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第6章 混沌の中に浮かぶ真実

75 反撃開始!

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 再生が、出来ない。能力が発動したという感覚がない。飛んできた拳を回避して再びチャレンジするが、それでも再生しない。視界がぼやける。
「なんでだよ!」俺は苛立ちながらも状況を冷静に考える。あの能力の衝突で俺は耐えきれなくなり少しだけ自分の時を戻し、右腕がもげる限界に戻すことが出来た。あのままだと完全に腕を失うところだった。そして、その直後に俺は封眼を使ったが、それが効果を発揮したのかは分からない。先生はそのような独能力アイデントを持っていない。未来視と心読みのはずだ。なら、尚更何をされた?本当に、分からない。
「仕方がない。お前はまだ能力を極めていないから、こんなことが出来るのも気付いていないだろう」
「能力が目から使われるのは分かるな?」正確には視神経の隣にその器官があるらしい。脳から信号が出るとそれを目を使って具現化する。
「お前、今自分の目がどんな状態か知ってるか?お前の独能力アイデントも目を使う物だ。それに、さっきの全色行使。お前の目は限界だろうな」そうして、何かを投げてくる。鏡だ。それを、俺は見て、
「マジかよ」目が充血しているどころではない。黒色の部分も血で赤く染まり始めていた。両目ともそんな状態。こんなので黒の能力を使えるわけがない。これ以上やれば自分の目が壊れる。そうすればもう能力は戻らないだろう。だから、こうするしかない。
 俺は左拳を固める。右手は、使えない。素手で、帝王に、渡り合えるか?俺に、そこまでの実力があるのか。完全に能力を使いこなしている先生と、自己管理すら危うい俺。きっと、先生は素の実力も圧倒的だ。それで、俺は太刀打ちできるのか?いや、するしかない。
 俺は大きく息を吸い込み、痛む右目を閉じ、拳を溜め、床を強く蹴り、前進する。耳元で風が唸る。そして、先生の顔面が目の前に有り、拳を突き出す。
「早いな」その端的な感想と共に先生は横に避け、俺は急停止し、薙ぎ払う。
「片目を閉じてれば距離感も掴めないだろう」その声と共に背中に衝撃。激痛と共に吹き飛ばされ、受け身もとれずに転がる。急いで立ち上がろうとするが、背中にかかる重圧。真上から声が響く。
「果たしてこの戦いに意味などあるのか?」組み伏せながらそう告げられる。俺の目的を達するために先生の持つ情報が必要だ。だから、俺は何度も立ち上がる。その目的があるから。俺の中でその目的が「真実」で有り続ける限り。だから、意味はある。
「もしも抵抗をやめないなら、一旦眠ってもらう」
「生憎と、諦めは悪いので」俺は何とか力を入れるが、全く動かない。
「仕方ない。眠れ」上で能力の塊が創られているのを感じる。そして、それが俺に向かって落ちてきて、そして、そして。

 俺は右腕で先生に後ろから一撃を加えた。不意を突いてよろめいたところを更に蹴りを加え、飛んできた反撃を左手で防ぐ。少し血が出たが、これくらいどうってことは無い。
「少し右目を休めておいて良かったですよ」俺はあの右目を閉じてから少しそれを休めていた。とにかく、利き手が復活すれば何とか戦える。その時用に能力を回復させていたのだ。先生は楽しげに笑い
「流石。じゃあ、僕も本気を出さないとな」そして、お互い能力をぶつけるのだった。
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