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第10章 紺碧の魔海
第4話 珊瑚の都アトランティア
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ビュルサ女王国から船に乗り、レイジと仲間達はセアードの内海へと出る。
船は帆を広げ、風を受けて進む。
本来なら、セアードの内海は風向きが安定しないので、風のみに頼ることはできない。
そのためセアードの内海の船は櫂で進む事が多い。
櫂を漕ぐ必要がある事から乗員の数は多く、頻繁に寄港して補給が必要になる。
もっとも、いつマーマンに襲われるかわからないので櫂船でなくても、いつでも港に逃げ込めるように沿岸を添うように航行するので同じことであった。
しかし、レイジ達の乗る船は沿岸から離れ、沖へと進んでいた。
理由は目的地が西セアードの中心にあるからだ。
現在船は海王の子トルキッソスの魔法の風で進んでいるので、漕ぐ必要はなく、順調に進んでいる。
本来大量に必要な漕ぎ手を乗せていないので船も軽い。
速く進むのも当然であった。
「わあ! 船の周りにイルカさんか沢山がいる!」
船縁から海を見ていたリノは嬉しそうな声を出す。
イルカは海王トライデンの聖獣であり、船を迎えに来ているように見えた。
特に白いイルカはトライデンの使いとされ、人間の船乗りから吉兆とされている。
そのイルカ達は船と同じ方向に並行して泳ぐ。
「おお、本当っす! おや、イルカさんと一緒に何かいるっすね!? 馬みたいっすけど?」
リノと一緒に船縁から海を見ていたナオが驚く声を出す。
チユキも同じように見ると、海の中を馬らしき影が見える。
それも一つではない。
かなりの数だ。
「あれはおそらく海馬ヒポカンパスよ。私も初めて見るわ」
チユキは海の中を走る馬を見て言う。
海馬ヒポカンパスは半馬半魚の生物だ。
前半分は馬で、後半分は魚の姿をしている。
ただ前足には水掻きが付いているので海の中を泳ぐことに適している。
そのヒポカンパスが海の中を泳いでいるようであった。
「へえ、海の中を走る馬がいるなんて、日本にいた時には考えられなかったな。しかも誰か乗っているみたいだよ」
チユキと一緒に船縁に来たシロネが見て言う。
も驚く。
複数のヒポカンパスにはそれぞれ誰かが乗っている。
誰だろうとチユキが思った時だった。
誰かを乗せたヒポカンパス達が浮上してくる。
「おお、なかなかの美男子っすね」
ナオの言うとおりヒポカンパスに乗っているのは若い男性だ。
しかも、かなりの美形である。
一見人間に見えるが、ヒポカンパスに乗り、潜水するための道具も付けずに長時間海に潜る事ができるので只者ではないだろう。
彼らは三叉槍を持ち、武装している。
その様子から敵意は感じなかった。
むしろこの船を守るように動いているようであった。
「あれはトリトンの精鋭部隊です。僕達の護衛に来てくれたんです」
側に来たトルキッソスが説明をする。
海上に姿を見せたトリトンの青年達は三叉槍を掲げ、チユキ達に挨拶をする。
「護衛か。襲ってくる奴らがいるって事だな」
チユキ達が騒いでいることに気付いたレイジが来て言う。
そのレイジの言葉を聞いたトルキッソスは暗い顔をする。
「はい、残念ですが、ムルミルの者はこのセアードのどこにでも現れます……。油断はできません」
トルキッソスは残念そうに言う。
セアードの内海は美しい海だ。
しかし、その美しい海の内部では激しい争いが続いている。
人間側の海王トライデン陣営と人間に敵対する海神ダラウゴン陣営。
ダラウゴンの都ムルミルは東セアードの中心にあり、トライデンと対立している。
「ムルミルって確か、海神の都だよな。なるほどね。俺達を遠くから見ているのもそいつらか」
レイジが遠くを見て言うとトルキッソスは驚く顔を見せる。
「気付いていましたか……。おそらくムルミルの斥候でしょう。僕達を監視しているようです」
「ああ、みんなも気付いていたよな」
レイジは笑うと仲間達に聞く。
「うん、すっごい、ギラギラした視線を感じるよ」
「そうっすね。このナオさんも視線を向けられるとは思わなかったすよ」
ナオは笑いながら言う。
リノと違いナオはその視線を受けることはほとんどないので、戸惑っているようであった。
その視線に敵意はない。
むしろ、別の感情の込めた視線だ。
特にリノはその視線を多くの男性から受けているので気付きやすいだろう。
チユキもその視線を感じ、身を震わせる。
「この視線の感じはクロキを思い出すよ。でもそれよりもちょっと酷いかな」
シロネは昔を思い出しているのか懐かしそうに言う。
前回の森で再会出来なかったのが、残念そうにしていたのをチユキは思い出す。
「まあ、一番視線が向いているのはあそこっすね。気付いていると思うっすが、動じていないっすよ」
ナオは甲板の中央を見ていう。
そこには大きな日傘の下で水着姿になったキョウカが座椅子に寝そべっている。
もちろん側にはカヤも一緒だ。
女性から見ても魅力的な肢体が惜しげもなく晒されている。
(そりゃあ、一番見られるわよね。あれだけ大きければ……)
チユキは自身の胸を触りそう思う。
ナオとリノよりはあるが、チユキは胸が小さい方である。
別に大きくなりたいとは思わないが、自身よりも年下のキョウカの方の発育が良いことには少し思うところがあった。
「どうする? 追い払うか?」
よほど嫌そうな顔をしていたのだろうか、レイジはチユキに聞く。
「待って下さい。光の勇者様が乗っていると気付いていないかもしれません。それにもうすぐアトランティアです。近づけば退散すると思います」
チユキがどうしようか迷っている時だったトルキッソスは横で止める。
トルキッソスとしてはレイジを味方に引き込んだ事を悟られたくないのだ。
そのため今戦うことを避けるように要請する。
「まあ、そう言う事みたいよ。まあ、私としても別に良いわ。放っておきましょう。それよりもアトランティアはまだなのかしら。海の中に入るのなら水着に着替えないといけないし」
チユキは着ている服を触って言う。
セアードの内海は温暖な地域だ。
沿岸諸国の市民達も薄着が多い。服の材質は羊毛か麻である。
チユキが着ているのも通気性が良い麻のワンピースだ。
そして、珊瑚の都アトランティアは海の中にあるので、全員水着を用意して来ている。
目的地に着いたのなら、着替えておきたかった。
「あっ、それならもうすぐです。黒髪の賢者チユキ様」
トルキッソスは前を見て言う。
やがて遠くに島が見えてくる。
船はその島へと近くのであった。
◆
珊瑚の都アトランティアは西セアードの中心、3つの島の中央にある浅瀬にある。
深い場所にないので太陽の光が届き、珊瑚礁を照らす。
色とりどりの珊瑚には綺麗な色の魚達が泳ぐ。
しかし、それ以上に目を引くのはマーメイド達だ。
上半身が人間で下半身が魚になっている彼女達は優雅でとても美しい。
光の勇者レイジ達を興味深そうに見ている。
「ようこそ、僕らの都へ! ここが珊瑚の都アトランティアです!」
トルキッソスは誇らしげに都を紹介する。
アトランティアは珊瑚礁の庭園の中にある都であった。
海の中に建造物があり、その間をマーメイド達が泳いでいる。
泳いでいるのはマーメイド達だけではない。
海エルフのネレイドにトリトンの男達もいる。
その者達の多くがアトランティアに来た光の勇者達に注目していた。
「すごく綺麗な場所だね」
水着に着替えたリノがアトランティアを見渡して言う。
「そうね、本当に綺麗な場所。海の中にあるなんて不思議な光景だわ。それにイルカに乗るなんて初めての体験ね」
チユキは運んでくれるイルカを撫でて言う。
船から降りたチユキ達は水着に着替えた後、イルカに乗ってアトランティアへと潜ったのだ。
イルカ達は珊瑚の庭園をゆったりと泳ぐ。
上にある海面はキラキラと青い世界を輝かせ、チユキはずっと見ていたい気持ちになる。
「全く美男美女ばかりっすよ。エルフの都を思い出すっすね」
「本当にそうだね。海エルフさんもいるみたいだし。ある意味海のエルフの都と言って良いんじゃないかな」
シロネの言う通り、東のアルセイディアと西のアトランティアは何となく雰囲気が似ている。
妖精騎士とトリトンもどこか似ていた。
陸エルフとマーメイドにネレイド。
力をもらう相手は違えどその成り立ちは同じである。
「エルフの都ね。わたくしも行ってみたいですわ」
「そうですね。お嬢様。エルフの都も美しいらしいですから。
キョウカが残念そうに言う。
エルフの都に行ったのはチユキとシロネとリノとナオだけだ。
そのためキョウカとカヤは見ていなかったりする。
誰であれあの美しい都は見てみたいと思うだろう。
「俺も見ていないな。いつか見に行こうじゃないか。さて、着いたようだぜ」
レイジがそう言った時だった。
イルカ達はアトランティア中央にある大きな神殿の前で止まる。
「ここからは徒歩で行きます。皆様ここで降りて下さい」
トルキッソスに促され全員イルカから降りる。
若干リノは名残惜しそうにするが、仕方がなかった。
神殿に入り進む。
「父上。光の勇者レイジ様とそのお仲間を連れて参りました」
トルキッソスはある部屋に入ると頭を下げる。
部屋は広く多くの者達がいる。
トリトンの戦士にマーメイドとネレイドの侍女。
おそらくアトランティアで高位の者達だろう。
チユキはその部屋の中央の高い所にいる者を見る。
髭を生やした壮年の男性。
男性は王笏の代わりに三叉槍を持っている。
その横には珊瑚と真珠の装飾具で飾ったマーメイドが寄り添うように立っている。
「ご苦労。トルキッソス。そして、ようこそアトランティアへ。私がトライデンだ、光の勇者レイジ殿。歓迎しよう」
高い所にいる男性トライデンはそう言うとレイジ達を見て笑うのだった。
船は帆を広げ、風を受けて進む。
本来なら、セアードの内海は風向きが安定しないので、風のみに頼ることはできない。
そのためセアードの内海の船は櫂で進む事が多い。
櫂を漕ぐ必要がある事から乗員の数は多く、頻繁に寄港して補給が必要になる。
もっとも、いつマーマンに襲われるかわからないので櫂船でなくても、いつでも港に逃げ込めるように沿岸を添うように航行するので同じことであった。
しかし、レイジ達の乗る船は沿岸から離れ、沖へと進んでいた。
理由は目的地が西セアードの中心にあるからだ。
現在船は海王の子トルキッソスの魔法の風で進んでいるので、漕ぐ必要はなく、順調に進んでいる。
本来大量に必要な漕ぎ手を乗せていないので船も軽い。
速く進むのも当然であった。
「わあ! 船の周りにイルカさんか沢山がいる!」
船縁から海を見ていたリノは嬉しそうな声を出す。
イルカは海王トライデンの聖獣であり、船を迎えに来ているように見えた。
特に白いイルカはトライデンの使いとされ、人間の船乗りから吉兆とされている。
そのイルカ達は船と同じ方向に並行して泳ぐ。
「おお、本当っす! おや、イルカさんと一緒に何かいるっすね!? 馬みたいっすけど?」
リノと一緒に船縁から海を見ていたナオが驚く声を出す。
チユキも同じように見ると、海の中を馬らしき影が見える。
それも一つではない。
かなりの数だ。
「あれはおそらく海馬ヒポカンパスよ。私も初めて見るわ」
チユキは海の中を走る馬を見て言う。
海馬ヒポカンパスは半馬半魚の生物だ。
前半分は馬で、後半分は魚の姿をしている。
ただ前足には水掻きが付いているので海の中を泳ぐことに適している。
そのヒポカンパスが海の中を泳いでいるようであった。
「へえ、海の中を走る馬がいるなんて、日本にいた時には考えられなかったな。しかも誰か乗っているみたいだよ」
チユキと一緒に船縁に来たシロネが見て言う。
も驚く。
複数のヒポカンパスにはそれぞれ誰かが乗っている。
誰だろうとチユキが思った時だった。
誰かを乗せたヒポカンパス達が浮上してくる。
「おお、なかなかの美男子っすね」
ナオの言うとおりヒポカンパスに乗っているのは若い男性だ。
しかも、かなりの美形である。
一見人間に見えるが、ヒポカンパスに乗り、潜水するための道具も付けずに長時間海に潜る事ができるので只者ではないだろう。
彼らは三叉槍を持ち、武装している。
その様子から敵意は感じなかった。
むしろこの船を守るように動いているようであった。
「あれはトリトンの精鋭部隊です。僕達の護衛に来てくれたんです」
側に来たトルキッソスが説明をする。
海上に姿を見せたトリトンの青年達は三叉槍を掲げ、チユキ達に挨拶をする。
「護衛か。襲ってくる奴らがいるって事だな」
チユキ達が騒いでいることに気付いたレイジが来て言う。
そのレイジの言葉を聞いたトルキッソスは暗い顔をする。
「はい、残念ですが、ムルミルの者はこのセアードのどこにでも現れます……。油断はできません」
トルキッソスは残念そうに言う。
セアードの内海は美しい海だ。
しかし、その美しい海の内部では激しい争いが続いている。
人間側の海王トライデン陣営と人間に敵対する海神ダラウゴン陣営。
ダラウゴンの都ムルミルは東セアードの中心にあり、トライデンと対立している。
「ムルミルって確か、海神の都だよな。なるほどね。俺達を遠くから見ているのもそいつらか」
レイジが遠くを見て言うとトルキッソスは驚く顔を見せる。
「気付いていましたか……。おそらくムルミルの斥候でしょう。僕達を監視しているようです」
「ああ、みんなも気付いていたよな」
レイジは笑うと仲間達に聞く。
「うん、すっごい、ギラギラした視線を感じるよ」
「そうっすね。このナオさんも視線を向けられるとは思わなかったすよ」
ナオは笑いながら言う。
リノと違いナオはその視線を受けることはほとんどないので、戸惑っているようであった。
その視線に敵意はない。
むしろ、別の感情の込めた視線だ。
特にリノはその視線を多くの男性から受けているので気付きやすいだろう。
チユキもその視線を感じ、身を震わせる。
「この視線の感じはクロキを思い出すよ。でもそれよりもちょっと酷いかな」
シロネは昔を思い出しているのか懐かしそうに言う。
前回の森で再会出来なかったのが、残念そうにしていたのをチユキは思い出す。
「まあ、一番視線が向いているのはあそこっすね。気付いていると思うっすが、動じていないっすよ」
ナオは甲板の中央を見ていう。
そこには大きな日傘の下で水着姿になったキョウカが座椅子に寝そべっている。
もちろん側にはカヤも一緒だ。
女性から見ても魅力的な肢体が惜しげもなく晒されている。
(そりゃあ、一番見られるわよね。あれだけ大きければ……)
チユキは自身の胸を触りそう思う。
ナオとリノよりはあるが、チユキは胸が小さい方である。
別に大きくなりたいとは思わないが、自身よりも年下のキョウカの方の発育が良いことには少し思うところがあった。
「どうする? 追い払うか?」
よほど嫌そうな顔をしていたのだろうか、レイジはチユキに聞く。
「待って下さい。光の勇者様が乗っていると気付いていないかもしれません。それにもうすぐアトランティアです。近づけば退散すると思います」
チユキがどうしようか迷っている時だったトルキッソスは横で止める。
トルキッソスとしてはレイジを味方に引き込んだ事を悟られたくないのだ。
そのため今戦うことを避けるように要請する。
「まあ、そう言う事みたいよ。まあ、私としても別に良いわ。放っておきましょう。それよりもアトランティアはまだなのかしら。海の中に入るのなら水着に着替えないといけないし」
チユキは着ている服を触って言う。
セアードの内海は温暖な地域だ。
沿岸諸国の市民達も薄着が多い。服の材質は羊毛か麻である。
チユキが着ているのも通気性が良い麻のワンピースだ。
そして、珊瑚の都アトランティアは海の中にあるので、全員水着を用意して来ている。
目的地に着いたのなら、着替えておきたかった。
「あっ、それならもうすぐです。黒髪の賢者チユキ様」
トルキッソスは前を見て言う。
やがて遠くに島が見えてくる。
船はその島へと近くのであった。
◆
珊瑚の都アトランティアは西セアードの中心、3つの島の中央にある浅瀬にある。
深い場所にないので太陽の光が届き、珊瑚礁を照らす。
色とりどりの珊瑚には綺麗な色の魚達が泳ぐ。
しかし、それ以上に目を引くのはマーメイド達だ。
上半身が人間で下半身が魚になっている彼女達は優雅でとても美しい。
光の勇者レイジ達を興味深そうに見ている。
「ようこそ、僕らの都へ! ここが珊瑚の都アトランティアです!」
トルキッソスは誇らしげに都を紹介する。
アトランティアは珊瑚礁の庭園の中にある都であった。
海の中に建造物があり、その間をマーメイド達が泳いでいる。
泳いでいるのはマーメイド達だけではない。
海エルフのネレイドにトリトンの男達もいる。
その者達の多くがアトランティアに来た光の勇者達に注目していた。
「すごく綺麗な場所だね」
水着に着替えたリノがアトランティアを見渡して言う。
「そうね、本当に綺麗な場所。海の中にあるなんて不思議な光景だわ。それにイルカに乗るなんて初めての体験ね」
チユキは運んでくれるイルカを撫でて言う。
船から降りたチユキ達は水着に着替えた後、イルカに乗ってアトランティアへと潜ったのだ。
イルカ達は珊瑚の庭園をゆったりと泳ぐ。
上にある海面はキラキラと青い世界を輝かせ、チユキはずっと見ていたい気持ちになる。
「全く美男美女ばかりっすよ。エルフの都を思い出すっすね」
「本当にそうだね。海エルフさんもいるみたいだし。ある意味海のエルフの都と言って良いんじゃないかな」
シロネの言う通り、東のアルセイディアと西のアトランティアは何となく雰囲気が似ている。
妖精騎士とトリトンもどこか似ていた。
陸エルフとマーメイドにネレイド。
力をもらう相手は違えどその成り立ちは同じである。
「エルフの都ね。わたくしも行ってみたいですわ」
「そうですね。お嬢様。エルフの都も美しいらしいですから。
キョウカが残念そうに言う。
エルフの都に行ったのはチユキとシロネとリノとナオだけだ。
そのためキョウカとカヤは見ていなかったりする。
誰であれあの美しい都は見てみたいと思うだろう。
「俺も見ていないな。いつか見に行こうじゃないか。さて、着いたようだぜ」
レイジがそう言った時だった。
イルカ達はアトランティア中央にある大きな神殿の前で止まる。
「ここからは徒歩で行きます。皆様ここで降りて下さい」
トルキッソスに促され全員イルカから降りる。
若干リノは名残惜しそうにするが、仕方がなかった。
神殿に入り進む。
「父上。光の勇者レイジ様とそのお仲間を連れて参りました」
トルキッソスはある部屋に入ると頭を下げる。
部屋は広く多くの者達がいる。
トリトンの戦士にマーメイドとネレイドの侍女。
おそらくアトランティアで高位の者達だろう。
チユキはその部屋の中央の高い所にいる者を見る。
髭を生やした壮年の男性。
男性は王笏の代わりに三叉槍を持っている。
その横には珊瑚と真珠の装飾具で飾ったマーメイドが寄り添うように立っている。
「ご苦労。トルキッソス。そして、ようこそアトランティアへ。私がトライデンだ、光の勇者レイジ殿。歓迎しよう」
高い所にいる男性トライデンはそう言うとレイジ達を見て笑うのだった。
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