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第9章 妖精の森
第17話 不安材料
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いよいよ、蛇の者達が進撃を開始したので、クロキはコウキとの剣の修行を切り上げて、ドワーフ王アーベロンと共に作戦会議室へと行く。
そこには数名のドワーフ達が待機している。
全員アーベロンの側近で、ドワーフの将軍達だ。
クロキに同行しているのはエルフの姫ルウシエンである。
一応、エルフ側の代表者として来ているので当然だろう。
ただ、ルウシエンはコウキと引き離された事を悲しんでいる。
そのコウキはレーナと他のエルフ達と共にいる。
クロキは一応レーナに来ないのかと聞いたが「貴方がいるから大丈夫でしょ」と言われてしまった。
レーナがここに来た理由はコウキなので、特に手伝う気はない様子であった。
「クロキ殿がお見えだ。状況説明してくれ」
アーベロンが言うと一名の将軍が頷く。
「わかりました。まずは映像を出しましょう」
頷いた将軍がそう言うと魔法の鏡で何かを映し出す。
そこにはオークとゴブリンの軍団が映し出されている。
「見ての通りオークとゴブリンの大軍です。奴らはエルフの都アルセイディアへと進撃しているようですな」
「なるほど、これ程の数がエルフの都に向かうなんて……。エルフ達は大丈夫でしょうか?」
クロキは隣のルウシエンを見ながら言う。
ルウシエンはこれ程の大軍がエルフの都に向かっているというのに平然としている。
心配ではないのだろうかと首を傾げる。
「オークやゴブリン程度なら問題はありません。奴らの魔力では私達ハイエルフの迷い結界を超える事は不可能です」
クロキの視線に気付いたのかルウシエンは胸を張って言う。
レーナに比べれば小さいがエルフにしては大きい胸が揺れる。
かなり余裕な態度だ。
確かにハイエルフの魔法は強力だ。
彼女達は都の周囲に迷いの結界を張り、中に入れないようにしているとクロキは聞いていた。
オークやゴブリン程度なら防ぐ事ができるだろう。
もっとも、それは敵がオークやゴブリンだけの場合だ。
「ふふん。エルフの姫よ。確かにオークやゴブリン程度なら問題はないだろう。しかし、これを見ても同じ事が言えるかな?」
ルウシエンの余裕の態度を見てアーベロンは笑うと、映像のある一点を指し示す。
そこにはオークやゴブリンとは違う種族がいる。
「あ、あれは蛇女?」
ルウシエンの顔が青ざめる。
オークやゴブリンの軍勢の中にラミアの妖術師の姿が見える。
実はラミア等の蛇の眷属は探知能力に優れている。
彼女達ならエルフの迷いの結界を破る事が出来るだろう。
「どうするのかね。蛇の王子が来ているのだから、蛇女がいて同然。このままではアルセイディアは危ないぞ~」
アーベロンが意地悪そうに笑う。
このあたりでエルフとドワーフの仲の悪さがわかる。
「ぐぬぬぬ! 例え結界が破られても、精強な妖精騎士がいます! 彼らがアルセイディアを守ります!」
「それは難しいのではないのかな? オークの猪騎兵隊の突撃力は凄まじいと聞く。細長の妖精騎士では防げまい」
アーベロンは楽しそうに笑う。
確かにアーベロンの言う通りであった。
オークはエルフに比べれば魔法力に劣るが、正面からの肉弾戦だとオークが勝っている。
また、彼らの率いる猪騎兵隊は弓騎兵主体の妖精騎士で防ぐのは無理だろう。
「うううう」
ルウシエンは何も言い返せない。
エルフの戦力だけでは防げないのは明白だから無理もない。
「アーベロン殿。そこまで言わなくても、そのためにクタルの戦力をアルセイディアに移したのでしょう」
クロキはアーベロンに言う。
猪騎兵隊は強力だが、ドワーフが操る鉄ゴーレムなら防げる。
だから、このクタルの戦力を動かしたのだ。
エルフの女王タタニアがルウシエンに預けた書状には増援の要請が正式に依頼されていた。
別にルウシエンに持ってこさせなくても良かったが、そこは形式を守ったのだろう。
ルウシエンは書状の中身を知らなかった。
ドワーフにお願いするのが嫌だから中身を知らされなかったようである。
(まあ、エルフの女王も乗り気ではなかったかもしれないな。エリオスの神々が協力するように言わなければどうなっていたかわからない)
クロキはそう推測する。
オークやゴブリンの軍団の次にエルフの防衛部隊が映し出される。
そこにはドワーフの戦士団と鉄ゴーレム部隊の姿もある。
鉄ゴーレム部隊は強いが弱点はある。
それは機動力だ。
鈍重なドワーフ戦士以上に足が遅い。
しかし、そこは妖精騎士達がサポートするだろう。
ケリュネイアの鹿に乗る妖精騎士は機動力が高く、移動しながら弓を射る彼らは遊撃兵としてはとても優秀だ。
エルフとドワーフ、互いに足りない部分を補う事が出来たらすごく良いのだが、中々難しい状況だった。
「それについては感謝をしてます、アーベロン王」
しぶしぶ、ルウシエンはお礼を言う。
エルフの姫にお礼を言われアーベロンは上機嫌だ。
「ところでアーベロン殿。このクタルから兵力を動かしすぎているような気がします。ここの守りは大丈夫でしょうか?」
クロキは不安を口にする。
どう考えても敵の狙いはここである。
アルセイディアに向かう敵はここの戦力を減らすためだと考えられる。
すでに多くのドワーフの戦士とゴーレム部隊が出撃している。
また、ゴーレムを動かすには微調整が必要なのでドワーフの技師達の多くも外に出ている。
そのため、このクタルのドワーフの里は守りが薄くなっている。
「確かにこのクタルの兵力は半減しています、クロキ殿。しかし、それでもかなりのゴーレム達が守っております。まあ心配ないでしょう」
そう言ってアーベロンは笑う。
すると別の将軍が前に出てくる。
「お待ちを! 確かにゴーレムは十分すぎる程残っています。しかし、ゴーレムを調整するための技師が足りておりません」
「わかっておるよ。ああ、こんな時にリベザルがいてくれたら……」
そう言ってアーベロンは遠くを見る。
「リベザル?」
クロキは首を傾げる。
初めて聞く単語である。
「ああ、クロキ殿。リベザルとは優秀なゴーレム技師だった者です。しかし、ある時にクタルから出奔したのですよ。今でも奴の作ったゴーレムはこの地で働いております」
「そうなのですか……」
「リベザルはとある理由で手足がなくしましてな。手足をなくしたあとは鋏のような義手を付けましたが、技師としての腕は落ちました。それを嘆いて行方をくらませたようです。例え腕を落としてもリベザルの腕は一流、こういう時にいてくれたら」
アーベロンは遠くを見て言う。
リベザルの事を思い出しているようであった。
(リベザルか、かなり優秀な技師だったみたいだな)
クロキがそんな者がいたのかと考えていると誰かが入って来る。
忍者のような恰好をした猫女だ。
夜目衆。
そう呼ばれる猫女で構成された斥候部隊である。
野伏はいるがドワーフは基本的に隠密や斥候は得意ではない。
そんな彼らのために妻や娘である猫女達が代わりに探索に動くのである。
このクタルで狼人の隠密部隊である影走りに対抗できるのは彼女達だけだろう。
「王様。狼達が取り囲んでいるみたいにゃあ」
彼女がそう言うと映像に狼人達が映し出される。
多くの狼達がこのクタルを取り囲んでいる。
「御夫人。奴らの数はどれくらいだね」
「1000匹程にゃ、多いけどここを落とせる程じゃないにゃあ。取り囲むだけで攻めてくる様子はないみたいだにゃあ。何かを狙っているみたいだにゃあ」
猫女が説明する。
映し出された映像では狼人が森の中でクタルの様子を窺う姿が見える。
こちらに攻めてくる様子はない。
何かを待っているみたいであった。
「ふうむ気になるな。しかし、屋外での戦闘はこちらが不利。攻めてこないのなら様子を見るしかない。御婦人方には引き続き情報収集をお願いします」
「わかったにゃあ、王様」
そう言うと猫の彼女は笑う。
相手が動いてこないのなら、積極的に動く必要はない。
もしかすると、こちらが出てくるのを待っているのかもしれない。
引き続き守りに徹した方が良いだろう。
だけど、相手の動きが気になる。
クロキは何となく不安を感じるのだった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
更新です。
ちなみにリベザルは元ネタがあります。
リベザルはポーランドとチェコスロバキアの近くにそびえるルゼンベルク山の山頂に棲んでいるといわれ、山頂を雲で覆い隠したり、大嵐を起こしたりします。一説にはノームの王とも言われています。
web小説サイトで書籍化小説が読めるようになる事が増えました。
今後、紙の書籍化が衰退するかもしれません。
そもそも、投げ銭と広告収入が普及したら、書籍化する意味がなくなるような気がします。
そこには数名のドワーフ達が待機している。
全員アーベロンの側近で、ドワーフの将軍達だ。
クロキに同行しているのはエルフの姫ルウシエンである。
一応、エルフ側の代表者として来ているので当然だろう。
ただ、ルウシエンはコウキと引き離された事を悲しんでいる。
そのコウキはレーナと他のエルフ達と共にいる。
クロキは一応レーナに来ないのかと聞いたが「貴方がいるから大丈夫でしょ」と言われてしまった。
レーナがここに来た理由はコウキなので、特に手伝う気はない様子であった。
「クロキ殿がお見えだ。状況説明してくれ」
アーベロンが言うと一名の将軍が頷く。
「わかりました。まずは映像を出しましょう」
頷いた将軍がそう言うと魔法の鏡で何かを映し出す。
そこにはオークとゴブリンの軍団が映し出されている。
「見ての通りオークとゴブリンの大軍です。奴らはエルフの都アルセイディアへと進撃しているようですな」
「なるほど、これ程の数がエルフの都に向かうなんて……。エルフ達は大丈夫でしょうか?」
クロキは隣のルウシエンを見ながら言う。
ルウシエンはこれ程の大軍がエルフの都に向かっているというのに平然としている。
心配ではないのだろうかと首を傾げる。
「オークやゴブリン程度なら問題はありません。奴らの魔力では私達ハイエルフの迷い結界を超える事は不可能です」
クロキの視線に気付いたのかルウシエンは胸を張って言う。
レーナに比べれば小さいがエルフにしては大きい胸が揺れる。
かなり余裕な態度だ。
確かにハイエルフの魔法は強力だ。
彼女達は都の周囲に迷いの結界を張り、中に入れないようにしているとクロキは聞いていた。
オークやゴブリン程度なら防ぐ事ができるだろう。
もっとも、それは敵がオークやゴブリンだけの場合だ。
「ふふん。エルフの姫よ。確かにオークやゴブリン程度なら問題はないだろう。しかし、これを見ても同じ事が言えるかな?」
ルウシエンの余裕の態度を見てアーベロンは笑うと、映像のある一点を指し示す。
そこにはオークやゴブリンとは違う種族がいる。
「あ、あれは蛇女?」
ルウシエンの顔が青ざめる。
オークやゴブリンの軍勢の中にラミアの妖術師の姿が見える。
実はラミア等の蛇の眷属は探知能力に優れている。
彼女達ならエルフの迷いの結界を破る事が出来るだろう。
「どうするのかね。蛇の王子が来ているのだから、蛇女がいて同然。このままではアルセイディアは危ないぞ~」
アーベロンが意地悪そうに笑う。
このあたりでエルフとドワーフの仲の悪さがわかる。
「ぐぬぬぬ! 例え結界が破られても、精強な妖精騎士がいます! 彼らがアルセイディアを守ります!」
「それは難しいのではないのかな? オークの猪騎兵隊の突撃力は凄まじいと聞く。細長の妖精騎士では防げまい」
アーベロンは楽しそうに笑う。
確かにアーベロンの言う通りであった。
オークはエルフに比べれば魔法力に劣るが、正面からの肉弾戦だとオークが勝っている。
また、彼らの率いる猪騎兵隊は弓騎兵主体の妖精騎士で防ぐのは無理だろう。
「うううう」
ルウシエンは何も言い返せない。
エルフの戦力だけでは防げないのは明白だから無理もない。
「アーベロン殿。そこまで言わなくても、そのためにクタルの戦力をアルセイディアに移したのでしょう」
クロキはアーベロンに言う。
猪騎兵隊は強力だが、ドワーフが操る鉄ゴーレムなら防げる。
だから、このクタルの戦力を動かしたのだ。
エルフの女王タタニアがルウシエンに預けた書状には増援の要請が正式に依頼されていた。
別にルウシエンに持ってこさせなくても良かったが、そこは形式を守ったのだろう。
ルウシエンは書状の中身を知らなかった。
ドワーフにお願いするのが嫌だから中身を知らされなかったようである。
(まあ、エルフの女王も乗り気ではなかったかもしれないな。エリオスの神々が協力するように言わなければどうなっていたかわからない)
クロキはそう推測する。
オークやゴブリンの軍団の次にエルフの防衛部隊が映し出される。
そこにはドワーフの戦士団と鉄ゴーレム部隊の姿もある。
鉄ゴーレム部隊は強いが弱点はある。
それは機動力だ。
鈍重なドワーフ戦士以上に足が遅い。
しかし、そこは妖精騎士達がサポートするだろう。
ケリュネイアの鹿に乗る妖精騎士は機動力が高く、移動しながら弓を射る彼らは遊撃兵としてはとても優秀だ。
エルフとドワーフ、互いに足りない部分を補う事が出来たらすごく良いのだが、中々難しい状況だった。
「それについては感謝をしてます、アーベロン王」
しぶしぶ、ルウシエンはお礼を言う。
エルフの姫にお礼を言われアーベロンは上機嫌だ。
「ところでアーベロン殿。このクタルから兵力を動かしすぎているような気がします。ここの守りは大丈夫でしょうか?」
クロキは不安を口にする。
どう考えても敵の狙いはここである。
アルセイディアに向かう敵はここの戦力を減らすためだと考えられる。
すでに多くのドワーフの戦士とゴーレム部隊が出撃している。
また、ゴーレムを動かすには微調整が必要なのでドワーフの技師達の多くも外に出ている。
そのため、このクタルのドワーフの里は守りが薄くなっている。
「確かにこのクタルの兵力は半減しています、クロキ殿。しかし、それでもかなりのゴーレム達が守っております。まあ心配ないでしょう」
そう言ってアーベロンは笑う。
すると別の将軍が前に出てくる。
「お待ちを! 確かにゴーレムは十分すぎる程残っています。しかし、ゴーレムを調整するための技師が足りておりません」
「わかっておるよ。ああ、こんな時にリベザルがいてくれたら……」
そう言ってアーベロンは遠くを見る。
「リベザル?」
クロキは首を傾げる。
初めて聞く単語である。
「ああ、クロキ殿。リベザルとは優秀なゴーレム技師だった者です。しかし、ある時にクタルから出奔したのですよ。今でも奴の作ったゴーレムはこの地で働いております」
「そうなのですか……」
「リベザルはとある理由で手足がなくしましてな。手足をなくしたあとは鋏のような義手を付けましたが、技師としての腕は落ちました。それを嘆いて行方をくらませたようです。例え腕を落としてもリベザルの腕は一流、こういう時にいてくれたら」
アーベロンは遠くを見て言う。
リベザルの事を思い出しているようであった。
(リベザルか、かなり優秀な技師だったみたいだな)
クロキがそんな者がいたのかと考えていると誰かが入って来る。
忍者のような恰好をした猫女だ。
夜目衆。
そう呼ばれる猫女で構成された斥候部隊である。
野伏はいるがドワーフは基本的に隠密や斥候は得意ではない。
そんな彼らのために妻や娘である猫女達が代わりに探索に動くのである。
このクタルで狼人の隠密部隊である影走りに対抗できるのは彼女達だけだろう。
「王様。狼達が取り囲んでいるみたいにゃあ」
彼女がそう言うと映像に狼人達が映し出される。
多くの狼達がこのクタルを取り囲んでいる。
「御夫人。奴らの数はどれくらいだね」
「1000匹程にゃ、多いけどここを落とせる程じゃないにゃあ。取り囲むだけで攻めてくる様子はないみたいだにゃあ。何かを狙っているみたいだにゃあ」
猫女が説明する。
映し出された映像では狼人が森の中でクタルの様子を窺う姿が見える。
こちらに攻めてくる様子はない。
何かを待っているみたいであった。
「ふうむ気になるな。しかし、屋外での戦闘はこちらが不利。攻めてこないのなら様子を見るしかない。御婦人方には引き続き情報収集をお願いします」
「わかったにゃあ、王様」
そう言うと猫の彼女は笑う。
相手が動いてこないのなら、積極的に動く必要はない。
もしかすると、こちらが出てくるのを待っているのかもしれない。
引き続き守りに徹した方が良いだろう。
だけど、相手の動きが気になる。
クロキは何となく不安を感じるのだった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
更新です。
ちなみにリベザルは元ネタがあります。
リベザルはポーランドとチェコスロバキアの近くにそびえるルゼンベルク山の山頂に棲んでいるといわれ、山頂を雲で覆い隠したり、大嵐を起こしたりします。一説にはノームの王とも言われています。
web小説サイトで書籍化小説が読めるようになる事が増えました。
今後、紙の書籍化が衰退するかもしれません。
そもそも、投げ銭と広告収入が普及したら、書籍化する意味がなくなるような気がします。
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