暗黒騎士物語

根崎タケル

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第8章 幽幻の死都

第15話 ワルキアの地

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 ワルキアの地はチューエンの地の南東に位置する内陸の国だ。
 ほぼ山に囲まれた盆地で、北から吹いてくる水気を含んだ風が吹き込み、雲と霧を作る。
 そのため、暗い天気が多く、陰鬱な雰囲気であり、また死の神ザルキシスの眷属が支配しているので、大地には瘴気が染み込み、とても貧しい土地になっている。
 それでも、死の眷属の家畜としてではあるが人間は住んでいる。
 彼らは僅かな実りを糧に細々と何とか生きている。
 朝になり、クーリ達はそんなワルキアの地へと入る。
 実は砦からワルキアの奥地へと入る街道がある。
 ワルキアの地は閉ざされているわけではない。
 むしろ、多くの人間が来ることを待っているのである。
 もっとも、無事に出られるとは限らず、生きて帰ってこれる者ができるのはごくわずかであった。
 空は暗く、街道には霧が立ち込めている。
 この天気ではアンデッドは活動するだろう。
 晴れた日であればアンデッドは出現しないが、ワルキアの地で太陽を待っていてはいつ入れるかわからない。
 クーリ達は視界の悪い街道をゆっくりと進む。

「戦乙女様は大丈夫だろうか?」

 クーリは心配そうな声を出す。

「確かに、そうですな……。戦乙女様が行かれる道はここよりも危険だと聞きますからな」

 側にいるフルティンも頷く。
 クーリ達と別れた戦乙女クーナは仲間のクロキと共に別の場所からワルキアに入る予定だ。
 彼女達が無事に入れるように亡者達の目をこちらに向けなければならない。
 ようするにクーリ達は囮なのである。

「問題はないだろう。それがわかっていて、あえてあの場所を通るのだからな。何か秘策があるに違いない。それよりも、我々は自身の心配をすべきだ。少数ならともかく、これだけ武装した戦士が来たのだから、貴族共が放っておくはずがない」

 モンドは首を振って答える。

「それならば好都合だ。亡者共が俺達の方に来れば願ったりかなったりだ。そうだろうお前達」

 マルダスが嬉しそうな声を出すと仲間戦士達も同じように声を上げる。
 戦士達は戦乙女から、激励を受けたのである。
 戦乙女から激励を受け、勇敢に戦って死ねば、天上へと招かれ神の戦士となる。
 これで彼らにとって死は望むべきものになった。
 クーリはそんな戦士達を見て羨ましく思う。

「我々はあくまで囮、長く相手の目を釘付けにするのが役目ですぞ。無謀に突っ込んで安易に全滅したら、いけませんぞ。それから、クーリ様には砦に戻っていただきたいのですが……」
 
 フルティンは困った顔をする。
 本来ならクーリは砦に残っているはずだった。
 ブリュンド王国の次期王であるクーリは無為に死ぬことは許されない。

「すみません。危なくなったらすぐに戻ります」

 クーリは謝る。
 クーリは戦乙女クーナの役に少しでも立ちたいと思い、無理を言ってついてきたのだ。
 砦にはフニャーチンが残っているので、本来ならクーリもそこで待機するべきであった。

「王子。フルティン殿の言う通り危険だ。ここの領地カウンティを支配する吸血鬼女伯ヴァンパイアカウンテスベーラだ。特に残虐な奴だ。捕まったらまずいだろう」

 そう言ってモンドは説明する。

 青い鋏の娼姫ベーラ。

 ベーラは亡き大国の姫で、生前は淫蕩な生活を行い、美男子が好きで靡かない男の股間を切り落とし、飾るのを趣味としていた。
 その生活が続くように鮮血の姫に祈り、多くの血の供物を捧げ吸血鬼となった。
 股間を切り落とすために使っていた鋏を今でも使い、犠牲者を増やしているのだ。

「嫌な相手ですね。うん? 前に何者かがいますね」

 クーリは前を見て言う。
 霧でよく見えないがクーリ達が進む方向に誰かが立っているようであった。
 しかし、少し変である、その者は地面から浮いているのだ。
 そして、その者の後ろには何か棒状の物がある。
 まるで、案山子がそこにあるかのようであった。

「違う。立っているのではない。杭に刺さっている。それにあれはベルモ!?」

 モンドがその者に駆け寄るとクーリ達は後に続く。
 人が杭に突き刺され放置されている。
 放置されている者はモンドと同じ格好をしている。
 モンドの同僚であるベルモであった。
 ベルモの死体はあちこちに切傷があり、痛々しい。
 そして、殺した後、見せしめのように杭を突き刺さされたようであった。
 
「くそっ! 何という事だ! 待っていてくれれば良かったのに!」
「まさか、こんな事になっているとは……。他の騎士達は無事でしょうか?」

 モンドは悔しそうに言うと、クーリも悔しそうに呟く。
 そんな時だった。
 怪しげな霧がクーリ達の周囲に広がり始める。
 
「どうやら、お出迎えが来たようだ。全員武器を取れ」

 モンドが言うと周囲の森から複数の人型の何かが出てくる。
 人の形に似ているが普通の人ではない。
 肉が削げ落ち、顔は骨だけになっている。
 スケルトンと呼ばれるアンデッドである。
 元は戦士だったのだろうか、全員武装している。
 出て来たのはスケルトンだけではない。
 霧が収束すると透明な人型になる。
 
「スケルトンに幽霊ゴーストか、おいでなすったようだな」
「そうですな、マルダス殿。皆さんはスケルトンの相手を! 幽霊ゴーストは任せて下さい!」

 マルダスは剣を取り、フルティンはメイスを構える。
 フルティンのメイスの頭が輝く、実態を持たないアンデッドには光の魔法が有効であり、それを見た幽霊ゴーストは怖れ、下がる。

「ふ~ん。オーディスの司祭がいるのね。やっかいねえ」

 スケルトンの背後から何者かが出てくる。
 整った青白い顔をした男のようであった。
 ようであったと言うのはどこか喋り方が変であったからだ。 
 衣服は派手で、趣味が悪かった。
 出て来た者は白い肌に赤い瞳をして、口からは長い犬歯が覗いて見える。
 明らかに人間ではない。

吸血鬼ヴァンパイア! 吸血鬼伯ヴァンパイアカウントか!?」

 クーリはルーンソードを抜き構える。

「嫌違うな。おそらく、吸血鬼伯ヴァンパイアカウントに仕える下位吸血鬼レッサーヴァンパイアだろう。強さを感じぬ」

 モンドはクーリと同じように銀の小剣を抜き、構える。
 吸血鬼ヴァンパイアには種類があり、鮮血の姫ザファラーダによって吸血鬼ヴァンパイアになった真祖と他の吸血鬼ヴァンパイアによって吸血鬼ヴァンパイアにされた下位吸血鬼レッサーヴァンパイアに分かれる。
 下位吸血鬼レッサーヴァンパイアは真祖に比べると弱い。
 しかし、それでもアンデッドの上位である吸血鬼ヴァンパイアなので、侮る事はできない。
 下位吸血鬼レッサーヴァンパイアはクーリ達をつまらなそうに見ている。 

「全くベーラ様が今日から不在だって時に、間が悪いわね。仕方がない出てきなさい貴方達」

 下位吸血鬼レッサーヴァンパイアが手を叩くと新たな人影が現れる。
 鎧を着た騎士風の格好をしている。
 しかし、顔に生気はなく、亡者となっている。
 
「あれは!? 砦の騎士達!? 何て事だ!」

 クーリは騎士達に見覚えがあった。
 過去に砦で会った事がある騎士達で、フニャーチンの話では数日前にワルキアに入ったはずであった。

「ベーラ様のお力で、死の騎士デスナイトに生まれ変わった者達よ。貴方達の同僚みたいね。貴方達も仲間にしてあげるわ」

 下位吸血鬼レッサーヴァンパイアが言うと死の騎士デスナイトが前に出てくる。
 死の騎士デスナイトはドラウグルと同じく、生前と同じ技量を持ったままアンデッドへと変わった者だ。
 盾と剣を持ち、馬に乗る事が出来る彼らは手ごわい戦士である。
 死の騎士デスナイト達はクーリ達に剣を向ける。
 その構えは生前の時の武技を残しているようであった。

「があああ。がああ……」

 死の騎士デスナイト達はクーリ達を見て唸る。
 その目は生者を憎む目であった。 

「おのれ! 高潔な騎士達をおぞましきアンデッドに変えるとは!」

 騎士達がアンデッドに変えられたのを見て、フルティンがメイスを掲げて怒る。

「全く、今は偉大なる方が戻られて忙しいのに……。下賤な人間ね。私が殺してあげる。恐怖を抱いて死になさい。そして、もっとも下級なゾンビに変えてあげるわ」

 下位吸血鬼レッサーヴァンパイアは身をくねらせて言う。

「ふん! 残念だが! 俺達がお前なんか怖くねえ! なぜなら、超絶美人な戦乙女様から祝福を受けているのだからな! そうだろお前達!」
 
 マルダスが叫ぶと仲間の戦士達も雄叫びを上げる。
 戦乙女に祝福を受けた事で戦士達は恐怖を感じなくなっている。
 その気持ちはクーリも同じだ。
 戦士を辱めた下位吸血鬼レッサーヴァンパイアを許すことは出来ない。
 こうして戦いが始まるのだった。

 




 クロキはクーリ達と別れ、ワルキアの地へと入る。
 ワルキアの周囲には侵入者を感知する結界が張られている。
 クーナの蝶の力で結界をすり抜ける事はできるが、常に蝶で飛び続ける事は不可能だ。
 そのため、霊除けの香炉を使う。
 大魔女ヘルカートが作った香は特殊であり、下位のアンデッドであれば確実に見つかる事なく進む事ができる。
 また、クーリ達がアンデッド達の目を引いてくれるので、より安全に進む事が出来るだろう。
 ただ、結界の中には転移を阻害する魔法がかけられている。一度入ったら転移魔法で脱出するのは難しく、それが気になる所であった。

「王子達は大丈夫だろうか?」

 クロキは砦の方を見る。
 既に王子クーリ率いる戦士達がワルキアに入っているはずであった。
 暗い天気でありアンデッドが出没する可能性が高い。
 だから、クロキは犠牲が出ないか心配するのだ。

「確かに不安だな、クロキ。奴らには死を怖れない魔法をかけておいたが、下手に突っ込んであっさり全滅するかもしれないな。最低限の囮の役目をしてもらわなければいけないぞ」
「そうですう、クーナ様。下等な人間ヤーフ共は囮になってもらわなければいけないですよ」

 クロキと一緒にいるクーナとティベルが答える。
 クーナとティベルはクーリ達の身を案じていない、囮として役に立たないかどうかを考えている。
 そのため、クロキと会話が噛み合っていない。

「はあ、ちょっと違うのだけど……。だけど、彼らは頑張ってくれているのだから、無駄にしちゃいけないよね。行こうかクーナ、ティベル」
 
 クロキ達は急ぎザルキシスがいるであろう、死都モードガルへと向かう。
 気付かれる可能性があるので、空を飛ぶ事はできない。
 そのため地上を走って行く事になる。
 幸い、ワルキアの地はジプシールに比べてはるかに小さい。
 クロキ達の足なら、短時間でモードガルへと行けるだろう。
 クロキはワルキアの山を見る。
 山頂は白く、雪が冠のようになっている。
 ワルキアの地は氷の海に近い、大陸北部にある。
 今は風の季節なので大丈夫だけど、氷の季節になると、雪に埋まるとクロキは聞いていた。
 そして、雪は北の沿岸部よりも山が近い内陸部で深くなる。
 そのため、氷の季節の次の季節である風の季節でも、雪が残るのは珍しい事ではない

「ところで、ワルキアは瘴気が濃いみたいだけど、大丈夫、クーナにティベル?」

 クロキはクーナとティベルに聞く。
 ワルキアの地は瘴気が濃い。
 瘴気は体に悪い影響を与えるので、クロキは心配する。
 特にティベルは闇小妖精ダークフェアリーである。
 闇小妖精ダークフェアリーは生命力が豊富な森に住む。
 そして、ワルキアは生命力とは真逆な、瘴気が濃い土地であり、闇小妖精ダークフェアリーのティベルにはきついはずであった。

「それなら、大丈夫だ、クロキ。クーナは問題ない。ティベルもクーナの側にいるから大丈夫なはずだぞ」
「そうです、大丈夫です。クロキ様ぁ~。生命力の強いクーナ様の近くなら、大丈夫です~」

 ティベルは楽しそうに言う。
 ティベルはクーナの肩に座り、寄り添っている。
 様子を見る限り大丈夫そうであった。

「クロキ、この辺りはまだまだ大丈夫だぞ。ワルキアの地域には生きている人間もいるのだからな」

 クーナの言う通り、ワルキアには人も住んでいる。
 吸血鬼は貴族であり、領主。人はその支配を受けている領民である。
 その生活がどのようなものかクロキには想像ができない。 

「それに、クロキ。大変なのはこの先だぞ。どうやら、道化も戻って来たようだ」

 クーナが指さす。
 少し先に森が見える。
 その森の前にクーナに仕える道化が頭を下げて待っている。

「お待ちしておりましたよ~。クーナ様あ~。ワルキアにようこそ~」

 道化は楽しそうに笑う。

「道化。モードガルの場所はわかったのか?」
「もちろんですよう。クーナ様~。案内いたします。ですが、まずはこの嘆きの森を抜けないといけないので注意してくださいね~」

 道化は森を見て言う。

「嘆きの森? そういえばモンド殿が危険な森だと言っていたかな」

 クロキの目の前には気味の悪い森が広がっている。
 森の木々は葉が無く、枯れ木の様であり、奇妙にねじ曲がっている。
 あまり入りたいとは思わない森だ。

「見えて来たよ。あれが嘆きの森なのさ、にひひひひ。気を付けないと、森に魂が奪われちゃうよ~」

 道化は踊りながら気味の悪い笑い声を出す。

「全く相変わらず、気持ち悪いやつです~」

 クーナの肩にいるティベルは本当に嫌そうな声をする。
 クロキもその気持ちはわかる。
 道化はどこか不気味であった。
 しかし、この道化を製作したのはクーナかもしれず。
 面と向かって言う事はできない。
 クロキ達は嘆きの森へと入る事にする。
 嘆きの森は枯れた木でできた森みたいで、どの枝にも葉はない。
 しかし、枝はよく伸びていて、それが頭上で複雑に絡まり、森の中を暗くしている。
 街道を通らずにワルキアを進むには、この森を通らなければならないようであった。

「気持ち悪い森だな、あの死神の性根を現しているようだ」
「確かに気持ち悪いね、クーナ」

 クロキは森の木々を見る。
 確かにクーナの言う通り、この森は不気味であった。
 時々、呻くような不気味な声が森の中を木霊している。

(おそらく、風が吹き、枝の隙間を通る時に、このような呻き声に似た音が鳴るのだろうな、もしかすると、これが嘆きの森の由来なのかもしれない、こんな不気味な森は早く通りすぎるに限る)

 クロキは急いで森を抜ける事にする。

「おっと! ダメだよ~。あんまり急いで、移動すると。気付かれて、僕から離れると森が襲って来ちゃうよ~。けけけけ」

 走る速度を上げようとしたら、道化に止められる。

「森が襲う? どういう?」
「言葉通りだよ~。旦那様~」

 意味がわからずクロキは森の木々を改めて見る。
 木々はとても不気味だ。木の幹のあちこちに瘤ができている。
 その瘤の中には人間の顔のようなものが、幾つか見受けられる。

「えっ?!」

 クロキは思わず声を出す。
 人間の顔をした瘤が動いたのだ。
 目の部分が動き、口元が開いている。
 クロキはその瘤に近づく。
 まぎれもなく、人間の顔だった。
 虚ろな目をして、時々呻き声を上げている。
 先程から聞こえて来る呻き声は風の音ではなかったのだ。

「これは……。どういう事だ?」
「ふふっ、旦那様。これは、この木に魂を吸われた者のなれの果てさ~」
「なれの果て?」
「この森は生者を許さない。近づく者は森に魂を吸われこうなるのさ~。見てよ旦那様。彼の体はきっとあれだね~。きゃははは」

 道化が指した先には木の枝に絡まった人間の死体がある。
 死体は干からびて動かない。
 武装している所を見ると生前は戦士だったのだろう。
 森に入った死の眷属以外の者は木の枝につかまり魂を奪われるのだと、道化は説明する。

「この武装は北のチューエンの物だね~。きっと、ぼ……、死の貴族の討伐に来た戦士の1人なのかな? 馬鹿だね~。街道を行く方がよっぽど安全なのにねえ」

 道化は馬鹿にした様に干からびた死体の頬を指でつつく。

「まさか、こんな森があるなんて……。彼等の魂を救う方法はないのかい?」
「そうだね~。捕えている木を燃やしてしまえば、魂を解放できるはずだね~。でも、そんな事をすれば僕達がここにいる事に気付かれるよ~。今はやめた方が良いかもね~」

 道化は笑う。
 確かに道化の言う通りであった。
 この森を燃やせば、ザルキシスに気付かれるだろう。

「わかった。確かに君の言う通りだ」
「ありがとう。理解してくれて嬉しいよ~」

 そう言って道化が木の枝からするりと死体を抜き取る。
 木はもう死体には興味がないのか、あっさりと明け渡す。
 道化が死体の手を取り、踊り歌う。

「勇敢なるチューエンの戦士♪
 死の王を討伐せんと赴かん♪
 死霊群れを乗り越えて~♪
 嘆きの森へとたどり着かん♪
 戦士は目指す死の都♪
 だけど枝に足を取られて、すってんてん♪
 後は皆様想像通り♪
 枝が体に巻き付いて♪
 戦士は森の一部となる♪
 どうして、こんな森に来たのかと♪
 戦士は毎日嘆き泣く♪」

 道化の声に合わせて、嘆きの声が木霊する。
 ティベルが震えているのが、わかる。
 クロキも聞きたい歌ではない。

「やめろ、道化! 気持ち悪い! さっさと死の都へ案内しろ!」

 クーナがうんざりした声で言う。

「は~い。わかりました。クーナ様あ~、じゃあねえ戦士君。僕達は死の都に進むね。」

 道化は戦士の亡骸を彼の顔がある木の幹にそっと横たえる。
 クロキはこの道化からは何か嫌なモノを感じる。
 しかし、クーナが使役する者であり、助けにもなっている。
 だから、クロキは彼の行為に目を瞑る。

(こんな森は早く通り過ぎよう)

 そして、クロキ達はモードガルへと向かうのだった。




 チューエンとワルキアの境界のすぐ近くで、クーリ達は死の騎士デスナイトと下位のアンデッド達を全て倒す。
 死の騎士デスナイト達は強力であったが、クーリの剣にフルティンの魔法とモンドの技で何とか勝つことができた。
 また、強敵である吸血鬼伯ヴァンパイアカウントが不在であった事も大きかった。
 今の所犠牲者はおらず、相手は下位吸血鬼レッサーヴァンパイアだけである。

「なんて、やつらなの! 死の騎士デスナイトを全て倒すなんて!」

 下位吸血鬼レッサーヴァンパイアは悔しそうに呟く。

「悪いが俺達は戦乙女様の祝福を受けているんだ! この程度じゃやられないぜ!」

 マルダスが剣を向けて笑う。

「ふん、今は退いてあげるわ! この辺りの亡霊達を集めて再戦よ!」

 下位吸血鬼レッサーヴァンパイアは逃げていく。
 クーリ達は追わずに見送る。

(これで、囮としての役目はある程度果たせたかな。戦乙女様の役に立てただろうか)

 クーリは戦乙女クーナの事を思い浮かべるのだった。

 

★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★


 鋏はU型もX型も紀元前からある道具。
 特に出しても問題はないですよね。

 そして、死の騎士デスナイトの登場です。
 なろうの某作品の主人公が使役したり、D&Dのソス卿が有名ですね。

 誤字脱字がありましたら報告して下さると嬉しいです。
 
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