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第5章 黒い嵐
第5話 カルキノスの襲撃2
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チユキ達は船の上でカルキノスを解体する。
さすがに大きく、また、下処理をしないと食べる事はできないので、この船の料理人に預ける事にした。
この世界では普通に魚介類を食べる。
だから蟹や海老やタコ等も普通に食卓に上がる。
むしろ、大陸の西側では豚や羊よりも好まれる地域もある。
しかし、カルキノスのような巨大蟹はさすがに食べないので、渡された料理人の顔は引きつっていた。
この世界には大豆から作る醤油はなく、そのかわりに魚醤がある。
その魚醤を使えば和風料理も可能だ。
料理の得意なサホコは魚醤を使ってチユキ達のために和風の料理を作ってくれる。
この世界にはジャガイモやトマトと言ったアメリカ大陸原産の食材はないが、食感がジャガイモに似た蕪がある。
その蕪を代用したサホコのにくじゃがはとても美味しかった事をチユキは思い出す。
カルキノスも魚醤を付けて焼いたら美味しく食べる事ができそうであった。
「一体何かしら? この蟹さん達は?」
キョウカはカルキノスを見ながら言う。
今この場にはシロネを除くチユキ達とエウリアと取り巻きの女の子達にシズフェ達、そしてデキウスとシェンナの兄妹がいる。
クラススは警備の責任者を呼びに行き、ナキウスは来賓の様子を見に行っている。
そしてトゥリアは他に行くところがあるからとこの場から離れた。
「多分闘技場から逃げ出したカルキノスでしょうね。どこに行っていたのかわからなかったけど、こんな所にいたなんて」
闘技場のから逃げ出した魔物のリストにはカルキノスの名があった。
逃げ出した数も同じだ。
だから間違いないだろう。
しかし、このカルキノス達は饗宴が始まったのを見計らって襲って来た。
チユキは何者かの作為を感じる。
「レイジ殿。トライデン神殿の者達を連れて来ました」
クラスス将軍が海王トライデンに仕える1人の戦士を連れて来る。
トライデンの戦士らしく三叉槍と網を持った中年の男性だ。
水の勇者と呼ばれたネフィムは網を持っていなかったらしいが本来トライデンの戦士は網戦士と呼ばれ、網と三叉槍を持つのが一般的だ。
網で相手の動きを封じ三叉槍で止めを刺す。それがトライデンの網戦士の戦い方である。
やって来た彼も肩に網を担いでいる。
クラスス将軍が言うには彼が今回の警備責任者だそうだ。
船上パーティーなのでトライデン神殿に所属する網戦士達が警備をしていたのである。
「申し訳ねえ! 俺達の不手際だ!!」
トライデンの戦士は頭を下げる。
トライデンの戦士はトールズの戦士と同じ位の荒くれ者揃いだ。言葉づかいが粗く、礼儀作法をわきまえない。
それは貴族を前にしても同じである。
もっとも、その事を気にする者はこの場にはいない。
チユキは優しい言葉で話しかける。
「別に構いませんよ。貴方達の事情は知っています」
アリアド湾にある各国のトライデン神殿に所属する網戦士達はマーマンにやられた事で人員が不足している。
そのため砂の中まで警戒できなかったようだとチユキは推測する。
しかし、人手が足りていたとしても彼らにはどうする事もできなかっただろう。
相手は化蟹カルキノスだ。ただの人間に対処できたとは思えない。
「黒髪の賢者様にそう言っていただけるとはありがてえ」
網戦士達は再び頭を下げる。
「それよりもカルキノスの事を教えてくれませんか? 大きな蟹である事しか知りませんので」
「カルキノスの事ですかい? あっしらも良くは知りやせん。ただ西の内海ではマーマンの奴らがカルキノスを操る事があるそうで……」
網戦士の言葉にチユキはなるほどと思う。
海の民と言われるマーマンは強力な海の魔獣を操る事ができると聞く。
過去にマーマンはその魔獣を使って赤い河のほとりにあるハッティ王国を滅ぼしたらしい。
「なるほど、化蟹は操る事が可能なのですね。饗宴が始まる前に何か変わった点はありましたか?」
「いえ、特には……。砂の中に潜っていたみたいで見つける事はできやせんでした」
網戦士は首を振る。
「そうですか、でも間違いないと思うわ。カルキノスは誰かに操られていた。ナオさんもカルキノスが動き出す前まではその存在に気付かなかったわ。おそらく前日から砂の中にずっとカルキノスを潜ませていたに違いないわね。そして、頃合いを見てカルキノスを動かした」
チユキは断言する。
「なるほどな。どうやらあの邪神の残党が残ってたってわけか。そして俺達にまだ敵対しようとしている」
「そう考えるべきかもしれないわね、レイジ君。闘技場から逃げたカルキノスを使っているのだもの」
彼らの目的はわからない。だけどチユキには自分達に敵対しようとしているように感じられた。
そこでチユキはエウリアを見る。
「あの……。何かしら?」
エウリアは不安そうに私を見る。
「エウリアさん、あなた何か知らない?」
チユキが尋ねるとエウリアは首を振る。
「いえ何も知りませんわ。知っているとすればアトラナの方ですわ」
エウリアはそっけなく言う。
アトラナは本名をアトラナクアという蜘蛛の姿をした女性の邪神だったらしい。
しかし、彼女はシロネの幼馴染であるクロキに捕えられナルゴル送りとなったはずであった。
「カヤさん、あなたは何か聞いていない?」
「いえ……。しかし、クロキ様が誰かを庇ってアトラナクアを私共に引き渡さなかった事は考えられます」
「誰かを庇って?」
「おそらく闘技場で戦わされていた魔物です。彼は闘技場で戦わされていた魔物に同情的でした」
カヤは淡々と答える。
「なるほどね……」
闘技場から逃げ出した魔物の何匹かは行方不明で、まだ全て見つかっていない。
アトラナクアを問い詰めればその所在がわかったかもしれないのだ。
シロネの幼馴染はそんな魔物達を匿ったと言える。
「ふふ、やはりクロキさんは優しいですわね」
キョウカはうんうんと頷いている。
(キョウカさんは彼の事をかなり高く評価しているのか、そうじゃないのかわからないわね)
チユキはそんなキョウカの様子を見て呆れる。
「しかし、その事で被害に遭っている人もいるはずだ。闘技場で無理やり戦わされていたからといって、そのままにしておいて良いはずがない。そのために被害が出ている可能性もある」
レイジが横から口を出す。
(彼の事が気に喰わないのかもしれない。重傷を負わされたのだから無理もないか……。シロネさんが聞いたら悲しむわね。だけど、レイジ君の言う事にも一理ある)
逃げ出した魔物は隠れて人を襲っているかもしれない。そうだとすれば退治する必要がある。
「まあ、でも済んだ事は仕方がないわね。それよりもこれからどうするのかが大事だと思うわ」
チユキは少し話題を変える。
シロネの幼馴染に助けられたからだろうか、チユキは彼をかばいたくなる。
(魔王の側に立っているかもしれないけど、私を助けてくれた行動には彼の意志を感じた。シロネの言う通り彼は完全に操られていないのかもしれない。だから一度彼の状況を確かめる必要がある)
チユキは彼がどういう状況に置かれているのか知りたいと思う
「もちろん、残党は叩き潰すさ。誰に喧嘩を売ったのか教えてやるよ」
レイジは不敵に笑う。
(やはりそうなったか、かなり面倒臭いことになるわね。でもやるしかないか)
チユキは溜息を吐く。
「ところでレイジ君。犯人をどうやって捜すの? 手がかりは何もないみたいだけど」
あの後ナオとリノが現場の海域を調べたけど手がかりらしい物は今の所見つかっていない。
また、会場にいた人達に対して身体検査をしたけど全員人間だった。
おかげで調査をしたリノとナオは疲れて座りこんでいる。
それをサホコが介抱している。
あれだけ調べても目を逃れるならもうお手上げであった。
それにアトラナクアのような魔物が何匹もいるとはチユキは考えたくなかった。
(おそらく犯人はカルキノスを動かすとすぐに逃げたのだろう。だからあの場所にはいなかったのだ)
チユキはそう結論を出す。
「それは、アリアディアを虱潰しに捜査して……」
「無理よ。アリアディアは広いし人口も多いわよ。まあ、この国のどこかにいるとは思うけど……」
チユキはレイジの言葉をすかさず否定する。
邪神の残党はこの国、もしくは周辺の国に潜んでいる可能性が高いはずである。
なぜなら人間に化ける能力があるなら城壁外にいるよりも都市の内部の方が身を隠し易いからだ。
特にアリアディア共和国は人口が多く、戸籍のない非市民も多く住み着いている。
そのため人間に紛れるのは簡単なはずだ。
小国だと怪しい人間が住みつけば、すぐにわかる。しかし、ここではそうではないのである。
そんなアリアディア共和国を私達だけで捜査するのは無理だ。
当然周辺の国まで捜索する事は不可能である。
それにチユキ達が捜査しようとすれば人間に化けた魔物は逃げるだろう。
それにレイジは強引な捜査をしそうであり、チユキとしてはこの国の人達と揉め事を起こすのは避けたい。
「あの、お待ちください。勇者殿」
突然声が掛けられる。
「デキウス卿? どうかされたのですか?」
声を掛けたのはデキウスである。チユキはデキウスに尋ねる。
「犯罪の捜査は本来なら我々の仕事です。犯人を捜すのはどうか我々にお任せいただけませんか?」
そう言うとデキウスは頭を下げる。
通常、警察と言っても2種類ある。行政警察と司法警察だ。
前者は犯罪の予防や治安維持を行い、後者は犯罪の捜査などを行う。
この国において行政警察はクラスス将軍率いるアリアディア共和国軍と、それを指導する立場にあるレーナ神殿が行っている。
また火事を防止するための消防組織である、トライデン神殿の者達が夜の見回りをする等の事実上の警邏活動をしたりしている。
そして司法警察は法の神である、神王オーディスに仕える神官や騎士等が行う。
現代の日本において宗教組織が警察権を持つ事はありえない。だけど、この世界では普通にあったりする。
だからデキウスが捜査を行うと申し出るのも当然と言えた。
また、チユキの目にはデキウスはいかにも真面目なオーディスの信徒に見える。きっと公正な捜査を行うだろう。
「なるほど、確かにそうね。法の騎士なら捜査もしやすいでしょうしね。それに各国のオーディス神殿と連携も取れるわね。レイジ君。ここはデキウス卿に頼るべきだわ。それに捜査をするとなると人手が必要よ」
チユキはそう言ってレイジを見る。
「しかし、なあ……」
しかし、レイジは渋い顔をする。
「もちろん私達も捜査に関わらせてもらうわ。そもそもカルキノスを操る程の奴だもの。おそらく私達でなければ倒す事は無理でしょうしね。そう言う事だけどどうかしらデキウス卿?」
チユキが言うとデキウスが頷く。
「確かに私ではカルキノスを操る程の相手を捕えるのは難しいと思います……。勇者殿達の助けが必要かもしれません」
デキウスは自身の力が足りない事を認める。
(虚勢を無駄に張らない人間は嫌いじゃないわ)
チユキはその態度に好感が持てた。
「そういう事だけど、レイジ君」
「ああ、仕方がないか……」
さすがに自分達だけで捜査をするのは無理だと思ったのだろうかレイジも了承する。
「後それからシズフェさん、貴方達も捜査に協力してくれる?もちろん報酬を出すわ」
チユキはシズフェを見る。
「はい、私達で宜しければ。みんなも良いよね?」
シズフェの言葉に彼女の仲間達全員が頷く。
「さてこれで決まりね。明日から皆で捜査を開始しましょうか?」
そう言ってチユキは両腕の掌をパチンと合わせるのだった
◆
「カルキノスか……。それが突然現れて会場を襲ったと?」
「はい、そのようです。旦那様」
「ハイ、偉大ナル方ヨ。カルキノスハ砂ノ中ニ身ヲ潜メテイタヨウデス。我ラガ来ル前カライタノデ気付キマセンデシタ」
リジェナと蜥蜴人はクロキに答える。
リジェナは何の騒ぎかと聞きに行き、蜥蜴人達は周辺の海域を調べてくれた。
ちなみにクーナはリジェナの話には興味ないのかクロキの膝を枕にしてうたた寝をし、シロネは近くの別室でやはり寝ている。
リジェナが話を聞いた相手はトゥリアという女性の元老院議員で、ドワーフのダリオの知り合いでもある。
クロキはダリオが、もしアリアディア共和国で何かあったらトゥリアという議員を訪ねると良い、と紹介状を書いてくれた事を思い出す。
トゥリアの夫はドワーフで彼女の娘の夫もドワーフである。
ドワーフと結婚した女性はドワーフから沢山の金銀財宝を贈られる。
トゥリアはそれを元手に商売を始めて今やこの国一番の金持ちらしい。
また、ドワーフと共に迷宮の管理に関わるそうだ。
彼女は勇者達がアリアディアにいる間は色々と便宜を図ってくれるらしく、リジェナを通じてクロキもその便宜を受けれそうであった。
「そして、そのカルキノスは闘技場から逃げ出した魔物か。知らせてくれてありがとうリジェナ。しかし、だとするとアトラナの残党がいる事になるな」
闘技場の魔物を解放したのはアトラナクアだ。
つまり、この事件はアトラナクアの残党が引き起こしたと言う事になる。
「はい、レイジ様達もそのように考えているみたいです。そして調査をするようです」
「なるほど、だけどアトラナクアの情報が確かなら残党の居場所はあそこだろうな……」
クロキは思考を巡らす。
捕えたアトラナクアから沢山の情報を得た。
クロキがその情報をシロネ達に伝える際に、敢えて伝えなかったものがある。
何故伝えなかったかと言えばそれはナルゴルに関わる事だからだ。
「旦那様は残党の居場所がわかるのですね。レイジ様達にそれとなく伝えましょうか?」
「いや、それは待ってリジェナ。すでに本拠地を捨てている可能性はある。とにかく、この件は自分が前もって調べてみるよ」
「わかりました。旦那様が動かれるのでしたら、すぐに解決するでしょう」
クロキがそう言うとリジェナは安心した顔をする。
だけど、リジェナと違いクロキは気が重かった。
膝の上で寝ているクーナの頭を撫でながら、クロキは溜息を吐いた。
◆
レイジ達とシェンナは兄のデキウスと共に父ナキウスの元へと向かう。
まだ船のどこかにいるはずであった。
「兄さん。明日からの捜査をするみたいだけど何か目星はあるの?」
「いや、ないな……。シェンナはどうだい。何か気付いた事はあるのかい?」
そのデキウスの問いにシェンナは何も答えない。
(気付いた事はある。兄さんに言うべきだろうか。でも、もしかすると劇団に関係するかもしれない……)
シェンナは気付いた事を言うべきか迷う
兄には悪いがミダス団長達に迷惑はかけたくもなかった。
「シェンナ……? どうしたんだい?」
「ううん、何でもないの。ああそうだ兄さん、これを預かってくれない?」
シェンナは布でくるんだある物を渡す。
「これは?」
「待って兄さん! 中は見ないで!!」
シェンナは慌てて兄を止める。
「シェンナ?」
「ただ預かって欲しいだけなの。お願い兄さん」
「えっ!? どうしたんだ、シェンナ? まあ、そう言うのなら中身は見ないが」
シェンナの言葉にデキウスは怪訝な表情を浮かべながらも了承する。
「ありがとう兄さん。それじゃ私はこれで」
そう言ってシェンナは兄と別れる。
「シェンナ! 父上に会わないのかい?!!」
「ごめんね兄さん! 父さんには適当に言っておいて!!」
シェンナは走りながら事件の起こった時の事を考える。
(あの時マルシャスの様子がおかしかった。そして、あの場に落ちていた黒山羊の紋章が描かれた笛はマルシャスが落した物かもしれない)
シェンナがデキウスに渡した物はその笛であった
劇団員が事件に関わっていると知られると劇団の活動が停止される恐れがある。
だから法の騎士であるデキウスには何も言えなかったのである。
シェンナはマルシャスを調べてるつもりであった。
マルシャスが事件に係わっているのかどうかを、デキウスに言うのはその後でも良いだろうとシェンナは判断した。
笛を渡したのは、もし自身に何かあった時に証拠が何もなくなるを避けるためであった。
「真面目な兄の事だから中身は見ないだろう。その間に調べて確認しよう」
シェンナは呟くと劇団へと急いで戻った。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
帰ってから夜眠い時に執筆すると、いつも以上に文章が変になります(ーー;)
誤字脱字等がありましたら報告をお願いします。
さすがに大きく、また、下処理をしないと食べる事はできないので、この船の料理人に預ける事にした。
この世界では普通に魚介類を食べる。
だから蟹や海老やタコ等も普通に食卓に上がる。
むしろ、大陸の西側では豚や羊よりも好まれる地域もある。
しかし、カルキノスのような巨大蟹はさすがに食べないので、渡された料理人の顔は引きつっていた。
この世界には大豆から作る醤油はなく、そのかわりに魚醤がある。
その魚醤を使えば和風料理も可能だ。
料理の得意なサホコは魚醤を使ってチユキ達のために和風の料理を作ってくれる。
この世界にはジャガイモやトマトと言ったアメリカ大陸原産の食材はないが、食感がジャガイモに似た蕪がある。
その蕪を代用したサホコのにくじゃがはとても美味しかった事をチユキは思い出す。
カルキノスも魚醤を付けて焼いたら美味しく食べる事ができそうであった。
「一体何かしら? この蟹さん達は?」
キョウカはカルキノスを見ながら言う。
今この場にはシロネを除くチユキ達とエウリアと取り巻きの女の子達にシズフェ達、そしてデキウスとシェンナの兄妹がいる。
クラススは警備の責任者を呼びに行き、ナキウスは来賓の様子を見に行っている。
そしてトゥリアは他に行くところがあるからとこの場から離れた。
「多分闘技場から逃げ出したカルキノスでしょうね。どこに行っていたのかわからなかったけど、こんな所にいたなんて」
闘技場のから逃げ出した魔物のリストにはカルキノスの名があった。
逃げ出した数も同じだ。
だから間違いないだろう。
しかし、このカルキノス達は饗宴が始まったのを見計らって襲って来た。
チユキは何者かの作為を感じる。
「レイジ殿。トライデン神殿の者達を連れて来ました」
クラスス将軍が海王トライデンに仕える1人の戦士を連れて来る。
トライデンの戦士らしく三叉槍と網を持った中年の男性だ。
水の勇者と呼ばれたネフィムは網を持っていなかったらしいが本来トライデンの戦士は網戦士と呼ばれ、網と三叉槍を持つのが一般的だ。
網で相手の動きを封じ三叉槍で止めを刺す。それがトライデンの網戦士の戦い方である。
やって来た彼も肩に網を担いでいる。
クラスス将軍が言うには彼が今回の警備責任者だそうだ。
船上パーティーなのでトライデン神殿に所属する網戦士達が警備をしていたのである。
「申し訳ねえ! 俺達の不手際だ!!」
トライデンの戦士は頭を下げる。
トライデンの戦士はトールズの戦士と同じ位の荒くれ者揃いだ。言葉づかいが粗く、礼儀作法をわきまえない。
それは貴族を前にしても同じである。
もっとも、その事を気にする者はこの場にはいない。
チユキは優しい言葉で話しかける。
「別に構いませんよ。貴方達の事情は知っています」
アリアド湾にある各国のトライデン神殿に所属する網戦士達はマーマンにやられた事で人員が不足している。
そのため砂の中まで警戒できなかったようだとチユキは推測する。
しかし、人手が足りていたとしても彼らにはどうする事もできなかっただろう。
相手は化蟹カルキノスだ。ただの人間に対処できたとは思えない。
「黒髪の賢者様にそう言っていただけるとはありがてえ」
網戦士達は再び頭を下げる。
「それよりもカルキノスの事を教えてくれませんか? 大きな蟹である事しか知りませんので」
「カルキノスの事ですかい? あっしらも良くは知りやせん。ただ西の内海ではマーマンの奴らがカルキノスを操る事があるそうで……」
網戦士の言葉にチユキはなるほどと思う。
海の民と言われるマーマンは強力な海の魔獣を操る事ができると聞く。
過去にマーマンはその魔獣を使って赤い河のほとりにあるハッティ王国を滅ぼしたらしい。
「なるほど、化蟹は操る事が可能なのですね。饗宴が始まる前に何か変わった点はありましたか?」
「いえ、特には……。砂の中に潜っていたみたいで見つける事はできやせんでした」
網戦士は首を振る。
「そうですか、でも間違いないと思うわ。カルキノスは誰かに操られていた。ナオさんもカルキノスが動き出す前まではその存在に気付かなかったわ。おそらく前日から砂の中にずっとカルキノスを潜ませていたに違いないわね。そして、頃合いを見てカルキノスを動かした」
チユキは断言する。
「なるほどな。どうやらあの邪神の残党が残ってたってわけか。そして俺達にまだ敵対しようとしている」
「そう考えるべきかもしれないわね、レイジ君。闘技場から逃げたカルキノスを使っているのだもの」
彼らの目的はわからない。だけどチユキには自分達に敵対しようとしているように感じられた。
そこでチユキはエウリアを見る。
「あの……。何かしら?」
エウリアは不安そうに私を見る。
「エウリアさん、あなた何か知らない?」
チユキが尋ねるとエウリアは首を振る。
「いえ何も知りませんわ。知っているとすればアトラナの方ですわ」
エウリアはそっけなく言う。
アトラナは本名をアトラナクアという蜘蛛の姿をした女性の邪神だったらしい。
しかし、彼女はシロネの幼馴染であるクロキに捕えられナルゴル送りとなったはずであった。
「カヤさん、あなたは何か聞いていない?」
「いえ……。しかし、クロキ様が誰かを庇ってアトラナクアを私共に引き渡さなかった事は考えられます」
「誰かを庇って?」
「おそらく闘技場で戦わされていた魔物です。彼は闘技場で戦わされていた魔物に同情的でした」
カヤは淡々と答える。
「なるほどね……」
闘技場から逃げ出した魔物の何匹かは行方不明で、まだ全て見つかっていない。
アトラナクアを問い詰めればその所在がわかったかもしれないのだ。
シロネの幼馴染はそんな魔物達を匿ったと言える。
「ふふ、やはりクロキさんは優しいですわね」
キョウカはうんうんと頷いている。
(キョウカさんは彼の事をかなり高く評価しているのか、そうじゃないのかわからないわね)
チユキはそんなキョウカの様子を見て呆れる。
「しかし、その事で被害に遭っている人もいるはずだ。闘技場で無理やり戦わされていたからといって、そのままにしておいて良いはずがない。そのために被害が出ている可能性もある」
レイジが横から口を出す。
(彼の事が気に喰わないのかもしれない。重傷を負わされたのだから無理もないか……。シロネさんが聞いたら悲しむわね。だけど、レイジ君の言う事にも一理ある)
逃げ出した魔物は隠れて人を襲っているかもしれない。そうだとすれば退治する必要がある。
「まあ、でも済んだ事は仕方がないわね。それよりもこれからどうするのかが大事だと思うわ」
チユキは少し話題を変える。
シロネの幼馴染に助けられたからだろうか、チユキは彼をかばいたくなる。
(魔王の側に立っているかもしれないけど、私を助けてくれた行動には彼の意志を感じた。シロネの言う通り彼は完全に操られていないのかもしれない。だから一度彼の状況を確かめる必要がある)
チユキは彼がどういう状況に置かれているのか知りたいと思う
「もちろん、残党は叩き潰すさ。誰に喧嘩を売ったのか教えてやるよ」
レイジは不敵に笑う。
(やはりそうなったか、かなり面倒臭いことになるわね。でもやるしかないか)
チユキは溜息を吐く。
「ところでレイジ君。犯人をどうやって捜すの? 手がかりは何もないみたいだけど」
あの後ナオとリノが現場の海域を調べたけど手がかりらしい物は今の所見つかっていない。
また、会場にいた人達に対して身体検査をしたけど全員人間だった。
おかげで調査をしたリノとナオは疲れて座りこんでいる。
それをサホコが介抱している。
あれだけ調べても目を逃れるならもうお手上げであった。
それにアトラナクアのような魔物が何匹もいるとはチユキは考えたくなかった。
(おそらく犯人はカルキノスを動かすとすぐに逃げたのだろう。だからあの場所にはいなかったのだ)
チユキはそう結論を出す。
「それは、アリアディアを虱潰しに捜査して……」
「無理よ。アリアディアは広いし人口も多いわよ。まあ、この国のどこかにいるとは思うけど……」
チユキはレイジの言葉をすかさず否定する。
邪神の残党はこの国、もしくは周辺の国に潜んでいる可能性が高いはずである。
なぜなら人間に化ける能力があるなら城壁外にいるよりも都市の内部の方が身を隠し易いからだ。
特にアリアディア共和国は人口が多く、戸籍のない非市民も多く住み着いている。
そのため人間に紛れるのは簡単なはずだ。
小国だと怪しい人間が住みつけば、すぐにわかる。しかし、ここではそうではないのである。
そんなアリアディア共和国を私達だけで捜査するのは無理だ。
当然周辺の国まで捜索する事は不可能である。
それにチユキ達が捜査しようとすれば人間に化けた魔物は逃げるだろう。
それにレイジは強引な捜査をしそうであり、チユキとしてはこの国の人達と揉め事を起こすのは避けたい。
「あの、お待ちください。勇者殿」
突然声が掛けられる。
「デキウス卿? どうかされたのですか?」
声を掛けたのはデキウスである。チユキはデキウスに尋ねる。
「犯罪の捜査は本来なら我々の仕事です。犯人を捜すのはどうか我々にお任せいただけませんか?」
そう言うとデキウスは頭を下げる。
通常、警察と言っても2種類ある。行政警察と司法警察だ。
前者は犯罪の予防や治安維持を行い、後者は犯罪の捜査などを行う。
この国において行政警察はクラスス将軍率いるアリアディア共和国軍と、それを指導する立場にあるレーナ神殿が行っている。
また火事を防止するための消防組織である、トライデン神殿の者達が夜の見回りをする等の事実上の警邏活動をしたりしている。
そして司法警察は法の神である、神王オーディスに仕える神官や騎士等が行う。
現代の日本において宗教組織が警察権を持つ事はありえない。だけど、この世界では普通にあったりする。
だからデキウスが捜査を行うと申し出るのも当然と言えた。
また、チユキの目にはデキウスはいかにも真面目なオーディスの信徒に見える。きっと公正な捜査を行うだろう。
「なるほど、確かにそうね。法の騎士なら捜査もしやすいでしょうしね。それに各国のオーディス神殿と連携も取れるわね。レイジ君。ここはデキウス卿に頼るべきだわ。それに捜査をするとなると人手が必要よ」
チユキはそう言ってレイジを見る。
「しかし、なあ……」
しかし、レイジは渋い顔をする。
「もちろん私達も捜査に関わらせてもらうわ。そもそもカルキノスを操る程の奴だもの。おそらく私達でなければ倒す事は無理でしょうしね。そう言う事だけどどうかしらデキウス卿?」
チユキが言うとデキウスが頷く。
「確かに私ではカルキノスを操る程の相手を捕えるのは難しいと思います……。勇者殿達の助けが必要かもしれません」
デキウスは自身の力が足りない事を認める。
(虚勢を無駄に張らない人間は嫌いじゃないわ)
チユキはその態度に好感が持てた。
「そういう事だけど、レイジ君」
「ああ、仕方がないか……」
さすがに自分達だけで捜査をするのは無理だと思ったのだろうかレイジも了承する。
「後それからシズフェさん、貴方達も捜査に協力してくれる?もちろん報酬を出すわ」
チユキはシズフェを見る。
「はい、私達で宜しければ。みんなも良いよね?」
シズフェの言葉に彼女の仲間達全員が頷く。
「さてこれで決まりね。明日から皆で捜査を開始しましょうか?」
そう言ってチユキは両腕の掌をパチンと合わせるのだった
◆
「カルキノスか……。それが突然現れて会場を襲ったと?」
「はい、そのようです。旦那様」
「ハイ、偉大ナル方ヨ。カルキノスハ砂ノ中ニ身ヲ潜メテイタヨウデス。我ラガ来ル前カライタノデ気付キマセンデシタ」
リジェナと蜥蜴人はクロキに答える。
リジェナは何の騒ぎかと聞きに行き、蜥蜴人達は周辺の海域を調べてくれた。
ちなみにクーナはリジェナの話には興味ないのかクロキの膝を枕にしてうたた寝をし、シロネは近くの別室でやはり寝ている。
リジェナが話を聞いた相手はトゥリアという女性の元老院議員で、ドワーフのダリオの知り合いでもある。
クロキはダリオが、もしアリアディア共和国で何かあったらトゥリアという議員を訪ねると良い、と紹介状を書いてくれた事を思い出す。
トゥリアの夫はドワーフで彼女の娘の夫もドワーフである。
ドワーフと結婚した女性はドワーフから沢山の金銀財宝を贈られる。
トゥリアはそれを元手に商売を始めて今やこの国一番の金持ちらしい。
また、ドワーフと共に迷宮の管理に関わるそうだ。
彼女は勇者達がアリアディアにいる間は色々と便宜を図ってくれるらしく、リジェナを通じてクロキもその便宜を受けれそうであった。
「そして、そのカルキノスは闘技場から逃げ出した魔物か。知らせてくれてありがとうリジェナ。しかし、だとするとアトラナの残党がいる事になるな」
闘技場の魔物を解放したのはアトラナクアだ。
つまり、この事件はアトラナクアの残党が引き起こしたと言う事になる。
「はい、レイジ様達もそのように考えているみたいです。そして調査をするようです」
「なるほど、だけどアトラナクアの情報が確かなら残党の居場所はあそこだろうな……」
クロキは思考を巡らす。
捕えたアトラナクアから沢山の情報を得た。
クロキがその情報をシロネ達に伝える際に、敢えて伝えなかったものがある。
何故伝えなかったかと言えばそれはナルゴルに関わる事だからだ。
「旦那様は残党の居場所がわかるのですね。レイジ様達にそれとなく伝えましょうか?」
「いや、それは待ってリジェナ。すでに本拠地を捨てている可能性はある。とにかく、この件は自分が前もって調べてみるよ」
「わかりました。旦那様が動かれるのでしたら、すぐに解決するでしょう」
クロキがそう言うとリジェナは安心した顔をする。
だけど、リジェナと違いクロキは気が重かった。
膝の上で寝ているクーナの頭を撫でながら、クロキは溜息を吐いた。
◆
レイジ達とシェンナは兄のデキウスと共に父ナキウスの元へと向かう。
まだ船のどこかにいるはずであった。
「兄さん。明日からの捜査をするみたいだけど何か目星はあるの?」
「いや、ないな……。シェンナはどうだい。何か気付いた事はあるのかい?」
そのデキウスの問いにシェンナは何も答えない。
(気付いた事はある。兄さんに言うべきだろうか。でも、もしかすると劇団に関係するかもしれない……)
シェンナは気付いた事を言うべきか迷う
兄には悪いがミダス団長達に迷惑はかけたくもなかった。
「シェンナ……? どうしたんだい?」
「ううん、何でもないの。ああそうだ兄さん、これを預かってくれない?」
シェンナは布でくるんだある物を渡す。
「これは?」
「待って兄さん! 中は見ないで!!」
シェンナは慌てて兄を止める。
「シェンナ?」
「ただ預かって欲しいだけなの。お願い兄さん」
「えっ!? どうしたんだ、シェンナ? まあ、そう言うのなら中身は見ないが」
シェンナの言葉にデキウスは怪訝な表情を浮かべながらも了承する。
「ありがとう兄さん。それじゃ私はこれで」
そう言ってシェンナは兄と別れる。
「シェンナ! 父上に会わないのかい?!!」
「ごめんね兄さん! 父さんには適当に言っておいて!!」
シェンナは走りながら事件の起こった時の事を考える。
(あの時マルシャスの様子がおかしかった。そして、あの場に落ちていた黒山羊の紋章が描かれた笛はマルシャスが落した物かもしれない)
シェンナがデキウスに渡した物はその笛であった
劇団員が事件に関わっていると知られると劇団の活動が停止される恐れがある。
だから法の騎士であるデキウスには何も言えなかったのである。
シェンナはマルシャスを調べてるつもりであった。
マルシャスが事件に係わっているのかどうかを、デキウスに言うのはその後でも良いだろうとシェンナは判断した。
笛を渡したのは、もし自身に何かあった時に証拠が何もなくなるを避けるためであった。
「真面目な兄の事だから中身は見ないだろう。その間に調べて確認しよう」
シェンナは呟くと劇団へと急いで戻った。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
帰ってから夜眠い時に執筆すると、いつも以上に文章が変になります(ーー;)
誤字脱字等がありましたら報告をお願いします。
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