暗黒騎士物語

根崎タケル

文字の大きさ
上 下
132 / 431
第4章 邪神の迷宮

第40話 迷宮都市ラヴュリュントス15 合流

しおりを挟む
「ジョン君!
今日はお魚を獲りに行こうよ!
明日はカズマが来るからね、BBQのときに焼く魚が欲しいでしょ?
だから今日は釣りに行こう」


あれからアキラさんはすごく元気に動き回っている。
だいたい僕が午前中におじいちゃんと一緒に狩りに行って、午後からは自由時間という感じになっている。


アキラさんは午前中はデスクワーク的なことをしている。
よくわからない書類に目を通したり、損益計算書の数字が合わない!っておじいちゃんに詰め寄ったり…
領収証が足りない!!って田中さんと探してたりしている。


「アキラ君が経理をやってくれるようになってめちゃくちゃ助かるんじゃが……あの子はちょっとキッチリし過ぎなくらいキッチリしとるからなぁ
はぁ……また怒られたわい」


アキラさんはなんてったって『生徒の模範』を目指してる方ですからね?
僕にはよくわからないけど……


っということで午後から屋敷からちょっと離れたところにある川に釣りに来ました。
ここらへんなら魔獣もあまりこないし、来ても僕がサクッとりますから大丈夫だし、楽しく二人で釣りをしてるのに……


すごく嫌な邪魔者の匂いがする。しかも、これは不味いなぁ…
アキラさんはまだ邪魔者の存在に気づいていないようだけど、どうしようかな?


僕だけで対処したいけど、アキラさんを一人にして川に落ちたりしたら大変だし、魔物の臭いとかはしないけど、どうしようか悩んでいると……


「ふわぁ……ジョン君、見てよ!すごく綺麗な牙狼がいるよ?
ジョン君に会いに来たのかな?知り合いか何かだったりする?」


アキラさんに見つかってしまった。
崖の上に銀色の艶のある毛並みの短毛種の牙狼が僕達を見下ろすようにいる。


鼻腔をくすぐるような、熟れた果実のような匂い…小さく聞こえる甘えたような喉を鳴らす声
アキラさんと出会う前の僕ならホイホイついて行っただろうが…
今はまったくそそられない


熟れた果実の臭いは下品な芳香剤のように感じるし、甘えた声は耳障りにしか感じない
我ながら変わったなっと思うけど……
小さく威嚇の声を喉から鳴らすと


牙狼は少し驚いたような顔をして、アキラさんを睨むように見下ろしだした。

ヴヴゥヴウ…!!

本格的に威嚇の声を発すれば、銀髪の牙狼はプイッと興味を失せたっとばかりに去って行った。


「えっ?……今のって……っっっそういうことか」


アキラさんが何か察したように、下を向いて口を尖らせて辛そうな顔をしていく。
あぁ…しまった……アキラさんの察しの良さが仇になる。


「あの……アキラさん、僕は別にあんな牙狼なんて、全然…」

「わかってるよ…ジョン君が悪いわけじゃないし、あの子が悪いわけじゃないよ…
ただ、ちょっと…僕は…

………もう帰ろう、ちょっと疲れちゃったから」


アキラさんの機嫌が急降下していくのを感じながら、どういう反応したらいいのかわからずにトボトボっとアキラさんの後をついていくしかなかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

戦国陰陽師〜自称・安倍晴明の子孫は、第六天魔王のお家の食客になることにしました〜

水城真以
ファンタジー
自称・安倍晴明の子孫、明晴。ある日美濃に立ち寄った明晴がいつもの通りに陰陽術で荒稼ぎしていたら、岐阜城主・織田信長に目を付けられてしまう。城に連れて行かれた明晴は、ある予言を当ててしまったことから織田家の食客になることに!? 「俺はただ、緩くのんびり生きられたらいいだけなのにーー!!」 果たして自称・安倍晴明の子孫の運命やいかに?!

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...