【完結】能力世界で無能の「黒眼」の俺が最強の「黒ノ能力」で無双する！

第3章 神への研究と代償

44 「俺の問題だ」

　そうして、休暇が早く打ち切られ、俺は先生にその場所に案内されていた。
「今日からここがお前の部屋だ。頼むから丁寧に使ってくれ」頼むからと変に懇願されるような口調で発せられたその願いに俺は苦笑いしながら
「はい。分かりましたよ」そして、俺は先生から鍵を受け取るのだった。

「うわ、広」俺はその部屋に入って驚いた。クラスSの部屋を一個ずつランクを上げたような感じの部屋だった。
　しかし、やはり、落ち着かない。そう考えた俺は早々に部屋を後にするのだった。

　この建物には見た目以上に部屋がない。三階建てだが、クラスXの五人と大会議室が1つ。それほどまでに部屋はない。しかし、その代わりに一個一個が広い。

　俺は少し話したい相手がいることを思い出し、そこに向かうのだった。
　数分歩くとその相手に出くわした。
「那由他。クラスS昇格おめでとう」あの時那由他の家に行ったときには色々あったから言えなかった。しかし、他にもいろいろ伝える事がある。すると、那由他は眩しい笑顔を浮かべ、
「ありがとうございます！」そう言って思い切り頭を下げた。ポニーテールが俺の顔を打つ。言えば変態と罵られそうだが、俺の鼻をくすぐったその薫りは優しかった。
「ところで那由他。独能力アイデントはあるのか？」気になる事がある。独能力は先天性か後天的にも手に入るのか。すると、那由他は少し残念そうに目を伏せ
「あるにはあるんですけど、なんて言うんでしょう。微妙なんですよ」すると、那由他は手のひらに葉っぱを一枚作り、俺に手渡した。
「独能力アイデント核心索貫マルナ・セクタ」すると、その葉の一点が輝いた。
「こんな感じで中央を当てる事ができるっていうよく分からない力なんですよ。でも、機械だったりしたら電池の部分を照らしてくれます」聞いてて俺は
「なんだかんだで強いじゃねぇか」もしも、俺が即席で立てたこの仮説が正しければ、かなり強い。
「それで、本題を話していいか？」俺は声のトーンを一つ落とした。ピクっと反応した那由他は
「い、良いですけど」と少し驚いたふうに反応した。
「じゃあ、聞いてくれ。桜の災害だが…」


「というわけだ」俺は目の前で呆然としている那由他を見ながら考えを巡らせていた。再び那由他を見ると顔を真っ赤にして、
「何バカなことを考えてるんですかぁ！」と怒りの声で絶叫。そのまま捲し立てるように
「そんなことにはなりません！私がそうはさせません！だって、だってぇぇ」あ、泣き出した。やばい。俺はこいつと長い間関わってきて分かった事がある。那由他は、泣くと面倒臭い。優しい言葉をかけるとすぐに治るのだが、その後も「嘘じゃありませんよね？」とずっと聞いてくる。
　俺としては慰めたいが、目的のためだ。これが、事実だって那由他に認知させないといけない。だからこそ、俺は重ねて言う。
「そうなったとして、那由他は絶対に関わるな。これは、俺の問題だ」運良く、まだ猶予はある。
「っ。分かりました。でも、お願いです。ちゃんとその時は、私に教えてくださいね？」那由他は顔を上げ、俺の方を見て、悲しい笑みを見せた。
「ああ、ありがとう。那由他」そこで俺はまた来た道を戻った。
　いつなのかは分からない。
　色々、変化が起こっている。そんなことを俺は肌で感じ始めていた。