々に寝不足になり、昼間の仕事で失敗したある日、セルギウスは発散する覚悟を決めた。
夜に自室で一人になったセルギウスは、寝台の上で裸になった。小さな松明の火に照らされた体はやせており、白く滑らかだった。この体で自分でしたことはない。どうしたものかと考え、セルギウスは両脚を広げ、己の股間を覗き込んだ。小指の先ほどに小さくなった陰茎は、ぷっくり充血して皮から少しのぞいていた。雄々しさや荒々しさは全くない。試しに舐めた指で優しくなぞると、びりびりと甘い刺激が広がった。セルギウスは徐々に大胆になり、擦ったり摘まんだりした。快感は大きくなったが、かつてグリエルムスたちの面前で晒した時のような発散には至らなかった。
セルギウスは声が漏れないように必死の表情でこらえながらも、刺激を続けた。熱い吐息が漏れた。セルギウスは片手を無意識に胸へ運んだ。指先で乳首を引っ搔いたとき、そこからも甘い刺激がじんわり広がった。セルギウスは己がどんな姿をさらしているか分かっていたが、それを無視して刺激を貪った。
広げた両脚の間を、握るでもしごくでもなく指で弄び、もう片方の手で自分の胸をいじる扇情的な姿は、女の自慰行為とほとんど同じだった。セルギウスは十分な刺激で満たされ、やがて白い開放に至った。可愛らしい陰茎はぴくぴくしたが、やはり何も出すことはなかった。
発散の後、欲望は落ち着いたが、時間が経つとまた少しずつ溜まっていった。この体で一度自慰行為をしてから、その行為の心理的なハードルが下がってしまった。セルギウスは我慢できなくなると、自己嫌悪しながらも自慰行為にふけるようになった。
しばらくすると、刺激を繰り返した影響なのか、セルギウスの両の乳首は突き出すように少し大きくなってしまった。股間の方は何も変わらなかったのに。
動くと乳首が服と擦れて痛むため困ったセルギウスは、王宮で働く女の一人にこっそり相談した。彼女は女性が胸に巻く柔らかい布の下着をすぐに何着か調達してくれた。その下着のおかげで痛みはなくなったが、また一つ何かを失ったようで悲しかった。
セルギウスは立っていても座っていても自身の陰嚢を感じることはなかった。それは中身を失って縮み上がり、ほとんど平坦になって股に張り付いていたから、当然だった。残された陰茎も小指の先ほどしかないため、両脚を閉じても組んでも、その存在を感じることはできなかった。
そんな状態で女たちと同じ格好をし、同じ仕事をしていると、セルギウスは不安を覚えた。自分が男であることを忘れてしまうのではないか、と。
夜は保管庫から入手した書物の解読に取り組んだ。古い言葉で書かれており案の定苦労した。セルギウスは何日もかけて解読し、結局分からないままの部分もあったが、概ね要点は理解できた。
リベリオニスの魔術は王の血に受け継がれる。
王の血を引くものがリベリオニスの言葉を口にすることで始まる。
立場を巡って争うものが同じ方法で対決する。
勝負を決したとき、勝者は敗者から素質を得る。
師から聞いていた内容とは少し異なっていた。あまり厳密ではないというか、緩いというべきか。セルギウスの解読能力の問題もあるかもしれない。書物の後半は魔術の理論について詳細に記されており、本職の魔術師ではないセルギウスには理解できなかった。興味深いことに、この書物は思っていたよりはるかに古い物だった。どうやら初代の王に仕えた賢者本人か、その弟子が書いた物のようだ。原典と言えるかもしれない。貴重な書物だが、残念ながらあまり役に立ちそうになかった。また書物庫へ行って他の書も探すべきだろうか。
書物の解読には苦労したが、もう一つ困ったことがあった。それはたぶん「欲望」だった。昼間は気にならないが、夜一人になると欲望が湧きあがってくるのである。そのような欲望は枯れ果てたと思っていた。現にこの体になってから、自発的な欲望を感じたことはなかった。しかし、書物を手に入れてからそれを感じるようになった。何が引き金になったのか、一つ思い当たることがあったが、あまり考えたくはなかった。
数日は我慢して寝ることができた。しかし欲望が溜まると全身がむずむずして、どうにも身の置き所がなくなってしまった。徐々に寝不足になり、昼間の仕事で失敗したある日、セルギウスは発散する覚悟を決めた。
夜に自室で一人になったセルギウスは、寝台の上で裸になった。小さな松明の火に照らされた体はやせており、白く滑らかだった。この体で自分でしたことはない。どうしたものかと考え、セルギウスは両脚を広げ、己の股間を覗き込んだ。小指の先ほどに小さくなった陰茎は、ぷっくり充血して皮から少しのぞいていた。雄々しさや荒々しさは全くない。試しに舐めた指で優しくなぞると、びりびりと甘い刺激が広がった。セルギウスは徐々に大胆になり、擦ったり摘まんだりした。快感は大きくなったが、かつてグリエルムスたちの面前で晒した時のような発散には至らなかった。
セルギウスは声が漏れないように必死の表情でこらえながらも、刺激を続けた。熱い吐息が漏れた。セルギウスは片手を無意識に胸へ運んだ。指先で乳首を引っ搔いたとき、そこからも甘い刺激がじんわり広がった。セルギウスは己がどんな姿をさらしているか分かっていたが、それを無視して刺激を貪った。
広げた両脚の間を、握るでもしごくでもなく指で弄び、もう片方の手で自分の胸をいじる扇情的な姿は、女の自慰行為とほとんど同じだった。セルギウスは十分な刺激で満たされ、やがて白い開放に至った。可愛らしい陰茎はぴくぴくしたが、やはり何も出すことはなかった。
発散の後、欲望は落ち着いたが、時間が経つとまた少しずつ溜まっていった。この体で一度自慰行為をしてから、その行為の心理的なハードルが下がってしまった。セルギウスは我慢できなくなると、自己嫌悪しながらも自慰行為にふけるようになった。
しばらくすると、刺激を繰り返した影響なのか、セルギウスの両の乳首は突き出すように少し大きくなってしまった。股間の方は何も変わらなかったのに。
動くと乳首が服と擦れて痛むため困ったセルギウスは、王宮で働く女の一人にこっそり相談した。彼女は女性が胸に巻く柔らかい布の下着をすぐに何着か調達してくれた。その下着のおかげで痛みはなくなったが、また一つ何かを失ったようで悲しかった。
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