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第8章 幽幻の死都
第23話 捕らわれる者達
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ワルキアの地の外側。
クーナはヘルカート達がいる空船へと戻って来る。
どんよりと曇るワルキアの地に比べて空は明るい。
クロキを助け、この空の元に連れ戻さなくてはいけない。
「師匠~! ご無事ですか~!」
クーナが戻って来るとポレンが駆け寄る。
「ポレンか、どうやら来てくれたようだな」
クーナはポレンを見て少し笑う。
もしもの時、ヘルカートはクロキを見捨てるかもしれないとクーナは考えている。
しかし、ポレンが一緒であればクロキを助けるために動くだろう。
姫であるポレンが一緒であればヘルカートは付いていかざるを得ない。
その保険のためにポレンにこっそり後を追わせたのだ。
「あの、クロキ先生は?」
「クロキはまだワルキアだ。迎えにいくぞ」
「えっ!? そうなのですか? はい、わかりました」
「お待ちよ! 銀髪!」
クーナとポレンが話しているとヘルカートが止める。
「何だ? ヘルカート? クーナは急ぐ、早くしろ」
「何って? 銀髪、お前はナルゴルの姫を連れて行くのかい? それは見過ごせないねえ。ゲロゲロゲロ」
ヘルカートは首を振る。
「オババ様! 私も行きます! クロキ先生を迎えに行かないと!」
それに対しポレンははっきりと言う。
「ふふ、ポレンは行く気だぞ。それにクロキを助けないのなら、折角のあれがザルキシスの手に戻る事になるぞ! 出てこい、道化!」
「は~い。クーナ様あ~」
クーナがそう言うと突然空中から道化が姿を現す。
道化はクーナと同じようにすでにワルキアを脱出していた。
アルフォスがワルキアでザルキシスを引き付けたので、楽にすり抜けたのである。
その道化の手には宝珠が握られている。
それを見たヘルカートの6つの目が開かれる。
「ゲロッ!? それは冥魂の宝珠!?」
ヘルカートが驚きの声を出して、宝珠を取ろうとする。
しかし、クーナはヘルカートに渡すまいとオーブを先に回収する。
クーナが宝珠を背中に隠すとヘルカートは少し悔しそうな顔をする。
「これはクロキを助けてから渡してやる。手伝えヘルカート」
クーナはヘルカートを睨んで言う。
「ゲロロ、力を取り戻したザルキシスはお前よりも強いよ、折角の冥魂の宝珠を取り戻されちまうよ……」
「ヘルカート。そうならないように手伝えと言っている。わかったな」
「……。わかったよ、仕方ないねえ。ゲロゲロゲロ。このオババだって可能なら黒い嵐を助けたいと思っているよ。行くとするかねえ」
ヘルカートは観念して首を振る。
「これで、決まったな! グゥノ! ワルキアに進路を取れ! クロキを迎えに行くぞ!」
「はい。クーナ様」
クーナが言うとデイモンの女騎士グゥノが頭を下げる。
こうして2隻の空船は並び、ワルキアへと向かうのだった。
◆
「ねえティベル。どうかな?」
「う~ん。変な感じがします~」
ティベルが微妙な表情をする。
今クロキはウェンディ達の世話していた大人と同じ格好をしている。
目の部分だけが開いた白い頭巾を被る事で、何とかごまかそうという作戦だ。
うまい作戦とは思えないが、これ以上の手が思いつかない。
だから、これで行こうとクロキは思う。
この衣装はウェンディに持って来てもらった物だったりする。
もしもの時のために持ってきてもらっていたのだ。
「さて行こうかティベル」
「はいクロキ様」
クロキはティベルを自身の服の裾に隠す。
アンデッド系のモンスターは生者を感知する能力がある。
そのため、ティベルの透明の魔法は意味がない。
クロキも発見されるだろう。
だからこその変装であった。
クロキ達は廃屋から出る。
時刻は夜ではない。
そもそも、領主の城の近辺はいつも暗いので、時刻は関係がなかったりする。
先に進み、村を抜けると広い農園が広がっている。
農園には人影が見える。
農作業を行っているみたいであった。
おそらく、村の子供達に提供する食料等を生産しているのだろう。
顔を隠しておらず、普通の人に見える。
「亡者ではないみたいだね。怪しまれなければ良いのだけど……」
基本的にアンデッドは農作業を出来ない。
なぜなら全てのアンデッドは瘴気を発生させるからだ。瘴気のあるところでは普通の植物は枯れる。
この村の食事をしたが、普通だった。
だから、普通の穀物や野菜を作っているのだとクロキは思う。
農作業をしている彼らが何者かわからない。
無理やり連れて来られて農業をさせられているのなら助けたいと思うが、ザルキシスを崇める者達なら注意しなければならない。
農地と農地の間の道を歩く。
農作業をしている者達はこちらを見もせず、黙々と作業を続けている。
その顔に生気はなく、全てを諦めているようであった。
クロキは彼らが気になったが、今はウェンディの事が優先なので先に進む。
先へと進み、領主の城の直ぐ近くまで来る。
城門の前にはスケルトンの門番が立っている。
「スケルトンか……。この恰好でごまかせるかな?」
すでにスケルトンに察知される範囲には入っているはずだ。
しかし、スケルトンは何も反応をしない。
いけるかもしれない。
「クロキ様。こっちの方が大丈夫のような気がします」
門に向かおうとすると、ティベルが止める。
「なるほど、わかった。そうするよ」
クロキはティベルの指示に従う。
こういう時はティベルの危険察知能力がとても役に立つ。
最も危険じゃない場所を探ってくれるのだから。
自分はティベルが言う方向へ行く。
領主の城の正門から城の横へと行く。
すると、そこには丸太が並べられていた。
おそらく、何かの建築資材であろう。
この丸太で殴れば吸血鬼も簡単に倒せるかもしれない。
しかし、今は丸太を持って行っても移動しにくくなるだけなので用はない。
「クロキ様。こっちですう~」
ティベルの案内で先に進む。
「えっ? あれは?」
クロキ達が歩いていると白い頭巾の男が歩いているのが見える。
背を向けているので気付いてはいない。
白い頭巾の男はクロキ達と同じ方向に進んでいる。
「クロキ様。あれは下僕を連れて行った人間の一匹です~。こんなところで何をしているのでしょう~」
ティベルが小声で教えてくれる。
「なるほど、一人みたいだし、捕えよう」
男は1人だけだ。
周囲には誰もいない。視線も感じない。
体は元に戻っていないが、1人なら何とかなるとクロキは考え、素早く相手の背後へと移動する。
「何だ?」
男はクロキの接近に気付き振り返る。
しかし、その反応はとんでもなく遅い。
クロキは完全に振り返る前に男の左腕を捻り上げる。
「動くな!」
クロキは男の腕を押さえ、警告する。
力は衰えていても、普通の人間に負けるつもりはない。
男は抵抗しようとするが、クロキの拘束を振り解けない。
腕をさらに捻り上げる。かなり痛いはずだ。
だけど、何かがおかしかった。
「敵か?」
男は腕を捻られているのに痛がる様子を見せずに言う。
それどころか驚く様子もない
その事にクロキは驚きそうになる。
男はクロキの様子を気にすることなく、右手で腰の剣を抜く。
「動くなと言っ……! なに!?」
クロキは慌てて男から離れる。
次の瞬間男の背中から剣が突き出る。
男が自身の体ごと剣で攻撃して来たのだ
「自分の体ごと、貫くなんて……」
クロキは後ろに下がる。
男は剣を胸に刺したまま振り向く。
その様子は痛がっている様子はない。
そして、男は大きく口を開ける。
「まずい!」
助けを呼ばれるかもしれないと思ったクロキは相手に飛びかかる。
体の動きは以前より鈍くなっているが、それ以上に男の動きは鈍い。
クロキは相手の口を押え、地面に押し倒す。
「こいつ! 抵抗するなです!」
懐のティベルが顔を出すと魔法を使う。
すると突然男が抵抗しなくなる。
「えっ? 嘘? 効いたの?」
クロキは驚く。
信じられないぐらい、簡単に効いてしまった。
男は剣が胸に刺さった状態で仰向けに倒れている。
その目は胡乱だ。確実に魔法にかかっているようにみえる。
「効いてる、みたいです~。でも変です。ここまで簡単な人間は初めてです~」
ティベルも不思議そうな顔をする。
「ティベル。この男を起こしてくれる?」
「はい。わかりましたクロキ様。おい、お前。起きるですよ~」
ティベルが命じると男が起きる。
「じゃあ、そのまま動かないようにしてくれるかな。ちょっと調べたいんだ」
「はい、です。そのまま動くんじゃないですよ~」
「ありがとう。ティベル。それじゃあ、その頭巾を取らせてもらうよ……。えっ?」
クロキは動かなくなった男の頭巾を取ると驚く。
男の顔はツギハギであった。
「普通の人じゃない? どういう事だ?」
クロキはツギハギ男の顔を触る。
縫い目を境に質感の違う肌を感じる。
さらに剣を胸から引き抜き、傷を調べる。
血が一滴も出て来ない。
「どうなっているのか、わからないな……」
元は人間だとクロキは思う。そして、何らかの改造を施されたのだろうかと考える。
しかし、今はそんな事を考えてもわからない。
疑問は残るが先に進もうと思う。
「ティベル。この男がどこに行こうとしていたのか、案内させてくれる?」
「はい。クロキ様。さあ、お前。どこに行こうとしていたのか案内するですよ~」
ティベルが指示を出すと男は頷き、背を向けて歩き出す。
しばらくすると、城の裏のもう一つの入り口へとたどりつく。
「もう一つ、入口があったのか」
クロキは木の扉を開けその中を覗き込む。
入口の近くには誰もいない。
入ると地下に続く階段がある。
男を先に歩かせてクロキ達は後に続く。
壁に蝋燭が備えられていて、その火のおかげで明るい。
これはアンデッド以外もこの城にいる事を示している。
アンデッドは明かりがなくても行動に支障がないからだ。
そして、階段を降りた所で、扉がある。
「ティベル。男に扉の前で止まるように言って」
「はい。止まるですよ」
クロキは立ち止まった男の前に出て、扉を調べる。
中から話し声が聞こえる。
クロキは物体感知を行う。
扉には少し隙間があるので中を感知する事ができるはずであった。
広い部屋に5名の人型の者が動いている。
アンデッドのような感じがしない。生きている人間のような感じがする。
最近覚えた亡者感知の技能も使うがアンデッドは部屋の中にいないようであった。
「中に誰かいる。おそらく彼の仲間だろうね。ねえ、ティベル? 複数の相手を同時に支配できる?」
「う~ん。ちょっと難しいです。でも、同時にじゃなければ眠らせることなら、何とかできるかもしれないです~」
「眠らせるか、なるほど、なんとなくだけど精神魔法に弱いような気がする。それで、行こう。ティベル。彼を先に行かせて」
先程のツギハギ男の事を考えると精神魔法は普通に効くようであった。
精神魔法無効のアンデッドとは逆である。
そして、睡眠の魔法ならクロキも使える。
ティベルと一緒なら5人ぐらい大丈夫そうであった。
「わかりました。クロキ様。さあ、お前、先に中に入るですよ~」
ティベルが言うとツギハギ男が中へと入る。
中に入ると白頭巾の者達がクロキ達を一斉に見る。
「どうした? 腹に穴が開いているが何かあったのか? 待て? 後ろの奴はなんだ?」
白頭巾の男の1人が、クロキを見て声を出す。
クロキは男達と同じように白頭巾を被っている。
しかし、すぐに気付かれてしまった。
もっとも、クロキは最初からうまい変装だとは思っていなかったので、これは想定済みだ。
「ティベル!」
「はい!」
懐からティベルが飛び出す。
クロキはそれを確認すると、声を出した男に迫り睡眠の魔法を使う。
「うっ……」
男はあっさり倒れる。
「敵?」
倒れた奴の側にいた白頭巾が側に持っていた巨大なハンマーを持ちクロキに迫る。
ハンマーは重そうに見えるがそれを軽々と片手で持ち上げている。
もしかすると、普通の人間よりも力が強いのかもしれない。
しかし、クロキにとってそれは誤差でしかない。
ハンマーを避けると魔法を放ち眠らせる。
そして、この部屋から逃げようとした白頭巾に先回りして眠らせる。
力は強くても、普通の人間よりも動きは鈍い。
そのため簡単に先回りできた。
「そっちはどう? ティベル?」
クロキがティベルのいる方を見ると、その足元に白頭巾の者が倒れている。
どうやら、うまくいったようだ。
騒ぎを聞きつけて、誰かがここに来る気配はない。
「大丈夫みたいだな」
クロキは部屋を見渡す。
入って来た扉とは別に、扉が2つある。
片方は白頭巾の者が逃げようとした扉だ。
「こちらが、先に続く場所かな? だとしたら、こっちは何の部屋だろう?」
クロキがもう1つの扉を調べると中からかすかに人の声が聞こえる。
物体感知を使うと中に複数の人型がいるのがわかる。
「誰かいるようだね。白頭巾の仲間かな? それなら、加勢に来てもよさそうだけど……。ティベル。この部屋に誰がいるのか聞いてくれるかい?」
「はい。クロキ様」
ティベルが最初に出会った男に聞く。
「中には、捕えた者がいます」
「捕えた者? ウェンディ達かな?」
クロキは首を傾げる。
「クロキ様~。中から嫌な感じがします~」
「嫌な予感? この中は危険なの?」
そう聞くとティベルは首を振る。
「よくわからないです。でも中に入りたくないです~」
ティベルはすごく嫌そうな顔をする。
ティベルがこんな顔をするのをクロキは初めて見る。
(敵はいないみたいだけど、中に何があるのだろう? 予想もつかない何かが待っているのかもしれないな)
クロキは嫌がるティベルを連れて行く事はできないので、置いていく事にする。
敵がいないのなら、ここで待って貰っても大丈夫のはずであった。
「わかった。ティベルはそこで待っていて、中の様子を見て来るから」
クロキは白い頭巾を外して、ティベルに待っているように言う。
頭巾を外したのは、中に捕らわれている人を安心させるためだ。顔を隠しているよりも良いだろう。
扉を開ける。
中には明かりが灯されていて明るい。
「なっ!? これは!?」
そこには予想外な光景が広がっていた。
部屋中に太った男達が裸にされ荒縄で縛られている。
胸毛と尻毛のオンパレードであった。
おっさんの汗臭い匂いが部屋中に充満している
クロキは思わず口と鼻を押える。
「誰だ……。奴らの仲間じゃないみたいだが、もしかして、助けに来てくれ……。えっ? クロキ殿? どうしてここに?」
奥で縛られた男がクロキを見る。
その男はワルキアに入るときに別れたフルティンであった。
フルティンは全裸でV字開脚されている。
前に会った時に感じた威厳が台無しになっている。
「おお、クロキ殿だ。頼む、助けてくれ……」
よく見るとマルダスとその仲間達も捕らえられ、全裸にされている。
全裸エビ反りになったマルダスが助けを求める。
大きな体の割に小さな股間が下に垂れ下がり揺れている。
「こいつは本当に、予想外だ……」
何が悲しくておっさんの全裸を眺めなければいけないのだろう。
クロキはちょっと泣きたくなってくるのだった。
◆
ウェンディと子ども達は全員、領主様のお城に連れて来られる。
連れて来られた場所はお城でも高い所だ。
窓から遠くの山が見える。
ウェンディ達はその部屋の中央にある鳥籠のような牢屋に入れられている。
窓は近いが近くに行く事はできない。
逃げる事は難しいだろう。
「ウェンディお姉ちゃん。僕達どうなるの?」
ミカルは不安そうにウェンディを見る。
安心させてあげたいが、無理である。
なぜなら、ウェンディもすごく不安だからだ。
同じように連れて来られた子ども達も不安そうな顔をしている。
「ミカル。ウェンディを困らせたらダメよ」
近くにいたリリがミカルを叱る。
そんなリリはどこか諦めた顔をしている。
リリにはこれからどうなるのかわかっている。
もちろんウェンディもわかる。
吸血鬼のエサになるのだ。そのためにウェンディ達は育てられた。
しかし、全員連れて来られるとまでは思わなかった。
「ティベルちゃん……」
ウェンディは彼女達の事を考える。
最後にお別れを言いたかった。
そうすれば、良い夢を見ながら天国に行けそうな気がするからだ。
小妖精はとても綺麗だった。
白い肌に瑠璃色の蝶の羽。
宙を飛ぶとキラキラと光が舞い散る。
彼女と一緒にいると空を飛べそうな気がする。
ウェンディはそんな事を考え、窓から空を眺めるのだった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
更新しました。
丸太は彼〇島ネタですが、わかりにくいですよね。
元ネタがわからないと面白くないネタは出さない方が良いかもしれません。
クーナはヘルカート達がいる空船へと戻って来る。
どんよりと曇るワルキアの地に比べて空は明るい。
クロキを助け、この空の元に連れ戻さなくてはいけない。
「師匠~! ご無事ですか~!」
クーナが戻って来るとポレンが駆け寄る。
「ポレンか、どうやら来てくれたようだな」
クーナはポレンを見て少し笑う。
もしもの時、ヘルカートはクロキを見捨てるかもしれないとクーナは考えている。
しかし、ポレンが一緒であればクロキを助けるために動くだろう。
姫であるポレンが一緒であればヘルカートは付いていかざるを得ない。
その保険のためにポレンにこっそり後を追わせたのだ。
「あの、クロキ先生は?」
「クロキはまだワルキアだ。迎えにいくぞ」
「えっ!? そうなのですか? はい、わかりました」
「お待ちよ! 銀髪!」
クーナとポレンが話しているとヘルカートが止める。
「何だ? ヘルカート? クーナは急ぐ、早くしろ」
「何って? 銀髪、お前はナルゴルの姫を連れて行くのかい? それは見過ごせないねえ。ゲロゲロゲロ」
ヘルカートは首を振る。
「オババ様! 私も行きます! クロキ先生を迎えに行かないと!」
それに対しポレンははっきりと言う。
「ふふ、ポレンは行く気だぞ。それにクロキを助けないのなら、折角のあれがザルキシスの手に戻る事になるぞ! 出てこい、道化!」
「は~い。クーナ様あ~」
クーナがそう言うと突然空中から道化が姿を現す。
道化はクーナと同じようにすでにワルキアを脱出していた。
アルフォスがワルキアでザルキシスを引き付けたので、楽にすり抜けたのである。
その道化の手には宝珠が握られている。
それを見たヘルカートの6つの目が開かれる。
「ゲロッ!? それは冥魂の宝珠!?」
ヘルカートが驚きの声を出して、宝珠を取ろうとする。
しかし、クーナはヘルカートに渡すまいとオーブを先に回収する。
クーナが宝珠を背中に隠すとヘルカートは少し悔しそうな顔をする。
「これはクロキを助けてから渡してやる。手伝えヘルカート」
クーナはヘルカートを睨んで言う。
「ゲロロ、力を取り戻したザルキシスはお前よりも強いよ、折角の冥魂の宝珠を取り戻されちまうよ……」
「ヘルカート。そうならないように手伝えと言っている。わかったな」
「……。わかったよ、仕方ないねえ。ゲロゲロゲロ。このオババだって可能なら黒い嵐を助けたいと思っているよ。行くとするかねえ」
ヘルカートは観念して首を振る。
「これで、決まったな! グゥノ! ワルキアに進路を取れ! クロキを迎えに行くぞ!」
「はい。クーナ様」
クーナが言うとデイモンの女騎士グゥノが頭を下げる。
こうして2隻の空船は並び、ワルキアへと向かうのだった。
◆
「ねえティベル。どうかな?」
「う~ん。変な感じがします~」
ティベルが微妙な表情をする。
今クロキはウェンディ達の世話していた大人と同じ格好をしている。
目の部分だけが開いた白い頭巾を被る事で、何とかごまかそうという作戦だ。
うまい作戦とは思えないが、これ以上の手が思いつかない。
だから、これで行こうとクロキは思う。
この衣装はウェンディに持って来てもらった物だったりする。
もしもの時のために持ってきてもらっていたのだ。
「さて行こうかティベル」
「はいクロキ様」
クロキはティベルを自身の服の裾に隠す。
アンデッド系のモンスターは生者を感知する能力がある。
そのため、ティベルの透明の魔法は意味がない。
クロキも発見されるだろう。
だからこその変装であった。
クロキ達は廃屋から出る。
時刻は夜ではない。
そもそも、領主の城の近辺はいつも暗いので、時刻は関係がなかったりする。
先に進み、村を抜けると広い農園が広がっている。
農園には人影が見える。
農作業を行っているみたいであった。
おそらく、村の子供達に提供する食料等を生産しているのだろう。
顔を隠しておらず、普通の人に見える。
「亡者ではないみたいだね。怪しまれなければ良いのだけど……」
基本的にアンデッドは農作業を出来ない。
なぜなら全てのアンデッドは瘴気を発生させるからだ。瘴気のあるところでは普通の植物は枯れる。
この村の食事をしたが、普通だった。
だから、普通の穀物や野菜を作っているのだとクロキは思う。
農作業をしている彼らが何者かわからない。
無理やり連れて来られて農業をさせられているのなら助けたいと思うが、ザルキシスを崇める者達なら注意しなければならない。
農地と農地の間の道を歩く。
農作業をしている者達はこちらを見もせず、黙々と作業を続けている。
その顔に生気はなく、全てを諦めているようであった。
クロキは彼らが気になったが、今はウェンディの事が優先なので先に進む。
先へと進み、領主の城の直ぐ近くまで来る。
城門の前にはスケルトンの門番が立っている。
「スケルトンか……。この恰好でごまかせるかな?」
すでにスケルトンに察知される範囲には入っているはずだ。
しかし、スケルトンは何も反応をしない。
いけるかもしれない。
「クロキ様。こっちの方が大丈夫のような気がします」
門に向かおうとすると、ティベルが止める。
「なるほど、わかった。そうするよ」
クロキはティベルの指示に従う。
こういう時はティベルの危険察知能力がとても役に立つ。
最も危険じゃない場所を探ってくれるのだから。
自分はティベルが言う方向へ行く。
領主の城の正門から城の横へと行く。
すると、そこには丸太が並べられていた。
おそらく、何かの建築資材であろう。
この丸太で殴れば吸血鬼も簡単に倒せるかもしれない。
しかし、今は丸太を持って行っても移動しにくくなるだけなので用はない。
「クロキ様。こっちですう~」
ティベルの案内で先に進む。
「えっ? あれは?」
クロキ達が歩いていると白い頭巾の男が歩いているのが見える。
背を向けているので気付いてはいない。
白い頭巾の男はクロキ達と同じ方向に進んでいる。
「クロキ様。あれは下僕を連れて行った人間の一匹です~。こんなところで何をしているのでしょう~」
ティベルが小声で教えてくれる。
「なるほど、一人みたいだし、捕えよう」
男は1人だけだ。
周囲には誰もいない。視線も感じない。
体は元に戻っていないが、1人なら何とかなるとクロキは考え、素早く相手の背後へと移動する。
「何だ?」
男はクロキの接近に気付き振り返る。
しかし、その反応はとんでもなく遅い。
クロキは完全に振り返る前に男の左腕を捻り上げる。
「動くな!」
クロキは男の腕を押さえ、警告する。
力は衰えていても、普通の人間に負けるつもりはない。
男は抵抗しようとするが、クロキの拘束を振り解けない。
腕をさらに捻り上げる。かなり痛いはずだ。
だけど、何かがおかしかった。
「敵か?」
男は腕を捻られているのに痛がる様子を見せずに言う。
それどころか驚く様子もない
その事にクロキは驚きそうになる。
男はクロキの様子を気にすることなく、右手で腰の剣を抜く。
「動くなと言っ……! なに!?」
クロキは慌てて男から離れる。
次の瞬間男の背中から剣が突き出る。
男が自身の体ごと剣で攻撃して来たのだ
「自分の体ごと、貫くなんて……」
クロキは後ろに下がる。
男は剣を胸に刺したまま振り向く。
その様子は痛がっている様子はない。
そして、男は大きく口を開ける。
「まずい!」
助けを呼ばれるかもしれないと思ったクロキは相手に飛びかかる。
体の動きは以前より鈍くなっているが、それ以上に男の動きは鈍い。
クロキは相手の口を押え、地面に押し倒す。
「こいつ! 抵抗するなです!」
懐のティベルが顔を出すと魔法を使う。
すると突然男が抵抗しなくなる。
「えっ? 嘘? 効いたの?」
クロキは驚く。
信じられないぐらい、簡単に効いてしまった。
男は剣が胸に刺さった状態で仰向けに倒れている。
その目は胡乱だ。確実に魔法にかかっているようにみえる。
「効いてる、みたいです~。でも変です。ここまで簡単な人間は初めてです~」
ティベルも不思議そうな顔をする。
「ティベル。この男を起こしてくれる?」
「はい。わかりましたクロキ様。おい、お前。起きるですよ~」
ティベルが命じると男が起きる。
「じゃあ、そのまま動かないようにしてくれるかな。ちょっと調べたいんだ」
「はい、です。そのまま動くんじゃないですよ~」
「ありがとう。ティベル。それじゃあ、その頭巾を取らせてもらうよ……。えっ?」
クロキは動かなくなった男の頭巾を取ると驚く。
男の顔はツギハギであった。
「普通の人じゃない? どういう事だ?」
クロキはツギハギ男の顔を触る。
縫い目を境に質感の違う肌を感じる。
さらに剣を胸から引き抜き、傷を調べる。
血が一滴も出て来ない。
「どうなっているのか、わからないな……」
元は人間だとクロキは思う。そして、何らかの改造を施されたのだろうかと考える。
しかし、今はそんな事を考えてもわからない。
疑問は残るが先に進もうと思う。
「ティベル。この男がどこに行こうとしていたのか、案内させてくれる?」
「はい。クロキ様。さあ、お前。どこに行こうとしていたのか案内するですよ~」
ティベルが指示を出すと男は頷き、背を向けて歩き出す。
しばらくすると、城の裏のもう一つの入り口へとたどりつく。
「もう一つ、入口があったのか」
クロキは木の扉を開けその中を覗き込む。
入口の近くには誰もいない。
入ると地下に続く階段がある。
男を先に歩かせてクロキ達は後に続く。
壁に蝋燭が備えられていて、その火のおかげで明るい。
これはアンデッド以外もこの城にいる事を示している。
アンデッドは明かりがなくても行動に支障がないからだ。
そして、階段を降りた所で、扉がある。
「ティベル。男に扉の前で止まるように言って」
「はい。止まるですよ」
クロキは立ち止まった男の前に出て、扉を調べる。
中から話し声が聞こえる。
クロキは物体感知を行う。
扉には少し隙間があるので中を感知する事ができるはずであった。
広い部屋に5名の人型の者が動いている。
アンデッドのような感じがしない。生きている人間のような感じがする。
最近覚えた亡者感知の技能も使うがアンデッドは部屋の中にいないようであった。
「中に誰かいる。おそらく彼の仲間だろうね。ねえ、ティベル? 複数の相手を同時に支配できる?」
「う~ん。ちょっと難しいです。でも、同時にじゃなければ眠らせることなら、何とかできるかもしれないです~」
「眠らせるか、なるほど、なんとなくだけど精神魔法に弱いような気がする。それで、行こう。ティベル。彼を先に行かせて」
先程のツギハギ男の事を考えると精神魔法は普通に効くようであった。
精神魔法無効のアンデッドとは逆である。
そして、睡眠の魔法ならクロキも使える。
ティベルと一緒なら5人ぐらい大丈夫そうであった。
「わかりました。クロキ様。さあ、お前、先に中に入るですよ~」
ティベルが言うとツギハギ男が中へと入る。
中に入ると白頭巾の者達がクロキ達を一斉に見る。
「どうした? 腹に穴が開いているが何かあったのか? 待て? 後ろの奴はなんだ?」
白頭巾の男の1人が、クロキを見て声を出す。
クロキは男達と同じように白頭巾を被っている。
しかし、すぐに気付かれてしまった。
もっとも、クロキは最初からうまい変装だとは思っていなかったので、これは想定済みだ。
「ティベル!」
「はい!」
懐からティベルが飛び出す。
クロキはそれを確認すると、声を出した男に迫り睡眠の魔法を使う。
「うっ……」
男はあっさり倒れる。
「敵?」
倒れた奴の側にいた白頭巾が側に持っていた巨大なハンマーを持ちクロキに迫る。
ハンマーは重そうに見えるがそれを軽々と片手で持ち上げている。
もしかすると、普通の人間よりも力が強いのかもしれない。
しかし、クロキにとってそれは誤差でしかない。
ハンマーを避けると魔法を放ち眠らせる。
そして、この部屋から逃げようとした白頭巾に先回りして眠らせる。
力は強くても、普通の人間よりも動きは鈍い。
そのため簡単に先回りできた。
「そっちはどう? ティベル?」
クロキがティベルのいる方を見ると、その足元に白頭巾の者が倒れている。
どうやら、うまくいったようだ。
騒ぎを聞きつけて、誰かがここに来る気配はない。
「大丈夫みたいだな」
クロキは部屋を見渡す。
入って来た扉とは別に、扉が2つある。
片方は白頭巾の者が逃げようとした扉だ。
「こちらが、先に続く場所かな? だとしたら、こっちは何の部屋だろう?」
クロキがもう1つの扉を調べると中からかすかに人の声が聞こえる。
物体感知を使うと中に複数の人型がいるのがわかる。
「誰かいるようだね。白頭巾の仲間かな? それなら、加勢に来てもよさそうだけど……。ティベル。この部屋に誰がいるのか聞いてくれるかい?」
「はい。クロキ様」
ティベルが最初に出会った男に聞く。
「中には、捕えた者がいます」
「捕えた者? ウェンディ達かな?」
クロキは首を傾げる。
「クロキ様~。中から嫌な感じがします~」
「嫌な予感? この中は危険なの?」
そう聞くとティベルは首を振る。
「よくわからないです。でも中に入りたくないです~」
ティベルはすごく嫌そうな顔をする。
ティベルがこんな顔をするのをクロキは初めて見る。
(敵はいないみたいだけど、中に何があるのだろう? 予想もつかない何かが待っているのかもしれないな)
クロキは嫌がるティベルを連れて行く事はできないので、置いていく事にする。
敵がいないのなら、ここで待って貰っても大丈夫のはずであった。
「わかった。ティベルはそこで待っていて、中の様子を見て来るから」
クロキは白い頭巾を外して、ティベルに待っているように言う。
頭巾を外したのは、中に捕らわれている人を安心させるためだ。顔を隠しているよりも良いだろう。
扉を開ける。
中には明かりが灯されていて明るい。
「なっ!? これは!?」
そこには予想外な光景が広がっていた。
部屋中に太った男達が裸にされ荒縄で縛られている。
胸毛と尻毛のオンパレードであった。
おっさんの汗臭い匂いが部屋中に充満している
クロキは思わず口と鼻を押える。
「誰だ……。奴らの仲間じゃないみたいだが、もしかして、助けに来てくれ……。えっ? クロキ殿? どうしてここに?」
奥で縛られた男がクロキを見る。
その男はワルキアに入るときに別れたフルティンであった。
フルティンは全裸でV字開脚されている。
前に会った時に感じた威厳が台無しになっている。
「おお、クロキ殿だ。頼む、助けてくれ……」
よく見るとマルダスとその仲間達も捕らえられ、全裸にされている。
全裸エビ反りになったマルダスが助けを求める。
大きな体の割に小さな股間が下に垂れ下がり揺れている。
「こいつは本当に、予想外だ……」
何が悲しくておっさんの全裸を眺めなければいけないのだろう。
クロキはちょっと泣きたくなってくるのだった。
◆
ウェンディと子ども達は全員、領主様のお城に連れて来られる。
連れて来られた場所はお城でも高い所だ。
窓から遠くの山が見える。
ウェンディ達はその部屋の中央にある鳥籠のような牢屋に入れられている。
窓は近いが近くに行く事はできない。
逃げる事は難しいだろう。
「ウェンディお姉ちゃん。僕達どうなるの?」
ミカルは不安そうにウェンディを見る。
安心させてあげたいが、無理である。
なぜなら、ウェンディもすごく不安だからだ。
同じように連れて来られた子ども達も不安そうな顔をしている。
「ミカル。ウェンディを困らせたらダメよ」
近くにいたリリがミカルを叱る。
そんなリリはどこか諦めた顔をしている。
リリにはこれからどうなるのかわかっている。
もちろんウェンディもわかる。
吸血鬼のエサになるのだ。そのためにウェンディ達は育てられた。
しかし、全員連れて来られるとまでは思わなかった。
「ティベルちゃん……」
ウェンディは彼女達の事を考える。
最後にお別れを言いたかった。
そうすれば、良い夢を見ながら天国に行けそうな気がするからだ。
小妖精はとても綺麗だった。
白い肌に瑠璃色の蝶の羽。
宙を飛ぶとキラキラと光が舞い散る。
彼女と一緒にいると空を飛べそうな気がする。
ウェンディはそんな事を考え、窓から空を眺めるのだった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
更新しました。
丸太は彼〇島ネタですが、わかりにくいですよね。
元ネタがわからないと面白くないネタは出さない方が良いかもしれません。
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