286 / 431
第9章 妖精の森
第26話 森から帰って
しおりを挟む
魔王モデスは魔王宮の謁見の間にて報告を受ける。
「陛下。どうやら閣下があの凶獣の復活を阻止したようでヤンス」
宰相ルーガスの肩に座る火ネズミのナットが報告する。
あと少しでフェリオンは復活する所だった。
そのフェリオンの復活はクロキによって阻止されたのである。
「さすがはクロキ殿と言った所だな。そう思わないか。モーナにポレンよ」
モデスは笑うと隣にいるモーナとポレンに聞く。
「まさか、あの凶獣と渡り合うなんて……。ええと流石と言うべきでしょうか」
「さすが、クロキ先生だわ。うんうん」
モーナは険しい表情で言う。
それに対してポレンは嬉しそうであった。
「うんうんって、殿下。何かわかっているのさ?」
「えっと……、とにかく先生がすごい事をしたんだよねぷーちゃん」
「まあ……、殿下らしいちゃ、らしいのさ」
ポレンはお付きのプチナと楽しそうに話す。
「さすがは陛下がお認めになった者ですな。あの者がいれば陛下は安泰。蛇達が何かを企んでも大丈夫でしょう」
ルーガスが言うとモデスは頷く。
クロキがいればこのナルゴルは安泰であり、何も怖れる事はない。
モデスの目の前にランフェルドをはじめとした部下達がいる。
横には最愛の妻のモーナと最愛の娘のポレンがいる。
近くには師である宰相ルーガスに育ての母である大魔女ヘルカート。
全てモデスにとって家族ともいえる者達だ。
モデスはクロキの事を思い浮かべる。
新しい家族であり、頼れる友。
クロキがいれば、これからもナルゴルは安泰だろう。
「ルーガスの言う通りだ。さすがは最強の暗黒騎士。このモデスを救ってくれる者よ」
モデスは頷くと再び笑いがこみ上げてくるのだった。
◆
西大陸の南にある南海諸島の中心に虹の都ニルカナイはある。
この都には蛇の眷属しか入る事はできない。
そのため盟友である神々はアポフィスの地の離宮で会う事になっている。
その虹の都の最奥でダハークの母であるディアドナは不機嫌そうな顔をする。
「失敗したようね。ボティス」
ディアドナがそう言うとボティスは頭を下げる。
凶獣フェリオンの復活させる計画は失敗した。
再び封印が弱まる日まで数年が必要だろう。
「申し訳ございません。まさか、噂の暗黒騎士がいたとは思いませんでした」
ボティスは悔しそうに言う。
確かに後少しであった。
しかし、アルフォスを倒したという暗黒騎士の邪魔によって失敗した。
死神ザルキシスの時もそうだが、どこにいるのかわからない奴だとダハークは思う。
「母上。安心しな。凶獣なぞいなくても、暗黒騎士は俺が倒す」
ダハークはそう言ってピサールの毒槍を構える。
「ふふ、頼もしいわね、ダハーク。確かに暗黒騎士は邪魔ね。先に何とかした方が良いかもしれない」
ディアドナは笑うと手に持つ混沌の霊杯を触る。
混沌の霊杯はこの世界が生まれる元となった混沌の海を呼び出す事が出来る。
全てを無にして、全てを生み出す神器。
それが混沌の霊杯である。
偉大なる大母ナルゴルは混沌の霊杯を使い世界を再生させようとした。
ディアドナはその役目を代わって行うつもりなのだ。
「いざとなればこの私自ら倒してくれようぞ、暗黒騎士」
そう言ってディアドナは遠くを見るのだった。
◆
エリオスの天宮は雲の上にある都である。
複数の宮殿が並び、それぞれの宮殿で神々が暮らしている。
その宮殿の中でも最も大きい神王の宮殿である天宮へとヘイボスは来ている。
天宮の奥にある神王の書斎でヘイボスはオーディスと向かい合う。
他には誰もおらず、少数で話し合いをする時はここを使う事になっている。
神王の冠を被り、髭を生やしたオーディスは威厳がある男神であり、エリオスの誰もが認める神王だ。
しかし、好き勝手気ままに動くエリオスの神々をまとめるのは大変であり、オーディスの心労は絶えない。
彼が滅多に地上に干渉しないのは天上の事だけで、大変だからだ。
「そうかヘイボス。フェリオンの復活は暗黒騎士が止めてくれたのだな」
「そういう事だ、オーディスよ。感謝せねばなるまい」
「そうだな」
オーディスは頷く。
エリオスの神々とモデスは対立していると思われているが、それは間違いだ。
オーディスや一部の神々は対立する気はない。
しかし、少数派である。
オーディスはエリオスの盟主だが、あくまでまとめ役である。
出来る限り、争いが激化しないようにする事しかできないのである。
それが、ヘイボスには何とももどかしかった。
「それにしても蛇の女王はこれでしばらくは大人しくしてくれるかな?」
オーディスは険しい顔をして西を見る。
蛇の女王ディアドナはモデスと違い明らかな敵である。
ザルキシスが力を取り戻した今、油断ならない相手であった。
「それはわからぬ。蛇は執念深い。諦める事はないだろう」
そう言ってヘイボスも西を見る。
まだまだ、争いは続きそうであった。
◆
エリオスの書物庫。
トトナは座椅子に座り本を読む。
トトナの膝の上にはネルが頭を乗せている。
ジプシールの猫の女神である彼女はたまにトトナの所に遊びに来るのである。
「トトナん。フェリオンの復活は阻止出来て良かったにゃあ」
ネルはにししと笑う。
エリオス山の麓には彼女を崇める猫女達が沢山いる。
ネルはそこから報告を受けたのである。
また、あの地にはネルの父親であるヘイボスもいる。
気にするのも当然だった。
「そうね、ネル。さすがはクロキだわ」
トトナもネルと同じように笑う。
すでにフェリオンの復活阻止の話はエリオス中に響いている。
ただし、クロキが活躍したというのは秘密という事になっている。
もっとも、すでに広まっているだろう。
しかし、あえてエリオスの男神達は無視をしている。
魔王の配下が活躍したのは面白くないからだ。
トトナはクロキの事を考える。
クロキはエリオスを助けるために来てくれた。
もしかすると自身のためもあるかもしれないとトトナは考える。
エリオスが大変な事になればトトナも危険である。
だから、クロキは来てくれたくれたのだ。
そう考えてトトナは嬉しくなる。
「トトナちゃん! いる~!」
トトナがネルとそんな事を話していると誰かが入って来る。
「えっ? この声はイシュティア様にゃあ! どうしたのかにゃ?」
ネルが起き上がると不思議そうに首を傾げる。
確かに謎であった。
美と愛の女神である彼女は滅多にここには来ない。
トトナは何だか嫌な予感がする。
やがてイシュティアが姿を見せる。
相変わらず大きな胸である。
トトナは思わず胸を押さえる。
トトナもレーナも胸は大きいが、イシュティアに比べると少し小さい。
それが少しだけ気になる。
「イシュティア様? どうしたのですか?」
トトナは座椅子から立ち上がると礼をする。
「いやね。ここに来たのは暗黒騎士の彼の事よ」
「暗黒騎士の彼? 誰の事ですか? イシュティア様」
嫌な予感が的中してトトナはとぼける。
「あら、何でもあのフェリオンと渡り合ったそうじゃない! すごいわ! これはぜひともお会いしたいのよね。紹介してトトナちゃ~ん」
突然イシュティアはトトナに抱き着く。
「嫌です! 絶対に紹介しません!」
トトナは見境のない痴の女神を引きはがすと、ぷいと背を向ける。
気になる男に手を出さずにはいられない彼女を絶対にクロキに会わせられないトトナは心の中で思う。
「そんな~。良いじゃないトトナちゃ~ん」
トトナの気も知らず、イシュティアはなおもお願いをする。
そんなイシュティアを見てトトナは溜息を吐くのだった。
◆
「はあ~。チユキさん。クロキと全く話せなかったよ。うう」
エルドに戻るとシロネが溜息を吐く。
チユキ達がゴブリンの奴隷にされた人達の保護をしている間にシロネの幼馴染クロキは帰ってしまっていた。
白銀の髪の少女クーナもいつの間にか姿を消していたのである。
すぐ近くまで来ていたのに間が悪いとチユキは思う。
「まあまあ、シロネさんまた会えるよ」
「そうそう。またきっと会えるっすよ」
リノとナオがシロネを慰める。
「私もそう思いますわ。何だかんだ言ってクロキさんとは何度も会っています。きっと縁があるのですわ」
キョウカも同じことを言う。
そのキョウカの顔が少し赤い。
キョウカもシロネの幼馴染に会いたいようだ。
それに対してキョウカの側にいるカヤは明らかに会いたくないという顔をしている。
それはレイジも同じだろう。
そのレイジは所用でここにはいない。
この地域の魔物の動きが活発化しているのでレイジは救援に行っている。
勇者レイジはこの世界の人々の本当の希望となりつつあるのだ。
「ねえ、ところであの子は戻って来ないの? サーナが待っているのだけど」
サーナを抱っこしているサホコが言う。
サホコの胸の中のサーナが目を潤ませている。
今にも泣きそうだ。
「それなら多分大丈夫だと思うわ。確実に戻すって言っていたから」
チユキはニーアの言葉を思い出す。
実はコウキはまだ戻って来ていない。
だけど、あの様子ならすぐに戻って来るだろう。
そんな話をしていると扉が叩かれる。
チユキが入るように言うとレーナ神殿の司祭ハウレナが姿を見せる。
「エルフに連れ去られていた子が戻ってきました」
ハウレナが言うとその後ろからコウキが姿を見せる。
「あ、あの、ただいま戻りました……」
コウキは前に出てくると頭を下げる。
中々礼儀正しい子であった。
コウキの姿を見るとサーナが笑い出し、サホコの腕で暴れ出す。
おそらく、コウキの所に行きたいのだろう。
コウキはハウレナに促されサーナの元に行く。
「良かったね、サーナちゃん。会いたい人に会えて……あれ?」
シロネがそう言うとコウキの元へと行く。
そして、コウキの側に近づいて目線を下げた時だった。
シロネは首を傾げてコウキの顔を見る。
「あれ、どうしたの、シロネさん」
シロネの様子を見たサホコが疑問の声を上げる。
シロネは中腰になるとコウキの顔をまじまじと見ている。
「どうしたの? シロネさん?」
「なんでだろう? 君の顔すごく懐かしい感じがする。どうして?」
チユキの問いに答えずにシロネはそう呟くとコウキの顔を触る。
シロネはコウキと会う事はあまりなく、顔もしっかりと見た事がないはずであった。
だから、実質会うのは今日が初めてである。
そのシロネがコウキの顔を見て不思議そうな顔をする。
「チユキさん。シロネさんじゃないけど、その子から何だか不思議な感じがする」
「そうっすね。エルフが攫うほどの子っすから何かあるのかもしれないっすよ」
リノとナオも側に行くとコウキの側に行く。
美女3人に見つめられてコウキは困った顔をしている。
「ねえ、サーナがコウキ君の所に行きたがっているのだけど、良いかな」
サホコがコウキの顔を見ているシロネ達に言う。
サーナがぶうと怒った顔をしている。
「ああ、ごめんなさい! サーナちゃん! サーナちゃんの大切な人を取るつもりはないのよ!」
シロネがそう言うと3人は離れる。
「コウキ君。サーナを見てあげてね」
「はい。わかりましたサホコ様」
コウキがそう言ってサーナを受け取ろうとした時だった。
コウキの体がよろける。
まるで力が入っていない。
「危ない!」
慌ててシロネがコウキの体を支える。
「あ、ありがとうございますシロネ様」
コウキが謝る。
「どうしたの、コウキ君! 全然力が入っていないみたいだけど!」
サホコは体の力が入らないコウキからサーナを受け取る。
サーナは少し不満そうだ。
「ごめんなさい。戻って来てから何だか体に力が入らないのです」
コウキがそう言うとチユキ達は顔を見合わせる。
「もしかして、エルフさん達に何かされたんじゃ?」
「その可能性はあるわね、リノさん」
チユキはコウキに近づく。
あのエルフ達はコウキに執心だった。
もしかするとコウキに何かしたのかもしれない。
体が傷ついているわけじゃないだろうから、治癒魔法では治せないかもしれない。
だから、まずはコウキを調べた方が良いだろう。
「ごめんなさい。コウキ君、ちょっと服を脱いで。何かされているかもしれないから調べるわ」
「えっ? 服をですか?」
チユキが言うとコウキは恥ずかしそうにする。
「チユキさん……。何しれっと脱がそうとしてるっすか?」
ナオがチユキをジト目で見る。
「な、何よ!? ナオさん! 調べるだけよ! 変な誤解をしないで!」
チユキはこほんと咳払いをするとコウキの服に手をかける。
(全く失礼な)
チユキはコウキの顔をまじまじと見る。
コウキはエルフが攫うだけあってかなり可愛い顔をしている。
こんな可愛らしい顔をした子のぴょこぴょこしたのを見ても何とも思わないはずであった。
だから、これはただ純粋に調べるだけだ。
(さあ~て、どんなのかな~)
チユキはなぜかウキウキした気持ちになりながら、コウキの下着を降ろす。
「えっ?」
チユキは驚きの声を出す。
「おお!」
「え~、これって!」
「ふ~ん」
ナオとリノとシロネも声を出す。
「どうしたのですの?」
「ダメです! お嬢様は見てはいけません!」
こちらに来ようとしたキョウカをカヤが取り押さえる。
「ああああ」
チユキは呻き声を出す。
コウキのあれはぴょこぴょこした可愛らしいものではなかった。
かなりのブルンである。
過去のブルルルルンを思い出す。
「蛇が~! 巨大な蛇が~!」
チユキは思わず叫んでしまうのだった。
◆
エルフの都アルセイディアを離れて、ルウシエン達はエルドのレーナ神殿へと来ている。
つい先ほどコウキをこの神殿の司祭に引き渡したところだ。
「うう、これからは影からしかコウキ様を見られないなんて……」
「まあまあ、ルウシエン様。側にいられるだけでも良いじゃないですか」
テスはルウシエンを慰める。
これからルウシエン達はこっそりとこの国で過ごさなければならない。
こっそり暮らすのは構わない。
たまにならアルセイディアに帰っても良いと許可を得ている。
それを聞いてピアラは喜びエルドの街に遊びに行った。
問題はコウキと正面から接する事が出来ない事であった。
「姫様。これも試練です。時がくればレーナ様も会う事をお許しになるでしょう」
「そうだったら良いのだけど。オレオラ……。でもそう考える方が良さそうね」
オレオラの言葉にルウシエンは頷く。
少なくとも側にはいられるのだ。
ここでコウキの成長を見守る事にしようとルウシエンは思う。
そんな事を考えているとコウキが向かった先で、叫び声がする。
「どうしたんだろう? 何だか蛇がどうとか言っていたような?」
「はい。確かに蛇と聞こえました。まさか、蛇の者達が攻めて来たのでしょうか」
その言葉を聞き、ルウシエンは立ち上がる。
「コウキ様が危険だわ! 行くわよ!」
ルウシエン達は姿を消すと叫び声がする方へと走るのだった。
◆
御菓子の城へと戻るとさっそく竜になった副作用を解消させる。
時刻は夜であり星空に月が浮かんでいる。
傍らにはレーナとクーナがいる。
「どうしたの、クロキ?」
クロキの膝で寝ているクーナと違い、起きているレーナがクロキの側に来る。
半裸となったレーナの美しい体が月の光に照らされる。
そんなレーナを見てクロキはいつまでも眺めていたいと思う。
「いや、穏やかな夜だなと思って」
クロキは微笑み言う。
風はなく、優しい月の光が窓から差し込み部屋を照らす。
穏やかな夜であった。
「これは貴方のおかげよ、クロキ。貴方がフェリオンに勝ったから、こんな穏やかの夜が来るの」
「魔法の封印のおかげだよ。そうじゃなきゃ、きっと負けていた」
クロキは森での事を思い出す。
フェリオンの強さは本物だった。
魔法の封印がなく、本来の力を取り戻していたらフェリオンに負けていただろう。
「でも、それでも貴方のおかげだわ。ありがとう私達を守ってくれて」
レーナはそう言うとクロキの胸に顔を寄せてお礼を言う。
クロキは気恥ずかしく思うが、悪い気はしなかった。
まだ、戦いは続くだろう。
蛇の女王ディアドナは諦めていないはずであった。
だけど、今は穏やかな夜をすごそうとクロキは月を見上げてそう思うのだった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
これで9章は終わりです。
「陛下。どうやら閣下があの凶獣の復活を阻止したようでヤンス」
宰相ルーガスの肩に座る火ネズミのナットが報告する。
あと少しでフェリオンは復活する所だった。
そのフェリオンの復活はクロキによって阻止されたのである。
「さすがはクロキ殿と言った所だな。そう思わないか。モーナにポレンよ」
モデスは笑うと隣にいるモーナとポレンに聞く。
「まさか、あの凶獣と渡り合うなんて……。ええと流石と言うべきでしょうか」
「さすが、クロキ先生だわ。うんうん」
モーナは険しい表情で言う。
それに対してポレンは嬉しそうであった。
「うんうんって、殿下。何かわかっているのさ?」
「えっと……、とにかく先生がすごい事をしたんだよねぷーちゃん」
「まあ……、殿下らしいちゃ、らしいのさ」
ポレンはお付きのプチナと楽しそうに話す。
「さすがは陛下がお認めになった者ですな。あの者がいれば陛下は安泰。蛇達が何かを企んでも大丈夫でしょう」
ルーガスが言うとモデスは頷く。
クロキがいればこのナルゴルは安泰であり、何も怖れる事はない。
モデスの目の前にランフェルドをはじめとした部下達がいる。
横には最愛の妻のモーナと最愛の娘のポレンがいる。
近くには師である宰相ルーガスに育ての母である大魔女ヘルカート。
全てモデスにとって家族ともいえる者達だ。
モデスはクロキの事を思い浮かべる。
新しい家族であり、頼れる友。
クロキがいれば、これからもナルゴルは安泰だろう。
「ルーガスの言う通りだ。さすがは最強の暗黒騎士。このモデスを救ってくれる者よ」
モデスは頷くと再び笑いがこみ上げてくるのだった。
◆
西大陸の南にある南海諸島の中心に虹の都ニルカナイはある。
この都には蛇の眷属しか入る事はできない。
そのため盟友である神々はアポフィスの地の離宮で会う事になっている。
その虹の都の最奥でダハークの母であるディアドナは不機嫌そうな顔をする。
「失敗したようね。ボティス」
ディアドナがそう言うとボティスは頭を下げる。
凶獣フェリオンの復活させる計画は失敗した。
再び封印が弱まる日まで数年が必要だろう。
「申し訳ございません。まさか、噂の暗黒騎士がいたとは思いませんでした」
ボティスは悔しそうに言う。
確かに後少しであった。
しかし、アルフォスを倒したという暗黒騎士の邪魔によって失敗した。
死神ザルキシスの時もそうだが、どこにいるのかわからない奴だとダハークは思う。
「母上。安心しな。凶獣なぞいなくても、暗黒騎士は俺が倒す」
ダハークはそう言ってピサールの毒槍を構える。
「ふふ、頼もしいわね、ダハーク。確かに暗黒騎士は邪魔ね。先に何とかした方が良いかもしれない」
ディアドナは笑うと手に持つ混沌の霊杯を触る。
混沌の霊杯はこの世界が生まれる元となった混沌の海を呼び出す事が出来る。
全てを無にして、全てを生み出す神器。
それが混沌の霊杯である。
偉大なる大母ナルゴルは混沌の霊杯を使い世界を再生させようとした。
ディアドナはその役目を代わって行うつもりなのだ。
「いざとなればこの私自ら倒してくれようぞ、暗黒騎士」
そう言ってディアドナは遠くを見るのだった。
◆
エリオスの天宮は雲の上にある都である。
複数の宮殿が並び、それぞれの宮殿で神々が暮らしている。
その宮殿の中でも最も大きい神王の宮殿である天宮へとヘイボスは来ている。
天宮の奥にある神王の書斎でヘイボスはオーディスと向かい合う。
他には誰もおらず、少数で話し合いをする時はここを使う事になっている。
神王の冠を被り、髭を生やしたオーディスは威厳がある男神であり、エリオスの誰もが認める神王だ。
しかし、好き勝手気ままに動くエリオスの神々をまとめるのは大変であり、オーディスの心労は絶えない。
彼が滅多に地上に干渉しないのは天上の事だけで、大変だからだ。
「そうかヘイボス。フェリオンの復活は暗黒騎士が止めてくれたのだな」
「そういう事だ、オーディスよ。感謝せねばなるまい」
「そうだな」
オーディスは頷く。
エリオスの神々とモデスは対立していると思われているが、それは間違いだ。
オーディスや一部の神々は対立する気はない。
しかし、少数派である。
オーディスはエリオスの盟主だが、あくまでまとめ役である。
出来る限り、争いが激化しないようにする事しかできないのである。
それが、ヘイボスには何とももどかしかった。
「それにしても蛇の女王はこれでしばらくは大人しくしてくれるかな?」
オーディスは険しい顔をして西を見る。
蛇の女王ディアドナはモデスと違い明らかな敵である。
ザルキシスが力を取り戻した今、油断ならない相手であった。
「それはわからぬ。蛇は執念深い。諦める事はないだろう」
そう言ってヘイボスも西を見る。
まだまだ、争いは続きそうであった。
◆
エリオスの書物庫。
トトナは座椅子に座り本を読む。
トトナの膝の上にはネルが頭を乗せている。
ジプシールの猫の女神である彼女はたまにトトナの所に遊びに来るのである。
「トトナん。フェリオンの復活は阻止出来て良かったにゃあ」
ネルはにししと笑う。
エリオス山の麓には彼女を崇める猫女達が沢山いる。
ネルはそこから報告を受けたのである。
また、あの地にはネルの父親であるヘイボスもいる。
気にするのも当然だった。
「そうね、ネル。さすがはクロキだわ」
トトナもネルと同じように笑う。
すでにフェリオンの復活阻止の話はエリオス中に響いている。
ただし、クロキが活躍したというのは秘密という事になっている。
もっとも、すでに広まっているだろう。
しかし、あえてエリオスの男神達は無視をしている。
魔王の配下が活躍したのは面白くないからだ。
トトナはクロキの事を考える。
クロキはエリオスを助けるために来てくれた。
もしかすると自身のためもあるかもしれないとトトナは考える。
エリオスが大変な事になればトトナも危険である。
だから、クロキは来てくれたくれたのだ。
そう考えてトトナは嬉しくなる。
「トトナちゃん! いる~!」
トトナがネルとそんな事を話していると誰かが入って来る。
「えっ? この声はイシュティア様にゃあ! どうしたのかにゃ?」
ネルが起き上がると不思議そうに首を傾げる。
確かに謎であった。
美と愛の女神である彼女は滅多にここには来ない。
トトナは何だか嫌な予感がする。
やがてイシュティアが姿を見せる。
相変わらず大きな胸である。
トトナは思わず胸を押さえる。
トトナもレーナも胸は大きいが、イシュティアに比べると少し小さい。
それが少しだけ気になる。
「イシュティア様? どうしたのですか?」
トトナは座椅子から立ち上がると礼をする。
「いやね。ここに来たのは暗黒騎士の彼の事よ」
「暗黒騎士の彼? 誰の事ですか? イシュティア様」
嫌な予感が的中してトトナはとぼける。
「あら、何でもあのフェリオンと渡り合ったそうじゃない! すごいわ! これはぜひともお会いしたいのよね。紹介してトトナちゃ~ん」
突然イシュティアはトトナに抱き着く。
「嫌です! 絶対に紹介しません!」
トトナは見境のない痴の女神を引きはがすと、ぷいと背を向ける。
気になる男に手を出さずにはいられない彼女を絶対にクロキに会わせられないトトナは心の中で思う。
「そんな~。良いじゃないトトナちゃ~ん」
トトナの気も知らず、イシュティアはなおもお願いをする。
そんなイシュティアを見てトトナは溜息を吐くのだった。
◆
「はあ~。チユキさん。クロキと全く話せなかったよ。うう」
エルドに戻るとシロネが溜息を吐く。
チユキ達がゴブリンの奴隷にされた人達の保護をしている間にシロネの幼馴染クロキは帰ってしまっていた。
白銀の髪の少女クーナもいつの間にか姿を消していたのである。
すぐ近くまで来ていたのに間が悪いとチユキは思う。
「まあまあ、シロネさんまた会えるよ」
「そうそう。またきっと会えるっすよ」
リノとナオがシロネを慰める。
「私もそう思いますわ。何だかんだ言ってクロキさんとは何度も会っています。きっと縁があるのですわ」
キョウカも同じことを言う。
そのキョウカの顔が少し赤い。
キョウカもシロネの幼馴染に会いたいようだ。
それに対してキョウカの側にいるカヤは明らかに会いたくないという顔をしている。
それはレイジも同じだろう。
そのレイジは所用でここにはいない。
この地域の魔物の動きが活発化しているのでレイジは救援に行っている。
勇者レイジはこの世界の人々の本当の希望となりつつあるのだ。
「ねえ、ところであの子は戻って来ないの? サーナが待っているのだけど」
サーナを抱っこしているサホコが言う。
サホコの胸の中のサーナが目を潤ませている。
今にも泣きそうだ。
「それなら多分大丈夫だと思うわ。確実に戻すって言っていたから」
チユキはニーアの言葉を思い出す。
実はコウキはまだ戻って来ていない。
だけど、あの様子ならすぐに戻って来るだろう。
そんな話をしていると扉が叩かれる。
チユキが入るように言うとレーナ神殿の司祭ハウレナが姿を見せる。
「エルフに連れ去られていた子が戻ってきました」
ハウレナが言うとその後ろからコウキが姿を見せる。
「あ、あの、ただいま戻りました……」
コウキは前に出てくると頭を下げる。
中々礼儀正しい子であった。
コウキの姿を見るとサーナが笑い出し、サホコの腕で暴れ出す。
おそらく、コウキの所に行きたいのだろう。
コウキはハウレナに促されサーナの元に行く。
「良かったね、サーナちゃん。会いたい人に会えて……あれ?」
シロネがそう言うとコウキの元へと行く。
そして、コウキの側に近づいて目線を下げた時だった。
シロネは首を傾げてコウキの顔を見る。
「あれ、どうしたの、シロネさん」
シロネの様子を見たサホコが疑問の声を上げる。
シロネは中腰になるとコウキの顔をまじまじと見ている。
「どうしたの? シロネさん?」
「なんでだろう? 君の顔すごく懐かしい感じがする。どうして?」
チユキの問いに答えずにシロネはそう呟くとコウキの顔を触る。
シロネはコウキと会う事はあまりなく、顔もしっかりと見た事がないはずであった。
だから、実質会うのは今日が初めてである。
そのシロネがコウキの顔を見て不思議そうな顔をする。
「チユキさん。シロネさんじゃないけど、その子から何だか不思議な感じがする」
「そうっすね。エルフが攫うほどの子っすから何かあるのかもしれないっすよ」
リノとナオも側に行くとコウキの側に行く。
美女3人に見つめられてコウキは困った顔をしている。
「ねえ、サーナがコウキ君の所に行きたがっているのだけど、良いかな」
サホコがコウキの顔を見ているシロネ達に言う。
サーナがぶうと怒った顔をしている。
「ああ、ごめんなさい! サーナちゃん! サーナちゃんの大切な人を取るつもりはないのよ!」
シロネがそう言うと3人は離れる。
「コウキ君。サーナを見てあげてね」
「はい。わかりましたサホコ様」
コウキがそう言ってサーナを受け取ろうとした時だった。
コウキの体がよろける。
まるで力が入っていない。
「危ない!」
慌ててシロネがコウキの体を支える。
「あ、ありがとうございますシロネ様」
コウキが謝る。
「どうしたの、コウキ君! 全然力が入っていないみたいだけど!」
サホコは体の力が入らないコウキからサーナを受け取る。
サーナは少し不満そうだ。
「ごめんなさい。戻って来てから何だか体に力が入らないのです」
コウキがそう言うとチユキ達は顔を見合わせる。
「もしかして、エルフさん達に何かされたんじゃ?」
「その可能性はあるわね、リノさん」
チユキはコウキに近づく。
あのエルフ達はコウキに執心だった。
もしかするとコウキに何かしたのかもしれない。
体が傷ついているわけじゃないだろうから、治癒魔法では治せないかもしれない。
だから、まずはコウキを調べた方が良いだろう。
「ごめんなさい。コウキ君、ちょっと服を脱いで。何かされているかもしれないから調べるわ」
「えっ? 服をですか?」
チユキが言うとコウキは恥ずかしそうにする。
「チユキさん……。何しれっと脱がそうとしてるっすか?」
ナオがチユキをジト目で見る。
「な、何よ!? ナオさん! 調べるだけよ! 変な誤解をしないで!」
チユキはこほんと咳払いをするとコウキの服に手をかける。
(全く失礼な)
チユキはコウキの顔をまじまじと見る。
コウキはエルフが攫うだけあってかなり可愛い顔をしている。
こんな可愛らしい顔をした子のぴょこぴょこしたのを見ても何とも思わないはずであった。
だから、これはただ純粋に調べるだけだ。
(さあ~て、どんなのかな~)
チユキはなぜかウキウキした気持ちになりながら、コウキの下着を降ろす。
「えっ?」
チユキは驚きの声を出す。
「おお!」
「え~、これって!」
「ふ~ん」
ナオとリノとシロネも声を出す。
「どうしたのですの?」
「ダメです! お嬢様は見てはいけません!」
こちらに来ようとしたキョウカをカヤが取り押さえる。
「ああああ」
チユキは呻き声を出す。
コウキのあれはぴょこぴょこした可愛らしいものではなかった。
かなりのブルンである。
過去のブルルルルンを思い出す。
「蛇が~! 巨大な蛇が~!」
チユキは思わず叫んでしまうのだった。
◆
エルフの都アルセイディアを離れて、ルウシエン達はエルドのレーナ神殿へと来ている。
つい先ほどコウキをこの神殿の司祭に引き渡したところだ。
「うう、これからは影からしかコウキ様を見られないなんて……」
「まあまあ、ルウシエン様。側にいられるだけでも良いじゃないですか」
テスはルウシエンを慰める。
これからルウシエン達はこっそりとこの国で過ごさなければならない。
こっそり暮らすのは構わない。
たまにならアルセイディアに帰っても良いと許可を得ている。
それを聞いてピアラは喜びエルドの街に遊びに行った。
問題はコウキと正面から接する事が出来ない事であった。
「姫様。これも試練です。時がくればレーナ様も会う事をお許しになるでしょう」
「そうだったら良いのだけど。オレオラ……。でもそう考える方が良さそうね」
オレオラの言葉にルウシエンは頷く。
少なくとも側にはいられるのだ。
ここでコウキの成長を見守る事にしようとルウシエンは思う。
そんな事を考えているとコウキが向かった先で、叫び声がする。
「どうしたんだろう? 何だか蛇がどうとか言っていたような?」
「はい。確かに蛇と聞こえました。まさか、蛇の者達が攻めて来たのでしょうか」
その言葉を聞き、ルウシエンは立ち上がる。
「コウキ様が危険だわ! 行くわよ!」
ルウシエン達は姿を消すと叫び声がする方へと走るのだった。
◆
御菓子の城へと戻るとさっそく竜になった副作用を解消させる。
時刻は夜であり星空に月が浮かんでいる。
傍らにはレーナとクーナがいる。
「どうしたの、クロキ?」
クロキの膝で寝ているクーナと違い、起きているレーナがクロキの側に来る。
半裸となったレーナの美しい体が月の光に照らされる。
そんなレーナを見てクロキはいつまでも眺めていたいと思う。
「いや、穏やかな夜だなと思って」
クロキは微笑み言う。
風はなく、優しい月の光が窓から差し込み部屋を照らす。
穏やかな夜であった。
「これは貴方のおかげよ、クロキ。貴方がフェリオンに勝ったから、こんな穏やかの夜が来るの」
「魔法の封印のおかげだよ。そうじゃなきゃ、きっと負けていた」
クロキは森での事を思い出す。
フェリオンの強さは本物だった。
魔法の封印がなく、本来の力を取り戻していたらフェリオンに負けていただろう。
「でも、それでも貴方のおかげだわ。ありがとう私達を守ってくれて」
レーナはそう言うとクロキの胸に顔を寄せてお礼を言う。
クロキは気恥ずかしく思うが、悪い気はしなかった。
まだ、戦いは続くだろう。
蛇の女王ディアドナは諦めていないはずであった。
だけど、今は穏やかな夜をすごそうとクロキは月を見上げてそう思うのだった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
これで9章は終わりです。
1
お気に入りに追加
277
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが
米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。
その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。
更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。
果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!?
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~
ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。
対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。
これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。
防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。
損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。
派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。
其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。
海上自衛隊版、出しました
→https://ncode.syosetu.com/n3744fn/
※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。
「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。
→https://ncode.syosetu.com/n3570fj/
「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。
→https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる